40代になると老後が徐々に近づくことから、老後に向けた資金づくりに自然と関心が高まるようになります。
- ・このまま会社勤務をしても、給与が上がるわけでもないし、将来に不安がある
- ・老後資金にいくら必要か?どうやって貯めたらよいか良い方法を知りたい
- ・老後資金を貯めるために、月どれくらい貯金に充てるべきか知りたい
- ・コロナで経済が悪化している今、年金の保証も安心できないので、将来の不安が大きい
- ・定年に関係なく、自分でしっかり生活できるスキルをもっている必要がある。どんなスキルを磨くのがおすすめか?
などお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
40代から老後資金を貯める場合にネックとなるのは、子どもの教育費や住宅ローンなど多額な出費が発生する点です。また、40代は支出を抑えることが難しい時期ではありますが、50代になると収入が減るので、今のうちにできる限りの老後の備えはしておきたいものです。
この記事では、40代の皆様に
- ・40代の収入・支出・貯蓄額を知る
- ・老後に必要な資金
- ・老後2000万円問題の根拠
- ・老後資金のためには毎月いくら貯金が必要?
- ・老後資金の貯め方
- ・役立つサイト・書籍をご紹介
について解説しています。
1.まずは40代の収入・支出・貯蓄額を知る
40代はまだまだ働き盛りで、30代と比べると社会的な責任が重くなる立場となります。そのため、40代は30代と比べると収入は増える傾向にあります。
しかしながら、40代の場合は子どもが高校や大学への進学を控えているケースが多くなるため、教育費用がさらにかかります。
子どもが中学生までであれば「児童手当」を受けられるため、子育てに関する費用の負担が軽減されますが、子どもが高校生以上になると児童手当の対象外となるため、児童手当を受け取ることができなくなってしまいます。
さらに、家のローンの支払いや親の介護も加わってしまうと、金銭的な面だけでなく、精神的な面も負担となります。そのような事情もあり、40代は30代と比べると余裕を持って貯蓄ができないのが現状です。
ですが老後の資金を貯めるなら遅くとも40代には始めておきましょう。
40代なら、老後といわれる時期まで約20年あるため、老後資金を徐々に貯めていくことが十分に可能です。そして、40代は30代と比べると老後に近づいていることもあり、老後資金を貯める意識を持ちやすくなります。
そこで、40代になったら本腰を入れて老後に向けた資金計画を立ててみましょう。資金計画を立てるためには、現時点の収入や支出、貯蓄額について理解しておく必要があります。
参考として、以下で40代の収入、支出、貯蓄額のデータを紹介します。
【貯蓄額】
貯蓄額については、金融広報中央委員会が実施した調査「家計の金融行動に関する世論調査」のうち、世帯主年齢別の金融資産保有額のデータ を参考にします。
それによると、40代の世帯の金融資産保有額は平均値が880万円、中央値が550万円となりました。
- 平均値・中央値とは?
-
平均値とは、複数の数値を全て合計したものを、数値の個数で割った値のことです。
中央値とは、複数の数値を小さい順に並べて、並べたもののうち、真ん中にある数値を指します。
例えば、1、2、8、10、14という5つの数字があるとします。
この5つの数字の平均値は(1+2+3+10+14)÷5で計算され、6となります。
また、この5つの数字の中央値は、左から3番目の数値となるため、3となります。
40代の世帯の金融資産額をみると、中央値は平均値の6割程度であることがわかります。
40代は、30代と比べると収入は多くなるものの、子どもの教育費や住宅ローンなどで出費が増えるため、貯蓄額で現実的に感じられるのは中央値の方ではないでしょうか。
【生活費】
生活費については、総務省統計局が実施した家計調査(2020年)のうち「世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(二人以上の世帯)を参考にします。
それによると、世帯主が40~49歳の世帯の支出は31万5958円となりました。支出の内訳は以下の通りです。
内訳 | 金額 |
食料 | 8万3248円 |
住居 | 1万7166円 |
光熱・水道 | 2万2100円 |
家具・家事用品 | 1万3620円 |
被覆及び履物 | 1万2348円 |
保健医療 | 1万1756円 |
交通・通信 | 4万8739円 |
教育 | 2万5593円 |
教養娯楽 | 3万360円 |
その他の消費支出 | 5万1029円 |
特に多い出費は食料、2番目に多いのはその他消費支出、3番目に多いのは交通・通信となりました。その他支出の内訳としては交際費や理美容に関する出費などがあります。
なお、出費の内訳に関してはあくまでも平均的な数値であるため、家庭によって出費が増える項目があります。例えば、家賃や住宅ローンの費用が多いケースや、家族の人数が多く、食費の出費が増える場合もあるでしょう。
自宅ではどの出費が多いのかという点に着目して、節約できる出費に関しては節約することも大切です。
2.老後に必要な資金はいくら?
