「大家=不動産賃貸業」個人と法人11の違いと4つのポイント

この記事を読んでいる方は、

  • 実際に大家としてアパート経営をしていて、不動産賃貸業と大家の違いが気になる
  • ただの大家としてではなく不動産賃貸業として規模を広げていき安定した状態を作りたい
  • 不動産賃貸業という事業のことが知りたい
  • 何か投資をしたいが漠然と不動産関係が儲かりそうだから調べてみた

など、他にも理由はあるかもしれませんが、いずれも不動産賃貸業に興味を持っているという点では共通していると思います。

不動産賃貸業はいわゆる大家業のことですが、実はこの不動産賃貸業には個人事業主と法人があります。個人事業主と法人だと何が違うのでしょうか?

この記事では不動産賃貸業を個人事業主で運営する場合と法人化した場合の違いを中心に、法人化までのステップ、法人化のタイミングなどの情報も合わせてお伝えします。

私自身、不動産賃貸業で生計を立てていますが(私のプロフィールはこちらをご覧ください)、もちろん法人化しています。そして、不動産賃貸業で長期的な安定した収入が欲しい、収益を拡大させたいと思う方には早めに法人化させることをお勧めしています。 なぜ、私が法人化を勧めるのか、なぜ早めがいいのかはこの記事を読んでいただければわかります。

この記事を読むことで、

  • 自分のやっている不動産賃貸業を法人化させるべきかどうか
  • どのタイミングで不動産賃貸業を法人化すれば良いのか
  • 法人化のために何が必要なのか
  • 不動産賃貸業を法人化する上での注意点
  • 不動産賃貸業を拡大し成功させるためのポイント

を知ることができます。

また状況別にステップを書いていますので、自分の状況に合わせて法人化した方が良いのかを判断していただければと思います。

1.そもそも不動産賃貸業とは?

そもそも不動産賃貸業とは?

不動産賃貸業という言葉を調べてみると、

不動産賃貸業(ふどうさんちんたいぎょう)とは、自らが貸主となり、土地や建物などの不動産を賃貸して、賃料を得る事業。一般的に貸主のことを地主や大家などと呼ぶことが多い。不動産管理業と同様に、不動産賃貸業のみを営む場合には、宅地建物取引業法の免許は必要とならないが、国土交通省、任意の「賃貸住宅管理業者登録制度」がある。なお、不動産を自ら賃貸するのではなく、入居者の斡旋等を行う事業は不動産流通業に分類される。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

となっています。「所有する不動産を賃貸し賃料を得る事業」つまり、アパートを持っていて「大家」をしている人は自分では事業をしているつもりはなくても、不動産賃貸業を営んでいると言えます。

また、不動産賃貸業には個人事業主として不動産賃貸業を営む方法と法人化して不動産賃貸業を営む方法があります。サラリーマンの方が副業として副収入を得るために大家をしている場合、法人化かなどということはあまり考えず、なんとなくずっと個人事業主のまま、という人も多いのではないでしょうか。

2.考慮すべき不動産賃貸業の個人事業主と法人の違い11つ

考慮すべき不動産賃貸業の個人事業主と法人の違い11つ

では、不動産賃貸業を法人化させる意味とは何でしょうか。
以前「高確率で賃貸経営で利益を出し、収益を拡大するための4つのポイント」の記事で法人化のメリットについては簡単に説明させていただいているのですが、今回はもう少し詳しく説明させていただきます。

私は法人化することを勧めていますが、個人事業主と法人の違いが分からなければ、法人化することが、本当に自分が求めることかを判断することは難しいと思います。そこでここでは、個人事業主と法人でどこに違いが出てくるのかを見ていきます。

一般的に法人にすれば「節税になる」「銀行融資がうけやすい」と言われていますが、本当にそうでしょうか?

