耐震基準とは?確認方法や注意点までわかりやすく解説

マイホームを購入検討している人、新しく引っ越そうとしている人、すでに不動産を所有している人なら「耐震基準」について、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか。

  • ・旧耐震基準と新耐震基準の違いは?
  • ・耐震基準ではどんなことがチェックされているのか?

あるいは、もっと踏み込んで次のような疑問をお持ちかもしれません。

  • ・築年数が古い戸建てを所有しているが、現在の耐震基準に合わないことによるリスクはどんなものがあるのか?
  • ・中古のマンションを購入したいが、耐震基準を知るためにはどこで入手できるのか?
  • ・中古物件を購入する予定だが、安全に住むために耐震基準以外に気を付けるべき点は?
  • ・住んでいる物件を売却したい。耐震基準はわからないが、どこで確認すべき?

また、「耐震基準適合証明書」についても内容、必要書類、取得までの流れなど気になる人は多いと思います。

そこでこの記事では、

  • 耐震基準はいつ制定? 旧耐震と新耐震の違い
  • 現在の耐震基準を満たしていない住宅はどうなる?
  • 耐震基準適合証明書とは?
  • 耐震基準適合証明書のメリット
  • 耐震基準適合証明書がどうやって入手できる?

について、わかりやすく解説いたします。

この記事を読むことで、そもそも耐震基準とは何か、耐震基準を満たさない住宅のデメリットなどの基礎知識から、耐震基準適合証明書の入手法、必要書類などについても学べます。新築、中古住宅の売買を考えている人、新しく賃貸物件を探している人にとって非常に有益な情報が満載です。

本記事が「耐震基準について知りたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.耐震基準はいつ制定?旧耐震と新耐震の違い

耐震基準はいつ制定?旧耐震と新耐震の違い

そもそも耐震基準という考え方は、いつから始まったのでしょうか。簡単に歴史を振り返りましょう。

1-1.日本における耐震基準の変遷

日本における耐震基準の変遷

耐震基準とは、「建築物が最低限度の耐震能力を持っていることを保証し、建築を許可する基準」のこと。原子力発電所などの重要構造物や道路・橋梁などの土木構造物には、それぞれ独自の基準が設けられており、建築物に関しては「建築基準法」及び「建築基準法施行令」で定められた基準があります。

建築基準法の歴史は、古くは1920年(大正9年)に「市街地建築物法」が施行されたことから始まります。日本ではじめての建築法規で、30年後に制定される建築基準法の原型といえます。この法律によって、「建物の重さ」と「人、家具、設備などの重さ」に対する構造強度の基準が定められましたが、このときはまだ「地震」に関する規定はありませんでした。

1923年9月1日、関東大震災が起こります。現在の東京区部の家屋の6割が被災、犠牲者は10万名を超え、甚大な被害をもたらしました。そして1924年、関東大震災で耐震への意識が高まったこともあり、「市街地建築物法」の規則が改正されます。ここで初めて地震に関する基準が定められたのです。

1950年(昭和25年)、市街地建造物法は廃止となり、新たに「建築基準法」(旧耐震)が施行されます。

1968年の十勝沖地震をきっかけに、1971年「建築基準法施行令」が改正。RC造の構造基準が強化されました。

そして1978年の宮城県沖地震後、耐震設計法が抜本的に見直され、1981年6月1日に「建築基準法」が改正。このときに定められた耐震基準は「新基準」と呼ばれます。

その後2000年にも「建築基準法」の改正により、木造の耐震基準が強化されました。このときに定められた耐震基準は「改正新耐震住宅」とも呼ばれます。

1-2.旧耐震と新耐震の違い

では、旧耐震と新耐震では何が違うのでしょうか?

建築確認日が「1981年6月1日以降」かどうか?

その物件が「旧耐震なのか」、それとも「新耐震なのか」ということは、「建築確認日が1981年6月1日以降かどうか」で見極めます。

  • ・1981年6月1日以降……「新耐震基準」
  • ・1981年5月31日以前……「旧耐震基準」

ここで注意したいことは、「竣工年」ではなく「建築確認申請が役所で受理されて証明書が発行された日付」が境目ということ。マンションの場合、建築確認の申請後に着工し、実際の竣工に至るまで1年以上要することも珍しくありません。そのため、1981年6月1日以降(1982年あるいは1983年)に完成した旧耐震基準のマンションもあるのです。

したがって、1981年前後の物件は、確認申請の時期を不動産会社に確認して「旧耐震なのか」「新耐震なのか」を把握したほうがいいでしょう。

耐震性はどれくらい違う?

