「海外不動産投資」の最新事情!絶対おすすめできない7つの理由

「利回りが高い」「節税になる」「通貨分散ができる」「値上がりが見込める」などの謳い文句とともに、書籍やネット記事でも多く取り上げられている海外不動産投資。

少子高齢化による人口減少が危惧され、空き家問題を抱える日本よりは、今後の経済成長が見込める新興国に投資するほうが理にかなっていると思われる方も多いでしょう。また、アメリカやヨーロッパなどの先進国への不動産投資に興味を持つ方も多いです。

この記事を読んでいるあなたも

  • 「日本の不動産に投資するよりは、海外不動産に投資をしたほうが稼げるのかな?」

と思っているかもしれません。なにより「海外の不動産オーナー」というのは強いブランド力を持ちます。

  • しかし結論からいうなら、海外不動産投資はメリットよりもリスクのほうがはるかに大きく、よほど有利な条件(人脈、英語力、交渉力など)を持ち合わせた人以外はおすすめできません。

何も知らない初心者が海外不動産投資をした場合、失敗する確率のほうが圧倒的に高いでしょう。

この記事では、

「なぜ海外不動産投資をおすすめできないのか?」7つの理由

を紹介します。

同時に、日本の不動産投資についても客観的にとらえることができるので、不動産投資に関心がある人ならぜひお読みいただきたいと思います。

本記事が「不動産投資で成功したい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.収支予測、出口が不透明(理由1)

収支予測、出口が不透明(理由1)

日本と海外の不動産投資では、そもそも「ルール」が違います。

日本の不動産投資の場合、家賃収入を目的とした「インカムゲイン投資」が基本戦略です。これは日本の不動産市場が成熟しており、物件価格の乱高下が少なく、家賃の変動も小さいからです。

今回のコロナショックを例にとっても、短期的には不動産の売買件数が減少しましたが、すぐに回復し、むしろこれまでよりも活発化しているといえます。世界と比べて日本での被害が小さく済んでいることも関係していますが、日本(特に東京)の不動産は底堅く、安全資産だと見なされているからこその現象といえるでしょう。

賃貸需要もテナントやオフィスには影響が出ていますが、住居系に関しては大きな影響を与えていません。これは生活困窮者に対して家賃補助の受けられる生活保護などの仕組みが整っているのも理由です。したがって、日本の不動産投資は(物件選定、融資条件さえ大きなミスをしなければ)、買った時点でかなり精度の高い収支予測ができるということです。

ところが海外不動産投資は、購入価格から値上がることを期待した「キャピタルゲイン投資」です。「数年先に値上がりする」という前提で買うことになります。しかし、キャピタルゲインはコントロールすることが非常に難しいため、非常に不確実性の高い投資スタイルです。経済成長しているから、人口が増加しているから、過去に値上がりしたからといって、不動産価格が右肩上がりに上昇するほど単純な話ではありません。

次の項目で解説するように、たとえ先進国であってもさまざまな要因により、

  • ・物件が建たない
  • ・工期が遅れる
  • ・値下がりして投資が成り立たなくなる

というリスクを抱えています。

また、キャピタルゲイン狙いで投資するといっても、将来的に売却したいタイミングで買い手が見つからないリスクがあります。マレーシアの首都、クアラルンプールのように物件が供給過剰気味のエリアでは、物件を売りたくても買い手が見つからない可能性があります。

ルールが違うという点において、ありがちな例でいえば、税制の違いもあります。アメリカではプロパティタックス(固定資産税)は地方税となり州によって異なります。つまり投資する州によって金額が跳ね上がり収支を圧迫します。さらに毎年値上がりする可能性もありますので、投資を行う際、必ずかかるコストとしてきちんと計算しなければ、まったく収支が合わず、ただの赤字運営ということになりかねません。

「国の将来性がある」「日本に比べてキャピタルゲインが期待できる」「リスク分散になる」というメリットはもちろんあるのですが、そもそもルールが違う投資だという認識が必要です。国内投資と同じ感覚で行うと失敗や後悔をしやすいので注意してください。

2.お金をドブに捨てるリスクがある(理由2)

お金をドブに捨てるリスクがある(理由2)

日本と海外の不動産投資の大きな違いの一つとして、新興国における海外不動産の新築物件の大半が「プレビルド方式」であることが挙げられます。

プレビルド方式とは、「プレ(前に)」と「ビルド(建設)」という言葉からもわかるように、建設工事が着手される前に物件を購入することです。物件価格の10〜20%にあたる手付金を複数回に分けて支払います。もしくは、全ての代金を現金で一括決済するケースもあります。このように物件が竣工される前に料金の支払いを行うため、“何らかのリスク”が発生した場合、運用開始前に損失を被る、つまりお金をドブに捨てる結果になってしまう可能性があります。

