賃貸借契約書の作成の際に気をつけるべき9つのポイントを解説

賃貸借契約書とは賃貸物件の契約で必要になる書類です。不動産投資をしているオーナーが知っておくべき賃貸借契約書の必須事項などの基礎情報や、なぜ契約書が必要なのか賃貸借契約書の重要性については、「賃貸借契約書とは?必須事項や費用まで解説【オーナー向け】」でわかりやすく説明してあります。

しかし、賃貸借契約書は、フォーマット通りに作成すればいいものではなく、物件に合わせた特約を盛り込むことが重要です。

ここでは、賃貸借契約書にはどのような内容を記載すればよいのか?作成の際に気を付けるべきポイントは?など、賃貸借契約書の中身についてくわしく説明していきます。

具体的には以下の内容です。

  • 賃貸借契約書に記載するべき具体的な事項
  • 「普通借家」と「定期借家」の契約内容の違い
  • 作成の際に気を付けるべきポイント
  • 賃貸借契約の手続きで必要なもの

賃貸借契約書に記載すべき内容を全て自分で作成するのは難しいと思いますが、不動産会社などに任せっきりにした結果、後々トラブルに発展したということにならないためにも、賃貸物件のオーナー自身が賃貸借契約書の作成で気を付けるべき知識をしっかりと身につけて、不動産投資のリスクを減らしていきましょう。

また、賃貸借契約書の必須事項や費用については以下の記事で詳しく説明していますので、あわせてお読みください。

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1.「賃貸借契約書」で定める基礎的な事項

「賃貸借契約書」で定める基礎的な内容

賃貸借契約書は物件によりさまざまな特約をつけることができますが、まずはどの物件でも基本的に記載しておくべき『5つの基礎』についてみていきましょう。

ここでは、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」をもとに説明していきます。

1-1. 賃貸借の目的物(物件の名称・所在地、建て方、設備、付属施設)

間違いはないと思いますが、物件名、住所が正確かどうか確認するようにしましょう。

建て方は、「共同建 長屋建 一戸建 その他」から選択し、構造、階数、戸数、大規模修繕の完了年などを記載します。

設備は、トイレ、浴室、洗面台などの基本的なものからオートロック、インターネット対応、メールボックスなどの現代的設備までチェックを付けます。 また、使用可能電気容量、ガス、水道についても記載します。

附属設備は、駐車場、自転車置き場、物置、専用庭などです。こちらも該当するものがあればチェックしましょう。

1-2. 契約期間・更新時の条件など

まず、契約が「普通借家」か「定期借家」なのかを確認したうえで、契約期間を確認します。

契約期間は、「賃貸借契約がいつからいつまで有効か」を表しています。 仮に契約締結の翌日から入居が始まるとしても、契約書上では「翌月」になっていた場合、それまでの期間は契約の対象外になってしまうため注意が必要です。

そのうえで、契約の更新手続きや更新料の有無を確認します。 もし更新料が必要な場合は、金額、支払い条件などもチェックしましょう。

普通借家契約

普通借家契約の特徴は、以下のとおりです。

  • ・契約期間は1年以上(通常は2年が多い。1年未満にすると「期間の定めのない契約」になるので注意)
  • ・中途解約についての特約、解約の予告期間を定められる
  • ・入居者が更新を希望する場合、正当な事由がない限り、オーナーからの解除や更新の拒絶はできない。

特に着目すべき点は、3つめです。

これつまり、たとえ入居者が何かしらの理由(家賃滞納が続く、近隣トラブルが絶えないなど)があって「これ以上住んでほしくないな。早く退去して新しい人に入居してほしい」と思ったとしても、基本的には契約を解除できないということです。 この点だけで判断するのなら「オーナーに不利、入居者に有利」な契約形態といえるでしょう。

定期借家契約定期借家契約の特徴は、以下のとおりです。

■契約期間は自由。契約の更新がない

これは普通借家契約と比べると、契約期間が終了したら物件を明け渡してもらえるので、オーナーにメリットがあるといえます。 ただし、公正証書などの書面によって契約をしなくてはなりません。 また、契約更新がないこと、期間満了で契約も終了することを事前に契約書以外の書面で入居者に説明しなければいけません。 もしこの説明をしなかった場合、「普通借家契約」になってしまいます。

■床面積が200㎡未満の物件の場合、入居者が転勤などのやむを得ない事情で住み続けることが困難になった場合、解約が可能

■オーナーからの契約期間内での解約は基本できない

■契約終了時は、オーナーと入居者が合意すれば再契約も可能

普通借家契約と定期借家契約、どっちがいい?

