相続した不動産を売却したい!節税に役立つ確定申告の方法をプロが徹底解説

相続した不動産を売却する場合、「どんな税金がかかるのか?」「いくらになるのか?」「確定申告の方法は?」など、不安に感じることが多いと思います。

そこでこの記事では、

  • 相続した不動産を売却するときにかかる税金の種類や計算方法
  • 相続した不動産を売却時に支払う税金を徹底的に節税する方法
  • 相続した不動産を売却した際の確定申告の必要書類や手続方法

など、相続した不動産を売却する際に損しないために必要な知識と手続きを全て解説します。

相続税について詳しい浅野税務会計事務所の浅野和治税理士の監修のもと、相続不動産の売却における確定申告のポイントを徹底解説します。

確定申告は会社に勤務するビジネスパーソンにとっては馴染みがないため、「難しそう」「面倒そう」と思われるかもしれません。しかし確定申告をしなければ「無申告加算税」が課され、本来納付すべき税額が50万円までは15%、50万円を超えた分に関しては20%にあたる額を納付しなければならなくなる恐れもあります。

最初は難しく感じるかもしれませんが、不動産投資を行っている人、相続不動産を売却した人は誰もがやっていることを考えると、実はそこまで難解でもないといえます。ぜひ本記事で正しい確定申告の知識を身につけてください。

この記事があなたの資産を守るための不安の解消につながれば幸いです。

不動産の相続については以下の記事でも詳しく解説しておりますので、こちらもご参考ください。

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1.相続した不動産を売却する時かかる税金の種類や計算方法

相続した不動産を売却する時かかる税金の種類や計算方法

不動産売却では、どのような税金がかかり、またその計算はどのようにすればいいのでしょうか。確定申告の方法をお伝えする前に、重要な部分をお伝えしましょう。

相続した不動産を売却する際の税金、また節税方法については以下の記事で詳しく解説しています。

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1-1.不動産売却時にかかる税金とその計算方法

不動産の売却時にかかる税金は、とてもシンプルです。式に表すと、以下のようになります。

譲渡所得 = 売却したときの価格(譲渡価額)− 購入したときの価格(取得費)− 掛かった費用(譲渡費用)

※譲渡所得がプラスの場合、その金額に対して所得税と住民税が課税される

※譲渡所得がマイナスの場合、所得税と住民税は課税されない

大まかに考えると、例えば5000万円で購入した不動産が7000万円で売れた場合、譲渡所得は2000万円となり、この2000万円に対して所得税と住民税が課税されます。

逆に、5000万円で購入した不動産が4000万円でしか売却できなかった、つまり買ったときの金額から売却したときの金額を引いてマイナスになった場合、所得税等の税金は発生しません。

1-2.取得費がわからない場合、どうすればいい?

何十年も前に購入した不動産や、先祖代々受け継がれてきた土地を売却する場合、「購入金額がわからない」というケースもあるでしょう。

このような取得費がわからない場合「概算取得費」を用いて算出することが一般的です。概算取得費とは、譲渡価額の5%となります。例えば、譲渡価額が5000万円の場合の取得費は250万円です。

なお、概算取得費は法的に強要された計算方法でなく、「取得費がわからない場合には、合理的な計算方法であればいい」とされています。このあたりは専門家に相談するか、もしくは税務署に確認しながら取得費を計算するようにしましょう。

2.売却時に支払う税金を徹底的に節税する方法

売却時に支払う税金を徹底的に節税する方法

ここでは、不動産投資についても詳しい浅野税理士が相続した不動産を売却した際にかかる税金を徹底的に節税する代表的な手法を紹介します。

なお、こちらも詳しくは以下の記事で解説しています。気になった項目があれば、ぜひご一読をお願いします!