2-1.融資の受けやすさ

融資条件についてです。法人の方が無条件に融資を受けやすいと思っている人もいるかもしれませんが、法人化した最初の方の時期に限って言えば、それは間違いです。法人にしたからといってすぐに融資が簡単に受けやすくなるなどということはありません。

新設法人の時は個人と法人は同等、むしろ1番最初は法人の方の審査の方が厳しいくらいかもしれません。法人が融資に有利になるのは、何期(最低でも2期)かのキレイな決算書(自己資本率が高い黒字決算書)を作り実績を積んだ後になります。つまり、融資を受けながら規模を拡大させることを考えるなら、なるべく早めに法人で実績を積んでおくことが大切だということです。

2-2.融資の種類

個人事業主の場合にはアパートローン、法人の場合にはプロパーローン(事業性融資)を利用することになります。アパートローンには融資の金額に制限がありますが、プロパーローンの場合には金額の制限もなく、条件によっては低金利での融資やアパートローンでは難しかった物件での融資も可能になります。

ただし、プロパーローンは銀行のリスクもアパートローンよりも大きくなってきますので、銀行との信頼関係を作ることも重要になってきます。

2-3.実効税率の違い

個人事業主と法人の違いとしては税率も分かりやすいですね。

◆個人の税率(所得税と住民税10%を合わせたもの)

課税所得金額 税率 控除額
0-195万円 15% 0円
195-330万円 20% 97500円
330-695万円 30% 427500円
695-900万円 33% 636000円
900-1800万円 43% 1536000円
1800-4000万円 50% 2796000円

◆法人の税率(事業税と法人税と住民税を合わせたもの)

課税所得金額(不動産所得) 税率
0-400万円 約22%
400-800万円 約23-25%
800万円- 約33-38%

この表を見ると課税所得900万円の段階で法人税率より個人の税率の方が高くなるのが分かります。ただし、ここで注意しなくてはならないのが副業として不動産賃貸業を行い、別に本業がある場合です。個人事業主の場合の税率は、本業+副業の所得で計算しますので、家賃収入が低くても、本業で一定以上の収入がある人の場合には、不動産賃貸業を始める段階から法人で始めた方が良いことになります。

2-4.社会保険料控除の金額

個人事業主の場合には保険料控除については上限が決まっていますが、法人は条件に当てはまる保険経費に上限がありません。つまり保険を全額経費として計上することができます。

2-5.設立のための諸経費

個人事業主の場合には個人事業主の届け出を出すだけで開業できます。もちろん無料です。経費の計算についても税理士を雇えばお金がかかりますが、個人事業主の場合にはそれほど複雑化してきませんので、自分で確定申告等の作業をやることも可能ですし、最初は自分でやることをお勧めしています。

しかし、法人の場合には設立費用がかかります。また、税務などお金の管理についても、複雑化してきますので、税理士を雇うなどする必要がありランニングコストとして税理士報酬がかかってきます。

2-6.赤字の時の住民税

赤字になった場合、個人の場合には住民税の支払いは無いですが、法人の場合には赤字になっても法人住民税の均等割部分の支払い70000円は支払わなくてはなりません

2-7.損失繰越期間

不動産賃貸業では、物件購入など大きな費用がかかり、マイナスになることもあります。個人事業主でも法人でも損失分は翌年以降に繰り越すことできますが、その損失繰越期間は個人事業主(青色申告)は3年間、法人は9年間になります。

2-8.売却益と譲渡損

個人事業主が物件を売却した場合の売却益は5年以内で売却したら短期譲渡所得、5年以上で売却すれば長期譲渡所得とされ、不動産所得とは合算されず、別に計算されます。つまり個人の場合には不動産所得が結果的に赤字だったとしても売却益は別の所得(譲渡所得)として考えられてしまい税金がかかります。

しかし、法人の場合は長期、短期の区別はなく家賃収入と同じように利益とされます。 ただ、5年以上保有するつもりがある場合には譲渡税に関しては個人の方が有利になります。

譲渡損については個人事業主の場合には翌年以降に繰り越しはできず、法人は9年間繰り越しが可能です。また、不動産の売却益と譲渡損は個人事業主の場合には不動産売却益と譲渡損以外の損益通算はできますが、がそれ以外では損益通算はできません。

