【2019年版】銀行の不動産アパートローン引き締め状況と融資条件

不動産投資は基本的に金融機関から「融資」を受けて物件を購入します。 これは、「融資を受けられなければ、いくら優良物件を見つけても意味がない」「融資を制するものが不動産投資を制する」と言い換えることができます。

しかし昨今では、不動産投資に対する融資の引き締めが起こっています。この状況下で、私たち不動産投資家はどう戦略を考えればいいのでしょうか。

この記事では

  • ・アパートローンローンの引き締めについて
  • ・状況別アパートローン引き締めの影響
  • ・融資引き締めへの対応策

について解説します。

現時点での融資姿勢を把握し、その対応策を知ることで、引き締めが行われている昨今でも「どんな人が融資を受けられているのか」「どうすれば自分も融資を受けられるのか」ということが理解できます。

私が実際に銀行や不動産投資家から聞いた話をもとにまとめた記事になりますので、これから物件を買おうと思っている人は必ずご一読いただければと思います。

1. アパートローンの引き締めについて

アパートローンの引き締めについて

まず知っておくべき不動産投資ローンの基礎知識について解説しましょう。

1-1. 現在の市況について

不動産投資を取りまく市場は、数年前の好調さとは逆転しています。 かつては、年収がそれほど高くなくても、また豊富な自己資金がなくても、一般のサラリーマンが融資を受けて物件を購入することができました。

しかし2018年以降、アパートローンは受けにくい状況が続いており、2019年10月時点でも回復の兆しは見えていません。この状況がしばらく続く可能性は高いですし、むしろ今よりも引き締めが厳しくなる恐れもあります。

最近では、「サラリーマンなら年収1000万円+自己資金1000万円」でも足りないと言われています。そもそも、この条件を満たす人自体も少ないわけですからかなり厳しいことがわかります。頭金が2~3割、自己資金は2000~3000万円以上が求められるようになっています。年収でいえば「2000万円以上」が推奨されるレベルです。

もちろん、すでに不動産投資を始めている人であれば、その経営状況も問われます。 銀行もかつてのように「右へ倣え」で融資を出さない、 そんな時代に突入しています

ちなみに、「自己資金3000万円」というのは、購入物件の価格帯にもよります。 数千万円の物件であれば良いでしょうが、これが1億円をこえる物件になれば「足りない」と言われるケースもあります。

例えば1億円の新築アパートを買う場合、頭金は2~3割程度が求められる時代ですから、2割だと2000万円、3割だと3000万円です。諸費用を考えると、最低3000万円程度の自己資金が最低ラインとなるのです。 ただし、年収が2000万円以上あれば、そこまでの自己資金を問われないケースもあります。

要するに、物件を買い進めてキャッシュフローを拡大させるためには、「自己資金もしくは属性(高年収のサラリーマンであること)がなければ話にならない」という現実があるのです。

1-2. アパートローン引き締めのきっかけ

ここでは、なぜアパートローンの引き締めが起こったのか、その背景を辿っていきましょう。

1-2-1. 不動産投資がこれだけブームになった理由

そもそも不動産投資がサラリーマンや地主を中心に過熱したのには、大きな要因がいくつかあります。

1つ目は、アベノミクスによる施策の一つである「マイナス金利施策」です。 2%のインフレを実現するために、日本銀行が2016年2月から実施されました。 銀行が日銀に預ける当座預金の一部に対し、初めて-0.1%のマイナス金利を適用したのです。

その結果、金融機関は日銀にお金を預けるよりも民間融資を増やす方向にシフトし、なかでも担保が取れる不動産は、金融機関にとって融資がしやすい対象となりました。

そして、高属性の人たちはどんどん融資を受けて収益不動産を購入するようになり、なかにはその状況を生かして資産を億単位まで拡大させた、今でいう「メガ大家」も続々と出現しました。合わせて、不動産投資関連本も多く出版されるようになり、不動産投資に関するネット記事も毎日のようにアップされるようになりました。

2つ目は、将来に対する不安を抱く人が増えたということです。 年金問題、人口減少、人生100年時代などの社会的課題がメディアを賑やかすことになり、多くの人が「自分の将来は大丈夫なんだろうか」「会社からの給料だけに依存していていいのだろうか」という不安を抱くようになりました。

同時に、投資に関する情報も増えていき、なかでも「会社員という属性を生かして不労所得を得られる」ということで不動産投資に注目が集まるようになったのです。

3つ目は、2015年の相続税法改正です。 これにより、相続税を支払う対象者が増えたので、地主に対して「アパートを建てて賃貸経営すること」を特に大手住宅会社が中心になって宣伝し始めました。少し前から問題になっているサブリースという仕組みが流行るようになったのは、この頃です。

