プロが解説|投資用マンションの売却で損をしないタイミングと方法

投資用マンションの売却を考えている方なら「少しでも高く売りたい」と考えているはず。同時に、

  • 「いつ売るべきか?」
  • 「どうやったら高値で売れるか?」

という悩みもお持ちでしょう。

マンションを売却して収益を上げることで、資金調達もでき、今後の不動産投資の戦略も立てることができます。しかしながら、投資用マンションの売却に関わる費用や査定方法など、把握していないと、損をして失敗することも。

投資用マンションの売却で失敗をしないために、
この記事では、次の疑問にお答えします。

  • 投資用マンション売却にかかる費用は?
  • どんな査定が行われるか?
  • 売却までにはどんな流れで、どれくらい期間がかかる?
  • 確定申告での注意点は?
  • 残債があるが、売却は可能か?

自身も投資歴10年以上あり、マンション売却の経験もある筆者が、上記の悩み・疑問をすべて解消していきます。

不動産は流動性が低い投資対象なので、売却を成功させるためには「瞬発力」よりも「計画性」と「戦略」が求められます。本記事を読んで知識を身につけ、ぜひご自身の売却計画・戦略に活用してください。

本記事が「投資用マンションを少しでも高く売りたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.投資用マンションの売却タイミングを知る

投資用マンションの売却タイミングを知るそもそも投資用マンションはどのタイミングで売るのがいいのか紹介しましょう。

1-1.相場が上がっているとき

2021年1月時点では、完全に「売り相場」といえます。特に都心部の投資用マンションは、以下の理由で供給よりも需要が大きく上回っています。

  • ・融資が厳しくなり、一棟に手を出せない人が買っている
  • ・都心部の好立地は利回りが低くても、運用リスクも比例して低いので安心感がある
  • ・都心部は今後も人口減少の影響を受けにくいとされている
  • ・「年金2000万円不足問題」など将来に不安を抱く人が増えており、資産形成の手段として不動産投資が注目されている

一般に、「不動産価格は株価に連動する」といわれています。新型コロナウイルスの影響で経済は悪化していますが、日銀が買い支えているため、株価はバブル期以来の好調ぶりです。数年後に歴史的な経済クラッシュが起こると予想している識者もいますが、少なくとも2024年の新紙幣発行までは現在の状況が概ね続くのではと私は考えています。

1-2.現金が必要なとき

現在所有している投資用マンションよりも規模の大きな収益物件(アパート、マンション)を購入し、資産拡大のスピードを速めたいとき、売却を考えるタイミングとなります。最近は融資の際に物件価格の1、2割は自己資金が必要なので、規模拡大のための前向きな売却といえるでしょう。

ただ人によっては、「残業時間が減った」「解雇になった」などの理由で、投資用マンションを売って現金化しなければならないケースもあるはずです。この場合は買い叩かれる可能性が高いですし、しっかり稼いでくれている物件なら手放すのはもったいないです。そうした状況に陥らないよう、できるだけ注意したいものです。

1-3.利益確定したとき

利益確定とは、簡単にいえば「投資にかかった全出費 < 家賃収入の累計+売却益」の公式が成り立つかどうかです。これは主に3パターン考えられます。いずれの場合も譲渡税を加味して計算をする必要があります(譲渡税については後述します)。

売却金額が購入金額を超える場合

毎年の賃貸経営が黒字で、かつ購入金額を売却金額が超える場合、理想的な売却タイミングといえます。

例えば、1500万円で購入した投資マンションが、5年間の運用で300万円の黒字が出ていて、2000万円で売れた場合、単純計算で800万円(運用益300万円+売却益500万円)儲けたことになります(実際には売却時には諸費用がかかります)。相場を調べて、もし近い条件の物件が高値で売れていたら、売却して利益確定させるのも選択肢の一つです。売却金額が購入金額を超える場合