しかし、法人の場合は全ての所得を合わせて計算するため、すべてで損益通算が可能となります。

2-9.減価償却の計上

個人事業主の場合には、たとえ赤字であっても毎年全額を経費に計上しなくてはならない「強制償却」ですが、法人の場合は範囲内(決められた計算式の範囲内)であれば任意(自由な金額で)計上が可能です。一概には言えませんが、この減価償却費の計上で利益を調整することによって融資対策に有効になる場合もあります。

2-10.人件費の経費計上範囲

個人でも青色事業専従者給与で家族が働く場合支払いはできますが制約があります。しかし法人の場合には、家族が役員の場合、役員報酬として経費計上することができます。退職金などを支払うのであれば、それも経費計上ができます。ただし、社会保険料の加入の支払い義務はでてきます。

2-11.相続対策

個人事業主の場合、不動産も相続税の対象ですが、法人所有の場合には相続の対象とはならないのです。税金がかかる相続資産としての対象は株式となり評価も不動産も株式として評価されます。借入金がある場合には、借入金を控除した残りの部分で評価されることになります。法人を設立する際に、株主を相続する人の名義にすることもできます。 これは相続人が複数いたり、相続の際の手続きやもめごとを減らすためには有効な方法です。

相続税に関する違いについては、直接拡大をしていく上でのポイントではありませんが、相続税対策でアパートを建てて大家をされている方も多いので、参考になるのではないでしょうか。

個人事業主と法人の違いを簡単にご説明いたしましたが、将来的には法人の方が節税面や融資の面でもメリットはあることが分かって頂けたと思います。

3.不動産賃貸業の法人化のタイミングはいつが良いのか

不動産賃貸業の法人化のタイミングはいつが良いのか

不動産賃貸業で長期にわたり安定した収入を稼ぎたい、収益を拡大させたいと思っている人には法人化をおすすめするというのは前章で書いた通りですが、ではどのタイミングで法人化すれば良いのでしょうか?

個人から法人への切り替えは1回きりで何回も経験することはないですし、タイミングが良く分からない感じる人も多いと思います。

  • 「タイミングを間違えてしまうと損をしてしまうのではないか?」

と、なかなか踏み切れない人もいるでしょう。

私の場合には4棟目に法人で買った方が良いと気づき、5棟目以降を法人で買い進めましたが、もっと早く法人化しておいても良かったと思っています。

3-1.なぜ早めの法人化をすることを勧めるのか

不動産賃貸業で既に何棟か買い進めている人の中には、個人のうちに借りるだけ借りておいて、その後法人化し物件購入していこうと計画を立てている人がいるかもしれませんが、その方法はおすすめしません。なぜなら個人で借りるだけ借りて、その後は法人で買っていくという方法では、銀行からの融資を受けることができなくなってしまいます。

なぜなら、立ち上げた当初の法人は新設法人であり、資産管理法人のような位置づけになってしまいます。この場合には融資の評価基準が個人評価になりますので、上限まで借りていた場合には、法人にしたとしても融資を受けることができないのです。

3-2.法人化のタイミングとは・・・最初から!

では具体的にはいつ法人化するのが良いのでしょうか?私は早ければ早い方が良いと考えます。つまり、最初から法人化しておいても良いと思っています。

不動産賃貸業は大家さんのことですが、事業をやっているという実感が無い方もいらっしゃいます。しかし、大家(不動産賃貸業)はれっきとした事業であり、放っておいてお金が入ってくるような楽な投資ではありません。しっかりとした知識が事業を成功させる秘訣ですので、大家を始めるなら最初から拡大も視野に入れた行動をしてほしいと思います。

ですから、できれば最初の段階から法人化しておくこともお勧めするのです。もちろんサラリーマンを続けながら法人化をすることも可能です。規模の拡大を考えているならばキャッシュフローと自己資金の動きをきちんと考えた計画が必要であり、法人化というのはその一つの過程です。

