図解付|建ぺい率と容積率とは?最低これだけ抑えておけばOK

この記事を読んでいる方なら「建ぺい率」「容積率」という言葉を一度は見聞きしたことがあるでしょう。特にマイホームを建築予定の人、不動産投資を始めようとしている人、宅建を勉強中の人なら見慣れている言葉だと思います。

しかし、いざ「建ぺい率とは?」「容積率との違いは?」と聞かれると……あなたは答えられますか?

実は、正確な意味を答えられる人は少数です。
「わかっているようでわかっていない」。そういう人がたくさんいるのです。

そこでこの記事では、簡単に、わかりやすく「建ぺい率」と「容積率」について解説します。

具体的には、

  • 「建ぺい率」とは?「容積率」との違いをわかりやすく解説 ・建ぺい率・容積率の上限
  • 建ぺい率・容積率の計算方法
  • 建ぺい率や容積率の制限を緩和した建築方法とは?
  • 建ぺい率や容積率がオーバーしている物件を購入してしまった場合・所有している場合、どうすべきか?
  • 建ぺい率・容積率以外にもある制限とは?

について徹底解説します。

この記事を読むことで、建ぺい率と容積率で「これだけは知っておくべき」という知識を簡単に学べます。とにかくわかりやすく解説していますので、ぜひ肩の力を抜いてご一読いただければと思います。

本記事が「建ぺい率と容積率について知りたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.「建ぺい率」とは?わかりやすく解説

「建ぺい率」とは?わかりやすく解説

まずは「建ぺい率」についてわかりやすく解説しましょう。

簡単に要約すると建ぺい率とは「土地の中に家を建てられる割合のこと

1-1.建ぺい率とは

建ぺい率……日常生活ではあまり見かけない言葉ですが、難しく考える必要はありません。誰でも理解できるよう、ゆっくり解説します。

建ぺい率とは「土地の中に家を建てられる割合」のこと。

まず、敷地面積が100m2の土地を想像してください。あなたはこの土地に戸建て(マイホーム)を建てることにしました。

さて、どれくらいの広さの家を建てますか?敷地面積の100m2ギリギリまで家を大きくしたいですか?それとも駐車場のスペースを考えて、少し家を小さくしますか?どのくらいの大きさにしましょうか?

建ぺい率_図解

実は、この質問は「建ぺい率を何%にしますか?」という質問と同じです。

そう、簡単にいえば、建ぺい率とは「敷地面積に対して、どれくらいの大きさの家を建てるか?」という割合のことなのです。

たとえば、あなたが「家の大きさは60m2にします!」と決めたとしましょう。
敷地面積は100m2なので、そのうちの60m2の家を建てるということは、「敷地面積に対して60%の家を建てる」とも言い換えられます。つまり、建ぺい率は60%となるのです。

このように建ぺい率とは、「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のこと。計算式で表すと、以下のようになります。

建ぺい率計算_図解

1-2.なぜ建ぺい率が重要なのか?

「なぜ、建ぺい率という考えが必要なのか?」と思われた人がいるかもしれませんね。それについてお答えしましょう。

1-1.で「敷地面積の100m2ギリギリまで家を大きくしたいですか?」という質問をしました。

  • 「せっかくの土地なんだから、無駄な部分はなくして限界まで建物を大きくしたい」

と思う人もいるはずです。

しかし、そういうわけにもいかないのです。

  • 建ぺい率が高すぎる、つまり敷地面積ギリギリまで家が大きいと、風通しが悪いですし、火事になったときに隣の家にあっという間に火が移ってしまいます。
  • 景観も悪くなります。こうしたことを避けるため、ある程度のスペースを設け、ゆとりある建物を建てることが「建ぺい率」というかたちで建築基準法によって定められているのです。

「じゃあ建ぺい率は何%ならOKなの?」と思われた方、鋭いですね。建ぺい率は、都市計画法などに基づいて用途地域ごとに上限数値が決められており、30〜80%の間が多いといえます(詳しくは3.建ぺい率と容積率の上限)。

たとえば、建ぺい率の制限が60%の土地の場合、100m2の敷地には建築面積60m2までの住宅を建てることができるということです。

「広い敷地に大きな家を建てられるとは限らない」。これは非常に重要なことなので、ぜひ覚えておいてください。

2.「容積率」とは?わかりやすく解説

「容積率」とは?わかりやすく解説

続いて、建ぺい率と一緒によく出てくる「容積率」についてです。

容積率とは

  • 「土地の敷地面積の中に建設できる建物の延べ床面積」

容積率を考えるときに必要なのは、「敷地面積」と「延べ床面積」。この2つだけです。

仮に、「100m2の敷地」に、1階の床面積が「60m2」、2階の床面積が「40m2」(つまり延べ床面積は100m2)の家があるとします。このとき、容積率は何パーセントになるでしょうか?

