不動産売買契約でトラブルを確実に避ける重要事項説明書のポイント15個

前回の記事では、重要事項説明書の基礎的な解説をしました。発生しがちなトラブルも紹介したので、その大切さもご理解いただけたと思います。 まだご覧になっていない方は是非ご覧ください。

契約時には絶対に見逃せない!「重要事項説明書」の基本チェックリスト

前回は基本的なことを学びましたが、この記事では更に深堀りして

  • ・売買における重要事項説明書

について解説します。 重要事項説明書は売買だけでなく、賃貸においても契約時に必ず交わす書類です。これはつまり、自身が賃貸物件に住む際に使える知識であり、オーナーになってから貸す立場になったとしても有用ということです。それぞれチェックする項目が違いますが、この記事では売買における基礎的なチェックポイントを紹介します。 賃貸における重要事項説明書のチェックポイントについては、こちらの記事をお読みください。

1.不動産売買や賃貸で必要な重要事項説明書

重要事項説明書

重要事項説明は、「宅地建物取引士」の資格所有者が、資格証を提示しながら重要事項説明書を交付するとともに、その内容を口頭で説明します。

すべての項目を紹介すると非常に細かくなってしまうので、ここでは売買・賃貸に分けてとくに知っておいてほしいチェック項目を紹介します。基本的なチェックリストは、前回の記事の「3. 重要事項説明のチェックリスト」で解説したので、そちらをお読みください。

なお、実際に現場で使用されるサンプルは「重要事項説明書 売買 雛形」などと検索エンジンで検索すると、いくつかヒットしますので、大まかで構いませんので目を通しておくのもおすすめです。

2.不動産売買における重要事項説明書

不動産売買

これはマンションの売買における非常に重要なチェックポイントです。たとえ分譲マンションであっても、「所有権」を基本に、場合によっては「借地権」という特殊な権利が設定されている物件もあります。 簡単にそれぞれを解説すると、以下のようになります。

2-1.敷地に関する権利

これはマンションの売買における非常に重要なチェックポイントです。たとえ分譲マンションであっても、「所有権」を基本に、場合によっては「借地権」という特殊な権利が設定されている物件もあります。 簡単にそれぞれを解説すると、以下のようになります。

所有権

所有権は、文字どおり「その不動産の所有者になれる」ということです。後述する借地権付きとは違い、一定期間後に使えなくなったり、毎月地代を支払わなくてはいけなかったり、ということはありません。土地も建物も自分のものになる権利形態です。

借地権

物件を探していて「定期借地権」と書かれているマンションを見かけたことがあるかもしれません。 借地権を簡単に解説すると、「他人の土地の上に建物を建てて、その建物を利用すること」です。字義どおり「地(土地)を借りる」ため、所有権と違って土地の権利が移るわけではありません。 ただ、少々複雑なのは、一口に借地権といっても種類がいくつかあるところです。 といっても、非常に重要な知識であることに間違いないので、ここではポイントを絞ってお伝えします。

旧法借地権

借地権は、大正10年に制定された「旧法」と、平成4年8月から施行されている「新法」に分かれます。実際に市場に出ている中古物件は、旧法のほうが多いです。 旧法借地権には、20〜60年ほどの借地の期間が定められています。ポイントは、後述する「新法借地権」と異なり、契約期間が切れても1回につき通常20〜30年の更新ができるということです。ただし、更新料が発生するので、事前に確認したほうがいいでしょう。 なお、旧法借地権は、さらに「地上権」と「貸借権」に分かれます。

地上権
物件購入者にとって強い権利が与えられます。地主の許可がなくても物件の売買を自由に行うことができます。

貸借権
地上権よりはやや権利が弱まりますが、こちらのほうが主流となっています。 売却時には地主の承諾が必要です。さらに契約内容によっては「譲渡承諾料」を地主に支払う必要があります。

新法借地権

最近、特に都心部などの新築・中古マンションで増えています。旧法はあまりに土地を借りる人が強かったため、地主側にも権利がいくようバランスを取られたのが新法といえるでしょう。したがって、不動産を購入する側にとっては、「新法よりも旧法のほうがいい」と考えられます。

