図解付「建ぺい率」の緩和条件とメリットをわかりやすく解説!

マイホームを建築予定の人、不動産投資を始めようとしている人、宅建を勉強中の人なら、既に「建ぺい率」という言葉になじみが深い方もいらっしゃるでしょう。

そのなかで、「建築基準法改正で建ぺい率が緩和された」ことをご存じでしょうか。これにより、恩恵(メリット)を受けられる建築物、活用できる方法が増えました。

ただし、この記事を読んでいる方の中には、以下のような疑問をお持ちの方も多いはずです。

  • ・建ぺい率の緩和って、どんな条件?
  • ・規制緩和によるメリットって?
  • ・建ぺい率の緩和を活用した具体例は?

そこでこの記事では、

  • そもそも建ぺい率とは?
  • 法改正で建ぺい率が緩和、そのメリットとは?
  • 建ぺい率緩和のその他の条件とは?
  • 地域ごとの建ぺい率緩和
  • 建ぺい率緩和を活用した不動産活用

について初心者でもわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、建ぺい率緩和の条件とメリットが理解できます。また、用途地域ごとにどんな緩和があるのか、建ぺい率緩和を武器にした不動産活用術についても解説しています。建ぺい率に対する知識がゼロの人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく解説していますので、ぜひ肩の力を抜いてご一読いただければと思います。

本記事が「建ぺい率緩和の知識を簡単に身につけたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.そもそも「建ぺい率」とは?

そもそも「建ぺい率」とは?

まずは「建ぺい率」についてわかりやすく解説しましょう。

1-1.建ぺい率とは

  • 建ぺい率とは「敷地面積に対して、どれくらいの大きさの家を建てるか?」という割合のこと。

たとえば、敷地面積が100m2の土地に60m2の家を建てる場合、建ぺい率は60%となります。

計算式で表すと、以下のようになります。

建ぺい率計算_図解

建ぺい率が高すぎる、つまり敷地面積ギリギリまで家が大きいと、風通しが悪いですし、火事になったときに隣の家にあっという間に火が移ってしまいます。景観も悪くなります。こうしたことを避けるため、ある程度のスペースを設け、ゆとりある建物を建てることが「建ぺい率」というかたちで建築基準法によって定められているのです。

1-2.容積率とは

ここで建ぺい率と一緒によく出てくる「容積率」についても簡単に解説しましょう。

  • 容積率とは「敷地面積に対する延べ床面積」の割合のこと。

例えば、「100m2の敷地」に、1階の床面積が「60m2」、2階の床面積が「40m2」(つまり延べ床面積は100m2)の家がある場合、敷地面積が「100」、延べ床面積も「100」なので、容積率は「100%」となります。

容積率の計算式は以下のとおりです。

容積率計算_図解

1-3.建ぺい率と容積率には「上限」がある

建ぺい率と容積率には「上限」があり、エリアによって行政が指定しています。
より正確にいうと、都市計画に基づき「用途地域」ごとに制限が定められています。用途地域は全部で13種類あり、それぞれに「建ててよい建物の種類」や「建ぺい率・容積率の上限」が決められています。

用途地域別の建ぺい率・容積率を一覧で見てみましょう。

用途地域 用途の内容 建ぺい率(%) 容積率(%)
第一種低層住居専用地域 低層住宅専用
(高さ10m~12m程度)
 30・40・50・60 50・60・80・100・150・200
第二種低層住居専用地域  低層住宅専用
(小さい店舗なども可)
30・40・50・60 50・60・80・100・150・200
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅専用 30・40・50・60 100・150・200・300
第二種中高層住居専用地域 中高層住宅専用
(店舗・事務所も可)
30・40・50・60 100・150・200・300
第一種住居地域 主に住宅
(小さい店舗なども可)
60 200・300・400
第二種住居地域 主に住宅がメイン
(大規模な店舗・事務所はNG)
60 200・300・400
田園住居地域(平成30年から追加) 農業の利便を重視
主に低層住宅
30・40・50・60 50・60・80・100・150・200
準住居地域 道路や自動車関連施設など
住居とのバランスを重視
60 200・300・400
近隣商業地域 商業施設など
近隣住民の利便性を重視
80 200・300・400
商業地域 ほぼすべての種類の建物が建築可(大規模な工場などはNG)
ターミナル駅周辺などの都心部・オフィス街など
80 200・300・400・500・600・700・800・900・1000
準工業地域  主に工場
(住居や小さい店舗も可)
60 200・300・400
工業地域 主に工業
(環境破壊の恐れがある工場でも建築可)
60 200・300・400
工業専用地域  工業のみ 住居NG
(人が生活する場所ではない)
30・40・50・60 200・300・400

