賃貸借契約書とは?必須事項や費用まで解説【オーナー向け】

「賃貸借契約書」は、賃貸契約する際には必ず必要である重要な書類です。

不動産投資経験者や、賃貸物件に住んだことがある人であれが、おそらく「賃貸借契約書」という用語は聞いたことがあると思います。

しかし、

  • ・実際にどのようなことが記載してあるのか?
  • ・賃貸借契約書の作成には費用が掛かるのか?
  • ・なぜ賃貸借契約書が必要なのか?

ということについて詳しくご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、

  • 賃貸借契約書とは?
  • 賃貸借契約書が必要な理由
  • 貸借契約書に記載する内容について
  • 賃貸借契約書には印紙税、消費税はかかる?
  • 賃貸借契約書の更新と解約の時期

についてわかりやすく解説します。

不動産投資を始めたばかりという方や、すでに賃貸物件を保有しているという方も、この記事を読めば、賃貸借契約書の作成方法や賃貸借契約書が必ず必要な理由を理解できます

賃貸借契約書についての知識をしっかりと身につけて、賃貸物件でのトラブルを事前に防いでいきましょう。

なお、賃貸借契約書に記載しておくべき9つのポイントについては以下の記事で解説していますので是非お読みいただければと思います。

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1.「賃貸借契約書」とは

「賃貸借契約書」とは

賃貸借契約書とは、簡単に言うと賃貸物件の契約の際に必要になる書類のことです。ここでは、重要事項説明書との違いや、なぜ賃貸借契約書が必要なのかについてくわしく解説します。

1-1. 物件を貸すときに必ず交わす

賃貸借契約書とは、賃貸物件を貸すときにオーナーと入居者が締結する契約書のこと。同じものを2通作成し、オーナーと入居者がそれぞれ割印を押し、契約終了または退去時まで一部ずつ保管することになっています。

ですから、オーナーとして見たことがなくても、賃貸物件に住んだことがある人は必ず見たことがあるはずです。

賃貸借契約に関する知識は、戸建て投資でも区分マンション投資でも一棟投資でも必須であり、可能な限りオーナーに有利な条件で作成することがポイントです。

賃貸借契約書に書かれている内容は、後述するようにそれほど難しいものではありません。しかし、小さな文字でびっしり書かれているので、「読むのが億劫だ」「なんとなく難しそう」と思ってしまいがちです。

1-2. 重要事項説明書との違い

賃貸契約書とは別に、重要事項説明書というものがあります。見聞きしたことがある人も多いでしょう。

重要事項説明書とは、宅地建物取引業法によって不動産を仲介した会社に義務付けられているもので、不動産会社の宅地建物取引士の資格取得者が「あなたが購入しようとしている物件は◯◯で、◯◯といった条件です」と契約前の最終確認をする書類を指します。

ちなみに、売り主と直接契約するなど仲介する不動産会社がいない場合、重要事項説明書がないケースがあります。一方、賃貸借契約書は、賃料や使用における条件などが書かれており、本来の目的は入居後のトラブルなどを回避するために作成される書類です。

ポイントなのは、実際の契約時には「重要事項説明書に署名・捺印」→「賃貸借契約書に署名・捺印」という順番で進むのですが、「重要事項説明書に署名・捺印」した時点では契約は成立していないということです。実際の契約で効力をもつのは「重要事項説明書」ではなく、「賃貸借契約書」です。

つまり、賃貸借契約の成立後に、重要事項説明と契約書の内容に齟齬があったとしても、基本的には契約書の内容が優先されます。通常、重要事項説明と契約は同日に行われるため、その場での判断が求められます。

しかし、契約後のトラブルを回避するために、もし可能ならば重要事項説明を受けた後に、よく検討する時間を取って、不可解な点をなくしてから契約に進むのが理想的です。

1-3. 誰が作成するのか

基本的に、賃貸借契約書は管理会社や仲介会社が作成します。サイズはA3サイズの用紙1~2枚だったり、 A4サイズで冊子になっていたり、会社によって異なります。

ただ、賃貸借契約書は既存のテンプレートをそのまま使えばいいというわけではなく、物件ごとの状況に合わせて契約書の内容を変える必要があります。もし賃貸借契約書が自分の物件用にカスタマイズされていなかった場合、オーナー自身で業者に指示し、契約書に加えてもらう必要があります。

1-4. カスタマイズが必要な理由

イメージがつきにくいと思いますので、具体的に話をしましょう。

例えば、あなたが中古物件を購入したとして、室内に古いエアコンが備え付けられているとします。

このとき、一般的な形式で賃貸借契約を結んでいると、エアコンなどの修繕義務は「オーナー側」に発生します。もし賃料が安ければ、エアコンの修理・交換費用は大きな負担になるでしょう。

ただ、ここで疑問に思われたかもしれません。「エアコンの修理や交換はオーナーが対応しなければならないことではないのか?」と。たしかに通常の賃貸者契約書には、その旨が記載されていないのですが、家賃やエアコンの状態にもよるものの、実は「特約」を使ってエアコンの修繕義務を免れることができるのです。

特約とは、「特別の条件がある契約」のこと。つまり例外的な内容を契約書に盛り込んでおくことで、オーナーの有利に働くような契約書を作成することができるのです。

例としては、そのエアコンを残置物扱いにして、「前の入居者が置いて行ったものを任意で次の入居者が使用するため、オーナーが修繕義務を持たない」などです。

1-5. 賃貸借契約書の特約で修繕リスクを減らせる!?

