「不動産取得税」とは?経費計上の方法から確定申告まで徹底解説!

マイホームを購入しようとしている人、不動産投資を始めようとしている人に注意してほしい税金があります。それは「不動産取得税」です。

その名のとおり、不動産を取得(購入)したときにかかる税金なのですが、忘れた頃にやってくるのが特徴です。納税額も安くて数十万円、100万円以上かかるケースも珍しくないため、事前に把握してお金を残しておかないと痛い目に遭います

また、不動産取得税について「名前くらいは聞いたことがある」という人でも、以下のような疑問をお持ちかもしれません。

  • ・経費計上できるの?
  • ・計算方法は?
  • ・軽減する方法はないの?
  • ・確定申告での注意点は?

知っているようで知らない。大半の方が不動産取得税に対して持つイメージだと思います。

そこでこの記事では、

  • 不動産取得税とは?経費にできる?
  • 不動産取得税の計算方法
  • 不動産取得税には「軽減措置」がある!
  • 不動産取得税の納税、軽減措置の申請方法、確定申告について
  • 不動産取得の場合に計上できるその他の経費とは?

について、不動産投資に詳しい髙橋会計事務所の髙橋正典税理士の監修のもと、必要な知識を全て解説します。

髙橋会計事務所

不動産取得税について何も知らない人でもすぐ理解できるよう、わかりやすく解説しています。何も知らないままだと、大きく損をしたり、「こんな金額、払えないよ」という状況になったりしてしまいますので、マイホームを購入しようとしている人、不動産投資を始めようとしている人は必ずご一読ください。

本記事が「安心して不動産購入をしたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.不動産取得税とは?経費にできる?

不動産取得税とは?経費にできる?

1-1.不動産取得税は「1回だけ支払う」地方税

不動産取得税は、戸建てやマンション、新築や中古、有償無償を問わず、売買や贈与、交換、また新築や増築をした際に課税される地方税です。ただし相続による取得の場合には、非課税となります

不動産を取得すると、さまざまな税金がかかります。代表的なのが「固定資産税」や「都市計画税」ですが、これらは毎年納税支払わなければならないランニングコストです。

一方、不動産取得税の支払いは1回のみです。つまり、1回支払ってしまえば、あとはコストとして考える必要はありません

1-2.不動産取得税が課税されないケース

例外として、課税標準となるべき額が次の金額未満の場合、不動産取得税は課税されません。

  • ・価格が10万円未満の土地を取得した場合
  • ・家屋の新築、増改築にかかった金額が23万円未満の場合
  • ・売買、贈与などにより取得した家屋の価格が12万円未満の場合

ただ、金額を見ていただければわかるとおり、基準となる価格のハードルが非常に低いです。まったくないとはいいませんが、基本的には「不動産取得税はかかるもの」と考えたほうがいいでしょう。

1-3.全額経費計上できる!

不動産取得税は、全額経費計上できます。また、不動産購入時には登録免許税(登記の際に支払う税金)や司法書士への報酬費用も発生しますが、こちらも全額経費計上できます。確定申告時に忘れずに申告しましょう。

2.不動産取得税の計算方法

不動産取得税の計算方法

1章では、不動産取得税は、経費として計上できるということをお伝えしました。
ここでは、不動産取得税の計算方法をご紹介します。

2-1.不動産取得税の計算式

不動産取得税の基本となる計算式は以下になります。

不動産取得税額=固定資産税評価額×税率

※税率は、以下のとおりです。

  • ・家屋(住宅用)、土地……「3%」(2021年の4月以降は4%になるので注意)
  • ・住宅以外の土地……「4%」

例えば、固定資産税評価額が4000万円の住宅を取得した場合、「4000万円×3%=120万円」となります。ただし、次項で解説するとおり、不動産取得税には軽減措置があるため、実際にこの金額になるとは限りません