  • 法人設立費用
  • 経理や事務の複雑化
  • 書類などの準備

などで、難しいと感じたり、余計な仕事を増やしたくないと思うかもしれません。しかし、あとから法人化させると

  • 法人の実績(最低でも黒字2期分)が必要になってくるので、いきなり必要にせまられた時に法人化しても融資をうけられない恐れがある
  • 個人から法人への移転は、費用(不動産取得税、登記費用)がかかります。これは個人の時にも支払うものですので、個人⇒法人だと2重に支払いが発生することになります。

ということが起きてしまう可能性があるからです。

4.法人設立は無理にする必要はありません

法人設立は無理にする必要はありません

先ほどから個人事業主よりも法人化を。と言ってはいますが、法人化するにも、もちろんデメリットはあります。

大きな点としては

  • 課税所得が少なく、規模の拡大も希望していない場合には節税効果が生まれにくい
  • 法人設立費用がかかる
  • 赤字でも毎期必ず住民税(7万円)の支払いが必要
  • 事務作業が必要、複雑化する
  • 会社として社会保険料を支払う義務がでてくる

などがあります。

また、法人化の必要性を感じない方もいるでしょう。

例えば、

  • そもそも拡大は求めていない方
  • 本業+不動産の課税所得が最大でも900万円以下でこれ以上増やすつもりはない

などの人は無理に法人化する必要はありません。あくまで規模を拡大し収入を増やしたいと考えている方のためには、個人事業主で不動産賃貸業を営むより法人化した方がメリットが大きいと考えていますので法人化をお勧めしているのです。

5.不動産賃貸業を法人化するまでの流れ

不動産賃貸業を法人化するまでの流れ

では次に、法人化する場合の開業までの流れを見ていきます。

5-1.開業までの流れ

開業の流れとしては

  1. 定款作成―事業目的 所在地 出資金などを記載
  2. 定款認証―公証人役場でチェックしてもらい認証を行います。
  3. 登記書類の作成―申請書、印鑑届出書など複数の書類を作成
  4. 資本金払い込み 
  5. 会社設立登記―法務局に提出します。15万円か資本金の0.7%の費用がかかります。

また、法人用の印鑑は別に作成しておきましょう。 があります。これは自分でやる人もいますし、専門家に依頼する人もいます。本業がある方は特に専門家に依頼しても良いと思います。

参考ですが、自分でやる場合には、「ひとりでできるもん」や「会社設立できるかな」などを利用することもできます。

5-2.設立までにかかる費用

大体ですが、資本金とは別に設立費用として25万円~30万円ほどみておくと良いでしょう。

内訳としては、

  • 定款に貼る収入印紙代
  • 定款認証手数料
  • 謄本交付手数料
  • 登録免許税
  • 印鑑作成費用
  • 登記簿謄本等発行手数料
  • 交通費
  • 行政書士・司法書士、社労士など専門家へ依頼する場合の費用

となります。

6.属性別、状況別の法人化時期目安とは

属性別、状況別の法人化時期目安とは

実際に自分が今法人化するべきなのか。という判断が付きにくい場合もあるかと思います。

6-1.これから不動産投資を始める人

これから不動産投資を始められ、まだ1棟を購入されていない方も、法人化など関係ない話と思わずに、拡大を考えるならば頭に入れておきましょう。また、将来規模の拡大を目指しているようならば、初めの段階から法人化しておいても良いでしょう。

しかし、「さすがに家賃収入もまだ出ていない状態で法人化するのはちょっと・・・」という方もいらっしゃると思いますので、いずれ近いうちに法人化ということは頭に入れておいてください。

この時点での融資条件に関しては個人も法人も変わりません。法人化していても個人でやっていても最初の1棟目は人物評価、物件評価で判断されることがほとんどです。

6-2.サラリーマン大家として1棟アパートを持っている人

次の売買からは法人としてできるように動くのがお勧めです。

サラリーマン大家として1棟アパートを持っている個人の方で、これから少しでも規模を拡大していく意思を持っているならば法人化をお勧めします。

今は大丈夫と思っていても、売却益を織り交ぜながら購入していく方法で、規模を拡大するにあたって法人化は必ず必要になってきます。準備をし、なるべく早い段階で法人化します。次の売却や購入の段階から法人として行動できるようにしておくことで、実績を早めに作ることができ、規模拡大のスピード感も高めることができます。

