本記事をご覧のあなたは、
- ・オーナーチェンジ物件がどんな物件なのかを調べている
- ・オーナーチェンジ物件の購入を検討している
そのどちらかに当てはまる方ではないでしょうか。オーナーチェンジ物件にはメリットがある一方、当然ながらデメリットやリスクもあります。購入を検討する場合にはリスクの見分け方や、対処法を知っておくことがとても重要です。
そこでこの記事では、
- ・オーナーチェンジ物件の基礎知識とメリット・デメリットについて
- ・オーナーチェンジ物件を購入する上での注意点
- ・オーナーチェンジ物件の価格や利回りについて
などの知っておくべき基礎知識をお伝えします。合わせて、オーナーチェンジ物件の購入を検討している方が気になる「儲かる物件なのかどうか」についてもプロの不動産投資家の視点で解説します。
これまで投資家・コンサルタントとして数多くの物件売買に関わった経験をもとに、オーナーチェンジ物件を購入することで起こりうるトラブルや、購入して儲けることができるかどうかを解説します。
あなたがオーナーチェンジ物件への投資を考えておられるなら、当記事をよく読んで知識を高めることで、リスクを回避しつつ投資を成功させることができるようになるでしょう。
なお、不動産投資における様々なリスクについては以下の記事で詳しく解説しております。こちらもぜひご一読ください。
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1.オーナーチェンジ物件とは
オーナーチェンジ物件とはどんな物件のことを言うのか、どんなメリット・デメリットがあるのか、まずはオーナーチェンジ物件の基礎知識から解説します。
オーナーチェンジ物件とは「居住している入居者がいる状態の不動産物件」のことを言います。物件購入時から入居者がついている状態になり、すぐに収益が入ってくるという魅力があります。入居者との貸借契約を継続した状態で、不動産物件のオーナーだけが代わることからオーナーチェンジ物件と呼ばれています。
2.オーナーチェンジ物件を購入するメリット・デメリット
オーナーチェンジ物件は、不動産投資初心者にとって大きなメリットがある一方、リスクとなるデメリットもあります。メリット、デメリット、双方をしっかりと把握した上で購入を検討することが大切です。
2-1.オーナーチェンジ物件を購入するメリット
まずは、オーナーチェンジ物件のメリットを見ていきましょう。
オーナーチェンジ物件の主なメリットには、以下があります。
- ・初心者でも始めやすい
- ・手間がかからない
- ・利回りの予想がしやすい
- ・物件価格が安いことが多い
すでに入居者がいる状態から不動産投資を始められ、手間や時間をかけずにキャッフローを得られることがオーナーチェンジ物件の一番の魅力です。また、物件価格が安い傾向にあるので、不動産投資初心者にとっても買いやすい物件だと言えます。
銀行の融資面でも、満室の物件でかつ収益還元を重視して見る銀行であれば、メリットがあります。
2-2.オーナーチェンジ物件を購入するデメリット
不動産初心者向けのメリットが沢山ある一方、デメリットも知っておく必要があります。
- ・室内がどうなっているか分からない
- ・物件の瑕疵、修繕歴が分からない
- ・入居者を選べない
- ・悪質な物件が紛れていることがある
入居者がいることは収益面のメリットだと言える一方、入居者がいる状態なので室内を確認できないというデメリットがあります。修繕歴などが分からないことも多く、場合によっては思ったより物件が傷んでいることが後で発覚することも少なくありません。
空室物件なら、入居時に審査することが出来ますが、オーナーチェンジ物件ではそれが出来ません。また、入居者に問題があるなどのリスクが伴う物件であることも知っておかなくてはなりません。
2-3.オーナーチェンジ物件の探し方のポイント
オーナーチェンジ物件は、探すこと自体は難しくありません。不動産物件ポータルサイトなどで検索して見つけることも出来ます。ただし、悪質な物件にひっかからないようにするなどの注意が必要です。
オーナーチェンジ物件探しのポイントは次の3つです。
- 物件の管理状態を念入りにチェック