そして見ていただければわかるとおり、不動産取得税は「固定資産税の評価額」に課税されるため、固定資産税の評価額は確認しておきましょう

固定資産税評価額とは

  • 固定資産税評価額は、固定資産税を決める際の基準となる評価額のこと。毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」に記載されていますし、新たに中古・新築不動産を購入する場合は、不動産仲介会社の担当者に尋ねれば教えてもらえます。
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  • ただし、年の途中で新築物件を購入したときは、固定資産税の納税通知書が来る前に、不動産取得税の課税が行われることがあります。例えば、9月に物件を購入した場合、不動産取得税の課税が11月にされ、翌年4~6月頃に固定資産税の振込用紙と納税通知書が来るというケースです。
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  • こうした場合では、都道府県知事が固定資産評価基準をもとに課税標準となる評価額を出しているため、市町村等が算出する固定資産税評価額とは必ずしも一致しません。特に、居住用不動産は、固定資産税評価額よりも高くなるケースが多いので注意が必要です。つまり、新築物件の場合、モデルハウスやモデルルームの段階で教えてもらえる固定資産税評価額は概算のため、実際の税額とは違う可能性があるということです。
  •  
  • ちなみに、土地の固定資産税評価額は時価(実際に取引されている価格)の70%程度、建物は購入価格の60%程度といわれています。まずはこれを目安として、一度計算するのがいいでしょう。

3.不動産取得税には「軽減措置」がある!

不動産取得税には「軽減措置」がある

以下のケースに当てはまる場合、不動産取得税は軽減措置の対象となります。

3-1.新築住宅を取得した場合

以下の条件を満たす場合、建物の税額は「1200万円」もの控除を受けることができます。

  • ・マイホーム、セカンドハウス、賃貸用マンションなど新築不動産を取得した場合
  • ・50m2以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40m2以上)、240m2以下

計算式は以下になります。

不動産取得税額=(固定資産税評価額–1200万円)×3%

また、

  • ・上記「建物」の軽減の要件を満たすこと
  • ・住宅よりも先に土地を取得した場合、3年以内に建物を新築すること
  • ・建物の建築を先行していた場合、新築した人が1年以内にその土地を取得すること

の場合、土地の不動産価格は以下になります。

  • 不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)−控除額(下記AかBの多い金額)
  • ・A=45000円
  • ・B=(土地1m2当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200m2限度))×3%
  • (計算例)
  • ・土地の固定資産税額:3000万円
  • ・共有持ち分け面積:50m2
  • ・課税床面積:70m2
  • 【控除される額】

  • Aの場合:45000円
  • Bの場合:(3000万円÷50m2)×1/2×(70m2)×2×3%=126万円

このケースでは、Bのほうの金額が高くなるため、Bの控除額が適応されます。この土地の不動産取得税額は「3000万円×3%」なので「90万円」です。ここから控除額を引くと、不動産取得税は0円ということになります。

3-2.認定長期優良住宅を新築した場合

2022年3月31日までに、一定の要件を満たす「認定長期優良住宅」を新築した場合、固定資産税及び不動産取得税の軽減が受けられます。

具体的な条件は以下のとおりです。

  • ・2022年3月31日までの間で取得した住宅であること
  • ・長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期有料住宅であること
  • ・1戸あたりの床面積が50m2以上240m2以下であること(ただし、賃貸用のマンション、アパートの場合は40m2以上240m2以下)

上記の条件を満たしていれば、以下の計算式で不動産取得税が決まります。

不動産取得税額=(固定資産税評価額–1300万円)×3%

例えば、固定資産税評価額が4000万円の場合、「4000万円–1300万円×3%=81万円」になります。何も特例が適用されないと、120万円ですので約40万円下がったことになります。この金額はかなり大きいですね。

この特例の適用を受けるためには、まず長期優良住宅に認定されなければならず、住宅着工前に申請が必要です。詳しい手続き方法は不動産が所在する市区町村にお問い合わせください。