賃貸借契約書の重要性をまず知ってもらうために、さらに例を出して細かく説明します。

エアコンの修繕費についての話を簡単にしましたが、そもそも修繕費については民法606条、608条で定められており、<契約書に特約として記載しない場合はオーナー側ですべての修繕費を負担しなければなりません

  • ・606条1項 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  • ・606条2項 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない
  • ・608条1項 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

しかし、修繕費については任意規程(当事者がそれに反する意思表示をすれば適用されない規定)が有効なので、特約によって貸主の修繕義務が免除されている場合、基本的に入居者はオーナーに修繕費の負担を求めることはできないのです。

とはいえ、特約をたくさん盛り込んで「すべての修繕を入居者負担」にすることはできません。一般的には修繕費を物件規模やコストによって「大修繕」と「小修繕」に分け、「大修繕」(雨漏りなど)については特約があったとしても入居者負担とすることはできない、とされています。

また、消費者契約法の観点から一方的に入居者に不利な特約は、無効になる可能性もあります。

修繕費という視点で考えると、「どちらが負担するのか」ということはトラブルに発展しやすいポイントだといえます。後々トラブルにならないためにも、修繕の範囲をできるだけ具体的に記載したほうが良いでしょう。

なぜ賃貸借契約書が重要なのか……この例だけでもわかっていただけたのでしょうか。契約に関する項目はさまざまで、「よくわからないから業者に任せよう」と思っていると、後からトラブルに発展したり、知らない間に損をしていたりするということです。

2.賃貸借契約書の記載事項

賃貸借契約書の記載事項

ここまで、賃貸借契約書がどのような時に必要で、なぜ作成する必要があるのかを説明しました。ここからは、賃貸借契約書に記載する基本的な項目や実際の契約書の雛形について具体的にみていきましょう。

2-1. 賃貸借契約書に書かれる基本的な項目

賃貸借契約には、通常、以下の事項が記載されます。

  • ・当事者
  • ・物件の表示
  • ・使用目的
  • ・契約期間と契約の更新
  • ・賃料
  • ・賃料の改訂
  • ・保証金
  • ・遅延損害金
  • ・解約
  • ・禁止行為
  • ・原状回復義務、損害賠償義務

これらの項目では、特に注意すべきポイントがあります。詳しくはこちらの記事にまとめたので、ぜひご一読ください。

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2-2. 賃貸借契約書の雛形

雛形は国土交通省のホームページから無料でダウンロードできます。

ただし、前述したようにこのまま使用するのではなく、雛形をもとに自分に合った内容にカスタマイズかすることが必要です。

3. 賃貸借契約書には印紙税、消費税はかかる?

賃貸借契約書には印紙税、消費税はかかる?

賃貸借契約書の作成には、印紙税や消費税などの費用がかかるのか?かかる場合はいくらになのか?という疑問を解決するために、どのような場合にいくら必要なのかを具体的に説明します。

3-1. 土地の賃貸借契約書は収入印紙が必要

賃貸者契約書を作成する場合、「収入印紙の貼付が必要なのか、それとも不要なのか、もし必要な場合はいくらの収入印紙を貼付すればいいのか」と迷う方もいらっしゃるかもしれません。

結論を先に述べると、「建物の賃貸借契約書は印紙税の課税対象ではないが。土地の賃貸借契約書は課税対象になる」ということです。

国税庁のホームページには次のように書かれています(太字は筆者による)。

建物の賃貸借契約書は、印紙税の課税対象となりません。ところで、建物の賃貸借契約書の中には、その建物の所在地や使用収益の範囲を確定するために、敷地の面積が記載されることがありますが、このような文書も建物の賃貸借契約書であるとして、印紙税の課税対象となりません。  

しかしながら、その敷地についての賃貸借契約を結んだことが明らかであるものは、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当することになります。  

また、貸しビル業者などが、ビルなどの賃貸借契約又はその予約契約を締結する際などに、そのビルなどの賃借人から建設協力金又は保証金などの名目で一定の金銭を受け取り、そのビルなどの賃貸借期間に関係なく一定期間据置き後、一括返還又は分割返還することを約する場合がありますが、このような建設協力金又は保証金などの取り決めのある建物の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当しますのでご注意ください。

