『税引き後キャッシュフロー』の計算方法とは?手元に残るお金を増やそう!

「良い物件が購入できて稼働率も満足な状況なので、家賃収入が楽しみ」と考えていたものの、いざ確定申告すると「家賃収入が1,000万円あるのに手残りゼロ…」「税金払ったら赤字になった!」など、あまりお金が残っていないと感じるケースがあります。

この想像と現実のギャップは、どこから生まれるのでしょうか?

実は、税引き後キャッシュフロー(=家賃収入から諸経費を差し引き、銀行にローンを返済し、さらに税金を納めた後に、残った手残りのお金)を計算しないことで生じるギャップの場合があります。

この計算方法自体は複雑ではありませんし、計算を繰り返し行うことで物件購入までの時間短縮も可能になります。
不動産投資では手残りのお金をプラスにすることが何よりも大切です。是非、物件購入前にしっかりと計算することをお勧めします。

そこで今回の記事では、『税引き後キャッシュフロー』の計算を分かりやすく解説するとともに、計算の考え方に必要となる

  • 「表面利回り」「実質利回り」
  • 減価償却費
  • 2種類ある銀行への返済方法

についても丁寧に解説します。

この記事で取り上げている計算方法を勉強することで、物件購入後の利益を具体的にイメージできるようになっていただければ嬉しく思います。
なお、「税引き後キャッシュフロー」については以下の記事でも知ることができます。合わせてご覧ください。

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1. まずは「表面利回り」と「実質利回り」の意味と違いを理解しよう!

まずは「表面利回り」と「実質利回り」の意味と違いを理解しよう!

1-1. 実質利回りの考え方と計算方法

税引き後キャッシュフローの計算を解説する前に、まずは「表面利回り」と「実質利回り」の意味と違いを理解しておきましょう。

なぜなら実質利回りの計算に必要な項目は、税引き後キャッシュフローの計算に必須だからです。

表面利回りとは、物件を見る時の第一フィルターという位置づけになり、物件購入検討時に最初の目安となります。

例えば、1億円の物件を購入して1,000万円の家賃収入があった場合、表面利回りは10%と算出されます。ただし、この家賃収入1,000万円は稼働率100%を前提とした収入額です。そのため家賃収入は、永遠に稼働率100%とは限らないという点が要注意です。

つまり表面利回りとは、稼働率100%が前提の理想的な状況だけを考えているため、手元に残る現実のお金とかけ離れているということです。表面利回りの計算だけで物件購入を判断するのは非常に危険です。是非、実質利回りをすぐに計算できるようにしておきましょう。

実質利回りの計算は、まず「経費計上できる必要経費」と「購入時の諸費用」を算出します。
税務上、経費計上できるのは管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・火災保険・地震保険・清掃費などです。
※注意:固定資産税は土地と建物の価値で決まる定額のものなので、実質利回りの計算時に含めます。

そして購入時の諸費用(登録免許税、不動産取得税、各種手数料等)も計算しておきます。

※注意:不動産取得税は物件購入後半年後くらいに来るので見落としがちです。必ず計算に含めましょう!

これらを把握できれば、以下の計算式で表面利回りと実質利回りの違いが浮き彫りになります。

  • ・表面利回り=家賃収入÷物件価格
    ・実質利回り=(家賃収入-必要経費(管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費)) ÷(物件価格+購入諸費用)

人によって何を経費に含めるのかが違うため、実質利回りは必ずしも同じにはなりません。表面利回りだけに惑わされないよう、実質利回りの計算方法を知っておくことは非常にメリットがあります

表面利回りと実質利回りの図解

2. 税引き後利益を計算する

税引き後利益を計算する

2-1.まずは課税対象となる「税引き前利益」を計算

『税引き後キャッシュフロー』を計算するためには、まず税引き後利益の金額が必要になります。そこで課税対象となる「税引き前利益」を計算していきましょう。

先ほど実質利回りで計算した「経費計上できる必要経費」と「購入時の諸費用」、さらに「減価償却費」と「返済利子」があれば、課税対象額の「税引き前利益」が算出できます。 ここまでお読みいただいて、「返済利子だけ?元本は引かないの?」という疑問を持つ方がおられるかもしれません。実は経費として認められるのは「返済利子」のみとなります。物件購入時に融資を受けている方は、元本+返済利子を銀行に支払いますが、税引き前利益(課税対象額)を計算するときは、元本は引きません。

・税引き前利益=家賃収入-必要経費(管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費)-購入時の諸費用(登録免許税、不動産取得税、各種手数料 等)-減価償却費-返済利子

※注意:第1章の実質利回りはパーセンテージを計算するために「÷」で計算していますが、ここではすべての諸費用を引いた利益を計算するので「-」となります。

この計算で大切な存在が「減価償却費」です。

減価償却費とは帳簿上で資産の価値を減らすルールのことで、不動産投資の確定申告で毎年必ず経費計上します。例えば1億円で買ったマンションを確定申告する場合、1億円を一括で経費計上するのではなく、分割で経費計上することになります。