“何らかのリスク”とは、実にさまざまです。デベロッパーが倒産したら、物件は建たない可能性もあります。物件が無事に完成したとしても、想定していたほど販売価格が上昇しないリスクもあります。これは新興国で不動産投資を行う際、懸念となる点です。

以下は、フィリピンの新築コンドミニアム投資で実際に起こった失敗例です。

  • ・デベロッパーへの支払い(送金)を日本側の代理店を通じて行っていたところ、途中で代理店が変更。新たな代理店に引き継いだものの送金履歴が残っておらず、これまでの支払いがされてなかったというトラブルに巻き込まれた。
  • ・コンドミニアムが完成したものの、内装の仕上げや家具家電の設置(新築コンドミニアムでは内装なしのスケルトン物件もあります)がなかなかされず貸し出しができない。
  • ・完成したコンドミニアムにまったく入居がつかない。同時期に新築がたくさん建ち需給バランスが崩れていた。人口が増えているはずなのに、おかしいと思い確認したところ、日本人駐在人など高家賃が払える外国人を狙っているため、少ないニーズに対して供給過剰されている。売却したくても、同時に売りに出しているユニットが多数あるため希望の値段では売れない。

このように特に、リスクが高いのがプレビルドでの購入ですが、その他にもその国ならではの災害や治安の悪化、法律の変更など、さまざまな外的要因によって投資が成り立たなくなる事態も発生しています。

災害では日本なら地震が代表的ですが、どの国であっても不意の災害がつきものです。日本であれば、火災保険や地震保険がありますが、国によってはすべて自分たちで修繕する必要があります。その他、ハワイでは2019年にバケーションレンタル禁止の法律ができて住宅区域での短期レンタル禁止となりました(以前から禁止されていましたが、規制がより強化されました)。このためコンドミニアムでAirbnbなどの民泊を行っていた投資家は民泊の運営が一切できなくなりました。こうした法律の変更は防ぎようがありません。このように新興国はもちろん、先進国であってもリスクがあり続けるのです。

3.管理に手間とコストがかかる(理由3)

管理に手間とコストがかかる(理由3)

海外不動産は、国内不動産よりも管理の手間がかかります。国内の不動産であれば、自分で定期的に物件を見に行ったり、管理会社と密にコミュニケーションを取ったりして運用していくことができます。

しかし、海外の不動産だとそうはいきません。海外の管理会社の多くは、日本の管理会社と比較して対応がずさんです。担当者からのメールのレスポンスが遅かったり、物件の入居や修繕の状況について報告がなかったり、対応を後回しにされたりするケースも珍しくありません。
また、日本では家電量販店が多く店頭でもインターネット通販でも家電が安く購入できますが、海外ではとても高いケースがあります。とくに新興国で顕著ですが、海外不動産では家具・家電付きで貸し出すケースが多く、物件だけでなく家具や家電までを管理しなくてはならず、オーナーにとって大きな金銭的な負担となります。

したがって、海外不動産投資を成功させるためには、信頼できる管理会社をパートナーに選ぶことが必須条件なのですが、国ごとの特徴や商習慣なども把握して選定するのは非常に難しいですし、そもそも管理会社の選択肢がないというケースもあります。治安の悪化したエリアでは「当社では管理を受けられない」と断られる場合すらあります。

4.悪徳業者に騙されてしまう(理由4)

悪徳業者に騙されてしまう(理由4)

海外不動産投資では、

  • ・言語
  • ・商習慣
  • ・法律
  • ・時差
  • ・距離

などの理由から日本国内の不動産業者に委託する割合が高くなるのもリスクの一つです。日本であれば、自分で物件を見つけ、売主と交渉し、金融機関を開拓するといったことが可能です。すべて業者に任せることもできますが、大半は自分で対応することが可能です。

ところが海外不動産投資では、そうもいかないのが現実です。そのため、購入であれば悪質な業者から買ってしまうトラブルは頻繁に発生しています。管理運営でも、日本であれば管理会社を自分で選んだり変更したりできますが、海外だと難しかったり、そもそも選択肢がないケースもあります。

このように業者への依存度が高くなる分、騙される可能性も高くなるのです。

よく言われるのが、

  • 海外では「日本人が日本人を騙す」

という話です。海外では日本人というだけで、日本人が日本人を信じてしまうケースが多くあります。

しかし、そうした日本人をターゲットに日本人の自称“専門家”が詐欺行為をしている、というのはよく耳にします。

  • 「その国の不動産を開拓しようと現地に足を運んだら、その国の不動産に詳しいという日本人がいて、その人を信用してお金を支払ったら、姿を消して連絡もとれなくなった」