長期優良住宅の認定を受けたあとは、各行政の「不動産取得税申告書」に必要事項を記入のうえ申告します。

3-3.建物・土地の条件によっては中古住宅も対象に

ここまで新築住宅の場合の軽減措置を解説してきましたが、中古の住宅を取得した場合の軽減措置について紹介しましょう。

軽減措置を受けられる「建物」の条件

中古住宅の場合、新耐震基準が適用された1982(昭和57)年以降に建築されていれば、まず第1条件をクリアしたことになります。それより前に建てられた建物の場合は、新耐震基準を満たしている、または改修によって満たすなどの一定条件をクリアする必要があります

1982年以降に建築された住宅で、かつ以下の【A】【B】を満たし、さらに【C】のいずれか一つを満たしていなければなりません。

  • 【A】課税床面積が50m2以上240m2以下(戸建て以外のは1戸当たりが40m2以上)
  • 【B】個人の居住を目的とした住宅全般に適用される
  • 【C】
  • ・昭和57年1月1日以降に建築
  • ・昭和56年12月31日以前に建築された場合、新耐震基準に適合していることが証明できる
  • ・昭和56年12月31日以前に建築された場合、既存住宅売買瑕疵保険への加入が証明できる
  • ・新耐震基準に適合しないが、入居までに新耐震基準を満たす改修を行う

3-4.軽減措置を受けられる「土地」の条件

中古住宅の控除額は、固定資産税評価額から新築した日に応じた金額になります。詳しくは以下のとおりです。

新築した日

建物の控除額

1954/7/1~1963/12/31

100万円

1964/1/1~1972/12/31

150万円

1973/1/1~1975/12/31

230万円

1976/1/1~1981/6/30

350万円

1981/7/1~1985/6/30

420万円

1985/7/1~1989/3/31

450万円

1989/4/1~1997/3/31

1000万円

1997/4/1~

1200万円

この控除額を計算式に当てはめると、以下になります。

不動産取得税額=(固定資産税評価額–控除額)×3%

つまり1997年4月1日以降に建てられた中古住宅なら、新築と同じ「1200万円」の控除を受けられることになります。

中古住宅の宅地にかかる不動産取得税の減税措置の条件は以下のとおりです。

  • ・上記「建物」の軽減の要件を満たすこと
  • ・住宅よりも先に土地を取得した場合、1年以内に建物を取得すること
  • ・建物の取得を先行していた場合、取得した人が1年以内にその土地を取得すること

控除額については新築の土地と同様です。

  • 不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)−控除額(下記AかBの多い金額)
  • ・A=45000円
  • ・B=(土地1m2当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200m2限度))×3%

ここまで読んでいただいた方ならわかるとおり、「建物」に関しては新築と中古で計算方法が違いますが、「土地」はどちらも同じ方法で算出されます

4.不動産取得税の納税方法

不動産取得税の納税方法

では、不動産取得税の納税方法をみていきましょう。

4-1.まずは不動産が所在する自治体に届け出を行う

不動産を取得したあとは、その不動産が所在する自治体に届け出を行う必要があります。申告書は都道府県税事務所が自動的に申告してくれる場合もありますが、基本的には都道府県税事務所の窓口、もしくはホームページで入手して申告することになります。

提出期日は、短くて不動産を取得した日から20日以内、長くて60日以内なので注意しましょう。ちなみに「不動産を取得した日」とは、契約を結んだ日でも住み始めた日でもなく、「登記が完了した日」になるので覚えておいてください。

4-2.納付書を受け取ったら納税する

申告が終わると、次は都道府県税事務所から不動産取得税の納付書が送られてきますので、納税しましょう。ただし、「忘れた頃にやってくる」ので注意してください

不動産取得税は、都道府県からの納税通知書が手元に届いてから記載された期限内(通常は30日以内)に支払うことになるのですが、実はこの納税通知書、「いつ届くか」という明確な決まりはありません。