容積率_図解1

容積率の計算式は以下のとおりです。

容積率計算_図解

つまり今回の場合、敷地面積が「100」、延べ床面積も「100」なので、容積率は「100%」となります。

延べ床面積とは、それぞれの階の「床面積」を合計した面積のこと。ただし、「玄関」「バルコニー・ベランダ」「ロフト」などは延べ床面積に含まれません。また、「地下室」「ビルトインガレージ」などは面積を割引いて換算することになっています。

容積率も建ぺい率と同様、都市計画法などに基づいて、用途地域ごとに上限数値が決められています。

2-1.なぜ容積率が重要なのか?

さて、建ぺい率と同じく「なぜ容積率の制限が必要なのか?」と思った人がいるでしょう。

容積率の制限がないと、際限なく高い建物が建てられてしまいます。上の例では、1階の床面積60m2、2階の床面積40m2でしたが、もし10階建てで床面積が等しく60m2だとしたら延べ床面積は「600m2」にもなります。

容積率_図解2

  • 仮にこの土地があるエリアのインフラ整備(下水や周辺道路など)が不十分だったとしたら、階数が多い家ばかりが建ち、人口が増えてしまいます。そうなると処理能力がオーバーしてしまい、街としての機能が著しく低下します。
  • そうしたリスクを避けるため、容積率という基準を設けて、建物のスケールをある程度制限し、そのエリアに住める人口をコントロールしているというわけです。

3.建ぺい率・容積率の上限

建ぺい率・容積率の上限

これまで建ぺい率とは?・容積率とは?について解説してきましたが、建ぺい率と容積率には上限があります。それぞれの上限について3章では解説します。

3-1.建ぺい率と容積率には「上限」がある

建ぺい率と容積率には「上限」があり、エリアによって行政が指定しています。
より正確にいうと、都市計画に基づき「用途地域」ごとに制限が定められています。用途地域とは、「このエリアはこういう使い方をするので、従ってくださいね」というもの。

用途地域は全部で13種類あり、それぞれに「建ててよい建物の種類」や「建ぺい率・容積率の上限」が決められています。

3-2.用途地域別の建ぺい率・容積率の一覧

では、用途地域別の建ぺい率・容積率を一覧で見てみましょう。

用途地域

用途の内容

建ぺい率(%)

容積率(%)

第一種低層住居専用地域

低層住宅専用
(高さ10m~12m程度)

30・40・50・60

50・60・80・100・150・200

第二種低層住居専用地域

低層住宅専用
(小さい店舗なども可)

30・40・50・60

50・60・80・100・150・200

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅専用

30・40・50・60

100・150・200・300

第二種中高層住居専用地域

中高層住宅専用
(店舗・事務所も可)

30・40・50・60

100・150・200・300

第一種住居地域

主に住宅
(小さい店舗なども可)

60

200・300・400

第二種住居地域

主に住宅がメイン
(大規模な店舗・事務所はNG)

60

200・300・400

田園住居地域
(平成30年から追加)

農業の利便を重視
主に低層住宅

30・40・50・60

50・60・80・100・150・200

準住居地域

道路や自動車関連施設など
住居とのバランスを重視

60

200・300・400

近隣商業地域

商業施設など
近隣住民の利便性を重視

80

200・300・400

商業地域

ほぼすべての種類の建物が建築可(大規模な工場などはNG)
ターミナル駅周辺などの都心部・オフィス街など

80

200・300・400・500・600・700・800・900・1000

準工業地域

主に工場
(住居や小さい店舗も可)

60

200・300・400

工業地域

主に工業
(環境破壊の恐れがある工場でも建築可)

60

200・300・400

工業専用地域

工業のみ 住居NG(人が生活する場所ではない)

30・40・50・60

200・300・400

なお、用途地域は、建ぺい率・容積率と同様、各行政庁(市役所や区役所)の都市計画課などに電話することで確認できます。また、行政によってはインターネット上に公開されている地図で確認することも可能です。

4.「駐車場」を考える際の建ぺい率

「駐車場」を考える際の建ぺい率

  • 「戸建てなら、敷地内に自由に駐車場を設けられるはず!」

と思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし実は、そんなことはないのです。

駐車場に屋根がある場合、それは「建築物」扱いになり、建築確認申請が必要で、建ぺい率や容積率に余裕がないと造ることができません。

具体的にいうと、家とは独立した屋根がかかっている「カーポート」(「柱」と「屋根」のみの構造)は、全ての面積が建築面積に算入されます。

一方、建物内にある「ビルトインガレージ」(シャッターやドア・壁で四方を囲んだ車庫)の場合、ガレージの面積が延べ床面積の1/5以内であれば、床面積に含めなくてもいいとされています。

また、地下に車庫を設ける場合は建ぺい率の規制を受けず、容積率でも延べ床面積の1/3以内であれば地下の面積は算入しなくてもいいとされています。

このように、一口に「駐車場」といっても形態によって建ぺい率の規制を受けることになるので注意が必要です。

5.建ぺい率・容積率の計算方法

建ぺい率・容積率の計算方法

建ぺい率・容積率の計算方法は上記でも簡単に解説しましたが、より具体的な計算例、また建ぺい率・容積率の調べ方については以下の記事でくわしく解説しています。

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6.建ぺい率や容積率の制限を緩和した建築方法とは?