オーナー側の立場で考えれば、メリットが大きいのは「定期借家契約」でしょう。

ただ、定期借家契約が創設されたのは2000年で、まだ認知度・利用件数は低いといえます。

国土交通省が2019年4月に公表した「平成30年度住宅市場動向調査」によると、認知度は38.3%、利用はわずか1.5%に過ぎません。

定期借家制度の認知 定期借家制度の利用

出典:ともに国土交通省「平成30年度住宅市場動向調査」

とはいえ、定期借家契約はオーナーにメリットがある分、入居者のハードルが高くなります

説明不足による訴訟問題も起きているため、オーナー側で定期借家契約についての理解を深め、不動産会社に任せきりにせず、家賃設定を相場より若干低く設定するなど対策を考えることが大切です。

1-3. 賃料や共益費の額と支払い方法、滞納時のルールなど

お金に関する部分はもっともトラブルに発展しやすいので、入念にチェックしましょう。

賃料や共益費の支払い方法は、現在だと振り込みや自動引き落としで、翌月分を前月末日までに支払うのが主流です。また、滞納が発生した際に延滞金を求める場合は、延滞利率についても検討しましょう。 ほかに、賃料改定の取り決めがある場合は、その内容も確認します。

一方的に賃料が増額となるなど、賃料改定でトラブルとなる場合もありますので注意しましょう。

1-4. 賃借人及び管理業者

物件の所有者と賃借人が異なる場合、オーナー→賃借人→入居者という転貸の形式を取っていることになります。

このとき、オーナーが所有者から転貸の承諾を得ていないと無断転貸になり、所有者はオーナーとの間の賃貸借契約を解除することができます。こうなると、賃借人は、所有から物件の明け渡しを求められるため、入居者に出て行ってもらわなくてはならなくなります。

1-5. 賃借人及び同居人

簡単に言ってしまえば、「どんな人が、何人住むのか」記載する項目です。

契約書の記載と異なる場合(例えば報告・申請もなく同棲をしていたなど)、入居者側の契約違反になるため、契約の解除原因になり得ます。

2.「賃貸借契約書」の作成ポイント

「賃貸借契約書」の作成ポイント

ここまで、賃貸借契約書に記載すべき基本的な事項を紹介しました。ここからは、その他の賃貸借契約書を作成する際におさえておくべき『4つのポイント』を見ていきましょう。

物件に合わせた特約を盛り込むことで、賃貸物件オーナーのメリットになるような賃貸借契約書にしていくことができます。

2-1. 修繕や原状回復に関する内容

入居者は、オーナーから借りた物件から退去する際、借りたときの状態さなければなりません。 これを「原状回復」といい、大半の賃貸借契約で定められています。

一般的には、日常的な使用(経年劣化や自然摩耗)によって出た修繕はオーナーが負担し、入居者の故意や過失によって生じた修繕は、入居者が負担します。

2-2. 敷金

敷金などを求める場合、金額と返還に関する具体的な手続きなどを定める必要があります。 特に、敷金や原状回復費についてはトラブルに発展するリスクが高いため、しっかり取り決めしておきましょう。

また、敷金は地域ごとに考え方が異なるため、必ずしも設定するのが当たり前とは限りません。物件のエリアの事情を事前に確認しておくことが大切です。

2-3. 反社会的勢力

オーナーとしては、入居してもらえるのは家賃収入が入るという意味で非常に有難いことです。

しかし、反社会的勢力の入居者が付くことはリスク以外の何物でもありません。 例えば、所有物件が暴力団事務所として使用されると、その後の近隣の物件への入居申し込みにネガティブな影響が生じる可能性が高くなります。

したがって、反社会的勢力を排除する条項を定めておき、万が一、入居者が違反した場合には即時に賃貸借契約を解除できるようにしておく必要があります。

また、反社会的勢力の排除は行政も推進しており、不動産流通4団体((社)全国宅地建物取引業協会連合会、(社)全日本不動産協会、(社)不動産流通経営協会及び(社)日本住宅建設産業協会)も暴力団が住宅関連の契約書における暴力団の排除項目には積極的な姿勢であり、警察庁もこれに支援しています。