老後に必要な資金の額を計算するためには、現在のシニア世代の収入額と支出額を調べておきます。それらの金額がわかると、1か月当たりでいくら不足するかを計算できます。その数字をもとにすると、老後の20~30年の間に必要な老後資金の額を割り出せます。
そこで、現在のシニア世代の生活費について調べてみましょう。
2-1.現在のシニア世代 毎月の生活費は約24万円
現在のシニア世代の生活費は、総務省統計局 家計調査(2020年)「世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」のデータを参考にします。
それによると、65歳以上の世帯の消費支出は1か月当たり24万1724円となり、およそ24万円となります。
次に、高齢者世帯の所得について、厚生労働省が公表している「2019年 国民生活基礎調査 」を参考にします。それによると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦である高齢者世帯の所得は312万6000円となりました。
なお、この所得には働いて稼いだ所得である「稼働所得」が72万円含まれています。つまり、稼働所得を除くと約240万円となり、1か月当たりの所得は約20万円となります。
つまり、所得20万円から支出24万円を引くと1か月当たりの不足額は4万円となります。1年間では48万円不足し、20年間では960万円、30年間では1440万円が不足する計算です。
このことから、老後までに貯蓄しておく金額は1500万円が目安となります。1500万円の貯蓄があると、1か月当たりの生活費の不足分が4万円であれば、老後の30年間は貯蓄を切り崩しながら生活ができます。
2-2.老後2000万円問題とは?
2019年には、老後資金に関する話題として「老後2000万円問題」が注目を集めました。この問題は、金融庁が2019年6月に公表した報告書の内容がもとになっています。
報告書には以下のように記載されています。
- 夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300万円~2,000万円になる。
この記事においては、老後に不足する額は1か月当たり約4万円と計算しましたが、金融庁の報告書には1か月当たり約5万円が不足すると記載されています。
また、老後に取り崩す額の記述に関しては、以下のように記載されています。
- 収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取崩しが必要になる。
金融庁がまとめた報告書によると、老後に2000万円が不足するのは、定年後30年間にわたって生活する場合に不足する資金の額となります。
一口に「老後に2000万円が不足する」といっても、2000万円という額は大きすぎてなかなかピンとこないのではないでしょうか。
しかし「毎月約5万円を貯蓄より切り崩す必要がある」と考えれば、老後の30年間に2000万円が必要となるのは納得がいくことでしょう。
2-3.独身の場合、夫婦の場合 老後に必要となる資金額は?
