契約時には絶対に見逃せない!「重要事項説明書」の基本チェックリスト

不動産の売買、あるいは賃貸借契約をしたことがある人なら「重要事項説明書」という用語を聞いたことがあると思います。その名の通り、「その物件の重要事項について記載されている書類」なのですが、知っているようで実はよくわかっていないという人も意外に多いものです。

この記事では、

  • ・重要事項説明書とは
  • ・どういった場面で必要になるのか
  • ・重要事項説明の項目一覧
  • ・重要事項説明におけるトラブル

について解説します。

重要事項説明書についての知識を持っていないと、契約後に「こんなはずじゃなかった」とトラブルに発展したり、「実は損していた」ということに後から気付かされるかもしれません。収益物件だけでなくマイホーム購入、賃貸の契約時にも非常に大切な知識になりますので、少しでも不安がある方はこの記事を読んでいただければと思います。

1.重要事項説明書とは何か

重要事項説明書とは何か

1-1. 重要事項説明とは、不動産業者の義務行為の一つ

重要事項説明は、売買契約・貸借契約・委託契約の前に、その契約を締結するか否かを判断するために不動産業者が契約上重要な事項を説明することです。「重説」と略されることも多々あります。

不動産の取引時はもちろんのこと、保険の販売、マンションの委託契約、建築設計契約などの際にも重要事項説明は宅地建物取引業法という法律で義務化されています。なぜ重要事項説明が義務化されているかというと、端的にいえば契約後に「聞いてない」「聞いたけど忘れた」といったトラブルを防ぐためです。

なお、国土交通省は重要説明事項の精度の趣旨について、以下のように書いています。

宅地建物の取引は、動産の取引と比べて権利関係や取引条件が極めて複雑であり、それらを十分に調査、 確認しないで契約を締結すると、当初予定していた利用ができなかったり、契約条件を知らなかったことによる不測の損害を被ることとなる。そのような紛争が生ずるおそれを防止し、購入者等が十分理解して 契約を締結する機会を与えるため、専門的な知識、経験、調査能力を持つ宅地建物取引業者に説明義務を 課しているものである。

参考URL:https://www.mlit.go.jp/common/001037688.pdf

重要事項説明は、「宅地建物取引士」の資格所有者が、資格証を提示しながら重要事項説明書を交付するとともに、その内容を口頭で説明します。

説明をする宅地建物取引士は、 重要事項の説明時に相手からの求めがなくても宅地建物取引士証を提示しなければなりません。また、 交付する書面には宅地建物取引士が記名・押印しなければならず、たとえ相手方が同意した場合でも省略することはできません。

1-2. 重要事項説明を受けたあと、購入を見送ることもできる

重要事項説明は契約前に受けるものであり、もし説明を受けて納得のいかないことがあれば、契約を中止して問題ありません。このとき、違約金などの費用は発生せず、既に預けてある申込金なども全額返してもらうことができます。

したがって、重要事項説明はできるだけ早めに受けて、検討の時間を十分に設けることがベストです。契約を締結してしまうと、あとから気になったことがあっても解決はできません。あらかじめ不動産会社に重要事項説明と売買契約のスケジュールを確認し、重要事項説明を受けて疑問点があれば、解消してから契約に臨みましょう。

2. 重要事項説明の項目一覧

重要事項説明の項目一覧

では、重要事項説明ではどのような内容が含まれるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
(※)貸借の代理・媒介を行う場合に限って説明が必要となる項目

2-1. 物件に関する権利関係の明示

  • ・登記された権利の種類、内容等
  • ・私道に関する負担
  • ・定期借地権又は高齢者居住法の終身建物賃貸借の適用を受ける場合(※)

2-2. 物件に関する権利制限内容の明示

  • ・都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要【計327項目】
  • ・用途その他の利用に係る制限に関する事項(※)

2-3. 物件の属性の明示

  • ・飲用水・電気・ガスの供給・排水施設の整備状況又はその見通し
  • ・宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等 6区分所有建物の場合はさらに次の事項 (未完成物件のとき)
  • ・当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
  • ・当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
  • ・当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
  • ・石綿(アスベスト)使用調査結果の内容
  • ・耐震診断の内容
  • ・住宅性能評価を受けた新築住宅である場合(住宅性能評価書の交付の有無)
  • ・台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況(※)
  • ・管理の委託先(※)

