不動産相続税はいくら?計算方法と節税のためのポイントを解説【税理士監修】

この記事をご覧の方の中には、

  • ・家族(両親)に正しい相続税対策について知ってもらい、家族にお金を少しでも残してもらいたい
  • ・不動産業者から「相続税対策になりますよ」と営業を受けて興味を持ったが、騙されているのではないか?と不安に感じている
  • ・「不動産の相続税っていくらかかるの?」「不動産で相続税対策といっても、何のことだか全くわからない」といった不安がある

という方も多いと思います。

そこで、この記事では、
遺産がいくら以上だと相続税の対象になる?
不動産の相続税はどれくらいかかる? 計算方法を紹介!
不動産の相続税を下げる方法
不動産と現金の相続、どっちが相続税の節税になる?
といった内容を解説します。

相続税対策、節税に精通した浅野税務会計事務所の浅野和治税理士の監修のもと、不動産を活用した相続対策に対して徹底解説します。

この記事に書かれていることを知っているかどうかで、数百万、数千万円以上の差が生じます。
紹介するポイントを把握して、対処することで「資産を多く家族」に残し、あなたの資産をしっかりと守ることができるようになるでしょう。
この記事があなたの資産を守るための不安の解消につながれば幸いです。

また、以下の記事でも不動産を相続する際に、相続税で損しないための対策をご紹介しています。

以下の記事では、具体的に不動産を相続する場合の必須の書類や手続き方法を伝授しています。併せてご覧ください。

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1. 遺産がいくら以上だと相続税の対象になる?

遺産がいくら以上だと相続税の対象になる?

まず、遺産を相続する際には、どんな場合でも相続税の対象になるのでしょうか?この章では、遺産を受け継ぐ場合、相続税の対象を詳しくみていきます。

1-1. 基礎控除額までの範囲以内か確認する

遺産を相続するといっても、必ずしも相続税の支払い対象になるとは限りません。
相続税の対象になるのは、遺産の総額から相続税法で決められている「基礎控除額」を差し引いた金額に対してです

つまり、「遺産の総額が基礎控除額を下回るなら、相続税はかからない」ということです。

  • 【基礎控除額】
    3000万円+600万円×相続人の数

【基礎控除の金額一覧】

法定相続人

基礎控除の金額

配偶者のみ

3600万円

配偶者+子ども1人

4200万円

配偶者+子ども2人

4800万円

配偶者+子ども3人

5400万円

配偶者なし 子ども1人

3600万円

配偶者なし 子ども2人

4200万円

1-2. 遺産総額がプラスかマイナスか確認する

以下にあるとおり、相続財産は大きく「プラス」と「マイナス」に分かれます。

【プラスの財産】 【マイナスの財産】

・不動産(土地・建物)
・現金、預貯金、小切手
・株式
・生命保険金(受取人が被相続人の場合)
・車
・貴金属
・ゴルフ会員権
・絵画
など

・借金
・住宅ローン残高
・自動車ローン残高
・買掛金、未払い金
・税金
など

相続税について考える際、
まず【プラスの財産】から【マイナスの財産】と【葬儀費用】、さらに上記で解説した「基礎控除」の金額を差し引き、残った金額に対して相続税が課税されます(相続時精算課税を受けた財産や、死亡前3年以内の贈与財産も遺産総額に含みます)。
残った金額がゼロ、もしくはマイナスになれば相続税はかかりません。

ここまでを簡単にまとめると、

  • 遺産の総額が基礎控除額を下回るなら、相続税はかからない
  • 【プラスの財産】 ― (【マイナスの財産】+【葬儀費用】+【基礎控除額】)=0以下の場合、相続税はかからない

ということになります(ここでは、相続税の軽減措置や各種特例を一旦考えず、シンプルにしています)。

そして、上記2つの条件に当てはまらない場合、「基礎控除額」を超える相続財産の額に対して相続税がかかります。

1-3. 具体的にシミュレーションしてみよう

例えば、現金4000万円、6000万円の土地が遺産としてあり、法定相続人が被相続人の子ども(XとY)の2人で、Xが土地をYが現金を相続した場合で考えてみましょう。

シュミレーション図

まず相続財産の総額は、4000万円+6000万円=1億円です。

基礎控除額(3000万円+600万円×相続人の数)は、今回相続人が2人なので、3000万円+600万円×2人=4200万円です。

相続税の課税対象額は、1億円-4200万円=5800万円です。法定相続分は2分の1ずつなので、XとYのそれぞれの課税対象額は5800万円×1/2=2900万円となります。

そして、この金額を相続税の速算表に当てはめてみます。

【相続税の税率】

法定相続分に応ずる取得金額
(各法定相続人の課税対象額)
税率 控除額
1000万円以下 10%
1000万円超3000万円以下 15% 50万円
3000万円超5000万円以下  20%  200万円
5000万円超1億円以下 30%  700万円
1億円超2億円以下 40% 1700万円
2億円超3億円以下 45%  2700万円
3億円超6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

