【図解】建蔽率の基本&建蔽率オーバー物件を適法にする2つの対策

不動産投資を勉強すると、必ず「建蔽率(建ぺい率)」という用語が登場します。

また、関連して「容積率」という用語も登場します。両者とも不動産投資をする上で、基本的かつ重要な知識となります。

これらをよく理解しないまま投資を進めると、十分な収益が得られない、あるいは「違反物件」を掴まされてしまうなど、投資に失敗するリスクが高まります。 不動産投資を成功させる上で、基本的な知識はとても重要です。

ですから、投資が行き詰まるという事態を防ぐ上でも、建蔽率や容積率について「何となく」ではなく、「しっかり」と理解しておく必要があるでしょう。

また、建蔽率や容積率はエリアによって変わってきます。よって、そのエリアの建蔽率・容積率を把握し、そのエリアに合った投資を考えていく上でも、正しい知識を身に着けることが欠かせません。 加えて、本来は避けたい事態ではりますが、万が一建蔽率・容積率がオーバーしている物件を買ってしまっても、状況によっては知識でカバーできることもあります。

そこで当記事では、まずこれから投資を始めたいという方のために、「建蔽率」の基本と、「容積率」との関係といった基礎的な知識をお伝えいたします。その上で、投資を考えているエリアの建蔽率・容積率の調べる方法や、投資する上での理想の「建蔽率・容積率の基準」といったものがあるかどうか?についてもお伝えいたします。

また、既に建蔽率・容積率オーバーの、「違反物件」と思われる物件を買ってしまった場合の対処方法についてもお伝えいたします。場合によっては、そのような物件でも「適法」にすることで、売却などのその後の処理がスムーズに行えるようになる可能性があります。

もちろん、この方法は絶対ではありませんが、更地にするなど他の選択肢を考える前に検討する価値はあると思います。

当記事をお読みいただければ、建蔽率や容積率の基礎について、法律的な観点を含めた理解を深めることができるでしょう。また、理解できた知識に基づき、投資物件の購入を検討する際に「建蔽率・容積率」の判断を、不安なく行えるようになるでしょう。

加えて、既に建蔽率・容積率オーバーの物件を所有されている方でも、どのようにリカバリーできるか、法律に基づく適切な方法を見出していいただけます。

1.まず「建蔽率」の基本と、「容積率」との関係を押さえましょう

まず「建蔽率」の基本と、「容積率」との関係を押さえましょう

なぜ建蔽率、容積率の知識が大事なのでしょうか? それは、例えばあなたが気に入った場所に土地を見つけた場合、建蔽率や容積率から、土地の利用価値や投資の方向性などを大まかにイメージする上で参考となるからです。

逆に、建蔽率・容積率をよく理解しないまま、「これだけ広ければ大きいアパートが建てられる!」と考えて土地を買ったものの、実は建蔽率や容積率がとても低い土地だった・・・ということも起こりえます。このような場合、想定よりもずっと規模の低いアパートしか建てられず、収益性が上がらなくなってしまうことになります。

このような事態を避ける上でも、建蔽率と容積率の両者をしっかり理解しておく必要があるでしょう。

では続いて、「建蔽率とは何なのか?」、「容積率との関係はどうなっているのか?」などに関する基礎的な点についてお話したいと思います。

1-1.「建蔽率」とはそもそも何か?

まず、「建蔽率」とはそもそも何なのでしょうか?
建蔽率を一言で表現するならば、「土地面積に対して、建物を建てることのできる面積のこと」となります。これを「建築面積」と呼びます。

例えば、土地の面積が100㎡で、建蔽率が60%の場合、その土地の建築面積は、

  • 土地面積100㎡ × 建蔽率60% = 建築面積60㎡

となります。

土地面積が100㎡で、建蔽率が60%の場合、 60㎡まで建物を建てることができます

土地面積100㎡ × 建蔽率60% = 建築面積60㎡

注意したいのは、建蔽率を計算する面積はあくまでも「建物を上から見た時の面積(投影面積)で計算される」ことです。決して「地面に接している面積」ではありませんので気を付けましょう。例えば、1階部分よりも2階部分の方が広い建物であったとしても、2階部分の面積で計算することになります。

1階よりも2階が大きい建物でも、 上から見た面積(投影面積)で建蔽率を計算します

1階よりも2階が大きい建物でも、 上から見た面積(投影面積)で建蔽率を計算

1-2.「容積率」との関係は?