老後資金を確保するための方法として、給与の一部を貯蓄する方法がありますが、現在は預金の利率が低いため、単に銀行に預金するだけでは老後資金を増やすことができません。
老後資金を確保するためには「老後に必要となる資金の額はいくらか」をあらかじめ計算しておくと、老後資金を増やすモチベーションの向上につなげられます。
この項目では、老後に必要となる資金額について、独身の場合、夫婦の場合の2通りについて紹介します。
【独身】
総務省統計局が発表している「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の収入は12万4710円、支出は15万1800円となりました。
収入から支出を差し引くと、1か月当たり約2万7000円の不足となります。
1年間の不足分は、約2万7000円×12か月=約32万4000円、
30年間の不足分は、約32万4000円×30年=約972万円です。
そのため、独身の場合は1000万円弱の貯蓄が必要となります。
【夫婦】
総務省統計局が発表している「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、高齢無職世帯のうち高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の収入は23万7659円、 支出は27万929円となりました。
収入から支出を差し引くと、1か月当たり約3万3000円の不足となります。
1年間の不足分は、約3万3000円×12か月=約39万6000円、
30年間の不足分は、約39万6000円×30年=約1188万円となります。
そのため、夫婦の場合は1200万円程度の貯蓄が必要となります。
【補足】
「老後2000万円問題」は、厚生労働省の「第21回市場ワーキンググループ」の資料にもとづいて、老後30年間で不足する額は2000万円であると試算したものです。
この資料においては、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の1か月当たりの収入は20万9198円、支出は26万3718円と記載されており、1か月当たりで不足する額は約5万4000円となります。
この額であれば、30年間で不足する額は約1944万円となり、老後におよそ2000万円が必要となる計算です。
しかしながら、高齢世帯の収入・支出の額は毎年変動しており、収入と支出の額は各世帯によって異なります。そのため、老後に必要となる資金の額はあくまでも目安といえます。
なお、この先では、老後に不足する金額は2000万円という前提で説明をおこないます。
3.老後資金のためには毎月いくら貯金が必要?
公的年金以外に自助努力で備えておかなければならない老後資金は2000万円であることを説明しました。現在、記事を読んでいるあなたが40歳である場合、65歳までに2000万円を貯蓄するためには、毎月いくら貯めれば良いのでしょうか。
ここでは、貯蓄が0円の場合と、40代の貯蓄の中央値である550万円の場合についてみていきます。
- 2000万円を40~65歳までの25年間で貯める場合
25年間は300か月となります。そのため、2000万円を貯めるために、25年間毎月同じ金額を積み立てる場合は、以下の式で計算します。
2000万円÷300か月=6万6667円
毎月の積立額は6万6667円となります。
- 40歳で貯蓄は550万円 65歳までの25年間で2000万円を貯める場合
貯蓄額の目標が2000万円で、すでに550万円の貯蓄がある場合、残りの25年間で貯める金額は1450万円となります。
1450万円を貯めるために、25年間毎月同じ金額を積み立てる場合は、以下の式で計算します。
1450万円÷300か月=4万8334円
毎月の積立額は4万8334円となります。
40代から2000万円の貯蓄を目指す場合、貯蓄がなければ毎月7万円程度の積み立てが必要です。また、40代の貯蓄の中央値である550万円の貯蓄を持っている場合でも、毎月5万円程度の積み立てが必要となります。
日々の生活においてはさまざまな生活費がかかることから、毎月5万~7万円の貯蓄は難しく感じてしまいます。そこで、効率的に老後の資金を増やす方法として、金融商品への投資があります。
4.老後資金の貯め方
では、ここでは老後資金の貯め方を解説していきます。
4-1.金融商品を利用する
老後の資金を堅実に増やしていくなら、金融商品が適しています。金融商品にはさまざまなものがありますので、それぞれの金融商品の特徴を理解し、自分自身に合った金融商品を選んで資産形成をおこないましょう。