旧耐震基準の場合、「中地震(震度5程度)」程度の揺れが起こった際、倒壊しない程度の強さを基準として建築するよう求めています。あくまで「倒壊しない程度」のため、大規模な地震(震度6~7)に関しては特に規定がありませんし、建物にヒビが入る程度の強度であればこの基準に反するものではありません。

新耐震基準の場合、震度5程度の中程度の地震なら「建物の軽微なひび割れに留める」、 震度6〜7の大地震なら「倒壊・崩壊しない」ことが定められています。つまり、滅多に起きない震度6〜7クラスであっても、建物の倒壊で命を失うことはないレベルの耐震性が要求されているということです。

2.現在の耐震基準を満たしていない住宅はどうなる?

現在の耐震基準を満たしていない住宅はどうなる?

築年数が長い物件にお住まいの方や中古物件の購入をお考えの方にとっては、現在の耐震基準に満たない場合のことをご心配されるのではないでしょうか?

ここでは、新耐震基準に満たない物件についての情報をお伝えします。

2-1.地震で被害が出たときにオーナーは責任を追及される恐れも

かつての耐震基準はクリアしたものの、現在の耐震基準を満たしていない物件はたくさんあります。このような「建築当初は適法であったものの、現在の建築基準法においては適合しない」物件を「既存不適格物件」と呼びます。

こうした物件を所有すること自体にペナルティはありませんが、日本は地震大国であり、大規模地震がいつ起きてもおかしくない状況なわけですから、現在の耐震基準を満たしていない物件は耐震補強の工事を行うのが理想です。

ただ、耐震補強には大きなコストがかかるため、オーナーは賃料の値上げも検討しなければなりません。賃料を上げたら退去されるリスクも高まりますが、耐震化が実現するとしても、入居率が下がってしまっては意味がありません。そのため、耐震補強の工事はなかなか行われていないのが現実です。

とはいえ、1995年の阪神淡路大震災では、たくさんの建物が崩壊し、その多くは旧耐震基準の建造物でした。これによって犠牲になった遺族はオーナーに責任を追及し、法的な責任が認定されたケースも多数ありました。

ですから、旧耐震基準の物件を持つオーナーは、大型地震が起きて物件が倒壊し、被害者が出た場合には責任を追及される可能性もゼロではないかもしれません。

2-2.旧耐震基準物件のデメリットは複数あるものの、投資価値はゼロじゃない

建築確認が1981年6月以前の物件、つまり「旧耐震基準」の物件は今でも数多く存在します。特に首都圏では数が多く、約186万戸のマンションのうち45万1560戸が旧耐震です。約24%…つまり4戸に1戸は旧耐震物件なのです。

旧耐震基準物件のデメリットは、

  • ・そもそも耐震性が低い
  • ・融資を受けにくい
  • ・住宅ローン控除や贈与税の非課税制度を利用できない
  • ・修繕積立金が高額の場合がある
  • ・建て替えリスクがある
  • ・地震保険が高額になる

などさまざまです。

しかし、旧耐震物件だからといって、必ずしも耐震性が低いわけではありません。東京都の調査では、旧耐震物件の約7割は耐震性に問題がないことがわかっています。

また、旧耐震のマンションは価格が相対的に低く、立地が良いというメリットもあります。融資と地震のリスクを考慮して自分が納得できるなら、あえて旧耐震物件を狙うのも一手です。

3.耐震基準適合証明書とは?

耐震基準適合証明書とは?

耐震基準に関する情報として、ぜひ知っておいてほしいのが「耐震基準適合証明書」です。初めて聞くという人も多いと思いますが、具体的に見ていきましょう。

3-1.耐震基準適合証明書ってなに?

耐震基準適合証明書とは、「現在の耐震基準を満たした耐震性があることを証明する書類」です。

詳しくは後述しますが、この書類で耐震性を証明することで、築年数が古い物件でも、住宅ローン控除や不動産取得税軽減など、さまざまな税金控除を受けられるようになります。

3-2.耐震基準適合証明書を取得できる条件

耐震基準適合証明書を取得できるのは、以下の条件を満たしている人のみとなります。

【建物の条件】

  • ・登記事項証明書の床面積が50m2以上
  • ・「居宅」として登記されている家屋

【取得者の条件】

  • ・家屋を購入し、かつその家屋に入居する

4.耐震基準適合証明書のメリット

耐震基準適合証明書のメリット

耐震基準適合証明書を取得することで、以下のような税務控除を受けることができます。

  • ・住宅ローン控除
  • ・不動産取得税軽減の特例
  • ・住宅取得等資金贈与の特例
  • ・固定資産税の減税措置
  • ・登録免許税軽減の特例

このなかでも最も効果が大きい、つまり耐震基準適合証明書を取得するメリットがある「住宅ローン控除」について詳しく解説します。

4-1.築年が古い物件でも住宅ローン控除を受けられる可能性がある

住宅ローン控除とは、住宅ローンでマイホームを購入した場合、年末のローン残高に応じて一定の金額を所得税から差し引くことで、経済的負担を軽減する制度です。

具体的には、10~13年間、所得税から住宅ローンの残高の1%が差し引かれ、還付金を受け取ることができます。マイホームを購入する人ならぜひ利用したい魅力的な制度です。