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2-1.相続してから3年10カ月以内に売却する

相続してから3年10カ月以内に不動産を売却すると、「取得費加算の特例」が使える可能性があります。

取得費加算の特例とは、相続した不動産、株式、ゴルフ会員権などの財産を売ったときに得られる譲渡所得を計算する際に、支払った相続税の一部を「取得費」に加算でき譲渡所得の金額を軽減させられる特例のことです。   

取得費加算の特例の図

取得費加算の特例は、次の3つすべてに該当しなければ受けることはできません。     

  • ・相続によって財産を取得した者が売却したこと
  • ・その財産を取得した者が相続税を支払ったこと
  • ・相続開始日から3年10カ月以内に売却したこと

取得費に加算できる相続税の金額は、 

その人の相続税額×譲渡する不動産の相続税評価額÷(相続税課税価格+債務控除額) 

で計算ができます。 

2-2.3000万円特別控除

3000万円特別控除とは、マイホームを売却した場合、所有期間の長短に関係なく利益部分(譲渡所得)から3000万円を控除できるという特例です。 相続人が被相続人と同居していた場合、あるいは相続後に移り住んだ後に売却した場合などに適用が可能となります。

つまり、以下の式に当てはめて、譲渡所得がマイナスとなるようであれば税金は発生しないということです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3000万円

たとえ譲渡所得がプラスであっても譲渡所得がかなり小さくなるため、相当の節税をすることができます。非常に効果の大きい特例といえるでしょう。

国税庁HP(マイホームを売ったときの特例)

参考:国税庁 マイホームを売ったときの特例

2-3.10年超所有軽減税率の特例

10年を超えて所有している居住用財産を売却して利益が出た時に、譲渡所得税の税率が低くなるのが「10年超所有軽減税率の特例」です。

国税庁HP(マイホームを売ったときの軽減税率の特例)

参考:国税庁 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

3.確定申告の必要書類や手続方法

確定申告の必要書類や手続方法

この章では、相続した不動産を売却した場合や相続した不動産で収入がある場合には確定申告が必要です。ここでは、確定申告について必要書類や手続き方法を見ていきましょう。

なお、確定申告については以下の記事でも詳しく解説しておりますのでぜひご参考ください。

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3-1.確定申告とは

確定申告とは、前年の1月1日〜12月31日までに発生した所得を3月15日までに税務署に申告し、税金を納付したり、還付を受けたりする手続きのこと。会社勤めをされている人の場合、基本的には会社が年末調整を行うので、確定申告をしたことがないという人がほとんどでしょう。

しかし、例えば不動産収入がある、相続した不動産を売却して譲渡により利益を得た場合、確定申告の必要があります。確定申告をしないと、のちに税務調査が入った際に延滞税などのペナルティが課されることがありますので注意が必要です。

3-2.確定申告で提出する申請書には2種類ある

譲渡所得の確定申告を行うには、通常の「申告書B第一表」と「申告書B第二表」に加え、申「告書第三表(分離課税用)」と「譲渡所得の内訳書」を作成する必要があります。

……と言っても理解するのは難しいかと思います。

そもそもの話になりますが、確定申告で提出する申請書には「A」と「B」の2種類があります。

  • ・申告書A……申告する所得が給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方が使用できます。
  • 前年分から繰り越された損失額を本年分から差し引く場合は、申告書Bを使用します。
  • ・申告書B……所得の種類にかかわらず、どなたも使用できます。
  • 前年分から繰り越された損失額を本年分から差し引く方や変動所得や臨時所得について平均課税を選択する方は申告書Bを使用します。

引用:国税庁HP(申告書用紙)

不動産関連での収入を得た場合は、申告書Bに記載しますので、本記事では「申請書B」で前提に話を進めます。

3-3.「申告書B第一表」と「申告書B第二表」

確定申告書Bは、第一表と第二表の2枚の書類で構成されており、両方記入する必要があります。

確定申告書B第一表は、以下のように8つのパートに分かれています。 

  • ・住所・氏名
  • ・収入金額等
  • ・所得金額
  • ・所得から差し引かれる金額
  • ・税金の計算
  • ・その他
  • ・延納の届出
  • ・還付される税金の受取場所

申告書B

引用:国税庁HP(申告書B)

記入の順番は、第二表に記入をしてから第一表に移ります。

申告書B2

引用:国税庁HP(申告書B)

3-4.申告書第三表(分離課税用)

不動産の譲渡所得は分離課税のため、申告書第三表(分離課税用の申告表)を作成する必要があります。収入金額・所得金額の部分にそれぞれ記入するとともに、所有期間に応じて短期譲渡か長期譲渡かを選択しましょう。

申告書-分離課税用

引用:国税庁HP(申告書【分離課税用】)