保険商品
保険商品を利用するメリットは、保険に契約した時点で大きな保証を受けられる点です。例えば、終身保険は一生涯にわたって死亡保障を受けられますが、途中で解約すると解約返戻金を受け取ることができます。
また、保険商品は、保険の契約中にがんなどの病気にかかった場合は保険料の払い込みが免除される「保険料払い込み免除制度」があります。思わぬ事態に備えるなら保険商品の利用が適しています。
主な保険商品としては以下のものがあります。
- ・終身保険
一生涯にわたって死亡保障を受けられる保険です。途中で解約すると解約返戻金を受け取れることができます。
- ・個人年金保険
現役世代の間に定期的に保険料を支払い、60歳または65歳以降に保険金を受け取ることができる保険です。保険商品を利用して、退職後の生活資金を確保できます。
個人年金保険には円建ての商品と外貨建ての商品があります。外貨建ては為替の変動によって年金を多く受け取れる可能性がある一方、元本を割り込む可能性もあるので注意が必要です。
- ・養老保険
保険期間中に死亡保障がついているほか、満期になると満期保険金が受け取れます。死亡保障に加えて貯蓄性のある保険のため、他の保険商品と比べると保険料は割高となっています。
必要に応じて保険の見直しも検討しよう
保険商品は、いざというときに備えるという点では効果の高い金融商品といえます。しかしながら、万が一に備えつつも、日々高額の保険料を支払うと、将来に向けた蓄えが少なくなってしまう原因にもなりかねません。
特に、40代以降は老後を迎える60代まで20年ほどしかないため、より効率的に老後資金を貯めていく必要があります。
そこで、保険料が高額な商品については見直すことも必要でしょう。例えば、養老保険は死亡保障に加えて満期の保険金を受け取れますが、他の保険商品と比べると保険料は割高となっています。
高額な保険は解約し、今まで保険料として払い込んでいた金額を老後向けの資金とすることで、より効率的に老後資金を貯められます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは年金を自分で作る制度です。金融機関に専用の口座を作り、運用する金融商品を自分で選んで、毎月積み立てをしながら運用します。運用は月々5000円からおこなえます。
引き出しができるのは60歳以降です。ただし、加入期間が10年未満の場合は、61~65歳の間でなければ引き出しすることができません。加入期間が短いほど引き出しできる時期は遅くなります。
掛金は全額所得控除されるので、節税することができます。また、金融商品を自分で運用するので、ある程度の金融知識が必要となります。金融商品を運用する以上、元本割れのリスクがある点にも注意が必要です。
なお、iDeCoは60歳になるまでは引き出すことができません。余裕資金で運用することを心がけましょう。
つみたてNISA
長期投資を目的とした金融商品で、分配金の利益や金融商品を売却したときの利益に税金がかからない点が特徴です。
購入できる金融商品は一定の投資信託で、年間で40万円まで購入できます。投資できる期間は、もともとは2037年まででしたが、令和2年度税制改正で2042年まで延長されることが決まりました。
メリットは少額で始められること、運用資金をいつでも引き出せることです。
デメリットは損失が出た場合、他の金融商品の利益と相殺する「損益通算」ができないこと、また、損失を翌年に繰り越す「繰越控除」もできない点です。そのほか、積み立てNISAは購入できる金融商品が限定されています。
投資信託
投資信託とは、資金の運用をプロに任せられる金融商品で、分散投資でリスクを抑えながら運用されます。商品によっては運用益に応じて分配金を受け取れるものもあります。
資産運用をおこなってみたいけれど、運用に自信のない初心者に適しています。1万円程度の少額から始められるので、資産運用のハードルが低い点も特徴です。
ただし、資産運用をプロにおこなってもらう金融商品であるため、原則として手数料がかかります。
個人向け国債
国債とは、国が民間からお金を借り入れたときに渡す借用証書のことです。つまり、個人向け国債とは、国が個人からお金を借り入れ、個人向けに渡す借用証書のことを指します。
国は個人からお金を借り入れしている形となるので、借り入れの期限が来たら利息をつけて個人に返済しなければなりません。
逆に、個人の立場からみた場合、国にお金を預けて、国から個人向け国債を受け取る形となります。そして、一定の期間が過ぎたら国から利息を受け取れます。