今回のケースの場合、「1000万円超3000万円以下」になるので、税率は15%、控除額が50万円となります。

したがって相続税の総額は、(2900万円×15%-50万円)+(2900万円×15%-50万円)=770万円となります。

これを実際の相続分に基づき按分します。今回は、法定相続分どおりに相続したと仮定して、XとYそれぞれ385万円ずつが相続税となります。

次に、各相続人の事情に応じて税額を増減します。軽減される制度には以下のようなものがあります。

  • ・贈与税額控除
  • ・配偶者の税額の軽減
  • ・未成年者の税額控除
  • ・障害者の税額控除
  • ・相次相続控除

2. 不動産の相続税はどれくらいかかる? 計算方法を紹介!

不動産の相続税はどれくらいかかる? 計算方法を紹介!

では、不動産を相続する場合、相続税はいくらかかるのでしょうか?ここでは、
土地の評価方法、建物の評価方法を含め、不動産の評価を計算する方法をご説明します。

2-1. 不動産の評価額を算出する方法

不動産を相続する場合、一定の条件に該当すれば相続税の負担軽減措置や特例を受けることができます。現金や有価証券を相続するよりも不動産を相続したほうが相続税の負担を軽くできるケースがあります

では、不動産の相続税はどのように計算するのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

土地の評価方法

財産評価基準書
土地の評価額は、路線価方式か倍率方式のどちらかによって算出されます。路線価が定められている地域の土地であれば「路線価方式」を用い、路線価が定められていない土地については「倍率方式」が用いられるのが基本です。

  • 【路線価方式】
    土地の評価額 = 路線価 × 面積 × 補正率
    ※路線価方式は、税理士でも土地の評価に精通した専門の人でなければ難しいといわれています。
  • 【倍率方式】
    土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 国税局長が地域ごとに定める倍率
    ※固定資産税評価額は3年ごと、国税局長が地域ごとに定める倍率は毎年改定されます。

相続税における土地の評価額は、路線価方式(もしくは倍率方式)で算出された金額の80%程度になるケースが多いです。

路線価が定められているか確認するには、国税庁ウェブサイトの「財産評価基準書」のページをチェックしましょう。毎年7月初旬に、その年の相続税路線価が公表されます。

なお、一定の条件を満たせば、相続税を計算する際の土地の評価額を最大8割引きにしてくれる制度(「小規模宅地等の特例」)が適用されます。詳しくは「3-1. 小規模住宅地等の特例を活用」で解説します。

建物の評価方法

建築が終了している建物の評価額は、基本的に固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額をもとに評価されます。通常、建築費用の50〜60%の評価となることが多いです。

一方、建築が終わっていない場合、固定資産税評価額が定められていないため評価方法が以下のようになります。

  • 費用現価 × 70% = 建築途中の家屋の評価額

3. 不動産の相続税を下げる方法

不動産の相続税を下げる方法
ここまで不動産の相続税の計算方法を紹介してきました。相続税で損をしないためにも相続税を少しでも抑える方法を知っておきましょう。
ここでは、不動産を相続した際の相続税を節税するための方法を紹介します。

以下の記事では、不動産の相続税で損しないための対策方法8選を詳しくご説明しています。
どうぞこちらもご覧ください。

3-1. 小規模住宅地等の特例を活用

小規模宅地等の特例(正式名称:「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」)は、 被相続人が自宅・店舗・事務所などに使っていた宅地を取得する場合、宅地の価格を一定の面積までは最大80%減額して評価する制度です。

例えば、5000億円の土地があったとして、小規模宅地等の特例が使えなければ1500万円の相続税がかけられてしまいますが、小規模宅地等の特例が使えれば、相続税は300万円で済んでしまうということです。

限度される割合は以下の表を参考にしてみてください。

80%という大きな減額割合だからこそ、要件が厳しく、また、複雑なものとなっています。また、小規模宅地の特例の適用を受けるために必要な書類もあります。すべて自分で理解し、準備するのはかなりハードルが高いので、不動産に強い税理士に相談することをおすすめします。

3-2. その他の相続税の特例を活用

相続税を下げるためには、特例として下記のような減額措置などがあります。相続財産の総額が基礎控除の金額を上回った場合でも、これらの特例を活用することで相続税の課税が免除され、相続税を大幅に引き下げられる可能性もあります

配偶者の税額軽減特例

「配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)」は、配偶者だけが利用できる制度です。配偶者が遺産分割や遺贈により取得した遺産額から、「配偶者の法定相続分相当額」もしくは「1億6000万円」のどちらか大きいほうの金額を差し引いて、残った金額にのみ課税するという制度です。