収益拡大の一つの過程が、法人化させるということなのです。法人にできて、個人にできないことの最大のポイントは「規模の拡大」です。

6-3.月間家賃収入100万円を超えようとしている人

すぐに行動に移してください。

借り入れがいくらあるかによっても違いますが、月間家賃収入100万円を超えようとしている人はすぐにでも法人化した方が良いでしょう。ローンは法人化で黒字になっていればいるほど通りやすくなります。「キレイな決算書」をできるだけ積み重ね、銀行からの信頼を得て融資を受けやすくすることが収益を大きく伸ばすチャンスにつながります。

個人属性では銀行から融資を受けられる上限額があり、これからもっと大きく拡大を考えているならば近い将来必ず借りられなくなる状況が起こります。また、その時になって法人化しても新設法人への融資は厳しくなり融資が受けられなくなっている可能性もあるのです。

7.不動産賃貸業を法人化させる際に間違えてはいけない気を付けるべきポイント

不動産賃貸業を法人化させる際に間違えてはいけない気を付けるべきポイント

法人化する際には気を付けるべきポイントがあります。勘違いしてしまうと、融資も受けづらくなるばかりか損をしてしまう可能性もあります。

7-1.銀行1法人スキームは避けるべき理由

私は1銀行1法人スキームを避けるべきだと考えています。1銀行1スキームとは、1つの銀行に対して1つの法人を作り、1つの物件を購入するという仕組みです。物件の数だけ法人ができるのですが、これは代表者の連帯保証を個人の信用情報に載せない銀行があるからできることです。

避けるべき理由としては、

  • この法人の作り方では手元に残るお金が少ないと考えます。 1銀行1法人スキームで売却をしてキャピタルゲインを得た場合にお金は法人に入りますが、このお金を諸経費や業務委託などの名目で個人に移そうとしても、相応の名目がないと認めてもらえません。 税金もかかってくるでしょう。投資規模に対するリターンが低すぎる(投資効率が悪い)ことが問題です。
  • 1銀行1法人スキームの人は、割高で物件を買っている方が多い

    簡単に理由を説明すると、1銀行1法人スキームの人が融資を受けられる銀行が限られているため融資基準が厳しいからです。規模を重視するあまり本来割安ではない物件を買っている方が多く見受けられます。商売の原則は「安く買い、高く売ること」なのです。

  • 複数の銀行に対して、債務があることを隠して借り入れをしているわけですが、銀行は調べようと思えば調べることができます。

    銀行に気づかれたときには詐欺罪に問われる可能性もあるのです。

特に業者や投資家の言うことを鵜呑みにして、1銀行1法人スキームを短期拡大している人は、かなり危険です。私の言う法人化はこれではありません。当然賛否両論のある投資法ですが、個人的な意見としてはおすすめしていないです。

7-2.資産管理法人(みなし法人)は個人と同じ

「法人」とついているので、勘違いする人もいるかもしれませんが、「資産管理法人」で受ける融資と、事業者としてプロパーローン(事業性融資)は全く違います。

資産管理法人というのは、個人が持っている資産を管理するために設立したものですで、ここに融資する銀行は個人と同じように属性や資産背景を見て融資をしています。

つまり、実態としては個人と同じです。

個人と同じということは上限金額まで融資を受け続けてしまうと、その後の借り入れが難しくなってしまいます。この資産管理法人(みなし法人)は事業性融資ではありませんので、気を付けてください。

不動産賃貸業の規模拡大のための「法人」ではありません。

8.月間キャッシュフロー100万円を目指すなら法人化は必須です

月間キャッシュフロー100万円を目指すなら法人化は必須です

私は自己資金がほとんどなく、両親からお金を借りて銀行から融資を受け、1棟目を購入しました。そこから約1年5か月で月間キャッシュフロー150万円にして、会社をリタイヤしました。キャッシュフローの重要性についてはこちらの記事をご覧ください