- 不動産管理会社の評判をチェック
- 物件を売却したい理由をチェック
オーナーチェンジ物件には、利回りを高く見せるために「サクラ」の入居者が入っていることもあります。良い物件を探すためには、管理状態などを確認しながら、管理会社に出向いて賃貸借契約の内容を調べることも大切です。
また、管理会社自体の評判をインターネットで検索するなどしておくことで、変な物件にひっかかりにくくなります。相場より安く購入出来る物件の場合は、物件を売りだす理由を調べることで、リスクの高い物件を避けることも出来ます。
2-4.オーナーチェンジ物件購入後にやること
オーナーチェンジ物件を購入したら、まずは賃借人となる入居者へ通知をおこなう必要があります。売主と買主の連名で、
- ・家主が変更になったこと
- ・新しい家賃振込先
- ・新しい連絡先
などを通知します。
次に管理会社を探しますが、以前からの管理会社にそのまま依頼する方法や、自分で見つけてくるなどの方法もあります。一般的には新しい契約になることで、賃貸借契約書の差し替えが必要になりますが、管理会社の契約をそのまま引き継ぐ場合には書類の差し替えが必要ないケースもあります。
3.オーナーチェンジ物件の購入で失敗しないために大切な6つのこと
オーナーチェンジ物件にはメリット、デメリットがあることを見てきましたが、購入して失敗しないようにするために見ておくポイントがあります。ここでは失敗しないためのポイントを6つご紹介します。
3-1.入居状況確認
オーナーチェンジ物件には悪質なものもあります。その1つが、前述の「サクラの入居者」を雇い満室に見せかけるケースです。
この場合、入居状況を確認した後、売買契約成立後に入居者が退去してしまうことがあります。ほとんどの部屋で同じカーテンを使っている場合などにはサクラの入居者が多い可能性が高く、注意が必要です。
3-2.管理会社選定
オーナーチェンジのタイミングで今の契約を終了して、新しい賃貸管理契約を結ぶことになるのが一般的です。自分で管理会社を探すほか、これまでの管理会社にそのまま引き続いてもらうことも出来ます。
万が一空室になった時を想定して、客付けの強い管理会社なのかどうかを基準としてそのまま依頼するかを判断してみることもポイントです。
3-3.敷金を引き継ぎ
オーナーチェンジ物件を引き継ぐ際には、敷金の確認が必要です。敷金は売主から買主に引き継ぐことになり、入居者が退去する際に返却することになります。
オーナーチェンジ物件を購入する際は、敷金の有無を確認して、ある場合には必ず引き続くようにしましょう。
3-4.保証人、保証会社が有効か確認
賃貸物件の契約には万が一に備え、保証人もしくは保証会社の保証をつけてもらうことになりますが、これらの保証が有効かを改めて確認しておくことが重要です。
特に入居期間の長い入居者の場合、保証人の更新がなされていないケースもあります。以前の保証期間を含め、必ずチェックしておくべきポイントです。
3-5.重要書類の管理記録(設備 重要事項調査説明書)の確認
オーナーチェンジ物件は、入居者が住んでいることで、物件内部を確認できないデメリットがあります。
そこで「設備や状況一覧表」「重要事項調査説明書」などの重要書類の管理記録などを確認して、修繕履歴や不具合の確認を行い、出来るだけ物件状況を確認しておくことが重要です。
不動産の売買の際に、「重要事項説明書」の確認が必須です。
こちらの記事では、不動産売買のトラブルを避けるために「重要事項説明書」で確認すべきポイントをアドバイスしています。合わせてお読みください。
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3-6.オーナーが売却する理由を確認
諸条件を確認して「投資してもいい物件」だと判断出来た場合、なぜその物件を売却するのか、売却理由を確認しておくことも大切です。投資する価値がある物件を手放すのは、そこに理由があるからです。
高齢者で運営が難しい、遠方へ引っ越す、お金が必要になった、など正当な理由が見当たらない場合には注意が必要です。
4.オーナーチェンジ物件と価格と利回りについて