不動産を取得から3カ月から半年くらいを目安に設定している都道府県が多いですが、なかには1年以上かかるケースもあります。これは税額計算のために調査が必要な場合があるからです。

とはいえ、これだけ長い期間が空いてしまうと、支払う側としては税金の存在は忘れてしまいがちです。大阪府や愛知県だと、納税通知書を送付する前にハガキで予定税額や納期限等を事前に知らされますが、そうしたサービスを行う都道府県は一部に限られています。

そして問題なのは、金額です。数千円、数万円程度なら急な支払いでも対応しやすいですが、不動産取得税は数十万円、100万円以上になることも珍しくありません。そのため、その存在を忘れていると、重い税負担がのしかかることになります。

なお、納税額が0円の場合は納付書が送られてこないケースもあります。

5.軽減措置の申請方法

軽減措置の申請方法

軽減措置を受ける場合も、各都道府県の自治体に申請します。「不動産取得税課税基準の特例適用申告書」という申請書類があるので、建物と土地用にそれぞれ1通ずつ用意し、以下の必要書類と合わせて提出をします。

  • ・不動産取得税の納税通知書
  • ・印鑑
  • ・土地と住宅の売買契約書
  • ・住宅の登記事項証明書(登記謄本)
  • ※さらに必要となるケースもあるので、詳しくは各自治体に確認することをおすすめします。

なお、軽減措置の申請書の提出は、不動産を取得した日から原則60日以内です。不動産取得税の届け出と合わせて提出するのが効率的といえるでしょう。

また、軽減措置を受けずに不動産取得税を払ってしまったあとでも、不動産を取得した日から5年以内であれば、差額分が還付されます。詳しくは各自治体に確認しましょう。

6.確定申告について

確定申告について

前述したとおり、不動産取得税は全額経費計上できます。確定申告の際は、忘れずに記載しましょう。

ただ、以下のような疑問を持たれる方もいるでしょう。

    2020年11月に新築で賃貸用不動産を購入した。同年2月時点で不動産取得税の納付書は来ていないが、概算額の計算は出ている。不動産の取得にかかる税金なので、未払いでも2020年度分の必要経費に入れて確定申告していいのだろうか?

結論からいえば、不動産取得税を昨年の必要経費に入れることはできません。具体的には、その税金の納税通知書が届いた時点で必要経費に算入することができます。つまり上記のケースでは、2020年度分ではなく2021年度分の経費になるということです。

7.不動産取得の場合に計上できるその他の経費とは?

不動産取得の場合に計上できるその他の経費とは?

不動産取得税は全額経費計上できますが、それ以外にも経費計上できる項目はあります。

以下の記事では、不動産取得時の経費について細かな情報も網羅し、漏れなく経費を申告できるようにするための項目とそれぞれの解説をしています。余計な税金を払いたくないという人は、必ずチェックしてください。

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まとめ

1.不動産取得税の支払いは1回のみ。全額経費計上できる

2.不動産取得税は「忘れた頃にやってくる」ので注意

3.新築・中古ともに軽減措置があるので把握しておこう

いかがでしたか。不動産取得税は控除がなければ物件価格に比例して高くなり、100万円以上かかるケースも珍しくありません。しかし、軽減措置の申告をすることで大幅な減税を受けられる可能性もあります。物件購入前には、どれくらいになるのか試算しておくのがおすすめです。

この記事を書いた人
山本ゆりえ

山本ゆりえ

ライター・編集者・大家。
木造アパート4棟、重鉄マンション1棟、区分マンション2戸を取得(3棟・区分2戸は売却済)。転貸のレンタルスペース1戸運営中。これまで購入した自宅は3戸。不動産投資の分野を得意とし、これまで関わった不動産関連書籍は100冊を超える。
執筆している記事:MONEY PLUSbizSPA!フレッシュ

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