ローン完済しても消えない!抵当権を抹消するには?必要書類・手続きのポイント

住宅ローンを完済しても、抵当権は自動的には抹消されませんので、抵当権を抹消する手続きを行わなければなりません。抵当権がついたままだと、たとえ返済が完了していても、登記簿上はローンをまだ返済していないとみなされ、いろんなデメリットがあります。

抵当権の抹消手続きポイントをしっかり押さえておけば、自分で行うことが可能です。

この記事では、

  • なぜ抵当権を抹消する必要があるのか?
  • 抵当権の抹消手続きを行う場合の必要書類
  • 抵当権抹消にかかる費用
  • 抹消手続きの手順
  • 自分で抵当権抹消を行う際のポイント

について解説します。

また、抵当権とは何か?をまだご存じでない方は、以下の記事で、抵当権とは何か?詳しくご説明していますので、ぜひご覧ください。

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不動産投資以外でも役立つ!スラスラわかる「抵当権」の基礎

1.抵当権の抹消とは

抵当権の抹消とは

抵当権抹消とは、言葉のとおり、「不動産に設定された抵当権を消すこと」です。

不動産を売却する際には、ローンを返済し終わっても、抵当権を抹消する必要があります。ここでは、何故抵当権の抹消が必要なのかを見ていきましょう。

1-1.なぜ抵当権の抹消が必要なのか

そもそも抵当権とは、「金融機関がローンの融資を行う際に、万が一、ローンの返済ができなくなったときのために、不動産を担保に取る権利」でしたね。

抵当権が設定されると、不動産登記簿謄本にお金を借りた人や貸主、期日や金額が記載されます。

ただ、ここで重要なのは、ローンを完済すれば抵当権はなくなるものの、不動産登記簿謄本から自動的に消えるわけではないということ。つまり、抵当権を抹消する手続きを行わない限り、ローンを完済したあとでも抵当権は登記簿上残っているのです。

では、抵当権がついたままだと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。主に以下の4つが挙げられます。

売却する際に不利になる

抵当権がついた物件のローンを完済した後、売却する場合や、不動産を担保にして新たなローンを借りる場合は、原則として抵当権を消さなければなりません。

例えば売却の際、登記簿上で物件に抵当権がついていると、買い手側は完済したかどうかの判断ができません。いくらオーナー側が「完済した」と説明しても、登記簿上で抵当権がついたままだと信頼性も乏しくなります。

ですので、ローンを返済し終えたら、必ず抵当権の抹消手続きをしましょう。

他のローンの審査にとおりにくくなる

抵当権を抹消していないと、住宅ローンを完済していても、別のローンを組もうとするとき、「登記の流用」という理由で承認されない恐れがあります。注意しましょう。

抹消登記が必要になったときに手間がかかる

上記のように、いざ抹消登記をしようとなった際には、抵当権を抹消する手間が生じてしまいます。 例えば、後述するように相続と同じタイミングになってしまうと、相続人は遺産相続の手続きなどでただでさえ忙しくなるなか、抵当権抹消登記の手続きも一緒にしないといけなくなってしまいます。

書類をなくしてしまう

意外とあるのがこのケースです。抵当権の抹消登記をするためには、ローン完済後に金融機関から送られてくる書類が必要なのですが、手続きを後回しにしている間に「その書類を紛失してしまった」という話がよくあるのです。

紛失した場合、再度取り寄せる必要があるのですが、借入先の金融機関の代表者や担当者が変わっていると手間がかかります。抵当権抹消登記はローン完済後、できるだけ早く終わらせるようにしましょう。

1-2.抵当権を抹消するケースとは

抵当権を抹消するタイミングは、以下の3つのパターンに分けられます。

  • ・売却
  • ・新しく融資を受ける
  • ・相続が発生

具体的に解説していきましょう。

売却

売却しようと思っている不動産のローン返済が完済していて、抵当権の効力が失われていたとしても、抵当権の抹消手続きを終えていなければ売却することはできません。

これは前述した「登記の流用」に見なされる可能性がある、というのと、購入する側としては、登記が抹消されていなければ本当にローンが完済されているかどうかわかりませんし、購入する側が住宅ローンを利用して購入しようと考えている場合は新たに抵当権が設定されることになるからです。

新しく融資を受ける

これも1-1.に記載のある「他のローンの審査にとおりにくくなる」で触れた内容になります。なお、「不動産投資以外でも役立つ!スラスラわかる抵当権の基礎」の記事で解説したように、抵当権には順位があります。共同担保や事業融資では第2位以下の抵当権を設定することもありますが、不要な抵当権は事前に抹消しておきましょう。

