物件に抵当権がついていたらどうする?購入・売却・相続する際の注意点と対策

抵当権という言葉は、不動産の基礎知識があるかたなら聞いたことがあるのではないでしょうか?
抵当権付きの物件を買いたい、あるいは抵当権付きの物件を売却したいと思っている人は多いと思います。

  • 欲しい物件に抵当権が付いていた場合、どうすべき?
  • 抵当権が付いたままで売却は可能?
  • 抵当権が付いた不動産を相続した場合の抵当権も相続されるの?

など、物件を購入・売却、もしくは相続する場合の、抵当権に関して抱かれる疑問点についてお答えします!

この記事では、「抵当権×購入・売却・相続」というテーマで身につけておくべき知識をご紹介いたします。
不動産投資家はもちろん、自宅の購入・売却を考えている方、実家の相続に不安を抱いている方はぜひお読みいただければと思います。

まだよくご存じではないという方や、しっかりと「抵当権」の意味を理解したいという方は、初めに以下の記事をお読みください。

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また、以下の記事では、抵当権抹消手続きのポイントについて取り上げました。

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1.欲しい物件に抵当権が付いていた場合、どうすべき?

欲しい物件に抵当権が付いていた場合、どうすべき?

欲しい物件に抵当権がついていた場合、購入できるのでしょうか。抵当権がついた物件を購入する場合、どのようなことに気を付けるべきかみていきましょう。

1-1. 引き渡しまでに抹消登記申請を行う

物件探しをしているとき、利回りがそれなりに高く、狙っていたエリアの中古物件が見つかったとします。しかし、これは買いだと思い登記簿を確認したところ「抵当権」が設定されていました。

さて、このような場合、何か注意点はあるのでしょうか。

抵当権とは、「金融機関がローンの融資を行う際に、万が一、ローンの返済ができなくなったときのために、不動産を担保に取る権利」のことです。

抵当権についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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ローンを組んで不動産を購入している場合、大半はその不動産に抵当権が設定されているため、抵当権が付いていること自体は、そこまで珍しくありません。

ただし、抵当権付きの物件を購入する際には、引き渡しまでに売主の責任と負担で抵当権を抹消することを契約の条件とする必要があります。
ローンを完済すれば抵当権はなくなるものの、不動産登記簿謄本から自動的に消えるわけではありません。つまり、抵当権を抹消する手続きを行わない限り、ローンを完済したあとでも抵当権は登記簿上残っているのです。

なお、売主は、不動産を買主に引き渡す義務だけではなく、所有権移転の時期までに物件に設定されている抵当権等を抹消しなければなりません。その抹消のための費用(抵当権抹消登記等)は売主の負担となります。
抵当権の抹消については、不動産売買契約書のなかでもでも以下のように定められていることが多いです。

  • 売主は、買主に対し、本物件について、所有権等の移転時期までにその責任と負担において、先取特権、抵当権等の担保権、地上権、賃借権等の用益権その他名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権等の行使を阻害する一切の負担を除去抹消します。

ちなみにローン残高が少ない場合、売主は貯蓄などを充当して一括返済をして抵当権を抹消することも可能ですが、大半のケースでは、買主が支払う売買代金をローン残高に充当して一括返済するため、抵当権が抹消できるのは引き渡し日当日になります。

したがって、抵当権抹消については、たとえ登記簿に「抵当権付き」の記載があったとしても、仲介業者や司法書士が段取りをつけてくれるため、買主が心配する必要はほぼないといえるでしょう。

1-2. 共同担保には注意

ただし、登記簿に「共同担保目録」が記載されている場合、注意が必要です。なぜなら、抵当権が抹消できない可能性があるからです。

共同担保とは、1つの債権に対して「複数の不動産」を担保するものを指します。とてもシンプルな例でいうならば、仮に1億円の担保が必要な状況で、保有している不動産が8000万円の価値しかない場合、融資は受けられません。2000万円分のリスクを金融機関が負うことになるからです。

しかし、別の不動産に2000万の価値があれば、その不動産を共同担保にすることで融資が認められます。似たような考え方だと、両親が資産家で土地も現金も多く持っている場合、その子どもも融資が通りやすくなるのと同じようなものです。たとえメインとなる借り手に万が一のことがあっても、他の資産で返済してもらえるという担保になるのが共同担保の考え方です。