個人向け国債の特徴は、元本が保証されることです。そのため、他の金融商品のように元本が割れて損失が発生することがなく、初心者向けの金融商品といえます。
そのほかの特徴としては、年に2回利子を受け取れること、1年以上を経過したら購入分を中途換金できること、そして、1万円から投資できることです。
個人向け国債の最低金利は年0.05%(税引き前)が保証されています。他の金融商品と比べると利回りは低いものの、元本割れの心配がない点はメリットといえます。
財形年金貯蓄
財形年金貯蓄とは、会社が提携している金融機関に、毎月の給与やボーナスからの天引きで貯蓄する金融商品である「個人貯蓄」の一種です。老後まで積み立てた資金は、60歳以降に年金として受け取れます。
財形年金貯蓄を契約できるのは、契約時に55歳未満であることが条件で、5年以上の積み立てが必要となります。受け取りは60歳以降で、5~20年の範囲で受け取る期間を決められます。
金融機関担当者やFPに相談
一口に金融商品といってもその種類は多いため、金融商品に投資した経験がなければ、どれに投資すれば良いのか見当がつかないと感じることもあるでしょう。
もし、金融商品選びに迷った場合は、金融機関の担当者やFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談することも一つの方法です。
金融機関ではさまざまな金融商品を取り扱っているため、担当者からはそれぞれの金融商品に関するくわしい説明を受けられます。説明を聞いて、納得のいく金融商品を選びましょう。
また、FPに相談するメリットは、顧客の立場に立ったアドバイスを受けられる点です。FPの役割は顧客の資金管理をサポートすることであるため、顧客の要望に応じられるよう、金融に関連する幅広い知識を持っています。
FPに相談すると客観的な視点からアドバイスを受けられます。適切な金融商品を選ぶためにも、将来設計についてFPと十分話し合うことで、適切な金融商品を選びやすくなります。
4-2.株・FXの投資をする
老後に向けて資産を増やす方法として、株やFXへの投資があります。
株とは、企業が発行している株式のことで、株式投資では株式を売買しながら資産形成を目指します。FXとは、ドルやユーロ、円など世界の通貨を売買する取引のことです。
株やFXへの投資は大幅な利益が期待できる反面、リスクが高い点が特徴です。そのため、損失が発生すると投資資金が大幅に減ってしまうことも十分にあり得ます。
株やFXに投資する場合、大切な老後の資金を失わないためにも、下記の点に注意することを心がけましょう。
1.安定・長期目線の商品を選ぶ
株式投資の場合は経営が安定的な企業を、FXに投資する場合はドルやユーロなど、世界的に知名度の高い通貨を選びましょう。ただし、安定的な投資先であっても利益が保証されるとは限らない点に注意が必要です。
2.貯蓄と運用をきっちり分けて運用する
投資は余剰資金でおこなうことが基本です。投資に大部分の資金をつぎ込んだ場合、万が一損失が発生してしまうと、老後のための大切な資金が少なくなってしまいます。
3.入金額を抑える
老後資金の運用として株やFX投資をおこなう場合、入金額は抑えておきましょう。リスクを取りすぎて損失が発生し、老後資金が減ってしまったら本末転倒です。最初は数万円程度の資金で始めましょう。
FXの場合は少ない資金で多額の取引ができる「レバレッジ」が利用できますが、レバレッジの倍率を低めにして取引すると思わぬ損失が抑えられます。
4.投資のための情報収集をおこなう
投資の成績を高めるためには、投資のための情報収集がポイントとなります。株の場合はどんな銘柄に、FXの場合はどんな通貨に投資すれば良いか、ということや、投資で買うタイミングや売るタイミング、チャートの読み方など、知っておきたいことはたくさんあります。
ネットや本を活用して、投資に関するあらゆる情報を収集しましょう。
5.生活に支障をきたさないようにする
投資を感情的におこなってしまうと「もっと稼ぎたい」、あるいは「損失を取り返したい」と感じることがありますが、そのような状態になると、老後資金を増やすどころか、日々の生活資金も失いかねません。
投資をおこなうなら、生活に支障をきたさないことは鉄則です。そのような事態にならないためにも、投資は冷静な目線を持っておこなうことを心がけましょう。
6.失敗を受け入れ「分析」する
投資に失敗はつきものです。しかし、考え方によっては「失敗とは、大失敗を起こさないようにするために必要不可欠な経験」ともいえます。