土地の形状や広さ、周囲の状況などによる評価減

土地の形状、広さ、周囲の状況などによって評価額が減少する可能性があります。ただ、この計算は非常に難解なので、税理士などの専門家に相談するのがいいでしょう。

3-3. 生前贈与による不動産の相続

生前贈与とは、贈与者が生きているうちに、その所有する財産を無償で受贈者に渡すことです。生前贈与を活用すれば、相続税の節約が可能となりますが、事前に生前贈与の制度を理解しておかないと、むしろ費用がかさむ恐れもあるので注意が必要です。

生前贈与のメリット・デメリットは主に以下のとおりです。

  • 【メリット】
    ・贈与する相手を決められる
    ・贈与により財産を減らし、相続税を減らすことができる
    ・比較的短期間に贈与ができる

  • 【デメリット】
    ・不動産と土地の市場価値によって高額な贈与税が課せられる
    ・不動産取得税などの費用がかかる

不動産の生前贈与は相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子どもまたは孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。相続時精算課税制度を利用して生前贈与をした場合、2500万円まで無税で贈与することが可能です。

生前贈与や相続時精算課税の制度に関しては幅広い知識が求められるので、ここでは「相続税を抑えるためにはこういう方法がある!」ということを理解していただき、細かな部分については専門家にご相談いただければと思います。

4. 不動産と現金の相続、どっちが相続税の節税になる?

不動産と現金の相続、どっちが相続税の節税になる?

相続税対策の一環として「不動産活用」を耳にしたことがある人は多いでしょう。この理由は、「現金で相続するよりも不動産で相続したほうが相続税を抑えられるから」です。

4-1. 現金を不動産化するほうが節税効果は大きい

では、相続財産が現金で1億円あり、法定相続人が子ども2人のケースで、「現金のまま相続する場合」と「不動産にして相続する場合」でどれくらい違いがあるのか見てみましょう。

現金のまま相続する場合

まずは1億円から基礎控除額を引きます。基礎控除額は1-1. 基礎控除額までの範囲以内か確認するで紹介したように、「3000万円+600万円×相続人の数」で算出できます。

今回のケースの場合、相続人の数は2人ですから、1億円 − ( 3000万円 + 600万円×2 ) = 5800万円となり、1人当たりの税法定相続分に応じた取得金額はその半分の2900万円です。

そして次に、1-3. 具体的にシミュレーションしてみようで紹介した【相続税の税率】の表を見てください。2900万円は「3000万円以下」に該当するので、「税法定相続分に応じた取得金額 × 15% − 50万円」の計算式に当てはめます。

すると、「2900万円 × 15% − 50万円 = 385万円」、つまり2人分の相続税の総額は770万円となります。

不動産(家屋)を購入して相続した場合

では続いて、1億円で不動産(家屋)を購入して相続した場合を考えてみましょう。
固定資産税の評価額が適用されるため、その家屋の評価額は「1億円 × 70% = 7000万円」 となります。

以降は上記と同じように計算をしていきます。

7000万円 − ( 3000万円+600万円×2) = 2800万円
2800万円÷2 × 15% − 50万円 = 160万円
相続税の総額は160万円 × 2 = 「320万円」となります。

これが家屋ではなく、1億円分の土地を購入した場合、路線価による評価額(約80%)が適用されるので、その土地の評価額は「1億円 × 80% = 8000万円」となります。

同じように計算を進めると、
8000万円 − ( 3000万円+600万円×2 ) = 3800万円
3800万円÷2 × 15% − 50万円 = 235万円
相続税の総額は235万円 × 2 = 470万円となります。

このように同じ1億円といっても、現金のまま相続すると「770万円」の相続税がかかりますが、家屋にすれば「320万円」、土地にすれば「470万円」と大きく節税できることがわかると思います。

相続税の図解

そして、さらに賃貸物件にすることで節税効果はさらに大きくなります。
これに関しては、以下の記事で詳しく取り上げているので、ぜひご一読ください。

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5. まとめ

1.「遺産の総額が基礎控除額の範囲内である」、もしくは「【プラスの財産】 ― (【マイナスの財産】+【葬儀費用】+【基礎控除額】)=0以下」の場合、相続税はかからない

2. 土地の評価額は、路線価方式か倍率方式のどちらかによって算出される。建築が終了している建物の評価額は、基本的に固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額をもとに評価される

3. 不動産の相続税を下げる方法としては、「小規模住宅地等の特例を活用」「配偶者の税額軽減特例など、その他の相続税の特例を活用」「生前贈与による不動産の相続」などがある

4. 現金で相続するよりも不動産活用で相続したほうが相続税を抑えることができる

いかがでしたか。不動産の相続税は対策によって数百万円、場合によっては1000万円以上の節税効果があります。

まずは正しい不動産の相続税に関する知識を理解しておきましょう。細かな質問は専門家と実際に相談することによって疑問がもっと解消されます。
この記事を読んでいただいたあなたにとって、損しない不動産相続のお役に立てれば幸いです。

不動産の相続に関する必要な書類や手続きの方法については以下の記事をお読みください。

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