建ぺい率・容積率の基礎知識については、以下の記事でわかりやすく解説しているので、是非チェックしてください。

2.法改正で建ぺい率が緩和、そのメリットとは?

法改正で建ぺい率が緩和、そのメリットとは?

「建ぺい率には上限がある」と書きましたが、その上限が一部緩和されるケースがあります。具体的に見ていきましょう。

2-1.建ぺい率を緩和する方法

建ぺい率には、用途地域ごとに定められた「建ぺい率の限度」に10%加算できる緩和があります。

具体的には以下の4つのケースです。

  1. 防火地域内で耐火建築物等を建てる
  2. 準防火地域で準耐火建築物等を建てる
  3. 2つの道路の角にある敷地(角地)
  4. 2つの道路に挟まれた敷地

この章では、1と2について解説し、3と4については「3. 建ぺい率緩和のその他の条件とは?」で解説します。

2-2.建築基準法の改正によって2019年に建ぺい率が緩和

2019年6月に施行された「建築基準法の一部を改正する法律」により、

  • ・防火地域内で耐火建築物等を建てる場合
    もしくは
    ・準防火地域で準耐火建築物等を建てる場合
    建ぺい率が10%緩和されることになりました。

※正確にいうと、前者の「防火地域内で耐火建築物等を建てる場合」は改正前でも緩和規定として存在していたため、この改正で加えられたのは後者「準防火地域で準耐火建築物等を建てる場合」のみ。

この背景には、新潟県・糸魚川大規模火災(約147棟の建物が焼損)など大規模火災による甚大な被害があります。住宅などが密集する準防火地域の建ぺい率を緩和することにより、大規模火災による「建築物の安全性の向上」に合わせて「延焼しにくい建築物への建て替え」を促進する効果が期待されます。

「防火地域」とは

防火地域は、都市機能が集中している中心市街地幹線道路添いの商業地域などが主に指定されます。防火地域に3階建て以上、もしくは延面積が100平方メートル超の建物を建てる場合、「耐火建築物(一般的には鉄筋コンクリート造の建築物)」にすることが義務付けられています。

「準防火地域」とは

準防火地域は、防火地域の外側に、住宅などの建物が密集している市街地に指定されます。建物の制限は多少の制限があるものの、防火地域よりも緩やかです。

では、ここからは具体的に

  1. 防火地域内で耐火建築物等を建てる
  2. 準防火地域で準耐火建築物等を建てる

の内容を見ていきましょう。

2-3.「防火地域内で耐火建築物等を建てて建ぺい率を緩和する」ケース

防火地域内(指定建ぺい率が 80%の地域を除く)で、敷地内の建物すべてが下記のいずれかの場合、建ぺい率の上限が10%緩和されます。

  • ・耐火建築物
  • ・耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物

また、

  1. 防火地域内で指定建ぺい率が80%の地域
  2. 敷地内すべての建物が耐火建築物

という2つの条件を満たしていれば、建ぺい率の限度がありません(建築基準法第53条6項)。極端にいうと、「建ぺい率100%」も可能ということです。

2-4.「準防火地域で準耐火建築物等を建てて建ぺい率を緩和する」ケース

準防火地域内で、敷地内の建物すべてが下記のいずれかの場合、建ぺい率の上限が10%緩和されます。

  • ・耐火建築物等
  • ・準耐火建築物またはこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物

前述したとおり、2019年の建築基準法改正で規制緩和となったポイントです。
では、この規制緩和によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