オーナーチェンジ物件は、価格と利回りを見て購入を検討することになります。オーナーチェンジ物件は、そもそも価格を正確に算出しにくいという課題があります。投資用不動産は居住用と異なり、収益力が求められます。そのため、物件の価格は収益還元法を用いて計算することになります。
物件の収益力が高くなれば物件価格も高くなり、収益力が低ければ物件価格も低くなるというように計算が難しいことがあります。
また、高利回りに惑わされないことも大切です。例えば、サクラの入居者を住まわせることで物件を売却しようと考える悪徳オーナーがいるようなケースでは、サクラに高い家賃で住まわせたりして利回りを高く見せようとすることがあります。
このような見せかけの利回りに飛びついてしまっては、家賃を得ることはおろか空室を埋めることすら難しくなってしまいます。
不動産投資の利回りについて、計算方法や地域別の平均の最新情報、高利回りにまつわるリスクについて掲載しています。こちらの記事をご参考にしてください。
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5.オーナーチェンジ物件を購入すると起こるかもしれないトラブルとは
オーナーチェンジ物件を購入する際に起こりうるトラブルの回避法については、事前に確認すべき点について3章の6つのポイントでもお話しましたが、この章では、他にも購入後に起こりうるトラブルについてお伝えします。
5-1.入居者優位の契約内容
オーナーチェンジ物件を購入して、賃貸借契約を引き継ぐ場合には事前に内容を確認しておくことが重要です。中には、入居者優位になっていることがあります。
更新料の有無や、退去時の内装費用の負担など、どのような取り決めになっているかを確認せずに購入してしまうと、後々トラブルになってしまうことがあるので注意が必要です。
5-2.書面に残っていない約束がある
前の所有者と、入居者との間に、書面に残っていない約束がある場合、それが原因でトラブルになってしまうことが多くあります。本来禁止されていることや、契約違反になるような事柄を、前の所有者が黙認しているようなケースにおいてトラブルになることも多く注意が必要です。
6.オーナーチェンジ物件は結局儲かるのか?
オーナーチェンジ物件についての基礎知識、メリット、デメリットなども見てきましたが、結局オーナーチェンジ物件が儲かるかどうかは、「ちゃんとした物件を掴めるかどうか」にかかっていると言えるでしょう。
ただし忘れてはいけないのは、オーナーチェンジ物件には「オーナーチェンジする理由が必ずある」ということです。場合によってはそれがリスクとなることも多く、そのリスクに対処できるかどうかが、儲かる投資になるかどうかを大きく左右することになります。
4章でもお伝えしたように、価格の安さや利回りだけに惑わされず、しっかり状況や条件を調査して、リスクがカバーできるようであれば購入するなど慎重な判断が求められます。
まとめ
1.オーナーチェンジ物件は、メリットだけでなく、デメリットを把握することが重要です。
2.失敗しないための6つのポイントを頭に入れ、購入を検討しましょう。
- 入居状況確認
- 管理会社選定
- 敷金を引き継ぎ
- 保証人、保証会社が有効か確認
- 重要書類の管理記録(設備 重要事項調査説明書)の確認
- オーナーが売却する理由を確認
3.価格の安さ、利回りの高さだけで購入してしまうと失敗する可能性が高くなります。
4.起こりうるトラブルを知っておき、対処する方法を知っておきましょう。
5.最終的にはリスクを対処できるかで判断していくことが大事です。
オーナーチェンジ物件は、すでに入居者がいる状態で不動産物件を購入することになるので、購入した月からすぐに収益が発生するというメリットがあります。
ただし本記事でもお話したように、サクラがいたり、そもそも利回りがウソだったりすることもあります。これらを判断するための知識を身に付けながら、不動産投資の専門家に相談しながら物件購入の判断を進めていくことをおすすめします。
不動産投資における利回りの重要性については以下の記事でも紹介しております。こちらもご参考ください。
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