タイプ別にみる不動産の相続税対策8選を徹底解説【税理士監修】

不動産が、節税対策になることは知っている人は多くいらっしゃると思いますが、実際に不動産の相続税対策のためには実際には何をしたらよいのでしょうか?

不動産の相続に関しての不安や悩みは、実にさまざまだと思います。

  • 自分に相続が発生した際の相続税について不安を抱えている
  • 相続税の節税対策として不動産を新たに取得することを検討している
  • 家族(両親)に正しい相続税対策について知ってもらい、資産・お金を少しでも残してもらいたい
  • 突然相続することになり、相続税を少しでも節税できる方法を模索している

これら全ての方に共通することは、「相続税を抑えて少しでも多くの資産やお金を自分や家族に残したい」ということでしょう。

そこでこの記事では、

8つの対策方法

について解説します。

相続税対策、節税に精通した浅野税務会計事務所の浅野和治税理士の監修のもと、タイプ別の相続税対策について解説します。ただの相続税の話ではなく、「少しでもお金や資産を自分や家族に残すために何をするべきか?」といったことが明確になります。

本記事で紹介するポイントを把握して、対処することで資産を多く家族に残し、あなたの資産をしっかりと守ることができるようになるでしょう。この記事があなたの資産を守るための不安の解消につながれば幸いです。

1.不動産を活用することが相続税対策でなぜ有効か?

不動産を活用することが相続税対策でなぜ有効か?

相続税対策の一環として「不動産活用」を耳にしたことがある人は多いでしょう。実際、現金で相続するのと不動産活用で相続するのでは、節税効果は圧倒的に後者のほうが高いです。

では、不動産を活用することが、なぜ相続税対策になるのでしょうか?理由は4つあります。

不動産を活用することが相続税対策で有効な4つの理由

  • 1. 土地の評価額が20~30%程度下がる
  • 2. 建物の評価額が50〜60%程度下がる
  • 3. 賃貸物件にすることで節税効果はさらに大きくなる
  • 4. 小規模宅地等の特例を活用できる

次に、それぞれ詳しく見ていきましょう。

「不動産と現金の相続、どちらが相続税の節税になるか?」に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

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1-1. 土地の評価額が20~30%程度下がる

土地の評価額は、路線価方式か倍率方式のどちらかによって算出されます。路線価が定められている地域の土地であれば「路線価方式」を用います。路線下の場合、目安としては時価の70~80%程度になります。つまり、実際に支払った土地価格より20~30%程度下がるということです。

1-2. 建物の評価額が50〜60%程度下がる

建築が終了している建物の評価額は、基本的に固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額をもとに評価されます。通常、建築費用の50〜60%の評価となることが多いです。つまり、実際に支出した建築費の半分が評価額になる傾向があります。

1-3. 賃貸物件にすることで節税効果はさらに大きくなる

上記に加えて、アパートやマンションなどの不動産を第三者へ貸し出す賃貸物件である場合、評価額がさらに30%減少します。

参考:「国税庁 アパート等の貸家の評価」

1-4. 小規模宅地等の特例を活用できる

小規模宅地等の特例は、 被相続人が自宅・店舗・事務所などに使っていた宅地を取得する場合、宅地の価格を一定の面積までは最大80%減額して評価する制度です。評価額が低くなる賃貸アパートの場合でも200平方メートルを限度に土地の評価額が50%減少するため、非常に有効だといえるでしょう。

宅地の種類

上限面積

減額率

居住用宅地

330㎡

80%

事業用宅地

400㎡

80%

貸付事業用宅地

200㎡

50%

2. あなたはどのタイプ? 最善の相続税対策を見つけよう

あなたはどのタイプ? 最善の相続税対策を見つけよう

以上、ここまで「不動産を活用することが相続税対策で有効な理由」を大きく4つ紹介しました。
こちらでは、具体的な不動産活用による相続税対策を解説していきましょう。

この記事では、不動産をする場合の対象者として、次の3つのタイプに分けました。関してよくある相続税対策の3タイプについて紹介します。

・タイプ(1)「相続税申告が必要な人」
既に相続が発生してしまった人の相続税対策を解説します。

・タイプ(2)「所有不動産で相続税対策をしたい人」
まだ相続が発生していない人に向けて、所有不動産についての相続税対策を解説します。

・タイプ(3)「不動産を新たに取得して相続税対策をしたい人」の場合
まだ相続が発生していない人に向けて、不動産を新たに取得することを検討している場合の相続税対策を解説します。