2-5.規制緩和によるメリット

準防火地域で準耐火建築物等を建てて建ぺい率の上限が10%緩和されたことによるメリットは以下のとおりです。

収益性が上がる可能性がある

建ぺい率が10%緩和されれば、敷地面積に建てられるアパートの建築面積の上限が広くなります。

たとえば、同じ敷地面積が100m2でも、改正前の建ぺい率の上限が60%だとしたら、改正後は70%になります。改正後のほうが10m2大きな建物を建てられることになるということです。

当然、大きいほうが家賃は相対的に高く設定できるため、収益性が上がる可能性があります。

さらに、アパートなどの建築用資材として木材の利用が促進されるため、設計の自由度の向上が期待できるというメリットもあります。

防火性・安全性が高くなる

改正後は、準耐火建築物等を建てることが促進されるため、準防火地域(住宅密集地)にとって、防火上の安全性向上は大きな意味を持ちます。

3.建ぺい率緩和、その他の条件とは?

建ぺい率緩和、その他の条件とは?

建ぺい率の上限が10%緩和される条件には、前章でお伝えした

  1. 防火地域内で耐火建築物等を建てる
  2. 準防火地域で準耐火建築物等を建てる
    以外に
  3. 2つの道路の角にある敷地(角地)
  4. 2つの道路に挟まれた敷地

もあります。

ここでは、3と4について解説していきましょう。

3-1.2つの道路の角にある敷地(角地)

まず、「3.2つの道路の角にある敷地(角地)」についてです。

角地とは、2つの道路が交差する角にある敷地のこと。以下の条件を満たす場合、建ぺい率の上限が10%緩和されます。これを「角地緩和」と呼びます。

建ぺい率緩和条件_角地

  • ・計画敷地が角地であり、それぞれの道路が敷地に2m以上接している
  • ・敷地を管轄する特定行政庁が定めた「建築基準法施行細則」を満たしている

なお、公園・広場・河川などに接している場合、(土地が面している道路が1本でも角地と同等とみなされます。

3-2.2つの道路に挟まれた敷地

続いて、「4.2つの道路に挟まれた敷地」についてです。

角地と同様、以下の条件を満たす場合、建ぺい率の上限が10%緩和されます。

建ぺい率緩和条件_2本道路

  • ・敷地が2つの道路に挟まれており、それぞれの道路が2m以上敷地に接している
  • ・敷地を管轄する特定行政庁が定めた「建築基準法施行細則」を満たしている

関連記事

収益物件の情報サイトを見ていて「おっ、利回りが高い!」と思ってクリックしてみると、実は「再建築不可物件」だったという経験、お持ちではないでしょうか。 そして「再建築不可ってリスクもあるみたいだし、それに中上級者向けっていわれているし……初[…]

「再建築不可物件」は儲けの原石! リフォームで価値を上げる方法とは?

4.地域ごとの建ぺい率緩和

地域ごとの建ぺい率緩和

建ぺい率は国や地方自治体によって指定されており、上限は地域によってさまざまです。

一般的には、建ぺい率の上限が低い地域ほど、近隣の建物との間を広くしなければならないため、閑静で住みやすい住宅街といえるでしょう。一方、建ぺい率の上限が高い地域は、より商業エリアに近いといえます。

ここでは、地域ごとの建ぺい率の例を一部紹介します。

※同じ地域名でも建ぺい率が異なるケースがあります。最新情報、詳しい情報は各行政のホームページの「都市計画情報のインターネット提供サービス」をご確認ください。

4-1.世田谷区の建ぺい率

世田谷区の建ぺい率は、40〜80%です。

上野毛、成城、玉川田園調布などは高級住宅地として知られており、建ぺい率は40%です。

赤堤、上北沢、砧、経堂、駒沢、桜新町など3階建てが立ち並ぶエリアは、建ぺい率は60~80%です。用途地域としては第一種中高層住居専用地域、第一種住居地域、近隣商業地域、準工業地域などに分類されることがほとんどです。