売却金額が購入金額を超えないが、運用益で全収支がプラスになる場合

家賃収入の累計+売却金額の合計が購入金額を超えても、投資として理にかなっています。例えば、1500万円で購入したマンションが毎年100万円の収益を生み、5年後に1200万円で売却したとします。この場合、1200万円+500万円(100万円×5年)=1700万円になります。よって、単純計算で200万円(諸費用分を除く)儲けたことになります。売却金額が購入金額を超えないが、運用益で全収支がプラスになる場合

運用中は赤字だったが、売却益で全収支がプラスになる場合

これは都心部、好立地の利回りが低い投資用マンションにありがちなパターンです。例えば3000万円で購入し、高い稼働率で運用していたものの、利回りが低いので毎月1万円の持ち出しが発生していたとします。つまり、5年後に売却するとしたら、それまでに60万円の持ち出しが発生していたことになります。

しかし、たとえ運用期間中は持ち出しがあったとしても、都心部の好立地物件であれば、物件価格の下落幅は小さく、むしろ上昇しているケースも珍しくありません。したがって、売却時の価格が購入時よりも高い、もしくはほぼ同じ水準なら、出口を迎えた瞬間に利益確定できる可能性は十分にあるわけです。運用中は赤字だったが、売却益で全収支がプラスになる場合

1-4.デッドクロスを迎えるとき

デットクロスとは、経費になる利息の返済分より経費にならない元金の返済分が増えるために経費計上が減ることにより、税金が増えてキャッシュフローがマイナスになることを指します。デットクロスの時期を迎える前は、不動産の売り時としてはふさわしいといえます。

デッドクロスについては以下の記事で詳しく解説しているので、知識が十分でない方はぜひお読みください。

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1-5.損切りしたいとき

新築ワンルームマンションを購入してしまった人が陥りがちなパターンです。初年度はそれなりに節税できるかもしれませんが、以降は持ち出しが発生するだけです。

しかも大半は「新築プレミアム」といって高い値付けがされているため、売却価格が購入価格を上回るケースはまずありません(かつて一部ありましたが、現在はまず見られません)。

ただ赤字を垂れ流して将来的に売却益も狙えないのなら、早急に損切りをするのが正解です。残念ではありますが、傷口を広げないためにも損切りする勇気を持つことが大切だといえます。

2.投資用マンションを少しでも高く売る方法

投資用マンションを少しでも高く売る方法せっかく売却するなら誰でも高値で売りたいもの。どのような方法があるのか見ていきましょう。

2-1.査定は複数の不動産会社に出す

不動産会社1社だけに査定を依頼すると、その価格が本当に見合った価格かどうかの判断ができません。また、不動産会社によって強みが異なります。必ず複数の不動産会社に査定依頼して、どの値段まで高く売れるかをしっかり見極めましょう。特に投資物件を専門的に扱っている不動産会社に依頼することが大切なポイントです。

ただし、複数の不動産会社に査定依頼を出して、明らかに高い価格をつけてきたときは注意が必要です。その会社は売主と専属契約を交わし、自社で売却したいために高い価格で査定している可能性があるからです。

この場合、最初は高い査定額だったのに、数カ月売れずに「この価格だと厳しいので、少し下げましょうか」と担当者から言われ、結局相場価格になってしまう……というケースもあります。

複数の不動産会社に査定依頼を出すことは大切なのですが、「自分の予想よりも高い価格が出たら疑う」という心構えを持ちましょう。

2-2.空室で売る

入居中の状態で売ると「オーナーチェンジ物件」となり、買主は「投資家」になります。一方、ファミリータイプの物件を空室で売ると買主は「実需」、つまり「マイホーム」として買う層がターゲットに含まれます。

投資家は物件の価格や収益力にシビアであり、「その物件でないといけない」というこだわりは基本的にはありません。しかし実需層は投資家ではないので、価格を判断する力が投資家よりも低いといえます。さらに、さまざまな事情により、「このエリアの物件が欲しい」といった需要もあります。エリアや物件のスペックによって一概にはいえませんが、「空室で売ったほうが高い価格が付く物件」もあるのは事実です。