失敗しても素直に反省し、次に同じ失敗をしないように分析をおこなえば、失敗を防げるだけでなく、成功につなげていくことも十分に可能です。
- 【金融商品に関するまとめ】
老後のための資金を増やす方法としてさまざまな金融商品を紹介してきましたが、編集部のおすすめは「投資信託」です。そのメリットをあらためて紹介します。
- ・1万円程度の少額から投資できること
- ・資産運用のプロが運用していること
- 投資信託なら、投資に振り分ける資金の額が少なくても、また、投資の経験がなくても十分に始めることができます。
なお、投資信託は手数料がかかりますが、投資のリスクを抑えるためにプロに運用してもらうことを考えれば、必要なコストといえるのではないでしょうか。
貯蓄分は多めに、投資分は少なめに分けたうえで、投資分は投資信託への投資がおすすめです。
4-3.不動産投資をする
40代は、20~30代と比べるとまとまった資金があるため、アパートやマンションの区分投資を検討している人もいるのではないでしょうか。また、40代になると、相続で不動産を相続するケースもあるでしょう。
アパートやマンションなどの区分投資を始めるなら、不動産会社などの専門家に相談しながらおこなうことがおすすめです。
また、土地を所有している場合は、少ない初期費用で始められる「駐車場経営」をおこなうことも選択肢の一つとなります。
なお、不動産投資の始め方については以下の記事をぜひご参考ください。
老後資金2000万円問題や終身雇用・年功序列の崩壊、人口減少をはじめとするネガティブなニュースにより、副業に対する関心は日々高まっています。そのなかで不動産投資は「手間がかからない」「収入が安定している」などの理由から多くのビジネスパーソン[…]
不動産投資に興味があるけれど、ネットで調べても結局、何から始めれば良いかわからないという方のために、ここでは、「不動産投資の初心者の方に、読んで頂きたいおすすめ記事」をご紹介します。 「不動産投資を始めるにはまず、何からスタートした[…]
4-4.副業をして稼ぐ
そのほか、副業をして稼ぐ方法もあります。現在では副業を認めている企業も増えているので、収入を増やすために副業も検討してみましょう。
20~30代の場合、体力や気力が十分であるため、パワーが必要な副業も可能ではありますが、40代の場合、20~30代と比べると若干ながら体力と気力が低下してしまいがちです。
そのため、40代の場合は体力をさほど使わなくてもおこなえる副業が適しています。主な副業としては以下のものがあります。
- ・「Wワーク 副業」で検索し、フードデリバリーなど、短時間でできるアルバイトを探す
- ・クラウドソーシングで記事作成、動画編集、翻訳、文字起こしなど、在宅でできる仕事をする
- ・ITと経験を活かし、得意分野の「講師」として働く
⇒プログラミング、パソコン教室、語学、DIY、料理など
- ・ヤフオク、メルカリなど、オークションサイトやフリマアプリで商品を販売する
- ・写真やイラストを、写真・イラスト素材の販売サイトで売る
- ・ブログ、アフィリエイトで商品を紹介して販売、またはこれらを運営しながら広告収入を得る
- ・シェアリングサービスをおこなう
⇒所有している車や自転車、駐車スペース、アパートの一室など
副業については以下の記事でも分かりやすく解説しておりますので、ぜひご一読ください。
金融庁の審議会で発表された報告書の内容「老後2,000万円不足問題」が、ちまたでクローズアップされています。 そこで、老後2,000万円問題のもととなる「資産寿命の延伸」に立ち向かうため、脱サラ投資家フジさん(弊社代表取締役 藤山 大二郎[…]
5.貯める+節約で効率的!サイト・書籍をご紹介
老後のための資金を効率的に貯めるなら「貯める」と「節約」を組み合わせることが効果的です。その効果をより一層高めるためにおすすめのサイト、おすすめの本を紹介します。
5-1.おすすめのサイト LIVING くらしナビ
サンケイリビング新聞社が運営しているサイト「LINING くらしナビ」には、「これからでもお金は貯められる! 40代から知るお金の節約法」というテーマで、ファイナンシャル・プランナーの風呂内亜矢さんが、40代向けのお金の節約法を説明しています。
ポイントは以下の4点です。
- 目標を決めること
→貯める金額を具体的に決めることで、貯蓄のモチベーションが高まる
- 使う前に貯めること
→貯蓄専用の口座を作り、毎月一定額をその口座に貯める
- ムダな支出をカットすること
→付き合いの出費はほどほどに(飲み会は一次会まで、食事はディナーではなくランチに)