案外難しくない「収益物件」の満室経営&黒字化の7つのポイント

今はキャッシュフローや家賃収入が少ない状態から、キャッシュフロー100万円以上を目指すのであれば、家賃収入は月300万円年間3600万円くらいはないと厳しいかと思います。 そうなると時期や手法によって異なりますが、今であれば大体3~4億くらいの物件の購入が必要だと考えられます。

前のセクションでもお伝えしましたが、個人で買う間は個人属性で評価されるので上限が来たら途中で必ず拡大は止まります。属性が高ければ借入金額はアップしますが、年収500万円くらいの場合には1億~1億5000万円ほどです。つまり、3~4億円の物件購入はできないのです。そこで法人で事業実績を積んで規模を拡大していけるかということを考えます。

繰り返しになるかもしれませんがポイントは、

  • 個人でも法人でも最初は人物評価、物件評価を軸に買い進めることになります。
    ただ、規模拡大するためには、法人化をして事業評価で融資の上限を無くすことが必要です。
  • 私は5棟から法人ですが、できれば法人は早めに設立し、少しでも早くから実績作りをしておきましょう。事業の実績として評価をしてもらえるのは最低でも黒字2期分の決算書が必要です。
    この2期分というのは最低限の実績なので、早めに法人化して良い実績をたくさん積んでおく方が後々融資を受けやすいなどのメリットがあります。
  • 法人としてプロパーローン(事業性融資)を引くためには「キレイな決算書」を作ることが必要です。「キレイな決算書」とは自己資本比率を高めていくことであり、自己資本比率を高めるためには、売却をおりまぜた戦略を取ることが、再現性が高い方法です。

です。

ですから、月間キャッシュフロー100万円という目標がある人は事業実績を積むために早めに法人化をするべきです。

そしてもう1つ、規模拡大をしてきたいなら

「売却益が狙える物件」(重要なのは物件は相場より割安に買うこと)を組み込み自己資金を調達しましょう。

9.私が会社をリタイアするまで

私が会社をリタイアするまで

最後に、私が両親からお金を借りて購入した1棟目から会社をリタイアする8棟目までの流れをお伝えいたします。法人化するということだけでなく、規模拡大のためのポイントが入っていますのでので、参考にしてください。

1棟目

両親に200万円を借りて1棟目を購入しました。利回りが高い地方の物件を探して両親から借りたお金と、「女性・若者・シニア起業家支援資金」という操業融資を利用し、20年の期間で、固定金利2.4%でお金を借り、購入し、修繕しました。

他にも購入したいと申し出たライバルはいましたが、不動産業者にはとにかく買いたい。という気持ちを強く伝えました。最初の物件は不安でしたが、書籍を読んで最低限の知識を身に付けていたのでキャッシュフローがきちんと出る物件を選べましたし、また、多くの不動産業者と銀行にアタックしていたので自分がどこの銀行で融資を組めるかは把握していたことも良かったと思います。

2棟目-4棟目

1棟目を購入し自己資金はなくなり、オーバーローンで2棟目以降を購入しました。1-4棟目はキャッシュフローを生んでくれていましたが、税金などを払うと手元にお金無くなってしまいます。そうなると自己資金がなくなり、次の物件を買うことがなかなかできません。

ここで私は自己資金が大事だということに気が付きます。そして1棟目を売却。すると購入金額のほぼ倍で売れ、手元に2000万円ほどのお金が入ってきました。それを元手に銀行にアプローチすると、手元に2000万円があるということもあり、銀行の対応が違ってきました。そしてこのころに法人で購入するべきだと感じ、法人化を進めました。

5棟目

5棟目以降は全て法人で買い進めています。利回り17.2%の物件である5棟目の物件は好条件で融資を受けることができ、キャッシュフローも高く、今でも満室稼働しています。

融資先は地方の地銀や信用金庫、信用組合の事業性融資ですが、都会の金融機関と違い、かなり柔軟に対応してもらいやすかったです。

6棟目

利回り18%の物件を購入。このころには地元の不動産業者との取引も増え非公開物件などもご紹介いただけるようになってきました。購入スピードもどんどんあがっていきます。購入物件の資料をもらうとその日中に金融機関へ全て資料をお送り、翌日銀行の担当者へつた、審査に入ってもらうというスピード感も出てきました。