池尻、三軒茶屋、若林など世田谷通りや玉川通り、首都高速道路などの大きな道路沿いや駅の周辺などは建ぺい率が80%です。

4-2.札幌市の建ぺい率

札幌市の建ぺい率は、40〜80%です。
繁華街の多い中央区北・南のほとんどは80%です。その他、西区西野が50%、北区拓北が40%などです。

4-3.神戸市の建ぺい率

神戸市の建ぺい率は、40〜80%です。
神戸市中央区東川崎町や神戸市北区有馬町は80%、神戸市北区唐櫃台は40%、神戸市北区花山東町は60%となっています。

4-4.横浜市の建ぺい率

横浜市の建ぺい率は、40〜80%です。

横浜駅周辺は80%、横浜市港北区菊名3丁目で50%、横浜市戸塚区舞岡町で60%などです。

5.建ぺい率緩和を活用した不動産活用

建ぺい率緩和を活用した不動産活用

建ぺい率の上限が緩和されることを活かして、賃貸経営やマイホーム購入の際に役立つ方法を紹介します。

5-1.建築面積が広くなるので収益性が上昇

これは「2-5.規制緩和によるメリット」でも解説したように、建ぺい率が10%緩和されれば、敷地面積に建てられるアパートの建築面積の上限が広くなります。つまり、部屋あたりの広さを拡大したり、部屋数を増やしたりすることが可能となるため、投資効率をアップさせることができます。

5-2.安く買える可能性がある

準防火地域の指定がされている木造密集地にある「古い木造住宅」は、少しだけ増築されている場合が多く、そのために建ぺい率の法規違反となり、ローンは組めないものの安く売られているケースも数多く見受けられます。

したがって、安い土地や戸建てを求める投資家には「準防火地域の古い木造住宅」は狙い目といえるかもしれません。

5-3.用途転用する

2019年の建築基準法の改正では、建ぺい率の10%緩和だけでなく、既存の戸建住宅などを福祉施設などに用途転用する際の規制緩和も行われました。

確認申請の不要な規模の上限が100m2から200m2へと見直されたことにより、空き家の大半は福祉施設・商業施設(旅館)等に用途変更する際に、大規模な改修工事が不要となりました。

これも賃貸経営に役立てられる規制緩和といえるでしょう。

まとめ

1. 建ぺい率の上限緩和は、以下のいずれか条件を満たす必要がある
[1]防火地域内で耐火建築物等を建てる
[2]準防火地域で準耐火建築物等を建てる
[3]2つの道路の角にある敷地(角地)
[4]2つの道路に挟まれた敷地

2. 上記4つの条件のうち、2019年6月の建築基準法で追加されたのは[2]。

3. この法改正により、「建築面積が広くなるので収益性が上昇」「安く買える可能性がある」「用途転用する」といったメリットがある

いかがでしたか。建ぺい率の緩和はマイホームを買おうとしている人、不動産投資に関心がある人にとって大きなチャンスともいえます。ぜひ知識を深めて、選択肢の幅を広げていただければと思います。

建ぺい率の計算については、この記事を合わせてお読みください。

関連記事

不動産投資を勉強すると、必ず「建蔽率(建ぺい率)」という用語が登場します。 また、関連して「容積率」という用語も登場します。両者とも不動産投資をする上で、基本的かつ重要な知識となります。 これらをよく理解しないまま投資を進めると、十分な[…]

【図解】建蔽率の基本&建蔽率オーバー物件を適法にする2つの対策
>再建築不可物件の建築可能化プログラム

再建築不可物件の建築可能化プログラム

「再建築不可物件」を使った不動産投資は、誰にでもできる簡単な方法でありません。 しかも、「投資」ですから、リスクはそれなりにあります。 それでも、リスクよりもメリットの方が大きいとも言えます。 その理由と、私たちの具体的なサポート内容などをセミナーでご説明いたします。 また、質疑応答の時間も用意しておりますので、ご不明な点はどうぞ遠慮なくお尋ねください。

CTR IMG