相続が発生

相続の場合も抵当権を抹消しておく必要があります。抵当権が残っていると、たとえ不動産を相続しても相続人は物件を売却したり新しくローンを組んだりすることができません。

さらに、相続人が複数人に渡るケースや相続した人が亡くなってさらに相続が発生するような場合、抹消登記の手続きはどんどん難しくなっていってしまいます。家族にお荷物不動産を残さないよう、必ず抵当権は抹消しておきましょう。

2.抵当権抹消に必要な書類と費用

抵当権抹消に必要な書類と費用

この章では、抵当権を抹消する際に必要な書類と費用を見ていきましょう。

2-1.抵当権設定抹消に必要な書類

抵当権抹消登記は、対象となる不動産を管轄する法務局に、登記申請書と添付書類を提出して行います。法務局への提出は、窓口に直接持ち込む、もしくは郵送でも可能です。

抵当権抹消登記手続きを申請する際に、必要となる書類がいくつかあります。以下、詳しく見ていきましょう。

抵当権抹消登記申請書

登記申請書の書式や記載例は、以下の法務局のホームページを確認しましょう。抵当権抹消登記申請書は細かい作成ルールがあるので、一つでも間違いがあれば申請を受け付けてもらえません。十分注意しながら作成しましょう。

申請書記載例PDF

参考:法務局ホームページ(申請書記載例PDF)

なお、抵当権抹消登記申請書は法務局で取得すると1通1000円、インターネットだと1通465円(地域によってインターネットは不可)の費用がかかります。

登記識別情報または登記済証

登記識別情報または登記済証は、抵当権設定時に抵当権者に交付されるものです。ローン完済時に渡されますので、これを登記申請書に添付して抵当権抹消登記申請を行いましょう。

抵当権者の委任状

金融機関から登記手続きを委任するための委任状を発行してもらえますので、それを使って登記申請を行います。 

平成27年11月以降は、抵当権抹消登記申請書に抵当権者である金融機関の会社法人等番号を記載した場合には、それまで必要だった資格証明書(代表者事項証明書)の添付は不要となっています。

なお、後述するように自分で抵当権抹消手続きをする場合、委任状には自分の住所と氏名を書く欄があるため、ローンを組んだときの住民票上の住所を記入することになります。

ただここで注意すべきなのは、ローンを組んだときと異なる住所を記入すると、登記申請が認められないということです。間違いがないように注意しましょう。

金融機関の会社法人等番号

2015年11月から抵当権抹消登記の申請を行う場合金融機関の会社法人等番号の記載が必須となっています。ただし、金融機関の代表者の作成後1カ月以内に登記事項証明書を添付した場合、その必要はありません。

住所や氏名が変更されている場合に必要な書類

ローン契約時の登記簿上の住所と現在の住所が違う場合、住民票もしくは戸籍附票が必要です(結婚により登記簿上の氏名が変更されている場合、戸籍謄本もしくは抄本を用意する必要があります)。

住所・氏名の変更登記は、具体的な期限はないものの、5年以上経過しても手続きを行っていない場合、戸籍の附票など登記申請に必要な書類を取得できなくなります。したがって、早めの手続きをおすすめします。

2-2.抵当権設定抹消に必要な費用

抵当権を抹消する際にかかるコストは以下のとおりです。

登録免許税

抵当権抹消登記の申請時には、登録免許税という税金が発生します。抵当権抹消登記の申請時には、不動産1個につき1000円の登録免許税がかかります。土地と建物の両方がある場合には2000円です。この登録免許税は、現金ではなく収入印紙で納めなければなりません。

郵送料

もし法務局へ行かずに郵送で申請を行う場合、郵送料と返送用の郵券(書留料金+100円)がかかります。 

また、抵当権抹消登記を自分で行わず司法書士に依頼する場合には、司法書士への費用として1万5000円程度のコストが発生します。

3.自分で抵当権抹消を行う際のポイント

自分で抵当権抹消を行う際のポイント

2章では、抵当権の抹消に必要な書類や費用をお伝えしましたが、抹消手続きは自分でも行うことができます。ここでは、自分で抵当権を抹消する際の5つのポイントをご紹介します。