共同担保の図

そして、共同担保目録とは、一つの債権の担保として複数の不動産に対して設定された抵当権(共同担保)を一括して記載した文章です。共同担保でローン契約を交わす場合、共同担保目録を作る必要があります。

この共同担保目録は、法務局または地方法務局の長に指定された登記官が作成します。自身で作成するものではありません。

さて、このように共同担保とは「同一の借金の担保として複数の不動産などを担保に入れること」なわけですが、売買代金による繰り上げ返済によって、当該物件を共同担保から外せるかどうかを確認しておく必要があります。

つまり、共同担保が設定されている不動産を購入する際には、仲介業者に対して確実に担保から外せるかどうか確認しなければならない、ということです。

2. 抵当権が付いたままで売却は可能?

抵当権が付いたままで売却は可能?

所有している物件に抵当権がついていた場合、そのまま売却できるのでしょうか。売却する際の注意点をみていきましょう。

2-1. 抵当権が付いたままでも売却はできる

不動産を売却する理由は、収入や環境の変化、キャッシュを作るためなどさまざまですが、抵当権がついたままでも不動産を売却することはできるのでしょうか。

抵当権が付いたままだと、買主としては「買いにくい」、売主としては「売りにくい」というイメージを持ちがちです。

結論からいえば、抵当権が付いたままでも売却はできます
しかし、抵当権を抹消しないままで残しておくと、売主が返済を滞らせた場合に抵当権の実行により債権者から競売にかけられて買主が所有権を失う恐れがあります

ですから前述したように、 抵当権付きの物件を売却する場合、金銭的な余裕があれば、事前にローン残額を完済して抵当権抹消登記する、もしくは、売却代金をローン残額の返済に充て、引き渡しのタイミングで抵当権抹消登記と買主への所有権移転登記を行う、というのが一般的なケースです。

なお、売却代金をローン残額の返済に充ててもローンが残る場合、自己資金を充当して抵当権を抹消することが必要です。 このような手続きを進めるときには、金融機関への打診・調整が必要となります。

2-2. 買主が特に心配する必要はない

「金融機関への打診・調整が必要」と書きましたが、実際には売買契約の仲介をする際に、不動産仲介会社が事前に抵当権の存在とその内容を調査し、抹消できるかどうかを売主や金融機関に事前に確認するものです。

したがって、そもそも抵当権が抹消できないような物件は、売買契約ができないと考えて問題ないでしょう。

仮に抵当権者の事情で、売買契約締結後でなければ抵当権抹消同意が得られるかどうかが確定しないとしましょう。そうした場合でも、不動産仲介会社は「抵当権の抹消ができなければ白紙解除とする」という旨の特約を入れるはずです。

ほかにも、「売買代金よりも債権額のほうが大きい場合は手付金を0円にする」など、抵当権が抹消できずに契約解除となった場合でも、買主に損害が出ないような対策を打っているはずです。

こうしたことは、宅地建物取引業者であれば一般的に行うことですが、残念ながらすべての不動産仲介業者に当てはまるとはいえません。当事者である皆さんがしっかりとした知識を身につけ、万が一のときは業者を正すくらいの気持ちでいることも重要です。
もしくは、契約をするタイミングで、こうした問題が発生しそうで心配ならば、不動産関連団体が窓口となる相談所などに事前相談して問題点の洗い出しと対策を検討するのも一手です。

2-3. 売主にとっては任意売却という選択肢もある

もし抵当権付きの不動産を「売却してもローンを返済できない」「不足分を補うことができない」という場合、「任意売却」という方法をとることも可能です。

任意売却は、競売と同様に強制的に売却されてしまいますが、任意売却の進め方は通常の売却とほぼ同じ順序をたどります。債権者(金融機関)にとっても、市場価格や相場に近い価格での売買が期待できるため、競売よりも任意売却を優先する傾向があります。任意売却とは、いわば「売却してもローンが残った状態で、抵当権を抹消できる」方法といえるでしょう。