なお、新法借地権も旧法同様、2つに分かれます。 このうち、「普通借地権」については、契約満了時に更新を拒否する正当な事由が地主の側になければ、借地人の希望により契約更新されます。旧法では借主側の権利が強かったのですが、新法では地主側の都合でも解約できるという規定が設けられました。つまり、旧法を少し厳しくしたという理解で大丈夫です。

対して「定期借地権」は、借地権の契約更新ができません。借地権の契約期間は「50年以上」と定められているものの、契約期間が終わったあとは、建物を取り壊し、更地にしなければなりません。そのため、地代のほかに「解体積立金」を積み立てる必要があるのです。

そのため定期借地権のマンションは、所有権のマンションに比べ物件価格が安くなります。しかも超都心の一等地に立っている物件も多いため、ランニングコストを抑えたい人、契約初期の割高なうちに売却する可能性がある人、ずっと住み続ける人にとっては検討の余地があるといえます。

2-2.共用部に関する規約

マンション全体が所有管理している部分を「共用部」といいます。共用部のなかでも、「法定共用部分」と「規約共用部分」に分かれます。

・法定共用部分 共用の玄関、ホール、廊下、エレベーターホール、エレベーター室、電気室、内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、バルコニー、アルコーブ、室外機置場など

・規約共用部分(専有部分となり得る建物の部分) 集会室、管理人室、管理用倉庫など

物件ごとに共有部分のルールや規律が設けられているので、しっかり把握しておくようにしましょう。 また、◯号棟などの大規模マンションの場合、全体の共用部分と棟別の共用部分とで共用持分が、異なる割合にて定められているケースもあるので注意が必要です。

2-3.専有部に関する規約

専有部とは、主に所有者が暮らしている部屋のことを指します。室内のことですので、模様替え程度であれはもちろん自由にできますが、大きなリフォームだと管理組合の許可が必要な場合もあります。

よくある制限としては

  • ・事務所としての使用は不可
  • ・ペットの飼育の制限
  • ・遮音性能の劣る床材の張り替えの制限

などがあります。

2-4.管理費・修繕積立金

管理費は基本的に一度決められた額を毎月支払います。 修繕積立金は築年数に応じて負担が増えていくタイプと何年かに1度、一時金として数十万を徴収するタイプに分かれます。往々にして、新築時は販売会社が負担を安く見せたいため、割安に設定されています。

最近、「マンションは管理を買え」といわれるようになりました。これは管理組合がずさんで修繕計画が壊滅的になっているケースが多いといわれているからです。また、大規模タワーマンションだと将来的に修繕費が足りるのかという懸念もあります。どういった管理会社なのか、インターネットなどの口コミなどで評判をチェックしておく必要があるでしょう。

2-5.契約の解除

どんな契約もそうですが、一度締結してしまうと解除するのは至難の業です。 買主都合ならば手付金の放棄、売主都合の場合は受け取った手付金の倍返しなど、どのようなペナルティが設定されているか、もしくは契約解除できる期間がいつまでなのか確認しておきましょう。契約解除はトラブルに発展しやすいため、入念なチェックが必要です。

2-6.瑕疵担保責任

瑕疵担保責任とは、契約の締結当時に隠れた瑕疵(欠陥)があった際に、売り主が負う責任のことです。契約時に書面に落として口頭でも説明していれば、買い主は同意したものとみなされますが、購入後に隠れた瑕疵が発覚した場合、一般によくある事例としては、売り主が欠陥を修復してもらうというものです。

なお、2020年4月1日に施行される改正民法により、瑕疵担保責任という概念は削除され、新たに「契約不適合責任」という法律上の責任が定められます。

現行民法における瑕疵担保責任では、契約解除もしくは損害賠償請求のみを認めています。しかし、契約不適合責任では、さらに追完請求及び代金減額請求を認めています。 つまり、売主の責任や義務は瑕疵担保責任よりも厳しくなり、より買主にとっては救済される可能性が上がるということです。

2-7.法令に基づく制限の概要

取引の対象となる不動産が「各種法令による制限を受けるか」ということについて書かれたのがこの項目です。 ここでいう各種法令とは、主に都市計画法と建築基準法を指します。都市計画法では、全国の土地を「都市計画地域」「準都市計画地域」「その他地域」に分けています。 このうち都市計画地域は、さらに「市街化区域」と「市街化調整地域」の2つに分かれます。