つまり、建物の賃貸契約書については、印紙税の課税文書ではないので印紙は不要です。 一方、土地の賃貸借契約については印紙が必要となります。

3-2. 土地の賃貸借契約書に貼るべき印紙税額

土地の賃貸契約書に貼るべき印紙税額は、「記載された契約金額」により次のようになっています。なお、「記載された契約金額」には土地の賃貸料と敷金を含まないため、賃貸料と敷金だけが記載された土地の賃貸借契約書に貼るべき印紙税額は200円となります。

記載された契約金額が

金額 非課税/課税額
1万円未満 非課税
1万円以上10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

3-3. 消費税は居住物件以外が課税対象

続いては「賃貸借契約では消費税がかかるのか?」という疑問です。こちらも印紙税同様にかかるケース・かからないケースがあります。

  • 非課税 居住用物件の賃料 居住用物件の共益費、敷金、礼金
  • 課税 居住用以外(事務所・店舗・倉庫・工場など)の物件の賃料 居住用以外の共益費、礼金、保証金の償却費

簡単にいえば、「人が住んでいる建物に関しては消費税は非課税。それ以外の建物は課税」ということです。なお土地の賃貸借については、消費税の課税の対象になりません(土地売買も同様)。しかし、貸付期間が1か月に満たない場合は、課税の対象となります。

そのほか、居住用以外の建物や駐車場など施設の利用に付随して土地が使用される場合は、消費税の課税対象になります。つまり居住用の物件を借りる際、同時に駐車場も借りる場合には「物件の賃料は非課税、駐車場の賃料は課税」となり、賃貸借契約書にはその内訳が記載されます。

ただし、居住用の物件で駐車場1台付きなど、建物の賃料にあらかじめ駐車場の契約が含まれている場合に対しては非課税となります。

4. 賃貸借契約書の更新と解約

賃貸借契約書の更新と解約

賃貸借契約には契約期間が決められています。ここでは、賃貸借契約の契約期間と、更新・解約の場合はいつまでに通知しなければならないのかなどについて解説します。

4-1. 契約の更新

一般的に、賃貸借契約の期間は2年間とされています。そのため、 入居してから2年経過した時点で、入居者は「そのまま住み続けか(更新するのか)」もしくは「契約を解除して退去するか」を選ぶ必要あります。

更新する場合、入居者は契約満了日の2~4カ月前までに、オーナーに更新するか否かの通知をするのが一般的です。賃貸契約更新にかかる費用は新家の1カ月分が一般的で、その半分は不動産会社への更新事務手数料として支払うケースが多いといえます。

賃貸借契約書は、新規契約時と同様、再度作成するのが基本です。また、更新時の家賃について最近は「現状維持」が多いといえますが、以下のケースでは家賃の変動があり得ると考えられます。

  • ・近隣の似た物件における家賃の増減が明らかな場合
  • ・社会情勢の変動で、相場が大きく変動した場合

オーナーとしては家賃をできるだけ上げたい気持ちはありますが、きちんとエビデンスを出すなりして入居者とコミュニケーションを丁寧に取らないと、一方的な説明では不快感を与えてしまうので注意が必要です。

4-2. 契約の解除

一般的に、賃貸借契約の解約通告は1~2カ月前とされています。入居者から管理会社に連絡があり、解約の通知書を受け取った時点から1カ月(もしくは2カ月)以降の解約を認める場合が多いといえます。

なお、解約日が月の途中の場合、一旦1カ月分支払ってもらい、後日日割で計算した差額分を戻すケースが多いです。

その後、客付開始、退去時の立会い、退去後のリフォーム、敷金清算などを行います。

5.まとめ

  • 1. 賃貸借契約書は、入居者とオーナーとの間で必ず交わす書類。作成するのは管理会社、もしくは不動産会社が一般的だが、そのままテンプレートを流用することは後々トラブルにつながる可能性があるので避けるべきといえる。
  • 2. 賃貸借契約書には「特約」を入れることが可能であり、これがトラブルを減らすポイント、かつオーナーに有利な結果を導くポイントとなる。例えば、一般的にオーナーが負担すべきだと思われている修繕費についても、特約をうまく使えば入居者負担にできるものも一部存在する
  • 3. 賃貸借契約の期間は2年が一般的。更新するか否かの判断は入居者が行う。更新の場合、もう一度契約を締結するのが基本で、入居者は1、2カ月の更新料を支払う。契約解除の場合は、更新よりもさまざまな対応が発生する

いかがでしたか。本文でも繰り返し述べましたが、賃貸借契約書の知られざるポイントは、「テンプレート通りではなく、物件ごとに作成する必要がある」ということです。

特約によって契約締結後のトラブルを回避できたり、オーナーのコスト負担が減らせる可能性があったりと、その効果は非常に大きいものがあります。

ぜひ「ただの契約書だから管理会社に任せればいい」などと安易に考えず、不動産投資成功のために賃貸借契約書にも意識を傾けていただきたいと思います。

なお、賃貸借契約書については以下の記事でもそれぞれ詳しく解説していますので是非お読みいただければと思います。

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