次に、「容積率」について説明したいと思います。

容積率は、敷地面積に対し「どれだけの床面積の建物を建てられるか?」を示しています。これを「総床面積」と呼びます。

例えば、土地の面積が100㎡、建蔽率が40%、容積率が120%の場合について考えてみましょう。この土地に建てられる建物の面積は、以下のようになります。

  • 土地の面積100㎡ × 建蔽率40% = 建築面積40㎡

一方、その土地に建てられる建物の総床面積は以下のようになります。

  • 土地の面積100㎡ × 容積率120% = 総床面積120㎡

つまり、総床面積は120㎡に対し、建物の面積40㎡ですから、単純に言って3階建ての建物がその土地には建てられることになります。

土地の面積が100㎡、建蔽率40%、容積率が120%の場合、 単純に計算すると建築面積40㎡で3階建てとなります。

土地の面積が100㎡、建蔽率40%、容積率が120%の場合、 単純に計算すると建築面積40㎡で3階建て

「容積」という言葉が少々紛らわしいと思いますが、あくまでも「1階、2階、3階の床面積の合計」といった具合に、土地の面積に対する建物全体の総床面積の割合となります。

1-3.建蔽率や容積率は、どうやって決められているか?

ここまでで、建蔽率と容積率の基礎的な知識についてお伝えいたしましたが、「そもそも、建蔽率や容積率はどのように決められているのだろうか?」と疑問に思われたかも知れません。

実は、建蔽率・容積率とも、明確な根拠を元に決められているわけではありません。では、適当に決められているのか?というと、そういうことでもありません。

例えば、現状その土地が「商業地域」となっており、将来的にも商業地域として使われていくと想定される場合、建蔽率は80%、容積率は200~1000%と高めに設定されます。 しかし、建蔽率や容積率が高いということは裏を返せば、建物同士の間隔が狭く、また建物も高くなってきます。当然ながら日当たりや風通しが悪くなりますし、息苦しい感じもします。これでは、生活するのに理想的な環境とは言えません。

そのため住宅地では、建物同士の間隔や空間的なゆとりを持たせるため、建蔽率や容積率は低めに設定されます。例えば「第一種低層住居専用地域」では、建蔽率は30~60%、容積率も50~200%に制限されています。

このように、建蔽率や容積率は、現状の土地の使われ方や、これからどのように土地を使うことを想定しているか?などによって決められていきます。

では、投資を進めるに当たり、建蔽率や容積率はどのような基準で選べばよいのでしょうか? そもそも、そのような「基準」はあるのでしょうか? 次のセクションでは、その点について取り上げます。

2.理想の「建蔽率・容積率の基準」はあるのか?

理想の「建蔽率・容積率の基準」はあるのか?

投資をする場合、「理想は建蔽率60%以上、容積率200%以上」と言われることがあります。確かに、建蔽率・容積率が高ければ、建物の自由度が高くなり、不動産価値も高くなる傾向があります。

しかし、実際には「建蔽率・容積率の高い土地が投資に向いている」、「低い土地は投資向きではない」というわけではありません。先のセクション「1-3 建蔽率や容積率は、どうやって決められているか?」でもお伝えしましたように、「ゆとり」が求められる地域では、低い建蔽率や容積率でも十分ニーズがあります

また、土地が十分に広ければ、建蔽率・容積率が低くても大きな建物を建てられるので、収益性が高まる場合もあります。

こうした点からも、建蔽率・容積率の「高い・低い」が、投資の「向き・不向き」を決めるとは一概には言えないことになります。

言い換えれば、「建蔽率60%以上、容積率200%以上」といった数値基準だけで、投資対象は判断できないということになります。あくまでも、土地の広さや、そのエリアのニーズなど、様々な要素を考慮して投資対象を見極めていく必要があります。

実際、投資用の物件を建設しようとする場合、一概に建蔽率・容積率だけでは建物のボリュームを予想できないことが殆どです。例えば、同じ集合住宅でも「共同住宅」と「長屋」では面積が大きく変わってきます。また、「高さ制限」や「斜線制限」、あるいは避難経路の確保といった「消防法」も考慮する必要があります。

このように様々な要素が複雑に絡んできますので、自分で建てようと思う場合は最終的には専門の設計士に相談・依頼しましょう

2-1.気になっている土地の建蔽率・容積率を調べるには?