市街化区域は、既に市街地として形成されている区域、もしくは10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域を指します。 一方、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域(農地や森林などを守ることに重点を置くエリア)のため、原則新しい建物を建てられないというのがポイントです。

市街化区域はその区域内で土地の利用目的を定めて秩序だった都市化を図っています。これを「区域区分」と言います。 区域区分には更に、12種類に分かれており、その地域の利用目的や建物の構造は建築基準法によって定められています。なお、都市計画区域内では「用途地域(建ててもいい建物の種類や規模の指定)」が定められています。用途地域は2019年4月から13地域に増えています。住居系、商業系、工業系に分かれ、それぞれに特徴があります。

なお、用途地域は各自治体がホームページを公開していますので、契約前には一度確認しておくことをおすすめします。

2-8.手付金等の保全措置

売主に付金等を支払ってから物件の引渡しまでの間に、売主の倒産や夜逃げなどで引渡しができない場合、買主は支払った手付金等を返してもらうことができます。これを「手付金等の保全措置」といいます。 具体的には、以下のいずれかが当てはまる場合、売主は保証書を発効し、手付金等の保全を行わなければなりません。

  • ・完成物件の場合……物件価格の10パーセント、もしくは1000万円を超える場合
  • ・未完成物件の場合……物件価格の5パーセント、もしくは1000万円を超える場合

2-9.金銭の貸借のあっせん

売主である宅地建物取引業者がローンのあっせんを行う場合、融資先・金利・返済方法などについて、さらには予定していたローンが受けられない場合の措置も買主に説明しなければなりません。 住宅ローンの場合、買い主に責任がない状況で審査が通らなかった場合、売買契約を無条件で解除することができる特約が売買契約に付されるのが一般的です。

2-10.割賦販売に関する事項

割賦販売とは、売買代金の全部または一部を2回以上に分割して、1年以上の期間にわたって支払う契約をして販売することです。 割賦販売に係る事項が「有」の場合、売主は以下を説明しなければなりません。

  • ・割賦で販売される価格(賦払金とも呼ばれます)
  • ・現金で販売する場合の売買代金価格
  • ・引き渡しまでに支払う金額(割賦販売のときは一般的に頭金と呼ばれます)
  • ・引き渡し後に分割して支払う金額
  • ・支払いの時期および支払方法
  • ・割賦販売の場合の契約解除等の制限について

2-11.供託所等に関する説明

不動産会社は新しく設立して営業をスタートする前に、所定の営業保証金を供託するか、または保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納めることが宅地建物取引業法によって義務付けられています。

しかし、営業保証金の額は、本店で1000万円、1支店(営業所)ごとに500万円と非常に高額です。そのため、営業保証金を供託する代わりに、国土交通大臣が指定した保証協会へ加入し、弁済業務保証金分担金を納めれば、営業保証金は免除されるというルールがあります。

売主が宅地建物取引業保証協会の会員でない場合、営業保証金を供託している供託所とその所在地について説明をしなければなりません。 もし宅地建物取引業保証協会の会員の場合、会員である旨、保証協会の名称、住所及び所在地、保証協会が保証金を供託している供託所とその所在地について説明をします。

3.まとめ

1. 重要事項説明書における「敷地に関する権利」は、特に借地権の場合はチェックが必要

2. 専有部については、「自分の部屋だから好きにしていい」と考えてしまう人もいるが、実際には管理組合によってさまざまなルールが設けられているため、トラブル回避のためにも確認が必要

3. 管理費や修繕積立金、手付金などのお金に関する部分、契約解除に関する内容については特にトラブルに発展しやすいので、少しでもわからないことがあったら契約前に必ず解決しておく

いかがでしたか。重要事項説明書には他にもさまざまな項目が書かれていますが、ここでは特にチェックすべきポイントをまとめました。専門用語も少なからず出てくるものですが、重要な部分になりますので、ぜひ繰り返し読んで理解を深めていただければと思います。

重要事項説明の基本的な解説は以下の記事をお読みください。
契約時には絶対に見逃せない!「重要事項説明書」の基本チェックリスト

賃貸における重要事項説明書のチェックポイントについては、こちらの記事をお読みください。
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不動産売買契約でトラブルを確実に避ける重要事項説明書のポイント
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