以下はその内容です。

  • (反社会的勢力の排除)
  • 第○条
  • 貸主(甲)及び借主(乙)は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。
  • (1) 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと。
  • (2)自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと。
  • (3) 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。
  • (4) 自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
  • ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
  • イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
    (禁止又は制限される行為)
  • 第○条
  • 乙は、本物件の使用に当たり、各号に掲げる行為を行ってはならない。
  • (1)本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供すること
  • (2)本物件又は本物件の周辺において、著しく粗野若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせること。
  • (3) 本物件に反社会的勢力を居住させ、又は反復継続して反社会的勢力を出入りさせること。 (契約の解除)
  • 第○条
  • 1 甲又は乙の一方について、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告も要せずして、本契約を解除することができる。
    一 第○条の確約に反する事実が判明したとき。
    二 契約締結後に自ら又は役員が反社会的勢力に該当したとき。
  • 2 甲は、乙が第○条各号に掲げる行為を行った場合は、何らの催告も要せずして、本契約を解除することができる。

この条項に違反した場合、賃貸借契約を解除することができます。

とはいえ、入居者が反社会勢力に該当していることが明らかでないのだったら、まずは証拠を集めて解除の意思表示をすることになります。

2-4. 禁止事項

入居者トラブルを防いだり、長期的な物件イメージダウンやコスト負担を避けたりするため、禁止事項は設けるようにしましょう。

主に以下のような項目が挙げられます。

■無断転賃
基本的に、無断転賃(借りた物件を無許可で他の人に又貸しすること)は禁止するのが通常です。

■ペットの飼育
こちらもオーナーの許可がなければ禁止とすべきです。もし「可」にする場合も原状回復費に通常よりも多くお金がかかることを考慮し、敷金をプラス1カ月で設定したほうがいいでしょう。
また、ハムスターなど小型の動物はペット不可でも問題ないとするのか、ペット可でも「中型犬1匹まで」など数と大きさを指定するかどうかも検討すべきです。

■迷惑行為
深夜の騒音や楽器の演奏などについて禁止するような記載をしましょう。

■共用部や駐車場の使用
敷地内の駐車場以外の場所に無許可で車を駐車する、共用部に荷物を置くなどを禁止するかどうかです。

3. 賃貸借契約書の手続き

賃貸借契約書の手続き

賃貸借契約の締結は、通常、不動産会社の事務所などで行われることが多いといえます。

契約の際には、オーナーや入居者、仲介会社などが立ち会うこともありますが、基本的にはオーナーは立ち会わずに不動産会社依頼するケースが多いといえます。契約時には、契約書の内容を相互で確認し、問題がなければ署名・捺印をします。

なお、入居者が契約時に必要なものとしては、一般的に以下の書類があります。

  • ・印鑑証明書
  • ・収入を証明する書類
  • ・住民票
  • ・連帯保証人承諾書など

※契約によって必要な書類は異なります。

4.まとめ

  • 1. 賃貸借契約書の基本フォーマットを確認する際は、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」を参考にするとよい。最初は賃貸借の目的物(物件の名称・所在地、建て方、設備、付属施設)を確認する
  • 2. 次に確認するのは「契約期間・更新時の条件など」。ここでのポイントは「普通借家契約」にするか「定期借家契約」にするかどうか。「定期借家契約」のほうがオーナー側のメリットは大きいとはいえるものの、入居者から許可を得るハードルは高い。実際、2019年4月の調査結果によると、定期借家契約の認知度は38.3%、利用はわずか1.5%に過ぎない
  • 3. その他「賃料や共益費の額と支払い方法、滞納時のルール」「修繕や原状回復に関する内容」などお金に関することは後々トラブルに発展するリスクが高いため、厳密に定めることが求められる。ほかにも、禁止事項、反社会力勢力など避けたい内容はさまざまのため、それぞれに対して事項を設定しておく必要がある

いかがでしたか。賃貸借契約書は一見、文字が多く難しそうにも感じられますが、中に書いてあることはすべて非常に重要なことであり、一つの見逃しが後々のリスクにつながる可能性もあります。1から10まで自分で作成するのは難しいはずですので、不動産会社に確認や相談をしたりして、自身の物件にふさわしい内容の賃貸借契約書を作成していただけたらと思います。

なお、賃貸借契約書については以下の記事でも詳しく解説していますので是非お読みいただければと思います。

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