建蔽率や容積率は、投資を進める上での絶対基準ではありません。とはいえ、法律が絡んできますから必ず把握しておく必要があります。

建蔽率や容積率の基準は地域によって異なりますので、投資候補の土地を見つけましたら、そのエリアの基準を必ず調べましょう。
建蔽率・容積率を調べるだけなら、業者に問い合わせて資料を見るのが一番簡単な方法です。また、大体はポータルサイトにも記載が義務付けられています。

しかし、万が一全く不明の場合は各所から資料を取り寄せて、管轄する役所の建築課に確認しましょう。

3.万が一、建蔽率・容積率オーバーの物件を買ってしまったら?

万が一、建蔽率・容積率オーバーの物件を買ってしまったら?

万が一、建蔽率や容積率がオーバーしている物件を買ってしまったとしたらどうなるのでしょうか?

建蔽率・容積率オーバー物件は銀行融資がつかないため、買い手もなかなかつきません。よって、泣く泣く所有し続けるか、赤字を覚悟で更地にする、あるいはオーバーしている部分を壊して適正にする必要があります。いずれにしても、金銭面だけでなく、時間や労力の面で大きなロスです。

ですから、まずは建蔽率・容積率オーバー物件は買わないようにするのが一番です。しかし、間違って買ってしまったとしても、対処する方法が見つかる場合もあります。もちろん、これからご紹介する方法は絶対ではありませんが、適法にできる可能性がありますので、更地などにする前にまず調査・検討してみる価値はあるでしょう。

3-1.「既存不適格物件」は「違反物件」ではない

まず押えておきたいのは、同じ建蔽率・容積率オーバー物件でも、「違反物件」と「既存不適格物件」とでは違うという点です。

「違反物件」は、その名の通り「法律違反の物件」です。例えば、建築確認を役所から取った後に、設計図を変えて建築基準を無視して建ててしまうという、非常に悪質なケースがあります。また、後から建て増しをした建物が登記されていないケースもあります。

一方、「既存不適格物件」は、法律違反ではありません。建てられた当時は適法であったものの、後に建築基準法や指定の改定などで、現状の基準に適合しなくなった物件です。ですから、何もしなければ処罰の対象とはなりません。

3-1-1.「既存不適格物件」への投資で想定されるリスク

では、既存不適格物件なら投資の対象として考えても良いのでしょうか?

まず、既存不適格物件の増改築や修繕をする場合、その規模によっては、建物全体を現行の基準に適合させなければいけません。よって、後々に大きな追加投資を強いられますから、価格はどうしても安くなります。よって、売却時にマイナスなるリスクがあります。

また、評価額も安くなるため、大半の銀行は融資をつけてくれません。この場合、全額を自己資金から出して買うことになります。

仮に融資してくれる銀行が見つかり購入できたとしても、投資拡大を目指す上で障害となります。例えば、物件を買い進めていく上で、既存不適格物件は担保として見られないことが少なくありません。よって、債務超過になる可能性が高くなります

このように、既存不適格物件は何かとネックになるため、手を出さない方が無難です。それでも、あえて購入するとすれば、

  • 劇的に価格が安く、しかも高い利回りが見込め、早く投資費用を回収できる物件
  • 長期的に見て価格が安く、隣の土地を買える見込みなどがあり、再建築可能に化ける可能性がある物件

などを狙う手もあります。しかし、かなり稀なケースですし、高度な投資となりますので、投資初心者は避けるべきでしょう。

3-2.一見するとオーバー物件でも、「適法」にできる場合があります

次に、建蔽率・容積率がオーバーしている物件を、「適法」にできる可能性のある方法についてお伝えいたします。

3-2-1.土地の再測量をしてみる

昔に登記された土地の中には、登記簿謄本にある土地面積が正確でないものもあります。そこで、現在の技術で正確に測量すると、稀にですが土地面積が増えることがあります。 もちろん、再測量で逆に土地面積が狭くなってしまうこともあります。ですから、どちらに転ぶかは計測してみないと分かりません。

