かぼちゃの馬車事件の被害者のその後は?投資家が学ぶべき3ポイント

不動産投資業界を一変させた「かぼちゃの馬車事件」では、700人に上るオーナーが総額1000億円もの被害を受ける結果となりました。被害者オーナーの中には自己破産をしなければならなかった人や、自己破産は免れても、相当額の損失を被ることになりました。

その時に被害に遭ったオーナーの大半には、共通する特徴があったことをご存じでしょうか?また、被害に遭ったオーナーはどのような対応策を講じたのでしょうか?

この記事では、

  • 「かぼちゃの馬車」被害者のオーナーに共通する特徴とは?
  • オーナーが受けた被害と二重詐欺の内容とは?
  • 収支改善のための対応策
  • 同じような被害に遭わないための3つのポイント

について解説します。

この記事を読めば、「かぼちゃの馬車」で狙われたオーナーの特徴を自身に当てはめて考えることができ、どのような点に気を付ければよいか事前に把握しておくことができます。

また、被害者オーナーが行った対応策は同じような被害に遭った際に役立てることができます。

「かぼちゃの馬車」事件から注意すべきポイントをしっかりとおさえ、同じような被害に遭わないための知識を身につけておきましょう。

1.「かぼちゃの馬車」のオーナーの特徴

「かぼちゃの馬車」のオーナーの特徴

かぼちゃの馬車事件で被害にあったオーナーにはどの様な特徴があったのでしょうか?

1-1. 年収が高い「高属性」が狙われた

かぼちゃの馬車を購入したオーナーは、医師、士業、上場企業の会社員など、年収が高く世間的にエリートといわれる「高属性」でした。被害を受けた700名全員が高属性だったかはわかりませんが、大半は年収800万円以上だったと考えられます。

では、なぜ高属性の人が狙われたのか。

理由の一つは「高額融資を受けられるから」です。

かぼちゃの馬車は一棟あたり1億円前後のため、年収がそれなりに高い人でないと融資の俎上に乗りません。当時、年収800万円以上あって勤め先や職業に安定性があると判断されれば、アパートローンに積極だったスルガ銀行なら、かなりの高確率で億単位の融資を引き出せました。

1-2. スルガ銀行の特異性

融資では借りる人の「属性」とともに物件も評価されます。物件評価には「積算評価」(土地と建物の価格を基準とした評価)と「収益評価」(その不動産から生み出される収益を基準とした評価)があります。

どちらを重視するか、その評価の仕方は各行によって変わりますが、スルガ銀行は「収益評価」を重視していました。当時、基準とされていたのが利回り8%といわれており、「かぼちゃの馬車」ではその基準を満たすような家賃設定がされていました。

また「返済比率」という考え方があります。マイホームや収益物件をすでに買われた方ならご存じだと思いますが、通常、借り入れできる上限額は、返済比率というものから割り出します。計算式は以下のとおりです。

  • 「返済比率」=「毎月のローン返済額」÷「満室時の毎月の家賃収入」

毎月の返済額が50万円で満室時の毎月の家賃収入が100万円であれば、「50÷100=0.5」、つまり50%になります。これは「返済が家賃収入に対して半分占めている」と言い換えられます。

不動産投資における返済比率は、「40%以下は安全」「40〜50%は比較的安全」「50〜55%は注意が必要」「55%以上は危険」だといわれています。スルガ銀行の場合、これが50~60%となっていました。つまり、返済比率が「注意が必要〜危険」のレベルまで融資をしていたということです。

そして通常、収益物件を買う際には「物件価格の1〜2割の頭金」が求められますが、スルガ銀行はほとんどの案件で物件価格の100%を融資していました。さらに、諸経費についても融資を出すというオーバーローンを受ける人も少なくありませんでした。

これだけのリスクを抱えて購入しているということは、たとえ「かぼちゃの馬車事件」のようなことがなかったとしても、突発的な修繕や予想外の空室などによって収支がマイナスに陥る可能性が十分にある ということです。

スルガ銀行で融資を組んでいた人は、営業マンから「銀行が承認したのだから大丈夫」と言われて安心していたのかもしれません。しかし実際は、かなりのリスクを背負って投資をしていたのです。

1-3. 高属性ならではの「負の側面」

かぼちゃの馬車のオーナーはもちろん、一般に不動産投資家となる人は、年収が高い傾向があります。

近年では、「年収300万円台」「専業主婦」「パート」といった、いわゆる“低属性”の人でも不動産投資ができると謳われています。そして実際に行っている人もいるのは事実です。

しかし、やはり収益物件を持つ人の多くは、平均年収以上だったり、勤め先が上場企業だったり、自己資金が多かったりと、何かしら“高属性”の要素を備えているといえます。

こうした人々は、受験や就職活動などで周囲を押しのけて成功を勝ち取った経験を少なからずしてきているものです。もちろん、その自信は仕事やプライベートで有利に働く部分も多いでしょうし、それ自体を否定するつもりはまったくありません。