その結果、地方で賃貸需要が少ないエリアでもアパートが乱立し、入居者を奪い合うような様相が各所で見られるようになりました。

このような理由によって、かつては一部の高属性の人しか収益不動産を買えなかった(買わなかった)状況が、20代で年収400万円程度でも数千万円の一棟ものを買うことも珍しくなくなり、不動産投資は一気に市民権を得たように思います。

1-2-2. 「日銀と金融庁による注意喚起」がアパートローン引き締めの序章

しかし、本来の返済能力を超えた融資を受けて不動産投資を行う人が増えた結果、徐々に返済に窮する人が増えるようになります

この背景には、アパートローンを積極的に貸し出していた地方銀行の存在が見逃せません。 地方銀行は、人口減少などを理由に地域経済が先細っていることもあり、生き残りをかけて安定的に利益を確保できる融資対象を模索していました。そんななか、見つけたのが住宅ローンよりも金利が高いアパートローンだったのです。

結果、新規融資額と融資残高が年々増え続け、2016年には、不動産投資の融資残高が21兆円と過去最高になりました。この額は平成バブル期を超えるほどです。 そして、あまりに過熱した状況を鑑みて、日銀と金融庁は2017年からアパートローンに対する引き締めを行うことになります。これがアパートローン引き締めの序章となります。

1-2-3. 「かぼちゃの馬車」問題とスルガ銀行のずさんな融資実態

アパートローンの引き締めの決定的要因となったのは、2018年初めに起きた「かぼちゃの馬車」問題とスルガ銀行のずさん融資です。 かぼちゃの馬車とは、スマートデイズ社が販売していた女性専用シェアハウスです。

当時、シェアハウスは規模に対する戸数が多いため、利回りが比較的高く人気がありました。また、かぼちゃの馬車に関しては、サブリース(30年間賃料保証)が付いている、地方から上京した女性に就職先を斡旋する企業とも組んでいるなどの理由から安定した投資対象と見られ、かつセミナーも積極的に開催していたこともあり、それなりの高属性が複数棟購入するケースもあったのです。

しかし、2017年末〜2018年初頭にかけてサブリース賃料が突然オーナーに払われなくなり、問題が表面化。かぼちゃの馬車スキームは、実は自転車操業であり、新規顧客の数が減少するにつれて維持ができなくなりました。 ここでメディアが飛びつき、一気に社会問題となります。

また同時期に、かぼちゃの馬車をはじめ、地方物件に積極的融資をしていたスルガ銀行のずさんな融資実態や書類の偽造・改ざんなどの違法行為が露わになりました。これにより、国はスルガ銀行だけでなく他の地方銀行に対しても、アパートローンの実態を調査・報告するようになり、融資の引き締めが厳格化されていったのです。

1-3. 不動産投資家はどのように感じているのか、実際はどうなのか?

不動産投資に対するネガティブな情報が次々と出た結果、不動産投資家の意識も変化していきました。

健美家株式会社が2018年10月に行った「不動産投資に関する意識調査(第10回)」によると、「融資環境は1年前(編集部注:2017年のこと)と比べて変化がありましたか?」という質問に対し、約6割が「厳しくなった」と回答し、2017年より0.9ポイント増となっています。 その理由としては、「自己資金の割合が増えた」(67.1%)、「融資はしていないと言われた」(17.7%)などが挙がっています。

融資環境は1年前(編集部注:2017年のこと)と比べて変化がありましたか?

出典:https://www.kenbiya.com/press/pre2018-11-06.html

また、一般社団法人 全国銀行協会の「全国銀行 預金貸出金速報など」(平成30年9月末・上半期中)を見ると、2018年3月以降、地方銀行の貸出金が急落していることがわかります。これは、明らかにかぼちゃの馬車やスルガ銀行の問題が表面化してアパートローンの引き締めが行われた結果だと考えられます。

2018年3月以降、地方銀行の貸出金が急落

出典: https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/stats/month1_01/yokashi03282.pdf

2.アパートローン引き締めの対処法

アパートローン引き締めの対処法

こうした背景をふまえ、不動産投資家はどのような対処が求められるのでしょうか。

これからの不動産投資では、特にある程度の規模まで持ち込むためには「自己資金を増やす」ことが最優先課題となります。というのも以前とは違い、今では物件価格の1、2割の自己資金と諸費用を合わせて3割を出さなければ融資を受けられなくなっているからです。

とはいえ、仮に1億円の物件を買おうとした場合、3000万円もの大金を出せる人は少数でしょう。そこで重要なのは「売却を混ぜて自己資金を増やす」という考え方です。 売却という戦略を混ぜていくことで、 資金の少ない人でも効率的に拡大していくことが可能となります。