ただし中古住宅の場合、住宅ローン控除を受けるためには以下の条件を満たしている必要があります。

  • ・非耐火住宅(木造など):築20年以内
  • ・耐火住宅(鉄筋コンクリート造など。軽量鉄骨は含まない):築25年以内

つまり大まかにいえば、マンションなら築25年以内、戸建てなら築20年以内でないと住宅ローン控除を受けることができないということです。

しかし、耐震基準適合証明書を取得すると、築20年超、築25年超の建物でも住宅ローン控除が受けられるようになるのです。

ただ注意点があります。
それは、耐震基準適合証明書を取得しても住宅ローン控除が使えないケースもあるということ。例えば以下のようなケースです。

  • ・耐震基準以外で住宅ローン控除の要件を満たすことができなかった
  • ・所有権移転登記をした後に申請した

また、耐震基準適合証明書を発行できる建物は、「木造」の戸建てが基本です。それ以外難しいと考えたほうがいいでしょう。

4-2.「既存住宅売買瑕疵保険」という選択肢

耐震基準適合証明の発行が受けられない物件でも、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することで、住宅ローン減税や登録免許税の軽減措置などの減税措置を受けることができます。 

既存住宅売買瑕疵保険とは、住宅のなかでも特に重要な構造上の主要部分や雨水漏れ防止部分などの重大な欠陥について、保険会社が修繕費用を負担してくれる保険です。

本来であれば、購入した物件に瑕疵(欠陥)が見つかった場合、売主から買主へ補修費用を支払わなければなりません。その補修費用を保険機関(住宅瑕疵担保責任保険法人)が売主の代わりに負担してくれるというものです。

さらに既存住宅売買瑕疵保険へ加入している物件を購入した買主には、さまざまな税制優遇が用意されています。

「住宅ローン減税を受けたいが、耐震診断ができない」といった場合は、既存住宅売買瑕疵保険に加入しておきましょう。

5.耐震基準適合証明書はどうやって入手できる?

耐震基準適合証明書がどうやって入手できる?

耐震基準適合証明書の取得方法やコストについて見ていきましょう。

5-1.耐震基準適合証明書の発行に必要なもの

耐震基準適合証明書の発行に必要な書類は、「耐震性があることを証明できる書類」です。主に以下の2つです。

  • ・検査済証(交付されていない場合は、「耐震性があることを証明できる書類」でも代用可)
  • ・新耐震基準と同じ耐震性があることを証明できる書類

5-2.耐震基準適合証明書を取得するコスト

取得費は、以下の2つがかかります。

証明書発行費用

住宅診断料費用

3万〜5万円程度

0万〜15万円程度

合計15万〜20万円程度だと考えておけばいいでしょう。

5-3.耐震基準適合証明書が発行されるまでの流れ

耐震基準適合証明書の発行の流れは、主に以下のとおりです。

  1. 事前相談、依頼
  2. 現地調査
  3. 正式な発行依頼
  4. 費用の支払い
  5. 証明書発行

耐震基準適合証明書は、指定検査機関や建築士事務所などで発行可能です。詳しくは相談に行って確認しましょう。

まとめ

1.新耐震基準を満たした住宅なら、東日本大震災レベルの地震でも建物が崩壊することはないと考えられる

2.旧耐震か新耐震かを見極める点は、1981年6月1日を境目に「建築確認申請」が役所で受理されて証明書が発行されたかどうか、である

3.旧耐震の物件は特に首都圏に多く残っているが、価格が相対的に安く、立地も良いため投資的な観点では価値がある場合も多々ある

4.築年数が古い戸建てを住宅ローンで買おうとしている人は、「耐震基準適合証明書」の取得を検討したほうがいい

いかがでしたか。日本は地震大国ですので、賃貸であっても持ち家であっても耐震基準の知識は必要です。特に旧耐震基準の古い物件を買う際には、できれば専門家に耐震診断してもらうことをおすすめします。

>再建築不可物件の建築可能化プログラム

再建築不可物件の建築可能化プログラム

「再建築不可物件」を使った不動産投資は、誰にでもできる簡単な方法でありません。 しかも、「投資」ですから、リスクはそれなりにあります。 それでも、リスクよりもメリットの方が大きいとも言えます。 その理由と、私たちの具体的なサポート内容などをセミナーでご説明いたします。 また、質疑応答の時間も用意しておりますので、ご不明な点はどうぞ遠慮なくお尋ねください。

CTR IMG