しかし、そうした自信は厄介な側面もあります。それは、「自分は優秀だ」「他人を見る目がある」「これまでもうまくいっていたし、大きな失敗をするはずがない」などと自分の力を過信してしまうことです。こうなると、物事を正確に把握するのに時間がかかって被害が大きくなる恐れがあります。

実際にあった例でお話ししましょう。

業者に勧められるまま、新築ワンルームを立て続けに3戸購入した年収2000万円の医師(40代後半、男性)がいました。

ご存じの方も多いと思いますが、新築ワンルームは初年度こそ節税効果はあるものの、2年目以降はほぼ持ち出しが続き、売ろうとしても購入時より高値で売れることはまずありません。つまり、「ほぼ失敗」が確定している投資手法といえます。

にもかかわらず、この医師は自分の投資を失敗と認めようとはしませんでした

理由は、第一に「持ち出しといっても毎月3〜5万円程度なので、彼の収入からすれば致命傷ではなかった」ことが考えられます。そして第二に、「“自分は失敗を犯すような人間ではない”と思い込んでいた」ことが考えられます。

新築ワンルーム投資の被害者はもっと出てきてもいいと思うのですが、なかなか出てこない理由は、まさにこの例と同じでしょう。

つまり、失敗者の大半が実際のマイナス収支よりも「自分が失敗したと認めたくない」というプライドが上回っているため、赤字収支が続いても誰にも打ち明けずにいるのです。

そして同じことは、かぼちゃの馬車のオーナーでもいえるでしょう。

早い段階で失敗を認めたり、スマートデイズが提唱するスキームに違和感を持ったりすれば、多少の損が出たとしても自己破産まで追い込まれる可能性は減らせたはずです。

「自分は大丈夫だろう」という油断、そして「これまで自分は成功してきた」という過度な自信……これらがかぼちゃの馬車事件を肥大化させた背景にあったのではないかと私は考えています。

2.「かぼちゃの馬車」のオーナーが受けた被害

「かぼちゃの馬車」のオーナーが受けた被害

かぼちゃの馬車事件でオーナーが受けた被害はどのようなものだったのでしょうか?

2-1. 自己破産を免れても相当額の損失を被る

かぼちゃの馬車スキームは、スマートデイズによる「30年間の一括借り上げ」が前提となっていましたが、同社が経営破綻したことにより、オーナーは物件の力のみで収益を上げなくてはならなくなりました。

かぼちゃの馬車のなかでも初期のころに販売されたものは、利回りがそれなりに高く、立地も悪くなかったため、収益率は下がっても持ちこたえることはできたでしょう。

しかし、正確な人数までは発表されていませんが、自己破産に追い込まれた人が出ていることは確かです。また、自己破産までいかなくとも、建物を取り壊し、更地にしての売却によって相当額の損失を被ったケースも出ているようです。

2-2. 被害者を襲った「二重詐欺」

多額の借金返済に窮するかぼちゃの馬車のオーナーに対して、さらに詐欺をはたらく「二重詐欺」が2018年の春から夏にかけて多発しました。

これは、被害を受けたオーナーに対して「被害者救済」「問題解決のプロ」と名乗る団体が「投資資金を回収できる。ぜひ力になりたい」とダイレクトメールや電話を通じての連絡から始まります。

その団体は、「自分たちもかぼちゃの馬車の被害者だ」などと説明し、オーナーの共感を煽ります。しかし真の狙いは、オーナーからコンサル料と称してお金を得ることです。

真意を知らないオーナーは、混乱している時期ということもあって、藁にもすがる思いで数十万円、なかには数百万円ものコンサル料を支払ってしまいます。しかし、支払い後は特に動きがあるわけでもなく、契約解除を求めても次第に連絡が取れなくなり、最終的には音信不通になります。

こうした二重詐欺の話は、かぼちゃの馬車に限ったことではありません。知らぬ間に被害者の情報が載ったリストが詐欺グループのなかで出回り、何度も詐欺に遭ってしまうのです。多重債務者も同じロジックで生まれるといえます。

一度詐欺に遭うと「次は大丈夫」「なんとしても被害を抑えたい」という思いが働くため、詐欺師にとっては狙われやすくなります。一度詐欺に遭ったときは、通常よりも詐欺師にターゲットされやすくなるということは覚えておいたほうがいいでしょう。

3.「かぼちゃの馬車」のオーナーの対応策

「かぼちゃの馬車」のオーナーの対応策

被害を受けたオーナーの中でも対応は様々です。現在までにどの様な対応をしているオーナーがいるかを紹介します。

3-1. 金利交渉でどん底から奇跡の再生

かぼちゃの馬車のオーナーのなかでも、苦境に陥りながらも起死回生したケースがあります。

1つめが金利交渉に成功したケースです。

かぼちゃの馬車を購入したオーナーは、スルガ銀行から3.5〜4.5%という高金利で融資を組んでいます。そのため、家賃収入から引かれる金利分は大きく、収支を悪化させる要因となっていました。