建ぺい率や容積率の制限を緩和した建築方法とは?

建ぺい率や容積率の計算にあたって、算入する面積を少なくできる方法があります。それが「緩和規定」です。

この「緩和規定」を活用することにより、建築できる面積に余裕をもたせ、設計の幅を広げることができます。詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひチェックしてください。

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7.建ぺい率や容積率がオーバーしている物件を購入してしまった場合・所有している場合、どうすべきか?

建ぺい率や容積率がオーバーしている物件を購入してしまった場合・所有している場合、どうすべきか?

建ぺい率・容積率がオーバーしている物件は、“違法建築”になります。

ただ、建ぺい率・容積率がオーバーしている物件を買ってしまっても、状況によっては知識でカバーできることもあります。場合によっては、そのような物件でも「適法」にすることで、売却などのその後の処理がスムーズに行えるようになる可能性があるのです。

詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひチェックしてください。

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8.建ぺい率・容積率以外にもある制限とは?

建ぺい率・容積率以外にもある制限とは?

この記事では建ぺい率と容積率について解説をしてきましたが、それ以外の代表的な建築制限を紹介します。

8-1.日影規制

日影規制(ひかげきせい・にちえいきせい)とは、日照を確保することを目的した、日影による建築物の高さの制限のこと。冬至の日(12月22日ごろ)を基準に、全く日が当たらないことのないように建物の高さを制限する建築基準法の一つです。

一年で最も影が長くなる日である「冬至の日」の午前8時から午後4時まで(北海道のみ午前9時から午後3時まで)の間、一定時間以上続けて影が生じないようにしなくてはなりません。

日影規制は、用途地域と建物の高さで制限が決まっています。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域は「軒高7m超、または地上3階以上」、それ以外の地域については「建築物の高さ10m超」となっています。

一般的な2階建てなら軒高7mを超えることはまずありませんので、特に懸念する必要はないでしょう。ただし3階建て、もしくは2階建てでも天井を高くして開放的な間取りにしている場合、高さに制限が出る可能性があります。事前に、用途地域や規制を確認しておくのがおすすめです

8-2.斜線制限

斜線制限とは、簡単にいうと、「地面から架空の斜線を引き、その範囲内を超えないように建物の高さを設定しなければならない」という制限です。道路や隣接地の日当たりや風通しを確保するために建築基準法で定められています。

制限される高さの算出方法は、用途地域などによって異なりますが、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域では、後述する「絶対高さの制限」が設けられているため、隣地斜線制限は適用されません。

8-3.絶対高さの制限

「絶対高さの制限」とは、第一種・第二種低層住居専用地域において「建築物の高さを10mまたは12m以下にしなければならない」という制限です。「10m以下」と「12m以下」とのどちらになるかは都市計画で規定されており、容積率に関係なくこのサイズより高くすることはできません。また、建築審査会が同意して特定行政庁が許可した場合、絶対高さの制限を上回る高さの建築物を建築することもできます。

まとめ

1.広い敷地に大きな家を建てられるとは限らない

2.建ぺい率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」、容積率とは「敷地面積に対する延べ床面積」の割合。

3.どちらも都市計画法で用途用地ごとに上限が定められており、住宅建設時には両方の数値を満たす必要がある

4.建ぺい率と容積率以外にも、日当たりや風通しなどの住み心地や周囲の環境などの維持のために、さまざまな制限がある

いかがでしたか。建ぺい率や容積率を考えることなしに家を建てることはできません。希望する家のプランを考える際には、建てる場所の建ぺい率と容積率の上限(バランス)を必ず確認し、自分なりのベストな条件を考えていただければと思います。

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この記事を書いた人
山本ゆりえ

山本ゆりえ

ライター・編集者・大家。
木造アパート4棟、重鉄マンション1棟、区分マンション2戸を取得(3棟・区分2戸は売却済)。転貸のレンタルスペース1戸運営中。これまで購入した自宅は3戸。不動産投資の分野を得意とし、これまで関わった不動産関連書籍は100冊を超える。
執筆している記事:MONEY PLUSbizSPA!フレッシュ

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