2-4. 取引条件(契約上の権利義務関係)の明示

  • ・代金、交換差金以外に授受される金額及びその目的
  • ・契約の解除に関する事項
  • ・損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
  • ・契約期間及び契約の更新に関する事項(※)
  • ・敷金等契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項(※)
  • ・契約終了時における建物の取壊しに関する事項(※)

2-5. 取引に当たって宅地建物取引業者が講じる措置

  • ・手付金等の保全措置の概要(業者が自ら売主の場合)
  • ・支払金又は預り金の保全措置の概要
  • ・金銭の貸借のあっせん
  • ・瑕疵担保責任の履行に関して講ずる措置の内容

2-6. 区分所有建物の場合はさらに次の事項

  • ・敷地に関する権利の種類及び内容
  • ・共有部分に関する規約等の定め
  • ・専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め
  • ・専用使用権に関する規約等の定め
  • ・所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の交付の有無)
  • ・台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況(※)
  • ・管理の委託先(※) 等の定め
  • ・修繕積立金等に関する規約等の定め
  • ・通常の管理費用の額
  • ・マンション管理の委託先
  • ・建物の維持修繕の実施状況の記録

参考URL:https://www.mlit.go.jp/common/001037688.pdf

3.重要事項説明のチェックリスト

重要事項説明のチェックリスト

重要事項説明書には、内容が細かく専門的な言葉も含まれるので難しい印象を受けます。しかし、後々のトラブルを未然に防ぐためにはわからないことがあったら解消しておくべきです。

ここでは、公益財団法人不動産流通推進センターが運営している不動産ジャパンが公表している「重要事項説明のチェックリスト」から引用してご紹介します。

参考URL:https://www.fudousan.or.jp/kiso/buy/images/pdf/8_2_list.pdf

3-1. 基本的確認

【説明内容】

  • ・宅地建物取引士の確認
  • ・取引態様の確認

【特に確認したい事項】

  • ・説明者は確かに宅地建物取引士か

3-2. 物件の基本的な確認

【説明内容】

  • ・物件の概要
  • ・登記記録(登記簿)

【特に確認したい事項】

  • ・完全な所有権で取得できるか(抵当権等は抹消されるか)、 引き継ぐ権利は特定できているか
  • ・売り主の信用力に不安はないか

3-3. 法令上の制限

【説明内容】

  • ・都市計画法
  • ・建築基準法
  • ・その他法令

【特に確認したい事項】

  • ・予定している建物は建築可能か
  • ・同じ建物の再建築は可能か(特に建物の用途と規模を確認)
  • ・物件の利用に費用等の負担はないか

3-4. 道路その他インフラ

【説明内容】

  • ・私道に関する制限
  • ・飲用水等インフラ

【特に確認したい事項】

  • ・私道の権利関係は問題ないか
  • ・私道の利用に負担はないか (負担金、掘削等の承諾、通行権の有無など)
  • ・インフラは整備されているか
  • ・特別な費用負担はないか

3-5. その他物件に関する確認

【説明内容】

  • ・未完成物件の確認
  • ・造成宅地防災区域
  • ・土砂災害警戒区域及び津波災害警戒区域
  • ・石綿使用調査の有無
  • ・耐震診断の内容
  • ・住宅性能評価の有無
  • ・飲用水等インフラ
  •  

【特に確認したい事項】

  • 該当する場合は、
  • 1. その内容
  • 2. 物件の利用に関する制限
  • 3. 費用負担の有無
  • 4. その他の影響
  • などを個別に確認

3-6. マンション

【説明内容】

  • ・敷地の権利と内容
  • ・共用部分の定め
  • ・専有部分の定め
  • ・計画修繕積立金・管理費の定め
  • ・管理業者

【特に確認したい事項】

  • ・敷地の権利関係はどうか(敷地に借地権等はないか)
  • ・共用部分、専有部分の利用や管理のルールはどうか (希望する利用は可能か)
  • ・計画修繕積立金や管理費等の費用はいくらか
  • ・物件の管理状況はどうか
  • ・無理な契約内容になっていないか
  • ・その他契約内容を理解できたか