あるオーナーの例では、スルガ銀行と交渉をし、金利を4.5%から1% 台に下げることができたそうです。これにより収支は大きく改善されました。

3-2. グループホーム、労働者向けの宿所としての活用

かぼちゃの馬車の入居者ターゲットは、当初「女性限定のシェアハウス」で、特に上京してくる人に対し、就職斡旋をセットにしてビジネスを回すというスキームを採用していました。

しかし、そのスキームを運営する会社が破綻した以上、空室が埋まらなければ新たな入居者を設定する必要が出てきます。

オーナーのなかには、グループホームの運営会社に委託して、各部屋を広くし、共用部のリノベーションをすることでグループホームとして運営している人もいます。

また、警備員や引越し業者などの日雇い労働者をターゲットにし、派遣会社と提携して空室を埋めた例もあるようです。

3-3. 自主管理により収益を改善

その他のケースとして、管理会社に支払う委託料を削減するために自主管理に切り替えて収益を改善したオーナーもいます。

シェアハウスには専門のポータルサイトが複数あり、オーナー自ら入居募集が可能です(ただし、かぼちゃの馬車は共有部が充実していないため、サイトによっては掲載要件を満たさない)。

また、ご近所掲示板「ジモティ」を使っての募集も有効といわれています。とはいえ、客付けから清掃、入退去時の対応など普通に働きながら対応するのは、物件が家の近くにあれば別ですが、かなり難易度が高く、手間がかかるのは事実でしょう。

3-4. 物件を買い増してリカバリー

築古の戸建てを格安で購入し、自身でリノベーションして売却益でキャッシュフローを得るという方法で、かぼちゃの馬車の損失を補填したオーナーもいます。

この場合、良い物件が出るかどうかのタイミングも重要ですし、自身でリノベーションを行うだけの知識、技術、時間が求められます。容易な選択ではなかったはずですが、実際に行って収支改善した方がいらっしゃるのは事実です。

4.同じような被害に遭わないために

同じような被害に遭わないために

かぼちゃの馬車の被害を受けたオーナーについてさまざまな観点で見てきましたが、同じような被害に遭わないためにはどうすればいいのでしょうか。

  • (1)「自分だけは大丈夫」だと思わない
    テレビやネットで「かぼちゃの馬車事件」のようなニュースを見ていると、「こんなこともあるんだな」とどうしても他人事に見てしまいがちです。
    しかし、被害に遭った人たちはいずれも「まさか自分が……」と思っているはず。投資とはお金が絡むものであり、そこには怪しい話もいくらか含まれていると考えるべきです。
    疑い深くなりすぎるのも問題ですが、過度に信用したり、任せきりにしすぎる考え方は危険です。
  • (2)最低限の勉強をする
    騙されてしまう理由には、「知識不足」も挙げられます。
    かぼちゃの馬車もそうですが、運営会社は安全なのか、そのスキームのメリット・デメリットは何か、そしてそもそも不動産投資とはどんな投資なのか……最低限のことを調べて知識として身につけておくことで、騙されるリスクは格段に減らせたはずです。
  • (3)「不動産投資=ラクに稼げる」とは思わない
    これは②にも通じる話ですが、「不動産投資は“不労所得”だから、ラクに稼げるんでしょ」と思っているのでしたら、それは大きな勘違いです。
    たしかに不動産投資は、自分で積極的に動き、学んでいけば、初心者でも成功する確率が非常に高いビジネスです。しかし、誰かに任せたい」「ラクに稼ぎたい」と思って稼げるほど甘くはありません。他人に任せず、自分の力で切り拓くという意識はやはり必要だと思います。

5.まとめ

  • 1. かぼちゃの馬車のオーナーには高属性が多い。その理由は物件価格が1億円程度で、融資を受けられる基準を満たしている必要があるから。スルガ銀行は他行よりも返済比率の基準が緩く、それが「かぼちゃの馬車事件」を肥大化させたと考えられる。
  • 2. 高属性の人は、人生経験のなかで成功を多く経験しているため、往々にしてプライドが高く、失敗を受け入れるのに抵抗がある傾向がある。そのため早期で対策していれば致命的な失敗にならなかったものも見過ごしてしまう可能性もある。
  • 3. かぼちゃの馬車のオーナーの被害レベルはさまざまであり、最悪の場合は自己破産というケースもある。また、被害者を狙った詐欺業者の存在も明らかになっている。
  • 4. 被害を受けたものの、起死回生して収支を改善した例もある。ただ、いずれも相当の努力が必要だったであろうと考えられる。

いかがでしたか。かぼちゃの馬車事件は、業界の歴史に残る一大ニュースでしたが、今後同じようなことが絶対に起こらないとは言い切れません。前述したとおり、他人事にせず、勉強をすることが不動産投資家には求められるといえるでしょう。

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再建築不可物件の建築可能化プログラム

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