3-5.譲渡所得の内訳書

譲渡所得の内訳書は、売却した不動産の所在地などの詳細や、売却や取得した際の金額を記載するためのものです。

譲渡所得内訳書

全部で4面あります。

引用:国税庁HP(譲渡所得の内訳書)

3-6.特例の適用を受ける際の必要書類

特例の適用を受けるためには、その条件を満たしていることを証明する書類や、特例専用の申告書を提出する必要があります。また確定申告書第三表の「A」の欄に必ず「特例の条文番号」を記入してください。

3,000万円特別控除の適用を受ける際の必要書類

居住用財産の3,000万円特別控除の適用については、現在マイナンバー制度の導入により、必要書類は何もありません(マイナンバーを記入しない場合は必要です)。

所有期間10年超の軽減税率の特例の適用を受ける際の必要書類

所有期間10年超の軽減税率の特例の適用を受けるためには、売却した不動産の登記事項証明書の提出が必要です。「登記事項証明書」とは、不動産に関する情報が記載された書類のことです。

登記事項証明書を取得する方法は「法務局に行って取得する」「オンラインで取得する」の大きく2つあります。

おすすめはオンラインですが、オンラインでも「窓口に直接取りに行く方法」と「郵送で送ってもらう方法」の2つがあり、前者の手数料は1通480円、郵送の場合は500円となります。

ただし、以下の場合はオンライン請求ができません。

  • ・現在事項証明書で登記事項が500を超える場合
  • ・地図や図面の証明書のデータが5MBを超える場合
  • ・証明書が99枚を超える場合

なお、登記事項証明書の取得には、便利なオンラインサービスもあります。

特に「登記ねっと 供託ねっと」「登記情報提供サービス」はインターネット上の申請が可能であり、法務局まで出かける、窓口に行く手間が省けるので便利です。

3-7.住民税の申告について

住民税については、所得税の申告をした段階で自動的にそのデータが地方自治体へ送られます。そのため、わざわざ住民税の確定申告を別に行う必要はありません。

なので、住民税に関して納税者がすべきなのは、納税通知書と納付書が届くのを待ち、期限内に納税することだけです。

ただし、所得税と住民税の納税時期には数カ月のズレがあるので注意が必要です。

所得税は、不動産を売却した年の翌年3月15日まで(振替納税の場合には4月20日頃)に支払います。

一方、住民税は6月からとなっています。 

したがって、所得税の納税が終わって油断していると、後からきた住民税の支払いが予期せぬ負担になってしまいます。きちんと納税計画を立てておきましょう。

まとめ

1.相続した不動産の売却時にかかる税金の計算式は、「譲渡所得 = 売却したときの価格(譲渡価額)− 購入したときの価格(取得費)− 掛かった費用(譲渡費用)」

2.取得費がわからない場合「概算取得費」を用いて算出することが一般的。概算取得費とは、譲渡価額の5%。例えば、譲渡価額が5000万円の場合の取得費は250万円となる

3.確定申告とは、前年の1月1日〜12月31日までに発生した所得を3月15日までに税務署に申告し、税金を納付したり、還付を受けたりする手続きのこと。確定申告をしないと、のちに税務調査が入った際に延滞税などのペナルティが課されることがある

4.譲渡所得の確定申告を行うには、通常の「申告書B第一表」と「申告書B第二表」に加え、申「告書第三表(分離課税用)」と「譲渡所得の内訳書」を作成する必要がある

5.確定申告書Bは、第一表と第二表の2枚の書類で構成されており、両方記入する必要がある。不動産の譲渡所得は給与所得などとは異なり、分離課税のため、申告書第三表(分離課税用の申告表)を作成する必要がある

6.特例の適用を受けるためには、その条件を満たしていることを証明する書類や、特例専用の申告書を提出する必要がある

いかがでしたか。相続した不動産を売却すると特例の適用もあり、うまく活用することで税負担を少なくすることができます。

しかし、ここで紹介したものはごく一部であり、実際は詳しく内容の検討が必要となります。不動産売却における税金は非常に高額なため、計算を間違えて申請すると予期せぬ大ダメージを被る恐れもあります。

したがって自己判断ですべてを決めることはせず、不明な点や迷ったことがあれば税務署か税理士に相談することをおすすめします。

不動産の相続について詳しく知りたい方は、以下の記事からご覧いただけます。こちらもぜひご参考ください。

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