3-1.抵当権設定抹消は自分でも行える

抵当権抹消登記手続きは、個人でも行うことができます。弁護士や司法書士に依頼する場合に比べ、費用がかからないというメリットがあるものの、注意点があります。

もし書類に不備がある場合、何度も法務局に出向かなければならず、手間がかかってしまうのです。とはいえ、抵当権抹消登記手続きには、いつまでに済ませなければならないなどの期限がありません。したがって、手続き費用を安く抑えたい場合にはご自身で手続きを行うのも一手です。

以下では、抵当権抹消登記手続きを個人で行う場合の手順を解説します。

抵当権抹消の流れ

STEP1:管轄の法務局を調べる

抵当権抹消登記の手続きは、法務局に必要書類を提出して行います。所有する物件の所在地により、法務局の管轄が決まっているので、どこになるのか法務局のサイトで調べておきましょう。

各法務局のホームページ
参考:法務局ホームページ(各法務局のホームページ)

抵当権抹消登記の手続きは、窓口、もしくは郵送でも可能です。 ただ、管轄の法務局によって取り扱いが異なることもあるので、必ず事前に相談しておきましょう。 

STEP2:金融機関から書類を受け取る

以下の4つの書類が金融機関から届くので、確認しましょう。

  • ・抵当権解除証書または弁済証書 (抵当権を解除したという証明書類)
  • ・抵当権設定契約証書(登記済証)
  • ・代表者事項証明書または登記事項証明書 (金融機関の証明書)
  • ・委任状(抵当権抹消手続きに金融機関が立ち会わなくてもよいための書類)

STEP3:抵当権抹消登記申請書類の作成

登記申請書のフォーマットは、法務局のホームページで公開されているものを利用しましょう。

STEP4:法務局へ申請に行く

抵当権抹消登記申請書の記入が済んだら、提案書類一式とともに法務局へ足を運び、書類を提出しましょう。 法務局の受付時間は月〜金曜日の午前8時30分〜午後5時15分です。

書類を提出すると担当者が書類をチェックし、不備があったら教えてくれます。登記申請書を作成しているなかで不明点があったら、都度足を運んで質問しても大丈夫です。

ただし、相談は事前予約制のところもあるため、事前にホームページで確認しておくと安心です。場合によっては予約が必要なケースもあります。郵送でも提出できるものの、最初のうちは直接行って相談したほうが早く済むでしょう。

なお、書類には印鑑を押す必要があるため、申請当日には必ず印鑑を持参するようにしてください。忘れずにもって行きましょう。

STEP5:書類を受け取りに行く

書類を受け取りに行く以前に、まず登記完了日を確認しておきましょう。もし登記申請書に不備があった場合、再度出向いて、指示のもとに手直必要があります。その際は登記申請書に押した印鑑を忘れないように注意してください。補正がなければ登記は完了です。法務局へ完了後の書類を引き取りに行きましょう。

3-2.忙しい人は司法書士に依頼

自分で行える抵当権抹消手続きについて解説しましたが、ビジネスパーソンでれば基本的には司法書士に依頼するのが無難です。ただ、ご自身で行う場合、登記する本人が法務局に出向いて手続きをするのが基本ですが、例えば夫の名前で登記する際に妻が代理で手続きするときは、委任状を作成し持参しなければなりません。

4.まとめ

1.ローンを完済すれば抵当権はなくなるものの、不動産登記簿謄本から自動的に消えるわけではないということ。つまり、抵当権を抹消する手続きを行わない限り、ローンを完済したあとでも抵当権は登記簿上残っている。

2.抵当権を抹消していないと、「売却する際に不利になる」「他のローンの審査にとおりにくくなる」「抹消登記が必要になったときに手間がかかる」「書類をなくしてしまう」といったデメリットがある。

3.抵当権を抹消するタイミングは「売却」「新しく融資を受ける」「相続が発生」の主に3パターンがある。

4.抵当権設定抹消に必要な書類は、「抵当権抹消登記申請書」「登記識別情報または登記済証 抵当権者の委任状」「金融機関の会社法人等番号」「住所や氏名が変更されている場合に必要な書類」である。

5.抵当権抹消登記手続きは、個人でも行うことができる。ただ。書類に不備がある場合、何度も法務局に出向かなければならず、手間がかかってしまう。 

いかがでしたか。抵当権を抹消していないと、せっかくローンを完済してもそのメリットを享受できません。このポイントは物件選びのうえでも非常に重要なので、ぜひこの機会に身につけていただければと思います。

「抵当権の基礎」に関する記事は以下をご参照ください。

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「購入、売却、相続時の抵当権の注意点」の記事は以下をご参照ください。

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