なお償却できる金額にもルールがあり、建物の価値(価格と築年数)と償却年数で決定されます。

減価償却のイメージ図

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実は、この減価償却費が税引き後キャッシュフローに非常に大きく関係してきます。減価償却費は実際に現金を支払うわけではなく、帳簿上に記載しているだけです。つまり支払っていないけれど帳簿上で費用計上できるため節税効果があり、課税対象額を抑えることによって税引き後に手元に残る金額が大きくなるという仕組みです。

不動産投資では、減価償却費の理解が手元に残るお金を増やすといっても過言ではありません。このように減価償却費はとても大切な事柄なので、必ず理解しておきましょう。

2-2.さらに所得税・住民税を差し引いて「税引き後利益」を計算

そして2-1で計算した税引き前利益から、さらに所得税・住民税を引いた金額が「税引き後利益」となります。

税引き後利益=家賃収入-必要経費(管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費)-購入時の諸費用(登録免許税、不動産取得税、各種手数料等)-減価償却費-返済利子-所得税-住民税

ここまで計算できたら、あとは簡単です!

3. 税引き後キャッシュフロー=手元に残るお金を計算!

税引き後キャッシュフロー=手元に残るお金を計算!
先ほど計算した「税引き後利益」から返済元本を差し引き、帳簿上の減価償却費を加えることで、手元に残るお金=税引き後キャッシュフローが計算できます。

 

税引き後キャッシュフロー=家賃収入-必要経費(管理費+修繕積立金+固定資産税+都市計画税+清掃費)-購入時の諸費用(登録免許税、不動産取得税、各 種手数料等)-減価償却費-返済利子-所得税-住民税-返済元本+減価償却費

 

ここまで読んで、疑問に持たれた方がいるかもしれませんので、返済元本と減価償却費について整理してみましょう。

まず返済元本の考え方を確認します。税引き前利益(=課税対象額)の計算で、差し引けるのは返済利子だけでした。そのため、経費計上から除外されていた返済元本を最後に差し引きます。

次は減価償却費の考え方についてです。減価償却費は経費計上できるため、税引き前利益の計算で一度差し引いていました。しかし本来は支払っていない帳簿上だけの金額なので、減価償却費を最後に加えることで、初めて手元に残る正確な金額が算出できます。

これが『税引き後キャッシュフロー』です。

『税引き後キャッシュフロー』算出の手順をおさらいすると、

  • 1.課税対象額(収入から必要経費や諸経費等)を算出して差し引く
  •        =税引き前利益
  • 2.税引き前利益から納税金額(所得税・住民税)を算出して差し引く
  •        =税引き後利益
  • 3.税引き後利益に返済元本と減価償却費を計算する
  •        =税引き後キャッシュフロー

となり、税引き後キャッシュフローはサラリーマンの「手取り」に相当することが見て取れます。

図_3
なお、「税引き後キャッシュフロー」については以下の記事でも知ることができます。合わせてご覧ください。

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4.「元利均等返済」と「元金均等返済」

「元利均等返済」と「元金均等返済」

4-1. 元利均等返済とは?

第4章では、補足として住宅ローンを組む際に欠かせない、「元利均等返済」と「元金均等返済」の考え方について解説します。

元利均等返済とは、毎月の返済総額を一定にする仕組みのことです。例えば毎月20万円・15年返済の場合、15年間返済金額は変わりません。最初は金利(返済利子)を多く支払い、年月が経つにつれて元金を多く支払います。

メリットは最初の金利の割合が大きいため、先ほど計算した税引き前利益=課税対象額を少なくでき、手元に残るお金を増やせることです。デメリットは元金がなかなか減らないこと。金利から先に支払う方法です。

図_4

4-2. 元金均等返済

元金均等返済とは、元金の返済額を均等にしたうえで、その金額に金利を加えて返済する仕組みのことです。毎月の返済額は違ってきますが、とにかく元金が減りやすく支払総額が少なくなるのがメリットです。

ただし、返済初期は利息を加えた総額の負担が大きいため、手残りの現金がわずかに感じる可能性があります。また、金利の幅が少ないために経費計上できる金額が小さく、逆に税金の支払いが大きくなります。

元利均等返済と元金均等返済は、それぞれメリット・デメリットがあります

が、多くの方は元利均等返済を選んでいます。ただし、ローンを組む銀行によっては、どちらか一つだけを選べない場合がありますので、返済方法も十分に注意しましょう。
図_5

5. まとめ

ここまで、『税引き後キャッシュフロー』の計算方法と、計算に必要な項目の考え方や補足情報をお伝えしました。箇条書きにすると、以下のようになります。

1. 表面利回りはおもてむきの数字なので惑わされない!大切なのは「実質利回り」です。

2.物件購入前に必ず『税引き後キャッシュフロー』を計算して、手残りの現金を確かめることが大切!

3.税引き後キャッシュフローはサラリーマンの「手取り」に相当します。諸経費と税金を引いて計算します。

4.銀行の住宅ローン返済方法は2種類あるので、手残りの現金とメリット・デメリットを考慮して選択しましょう。

不動産投資について想像と現実のギャップが生まれる背景をご説明しました。これから不動産投資を始めようとお考えの方に、是非参考しつつ利益を上げていただきたいと思います。

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