3-7. その他

【説明内容】

  • ・金銭の貸借のあっせん
  • ・瑕疵担保責任の履行
  • ・割賦販売
  • ・供託所
  •  

【特に確認したい事項】

  • 該当する場合は、
  • 1. その内容
  • 2. 購入後の対応
  • 3. その他の影響
  • などを個別に確認

3-8. 物件情報等報告書

中古物件の場合、売主は買主に対して、物件について知っていることを「物件情報等報告書」に記入して説明しなければなりません。

不動産売買の場合、物件が契約締結時にどのような状態であるか明確にしておく必要があります。特に中古物件は損耗が物件ごとに大きく違うため、売主はその旨を説明し、買主がそれを了解して取引するというのが通常の流れです。

万が一、物件に瑕疵(欠陥や不具合など)があるのにもかかわらず買主に伝えなかった場合、売買契約書の定めに関係なく売主に対しては損害賠償義務などが発生する可能性があります。

なお、瑕疵には物件に関する物理的なものだけでなく、事件・事故・自殺などの心理的瑕疵も含みます。また、物件に影響を及ぼす建築計画、騒音、振動、臭気、近くに暴力団の事務所などがあるなどについても説明しなければなりません。

いずれにせよ、売主は把握している瑕疵はできるだけ正確に買主に伝えることが後々のトラブルを防ぐ方法といえます。

4.重要事項説明におけるトラブル

重要事項説明におけるトラブル

重要事項説明におけるトラブルは、業者による事実と異なる説明や調査不足による説明漏れなど、 説明の不備によるものが多いといえます。
ここでは、国土交通省が発表しているデータ内で、典型的なトラブル例をいくつかご紹介します。

参考URL:https://www.mlit.go.jp/common/001037688.pdf

4-1. 建ぺい率・容積率の制限に関する買主と売主業者の認識の齟齬

土地の売買に関するトラブルです。売主業者が当該土地の建ぺい率・容積率を単に告げたに過ぎず、買主はその意味を理解できないまま契約してしまいました。
後に、当初予定していた住宅の建築が困難であることを知った買い主は、契約解除を売主業者に申し入れました。
しかし、当該業者は「重要事項説明を果たしている」ということを理由に、契約解除に応じなかったため、トラブルに発展しました。

4-2. 容積率の制限に関する買主と媒介業者の認識の齟齬

前の事例と同じく、土地の売買に関するトラブルです。買主は、媒介業者からの説明で容積率が100%だと信じて土地を購入しました。しかし、後に実際の容積率は80%であることを知り、その結果、予定していた住宅の建築が困難になってしまいました。
買主は、媒介業者に対して「容積率について適切な説明を受けていない」と主張しました。しかし媒介業者は、「重要事項説明書には、正しい容積率80%が記載されている」と主張し、トラブルに発展しました。

4-3. 水道管敷設に関する買主と媒介業者の認識の齟齬

中古建物付き土地の売買に関するトラブルです。媒介業者は買主に対して「当該土地の前面道路に水道管が埋設されていない」ということを口頭では説明したものの、重要事項説明書の記載が誤っていました。
買主は、契約後になって前面道路に水道管が埋設されていないことを知り、媒介業者に「事前に説明を受けていなかった」と主張しました。しかし、媒介業者は「当該説明を行っていた」と主張したため、トラブルに発展しました

5.まとめ

まとめ

1. 重要事項説明(重説)は、売買契約・貸借契約・委託契約の前に、その契約を締結するか否かを判断するために不動産業者が契約上重要な事項を説明すること。重要事項説明書はその際に用いられる書類を指す

2. 重要事項説明は、「宅地建物取引士」の資格所有者が、資格証を提示しながら重要事項説明書を交付するとともに、その内容を口頭で説明する

3. 説明をする宅地建物取引士は、 重要事項の説明時に相手からの求めがなくても宅地建物取引士証を提示しなければならない

4. 重要事項説明は契約前に受けるものであり、もし説明を受けて納得のいかないことがあれば、契約を中止できる

5. 重要事項説明におけるトラブルは、その多くが「口頭では説明を受けていたものの、認識に齟齬があった、あるいは説明不足だった」という理由から発展しているケースが多いといえる。

いかがでしたか。重要事項説明の内容は、購入の決断を左右する大切なポイントです。本文でも述べたように、納得がいかないことがあればリスクなしで契約を白紙に戻すこともできます。したがって、検討の時間を十分に設けるためにも、不動産会社にスケジュールを確認しておくことが大切です。

売買時、賃貸時、それぞれの詳細な重要事項説明書については、以下の記事も合わせてお読みください。

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