これは金融機関を事前に開拓しているからできることです。不動産業者や銀行へも毎月新しいところへ営業をして開拓していました。

7棟目

通常の公開物件でしたが、良い条件で融資を受けることができればキャッシュフローが潤沢に出るだろうと思い、地銀2行、信用金庫2行、信用組合1行の中で好条件を出してくれた信用組合で融資を進めました。この時に、良い物件を見つけるよりも好条件で融資をつけた方が儲かると考えました。

つまり利回りが高くなくても、融資条件が良ければキャッシュフローはしっかり出ると気づいたのです。ここで月間キャッシュフローは150万円になり、別でやりたいこともあったためリタイアしようと思いました。ただ、辞める前に融資を組もうと思いました。

8棟目

この時には、辞めることは決まっていましたが、銀行からは会社を辞めても法人で融資させていただきます。と言ってもらっていたので、今まで使っていなかった住宅ローンを使いました。住宅ローンは事業用のローンとは違い長期で組めて、税制優遇があります。ただし、1人1回しか使えません。

この時は新築には興味がなかったこともあり、中古の賃貸併用住宅を探したのですが、物件価格が高かったので、自分で数年住んで売却するために新築で建てることにしました。 賃貸併用住宅についてはこちらの記事で詳しく書いていますので参考にしてください

実践者が語る「賃貸併用住宅」をオススメする理由

ここまで購入し、会社員を辞めました。もちろん早めの法人化も必要であり、大切なことですが、知識を手に入れるための勉強、地道な銀行開拓、キャッシュフローの計算、計画なども規模を拡大していくためには必要なことですので、ぜひ覚えておいてください。

10.まとめ

  • ・不動産賃貸業には個人事業主と法人があります。
  • ・不動産賃貸業の規模拡大したい、安定した収益を長く出し続けたいと考えるなら、個人では必ず限度が来てしまいますので、早めに法人化しておくことが必要です。
  • ・不動産賃貸業を法人にするにあたっては費用がかかる、一部の人にはメリットを実感しづらいなどがありますので、自分にとって法人化が必要かどうかは見極める必要があります。
  • ・法人化する手続きは自分で行うこともできますし、専門家に頼むこともできます。自分の状況に合わせて選択しましょう。
  • ・不動産賃貸業を法人化するにあたっては1銀行1スキームや資産管理法人(みなし法人)には注意しましょう。
  • ・不動産賃貸業でスピード感を持って規模を拡大させて収益を上げるためには、「法人化してプロパーローンで融資を受ける→売却益を組み込みながら自己資本率を高めてキレイな決算書を作る→銀行からの融資を更にうけやすくする」という流れを頭に入れておきましょう。

不動産賃貸業で規模拡大をしようと考えているならば、法人化しておいた方が良いということは理解していただけたのではないでしょうか。税金の面においては優遇されていますし、法人で実績を積んで銀行との信頼関係を築くことができれば、融資が受けやすくなり、買い進めや規模拡大のスピードも早めることができます。

不動産賃貸業は事業です。サラリーマンの方も、副業だったとしてもできればお金を稼ぎたいと思っているはずです。そして私もやるからには利益を出してほしいと思いますし、長期的な安定した収入を稼いでほしいと思っています。法人化はそのためには、避けては通れません。

この機会にぜひ法人化への準備を進めてください。

「大家=不動産賃貸業」個人と法人11の違いと4つのポイント
最新情報をチェックしよう!
>再建築不可物件の建築可能化プログラム

再建築不可物件の建築可能化プログラム

「再建築不可物件」を使った不動産投資は、誰にでもできる簡単な方法でありません。 しかも、「投資」ですから、リスクはそれなりにあります。 それでも、リスクよりもメリットの方が大きいとも言えます。 その理由と、私たちの具体的なサポート内容などをセミナーでご説明いたします。 また、質疑応答の時間も用意しておりますので、ご不明な点はどうぞ遠慮なくお尋ねください。

CTR IMG