→固定費の見直し(格安スマホに切り替える、保険の内容を見直す)
- ぜいたくグセを抑えること
→ぜいたくに使っていたお金は貯蓄にまわす
支出が知らず知らずのうちに増えてしまう原因は「日頃の生活習慣」にあります。その習慣を見直すだけでも、生活資金に余裕が持てるようになるため、老後に向けた資金をためることが可能となります。
5-2.貯める+節約のためにおすすめの本
お金が「貯まる」人と「なくなる」人の習慣
この本では、お金を貯めるための習慣が50項目紹介されています。
お金を貯めるための習慣は、一見すると当たり前のように感じられますが、実際にそれを実践するとなると、意外とできていないことが多いのではないでしょうか。
お金を貯めるために大切なことは、お金を貯めるための習慣を理解するだけでなく、その習慣を実践することです。本を読み終えたら、老後に向けた資金作りのために、その習慣を実行に移しましょう。
金持ち父さん 貧乏父さん
お金に関する本の中では世界的なベストセラーとなった本で、読み終えるとお金に対する考え方が変わります。
例えば「お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう」という考え方は、日頃の生活ではなかなか思いつきません。また、この本では「資産と負債の違い」についても説明しており、どのような流れでお金が増えたり減ったりするのか、という点についてもわかりやすく解説しています。
老後のための資金を増やすためなら「金持ち父さん 貧乏父さん」の本を読んで、お金に対する価値観を変えることが大切です。
ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法
お金を貯めることはなんとなく大変そうなイメージがありますが、この本では「ズボラでもお金がみるみる貯まる」というタイトルの通り、ひと味違う視点からお金が貯まる方法を紹介しています。
例えば「3割引き」「ポイント2倍」と聞くとついつい買ってしまいますが、そもそも買わなければ出費は0円です。1円でも安く買おうという発想を捨てることは、節約するために意外と重要なことです。
このように、発想を少し変えるだけで老後のための資金を貯めることは十分に可能といえます。
6.人生100年時代、40代は自分磨きの時間
「人生100年時代」といわれている現代では、60代で会社を退職した後も人生はまだまだ続きます。
退職後の生活費を確保するためには、老後資金を貯めることが大前提ではありますが、老後に向けて40代のうちから新しいスキルを身につけておくことも大切です。また、スキルの種類によっては収入につながるものもあります。
人生100年時代においては「老後になってもお小遣い程度のお金を稼ぐ」という発想を持つと、ゆとりのある生活につなげられます。
40代は自分磨きの期間といえます。そんな時期こそ、体力や年齢を問わないスキルを身につけておきましょう。主なスキルの種類としては以下のものがあります。
- ・パソコンスキル(エクセルやプレゼン作成など)
- ・コミュニケーションスキル(言葉遣いや心理学など)
- ・タスク管理スキル(タスクの立て方、処理の仕方など)
- ・お金の管理スキル(貯金の仕方、資産運用など)
- ・人生を楽しむスキル(習い事に通う、趣味を見つけるなど)
まとめ
1.老後が徐々に近づきつつある40代にこそ、老後の資金計画を考えよう
2.老後の生活費を知れば、老後に必要な資金を計算できる
3.老後資金の貯め方の基本は、投資+副業+節約
4.老後に向けてスキルを身につけると、老後が充実するほか、収入源にも!
20~30代の間は、老後という言葉を聞いてもなかなか実感がわかないものです。しかし、40代になると、老後はそんなに遠い将来ではなく、老後が徐々に近づきつつあることを実感します。
逆の見方をすれば、そのように考えられると老後の資金を貯めるモチベーションにつながります。40代は、老後を迎えるまで20年ほどあるため、老後の資金を貯めることは十分に可能です。
老後の資金を貯めるなら、節約はもちろんのこと、投資や副業を組み合わせながら着実に増やしていきましょう。
さらに、40代のうちに新たなスキルを身につけておくと、60代になった頃にはそのスキルが熟練したものとなり、スキルを活かして収入を得ることも十分に可能です。
老後になったときに十分な資金を確保できるかどうかは、40代のときの行動にかかっています。
「時は金なり」ということわざがありますが、なんとなく時間が過ぎてしまうのはもったいないことです。40代の今から早速行動し、実りある老後の生活を目指しましょう。