とはいえ、空室にするということは、その期間は家賃収入を得られません。「収入減」と「売却価格の値上がり」を天秤にかけ、判断するのがいいでしょう。

なお、空室の状態だと投資家からの評価は下がります。つまり、実需をターゲットにするか、投資家をターゲットにするかは事前に戦略を決めておく必要があるといえます。

2-3.外国人投資家も視野に入れる

首都圏の投資用マンションは世界の先進国と比較しても「利回りが高く、割安である」という認識を持たれています。そのため、中国や台湾等のアジア系の投資家が高く購入してくれる可能性があります。買主を日本人だけに絞るのではなく、外国人投資家とのネットワークがある不動産会社に売却依頼をするのも選択肢の一つです。

2-4.大規模修繕後に売る

大規模修繕後は、物件の印象も良くなっているため、高く売りやすい傾向があります。ただし、無理に大規模修繕を待つ必要はありません。それで築年数が古くなったり、赤字が積み重なったりするのなら本末転倒です。

あくまで、「売却したいタイミングが大規模修繕と近いのであれば、今すぐ売りに出すのではなく、大規模修繕が終わったあとに売りに出す」と考えるのが得策といえるでしょう。

3.投資用マンション売却にかかる費用とは?

投資用マンション売却にかかる費用とは?次に投資用マンション売却にかかる手数料や諸費用をみていきましょう。
投資用売却をして利益を得るどころか、失敗する結果に陥らないためにも知っておくことが重要です。

3-1.基本的にかかる費用は「売却価格の5〜7%程度」

投資用マンションの売却を行う際には以下の費用がかかります。

売却にかかる諸費用
不動産仲介手数料 {(売却額×3%)+ 6万円 }×消費税率
印紙税 1000円〜6万円(売却金額により変動)
抵当権抹消の手数料 約1000~2万円(自分で行うか、司法書士に依頼するかで変動)
ローン一括返済の手数料 約1~3万円 ※ローンがある場合のみ
不動産売却にかかる税金 所得税・住民税・印紙税など ※売却損が出た場合、所得税・住民税は不要

これらを合計して、売却価格の5〜7%程度が諸費用としてかかります。

3-2.さらに売却益が出た場合は「譲渡所得税」もかかる

不動産の売却金額が不動産の購入金額を超えて利益が出た場合、「譲渡所得税」がかかります。譲渡所得税の計算式は以下のとおりです。

譲渡所得税 = {不動産の売却額 ー( 不動産の取得費用 ー 売却にかかった費用)}× 税率

ここで注意したいのが「税率」です。不動産の所有期間が5年以下か5年以上かによって、売却時の譲渡所得にかかる税率が異なります。具体的な税率は以下のとおりです。

  • ・所有期間が5年以下の場合(短期譲渡)……39.63%
  • ・所有期間が5年以上の場合(長期譲渡)……20.315%

見ていただければわかるとおり、所有期間が5年以下の場合、所有期間5年以上の場合に比べて2倍の税額になります。売却益と税率を鑑みて、売却タイミングを検討するのがいいでしょう。

売却にかかる税金については、以下の記事に詳しく解説があります。

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4.投資用マンションの査定方法は居住用と異なる

投資用マンションの査定方法は居住用と異なる投資用マンションは、居住用マンションと査定方法が異なります。

居住用マンションの査定では、「取引事例比較法」が主に使われます。
取引事例比較法とは、売却する不動産と条件が近い不動産の取引事例をもとに価格を算出する方法です。例えば、「同じマンションの一室が最近3000万円で売れた経歴があるから、今回はこれくらいだな」と類似物件との比較によって価格が決まるわけです。

一方、投資用マンションは「収益還元法」を用いて不動産を査定します。簡単にいうと、「その不動産が将来どれくらいの収益を出すのかを算出して価格を決める方法」です。計算式は以下のとおりです。