3. タイプ(1)「相続税申告が必要な人」

タイプ(1)「相続税申告が必要な人」

相続発生後は、売却・購入・贈与などの各種対策が講じられないため、「評価額をいかに抑えるか」がポイントになります。土地の形状や広さ、周囲の状況などによって評価減の可能性がありますので確認しましょう。

土地、建物の評価額の計算方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

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3-1. 土地の形状や広さ、周囲の状況などによる評価減の可能性を確認しよう

土地の形状、広さ、周囲の状況などによって評価額が減少する可能性があります。

例えば以下のような土地は、利用価値が通常の土地よりも低く、相続税評価額が減額になる可能性が高いといえます。

■不整形地

土地の形が三角形やL字型をしている、土地利用が比較的難しい形状をしている土地を「不整形地」と呼びます。不整形地の場合、面積すべてを含めて計算された相続税評価額からさらに一定割合を減額することができます。

■地積規模の大きな宅地

地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地をいいます。

地積規模の大きな宅地

規模格差補正率は面積に応じ、0.80~0.95に分類されます。土地の面積が広い場合、用途が限られていき、売りたくても売れなくなるため、利用価値を考慮して相続税評価額の減額が可能です。

■道路幅が狭い、もしくは間口の狭い土地

道路幅については、4m以上の道路に2m以上接していなければ、その土地に建物を建てることができません。また、間口の狭い土地は車が進入できなかったなどの理由から建物が建てられないケースがあります。これらはともに建築基準法で定められているため、当てはまるようだと相続税評価額を減額要素となります。

4. タイプ(2)「所有不動産で相続税対策をしたい人」

タイプ(2)「所有不動産で相続税対策をしたい人」

ここでは、資産家など多くの不動産を所有している人に向けて、5つの相続税対策をご紹介します。

「所有不動産で相続税対策をしたい人」の5つの相続税対策

  1. 小規模住宅地等の特例を活用
  2. 自宅を二世帯住宅にリフォームする
  3. 生前贈与で相続財産を少なくする
  4. 賃貸物件を建てて評価額を下げる
  5. 使い道がない土地なら生前の売却も検討する

では、さっそくそれぞれの対策方法をみていきましょう。

4-1. 小規模住宅地等の特例を活用

「1-4. 小規模宅地等の特例を適用」でも説明したとおり、小規模宅地等の特例を活用することで、一定要件を満たす場合、土地の評価額が最大80%も減額されます。減額後の評価額が相続税の課税価格となるため、それによって課税価格の合計が基礎控除以下になった場合、相続税は発生しません。 また、基礎控除を超えた場合でも、相続税を大きく減らすことができます。

相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例

参照:「国税庁|相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」

上の表の(6)を例にして考えてみると、被相続人が住んでいたマイホームを配偶者が相続した場合、該当の土地について、面積330㎡まで80%減額されます。5000万円の土地であれば、5000万円×80%=4000万円が評価から差し引かれて、評価額は1000万円となるわけです。

4-2. 自宅を二世帯住宅にリフォームする

小規模宅地等の特例を活用するための方法として、「自宅を二世帯住宅にリフォームする」ことも挙げられます。将来、子どもが実家を相続する予定の場合は、親が健在なうちに実家を二世帯住宅にリフォームして同居することを検討してもよいでしょう。

ただし、二世帯住宅でも「区分所有登記」がされた建物では注意が必要です。
区分所有登記とは、1階を子どもが、2階を親が別々に登記しているなど「1戸の建物を複数の独立した建物として登記していること」です。

この場合、仮に親が亡くなっても、親が登記していた部分だけしか小規模宅地等の特例が適用されません。そうなると当然、節税効果も弱まってしまいます。したがって、小規模宅地等の特例の節税効果を最大限に活用するには、区分所有登記を解消する必要があります。

4-3. 生前贈与で相続財産を少なくする

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子どもまたは孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。相続時精算課税制度を利用して生前贈与をした場合、2500万円まで無税で贈与することが可能です。

生前贈与には贈与税がかかるのですが、以下の方法を使うことで贈与税がかからなくなります。

  • ・暦年贈与の基礎控除
  • ・相続時精算課税制度
  • ・住宅取得等資金の贈与税の非課税制度
  • ・夫婦間贈与の配偶者控除
  • ・教育資金等の一括贈与時の非課税制度
  • ・結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税制度

それぞれの解説はかなり細かくなるので、この記事では割愛します。気になる方は上記の用語で検索してみてください。

4-4. 賃貸物件を建てて評価額を下げる

所有している空き地に賃貸物件を建てている場合、その土地は「貸家建付地」となり借家権や借地割合が考慮されるため、評価額を下げることができます。

これに関しては、以下の記事で具体例とともに解説しています。ぜひご一読ください。

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ただし、賃貸物件を現金ではなく借入で建てる場合、注意が必要です。それは「借入金の返済は、長期にわたって相続人が負担するということ」です。新築時は高い稼働率で運営できるかもしれませんが、物件は古くなると、空室が目立ちはじめます。また、固定資産税や家賃収入に対しての所得税などの問題もあります。