ほかにも任意売却には、以下のようなメリットがあります。

  • ・引越し時期・条件・明渡し等において融通が利く
  • ・近所に知られづらい
  • ・債権者との調整次第で、売却代金の中から引越し代等の諸費用(余剰金)が配分される
  • ・費用が一切掛からない
  • ・精神面のダメージが少ない

しかし一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • ・住宅ローンの支払いを数カ月止める等の要件を(あえてでも)満たす必要がある
  • ・住宅ローンを一定期間以上滞納するため、信用情報機関に登録されてしまう
  • ・信用機関に登録されると、その後の5~6年程度は新たなローンが組めなくなる

したがって、任意売却を検討する場合は、ご自身でしっかり基礎知識を身につけたうえで専門業者に相談するのがよいでしょう。

3. 抵当権が付いた不動産を相続した場合の注意点

抵当権が付いた不動産を相続した場合の注意点
抵当権が付いている不動産を相続した場合は、どのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか。

3-1. 相続したら抵当権は消える?

相続によって抵当権は消えません。抵当権付きの不動産を相続した場合、「抵当権は引き継がれる」ということです。

抵当権によって担保されている債務の内容(金額、設定時期、抵当権者)は、不動産の登記簿謄本を見れば確認することができます。相続した段階で初めて抵当権付きの不動産の存在を知った場合、まずは登記簿謄本を確認することから始めましょう。

また、抵当権付きの不動産は評価額には影響はない、すなわち、そのままの不動産額が課税対象額として評価されます。 したがって抵当権のついた不動産を相続しても相続税額は減りません

そして、被相続人(両親など)が抱えていた債務も相続の対象になります。この場合、相続人の法定相続分の割合によって、債務を相続することになります。

抵当権付き物件を相続した場合の図

3-2. 相続した不動産の抵当権を消す方法

まず、債務の額が遺産全体よりも多い場合(例えば債務が1億円で遺産が8000万円の場合)、相続をしても借金を背負うだけになります。したがって、「相続放棄」をするかどうか検討すべきです。
また、抵当権付きの不動産以外にも遺産があり、トータルの金額で債務を弁済できる場合、遺産から債務を弁済したうえで不動産に設定された抵当権を抹消できます

では、抵当権付きの不動産だけしか遺産がない場合はどうすればいいでしょうか。

この場合も、まず対象不動産の価格が債務よりも大きければ、不動産を売却することで債務を弁済できます。
しかし、抵当権の付いた不動産の価格よりも債務額が大きい場合、別途弁済資金を用意するか、前述のように任意売却などの手段をとる必要があります

ちなみに、住宅ローンに関する抵当権が設定されている場合、債務者(被相続人)が団体信用生命保険に加入しているケースも多くあります。この場合、被相続人が亡くなった段階で、債務は保険金で弁済に充てられて消滅することになります。あとは抵当権抹消登記手続を取るだけになります。

4. まとめ

1. 売主は、不動産を買主に引き渡す義務だけではなく、所有権移転の時期までに物件に設定されている抵当権等を抹消しなければならない。その抹消のための費用も売主の負担となる。

2. 共同担保が設定されている不動産を購入する際には、仲介業者に対して確実に担保から外せるかどうか確認しなければならない。

3. 抵当権付きの物件を売却する場合、金銭的な余裕があれば、事前にローン残額を完済して抵当権抹消登記する、もしくは、売却代金をローン残額の返済に充て、引き渡しのタイミングで抵当権抹消登記と買主への所有権移転登記を行う、というのが一般的。

4. 売却代金をローン残額の返済に充ててもローンが残る場合、自己資金を充当して抵当権を抹消することが必要です。 このような手続きを進めるときには、金融機関への打診・調整が必要となる。

5. 抵当権付きの不動産を相続した場合、抵当権は引き継がれる。また、抵当権のついた不動産を相続しても相続税額は減ることはなく、被相続人(両親など)が抱えていた債務も相続の対象となる。

いかがでしたか。抵当権は、買主、売主、相続した立場によって対策・考え方が異なります。とはいえ、いずれのケースでも事前に知識を身につけておくことが後々のリスク回避につながりますので、ぜひこの機会に知識を身につけていただければと思います。

「抵当権の基礎」については以下の記事をご参照ください。

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「抵当権抹消手続きのポイント」については以下の記事をご参照ください。

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