収益還元法査定価格 =(想定年間賃料-固定資産税等の年間出資額)÷ 想定利回り

例えば、月額8万円(管理費込)で賃貸しているとします。 固定資産税や管理費等の年間出資額が20万円、そのマンションや地域の想定利回りを6%とすると、以下のようになります。

収益還元法査定価格=(96万円-20万円)÷0.06=1250万円

この価格をベースとしつつ、相場や売主の意向なども考慮して売却価格を決めるのが基本です。

5.投資用マンション売却の流れ

投資用マンション売却の流れ投資用マンションを売却する際は、以下の流れで進みます。

  1. 価格査定(複数の不動産会社に出すのがおすすめ)
  2. 不動産会社と媒介契約の締結
  3. 売却活動の開始
  4. 契約条件の交渉
  5. 売買契約の締結
  6. 引渡し
  7. 賃貸人の地位承継通知(入居者がいる場合)
  8. 確定申告

6.売却前に確認すべき点とは?

売却前に確認すべき点とは?不動産は購入時のみならず、売却時にも税金がかかります。しかも、税金にかかる金額はとても大きいため、知らないと損することもありますので、しっかりと理解をしておくことが必要です。正しい知識を持つことで、合法的に税金を低く抑えることもできます。

以下の記事では、税理士監修のもと、不動産売却時の税金の計算方法から節税対策まで詳しく紹介しています。不動産投資をしている人なら必見の記事ですので、見ておいて損はありません。

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7.ローン残債があっても売却できる?

ローン残債があっても売却できる?結論からいえば、ローン残債がある物件でも売却をすることは可能です。

ただし、売却価格がローン残債を上回る場合は、売却費用ですべてのローンを完済したうえで抵当権の抹消を行います。抵当権抹消登記を行うことで、不動産登記の名義変更を行えます。
例えば、売却益が3000万円で残債が2000万円であれば、2000万円はローン返済に充て、1000万円が手元に残ることになります。

逆に、売却費用がローン残債に満たない場合、自己資金を使って完済する必要があります。自己資金を使用しなければ抵当権の抹消ができず、売却することができません。例えばローン残債が3000万、売却費用2000万円の場合、1000万円を自己資金で返済する必要があります。

8.売却にはどんな不動産会社がおすすめ?

売却にはどんな不動産会社がおすすめ?投資用マンションの売却の成否を左右するのは不動産会社といっても過言ではありません。

  • ・不動産売却時の注意点
  • ・「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の違い
  • ・売却依頼をする不動産会社選びのポイント

については、以下の記事で詳しく解説しています。上記の言葉を見て「?」と少しでも思った人は、ご一読をおすすめします。

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まとめ

1. 投資用マンションには「売り時」も「高値で売る方法」もある

2. 売却時に発生するコストは「売却価格の5〜7%程度」。ただし売却益が出る場合、短期譲渡か長期譲渡かで利益は大きく異なるので注意

3. ローン残債があっても売却は可能。ただし、売却益がローン残債を上回らない場合、自己資金からの持ち出しが必要になる

いかがでしたか。どんな投資でも、最終的な利益を確定するのは「出口」を迎えたときです。不動産投資の場合、ついつい目先の利回りに注目しがちですが、出口で失敗してしまっては元も子もありません。購入を検討する際は、「最終利益はいくらになるだろう?」という視点をぜひ持っていただければと思います。

この記事を書いた人
山本ゆりえ

山本ゆりえ

ライター・編集者・大家。
木造アパート4棟、重鉄マンション1棟、区分マンション2戸を取得(3棟・区分2戸は売却済)。転貸のレンタルスペース1戸運営中。これまで購入した自宅は3戸。不動産投資の分野を得意とし、これまで関わった不動産関連書籍は100冊を超える。
執筆している記事:MONEY PLUSbizSPA!フレッシュ

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