もちろん、相続人が不動産経営に詳しかったり、勉強する努力を怠らなければ、安定的に運営できる可能性は高まりますが、「相続税のためだけに、賃貸需要のないエリアでもとりあえず賃貸物件を建てる」という安易なマインドでは、あとから相続人を苦しめる結果につながりかねません。

このようなことから、相続した不動産が「負動産」にならないよう綿密な事業計画を立てる必要があるといえます。

4-5. 使い道がない土地なら生前の売却も検討する

土地は資産ではあるものの、持っているだけで毎年固定資産税がかかりますし、そうした土地だと相続人が相続後に負担を強いられる可能性もあります。今後も使い道がない土地であれば、生前に売却することも検討しましょう。

5. タイプ(3)「不動産を新たに取得して相続税対策をしたい人」

タイプ(3)「不動産を新たに取得して相続税対策をしたい人」

タイプ(1)、(2)と比べると、事前に準備をできるため、相続税の節税対策の中でも節税効果が大きい対策がタイプ(3)です。

不動産をこれから購入して相続税対策をされたいという方は、次の2つの対策を考えて行動するのがおすすめです。

「不動産を新たに取得して相続税対策をしたい人」の2つの相続税対策

  1. 賃貸アパート(マンション)を建築する
  2. マンションを購入する

では、それぞれを詳しく見ていきましょう。

5-1. 賃貸アパート(マンション)を建築する

第三者に賃貸する土地や建物は、相続税評価額が大きく下がる計算方法になっています。現金→賃貸不動産に換えると、半分以下の評価額になります。

例えば現金1億円の相続が発生したと場合、相続税評価額は

  • ・現金……1億円
  • ・アパートを建てて自己利用……6000万円
  • ・賃貸アパートを建築……4200万円

となります。「不動産の利用方法は自己利用より、賃貸したほうが相続税評価額は低くなる」というのがポイントです。

ただし、借り入れ中心の資金計画だと収支が悪化しやすいため、無理のない計画を立てる必要があります。

5-2. マンションを購入する

所有している土地にマンションやアパートを建築して不動産賃貸を行います。賃貸用のワンルームマンションは1室・数百万~2500万円程度で購入できます。1棟と比べて流動性が高く、立地条件によっては売却益も期待できます。

タワーマンションについては、以前まで評価額が高層階と下層階で変わらなかったため、時価と評価額の差が大きくなり節税効果は非常に大きいものでした。

しかし、税制が変わって高層階と低層階の差を埋める計算方法となったため、かつてほどの効果は得られないかもしれません。それでも、人気エリアや駅直結物件などでは、時価と評価額の差が大きい物件が出てくる可能性はあります。

現金で持っておくより、ワンルームマンションやタワーマンションを購入することで相続税評価額が時価の3分の1程度になります。

6. まとめ

1. 不動産を活用することが、の相続税対策で有効な理由は主に4つの方法がある。

  • ・「土地の評価額が20~30%程度下がる」
  • ・「建物の評価額が50〜60%程度下がる」
  • ・「賃貸物件にすることで節税効果はさらに大きくなる」
  • ・「小規模宅地等の特例を活用できる」

2. 相続発生後は、売却・購入・贈与などの各種対策が講じられないため、「評価額をいかに抑えるか」がポイントになる。主な方法としては、「土地の形状や広さ、周囲の状況などによる評価減」がある

3.所有不動産で相続税対策をしたい人には相続税対策のためには5つの方法がある。

  • ・「小規模住宅地等の特例を活用」
  • ・「自宅を二世帯住宅にリフォームする」
  • ・「生前贈与で相続財産を少なくする」
  • ・「賃貸物件を建てて評価額を下げる」
  • ・「使い道がない土地なら生前の売却も検討する」

4.不動産を新たに取得して相続税対策をしたい人には相続税対策のためには2つの方法がある。

  • ・「賃貸アパート(マンション)を建築する」
  • ・「マンションを購入する」

いかがでしたか。相続税の節税効果が最も高い方法は「不動産を新たに取得すること」です。ただし、賃貸経営は相続後も中長期的に続くため、目の前の節税効果だけにとらわれては危険です。しっかりとした収支計画を立て、相続人の意思を確認しておくことも必要でしょう。

不動産を相続するための手順や相続放棄、登記、税金、売却などの手順は以下の記事をお読みください。

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