という被害もあります。

日本の不動産業界も「ブラックボックス」といわれますが、それ以上に海外不動産投資の世界では悪徳業者、怪しい専門家が跋扈していると考えたほうがいいでしょう。

5.為替変動により損失を被る(理由5)

為替変動により損失を被る(理由5)

海外不動産投資のメリットには、「外貨建て資産を保有することで為替変動リスクをヘッジできること」があります。

しかし、これはデメリットの側面を持っていることに注意が必要です。
為替変動によって購入前に想定していたよりも少ないキャピタルゲイン・インカムゲインしか得られないリスクもあるのです。そもそも不動産投資のデメリットとして「流動性の悪さ」があります。不動産は株式投資やFXと違い、すぐに換金できるものではなく、2〜3カ月程度を要します。

そして海外不動産の場合、為替も関わってくるので、流動性の悪さはより顕著となります。簡単には換金できませんし、売却のタイミングで為替変動のダメージを受ける可能性もあるのです。

6.融資が難しい (理由6)

融資が難しい (理由6)

不動産投資における大きなメリットの一つに「レバレッジ」があります。レバレッジとは、「金融機関から融資を受けることで、少ない資金で大きな投資効果を上げる」こと。

例えば、1000万円の自己資金があるとします。その1000万円で、年間100万円の家賃収入が得られる不動産を購入した場合、利回りは10%です。しかし、1000万円を頭金として、年間500万円の家賃収入が得られる5000万円の物件(借入れ4000万円)を購入したとします。このとき、「見た目の利回り」は同じく10%ですが、収益は5倍に跳ね上がっています。このように「レバレッジ」を効かせることで、スピーディに資産拡大が期待できるのです。

レバレッジ_図解

しかし海外不動産投資の場合、融資をしてくれる金融機関はほとんどありません。日本の金融機関(ノンバンク)で融資をするケースがありますが、金利が格段に高く、返済額が膨らみます。したがって、よほどキャッシュに余裕がある人以外は、海外不動産投資は「やりたくてもできない」状況ですし、潤沢なキャッシュがあるならレバレッジを効かせて日本の不動産を低金利で購入したほうがはるかに理に叶っています。

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7. 節税スキームが使えなくなった(理由7)

節税スキームが使えなくなった(理由7)

海外不動産投資がブームになった大きな理由は「節税ができるから」でした。しかし、2020年の税制改正により、海外不動産投資の所得と国内所得を損益通算できなくなり、2021年以降は海外不動産の減価償却を利用した節税スキームは使えなくなりました。

以下は、令和2年度税制改正大綱(P16)の内容です。

個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。

2021年以降の確定申告では、海外の中古不動産で収支が赤字の場合、減価償却費を経費として計上できないわけです。これによって、海外不動産の減価償却を使って所得税の軽減を図ってきた投資家にとっては手痛い改正になりました。

新しい税法は2021年の所得税から適用されるため、2021年以降は海外不動産の減価償却による節税ができなくなります。節税効果を得られなくなった現在、さまざまなリスクを負ってまで海外不動産投資をするメリットはなくなったといえるでしょう。

まとめ

1. 日本と海外の不動産投資では大きな違いがあり、同じものとして考えるのは危険

2. 海外不動産投資の世界では業者に依存しなければならないケースが多く、そのため騙されてしまう人も多数いる。特に「日本人だから大丈夫」と安易に考えて信用してはいけない

3. 海外不動産投資はとにかく不透明なリスクが多く、また国内投資と違って「自分の努力でカバーする」ということがほぼできない。レバレッジも効かせられない、節税効果もなくなった今、海外不動産投資を行うメリットはほぼないといえる

いかがでしたか。海外不動産は「何倍も値上がる可能性がある」という意味では夢がある投資かもしれません。現地視察をする機会があれば、テンションも上がるでしょう。

しかし、この記事で何度もお伝えしてきたように、海外不動産投資はリスクが多く、メリットも享受できるか不透明なので、おすすめできません。どうしても海外不動産投資をしたい人は余剰資金で投資するのがいいでしょう。

この記事を書いた人
山本ゆりえ

山本ゆりえ

ライター・編集者・大家。
木造アパート4棟、重鉄マンション1棟、区分マンション2戸を取得(3棟・区分2戸は売却済)。転貸のレンタルスペース1戸運営中。これまで購入した自宅は3戸。不動産投資の分野を得意とし、これまで関わった不動産関連書籍は100冊を超える。
執筆している記事:MONEY PLUSbizSPA!フレッシュ

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再建築不可物件の建築可能化プログラム

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