それでも、建蔽率のオーバー率が2~5%でしたら、再測量で面積が増え、建蔽率が適法になる可能性もゼロではありません。 そこで、まずは設計士や土地家屋調査士などの専門家に相談してみましょう。

3-2-2.建蔽率に算入しなくても良い部分を見つける

物件をチェックすることで、建蔽率を適法にできる可能性もあります。
物件の中には、本来は建蔽率に含めなくても良い箇所が登記されていることが稀にあります。そこで現場を見て、そのような場所を探してみましょう。もしかすると、適法にできるかもしれません。

登記しなくて良い箇所は、例えば「出窓」です。出窓は、床から30センチ以上の高さにあり、壁から出ている長さが50センチ以下であれば建蔽率に算入されません。

建蔽率に参入しない出窓の例

また、「軒(のき)」や「庇(ひさし)」、「バルコニー」もチェックしてみましょう。これらは、外壁や柱の中心線より1メートル以上突き出ている場合、その先端から1メートル後退した部分までが建築面積となります。つまり、突き出ている長さが1メートル未満であれば建蔽率に算入しない箇所となります。

突き出しが1メートル未満の軒などは建蔽率に参入しません

このように、本来は建蔽率に算入しなくてよい部分が無いかどうかを探してみましょう。

3-2-3.容積率に算入しなくてもよい部分を探す

続いて、容積率も物件をチェックすることで適法にできる可能性があります。

少々ややこしい話になりますが、登記簿上は一見すると「容積率オーバー物件」でも、実は「適法物件」ということがあります
どういうことなのでしょうか?

実は、登記簿上の「面積」と、容積率の基となる「床面積」は、以下のように異なる法律に基づいているからです。

  • 不動産登記簿上の「面積」 → 「不動産登記法」に基づき記載
  • 容積率に算入する「床面積」 → 「建築基準法」に基づいて判断

つまり、登記簿上は容積率がオーバーしているように見えても、建築基準法で床面積に算入しない部分があれば、容積率を適法にできる可能性があるのです。

そこで、本来は容積率に算入しなくてよい部分が含まれていないかどうか、チェックしてみましょう。チェックするのは以下の箇所となります。

  • ピロティ
  • バルコニー
  • 廊下
  • エレベーター通過部分
  • 駐車場
  • 地下の一部(建物全体の1/3を限度)

特にエレベーター通過部分は、平成26年6月4日に法律が改正され、容積率に算入されなくなりました。よって、改正前の法律に基づき計算されていないかどうかを確認してみると良いでしょう。

また共同住宅は上記に加え、以下の部分も容積率には算入されません。

  • 階段
  • エントランスホール
  • エレベーターホール

加えて、車庫や、駐輪場なども基本的には不算入となりますので、合わせてチェックしましょう。

4.まとめ

  • 1.建蔽率とは、その土地の面積に対して、建物を建てることができる面積を表しています。地面に接している面積ではなく、基本的には「建物を上から見た時の面積」となります。
  • 2.一方、容積率とは、土地の面積に対して建てることのできる総床面積の割合を意味します。例えば、建蔽率が40%で、容積率が120%なら、単純に言って3階建ての建物が建てられることになります。
  • 3.建蔽率や容積率は、何らかの明確な根拠があって決まっているわけではありませんが、その土地の現在の使われ方や、将来的な土地の使われ方が反映されています。
  • 4.一般的には、「建蔽率60%以上、容積率120%以上」が投資するのに理想だと言われています。しかし実際には、高さ制限や斜線制限、消防法なども絡んでくるため、建蔽率・容積率の数値だけで判断することはできません。あくまでも土地の広さや、そのエリアのニーズなど、様々な要素を考慮しつつ投資対象を決めていきます。
  • 5.投資してみようと思うエリアの建蔽率・容積率を調べるには、業者の資料を見るのが一番簡単です。しかし全く不明の場合は、各種資料を取り寄せて、役所の建築課に確認してみましょう。
  • 6.建蔽率・容積率オーバーの物件は、「違反物件」と「既存不適格物件」に分けられます。万が一、いずれかの物件を間違って買ってしまった場合は、土地の再測量、建蔽率や容積率に算入しなくて良い部分を探すことで、「適法物件」にできる可能性が幾らかあります。更地などにする前に、検討・調査してみましょう。
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