不動産投資を始める人のほとんどが、 手元に十分な資金があるわけではありません。 そのため、 物件を1棟、2棟と買い進めていくと、 3~5棟目あたりで自己資金がなくなり、そこから買い進められなくなります。実は私もまったく同じ経験をしました。 手元の資金を計算しておらず、3棟目を購入した時点で手元の資金がなくなりました。

にもかかわらず、 その壁を越えて短期間でキャッシュフロー月額100万円を実現できたのは、 私が「売却」を混ぜた戦略を採ったからです。これに関しては、詳しく解説すると長くなりますので、また別の記事で取り上げさせていただきます。

3. 将来のローン引き締めにも対応できる不動産投資のポイント

将来のローン引き締めにも対応できる不動産投資のポイント

3-1. 金融機関が融資をしたくなる条件を知る

アパートローンの引き締めは厳しくなり、以前よりも融資を受けるためのハードルは高くなったのは事実です。しかし、金融機関としても収益不動産は数字を伸ばせる融資対象であることは間違いないので、過度に不安を抱く必要もありません。

主に金融機関は、以下の3点に関する基準を設けて審査をしています。

  • ・事業計画がしっかりと練られているか
  • ・自己資金が十分に準備できるか
  • ・収益性が高い物件であるか

これらの条件をいかに満たせるかがポイントになります。それぞれ具体的に見ていきましょう。

3-2. 事業計画がしっかりと練られているか

以前までは、不動産会社の営業マンにすべてを丸投げして、自分ではよく数字を把握しないまま物件を購入した人も多くいました。しかし、昨今では数字を偽造する悪徳業者の存在も明らかになった結果、金融機関は業者だけでなくオーナーのことも「この人は営業マンの言いなりになって何も考えてないんじゃないか?」とチェックするようになりました。

事業計画をたとえゼロから作らなくとも、「どういった試算を出しているのか」「その数字の根拠は何なのか」「長期的なプランはどうなのか」「返済比率は無理がないか」といったことは即答できなくてはなりません。これは融資を引くためはもちろん、一事業者として必ず把握しておくべきことです。

3-3. 自己資金が十分準備できるか

前述したように、現在の融資状況だと物件価格の2~3割程度は自己資金と諸費用でかかります。ただ、収益が多く出る一棟ものだと1億円程度はするわけですが、2000万〜3000万円を普通に貯めようとしたら、かなりの年月がかかってしまうでしょう。

したがって、思考を切り替えて「いかに自己資金を増やせるか」という視点で不動産投資の戦略を考える必要があります。

そこで今から不動産投資を始める方には、「自己資金を作るための不動産投資」から始める事を強く推奨します。 具体的には、融資を組まずに少額から行える不動産投資、再建築不可物件への投資などです。

安く物件を入手し、売却して自己資金を増やし準備をする事が大事となります。

3-4. 収益性が高い物件であるか

金融機関にとっては、安定した賃貸経営をしてもらって滞りなく返済してもらうことが何より大切です。前述の事業計画にも関わる部分ですが、投資対象となる物件がきちんと利益を生めるかということをチェックされます。その際には、魅力的で高品質な物件であるかどうかもポイントとなるでしょう。

4.まとめ

  • 1. アパートローンの引き締めは2018年以降続いており、最近の市況だと、融資の最低ラインは、サラリーマンなら「年収2000万円以上」もしくは「自己資金3000万円以上」が必要となります。この条件をクリアする人は少ないため、「借りられる人と借りられない人」の二極化が進んでいます。
  • 2. アパートローンの引き締めのきっかけは、地方銀行の過剰なアパートローンの融資に対する日銀と金融機関の注意喚起となります。
  • 3. かぼちゃの馬車とスルガ銀行の問題がほぼ同時期に発生し、社会問題化しました。さまざまなメディアで取り上げられた結果、不動産投資家の感覚でも融資が厳しくなっており、実際の調査結果でも地方銀行のアパートローンが激減したことがわかります。
  • 4. アパートローンの引き締めは、いつ緩和されるかわからず、かつ今後も起こる可能性は十分にあります。それを踏まえた対処法でいうと、何よりカギとなるのが「自己資金を増やすこと」になります。

いかがでしたか。

アパートローン引き締めのニュースを見る機会は以前よりは減りましたが、まだまだこの状況は続きそうです。そのなかで、買えずに諦める人もいれば、しっかり買い増しして資産を拡大していく人もいます。後者の存在になるために必要な知識を身につけ、どんな時代でも融資を受けられるようになりましょう。

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