税理士監修-不動産売却時の税金・全知識!計算方法から節税対策まで

不動産を売却するときに税金がかかることは知っているものの、具体的にどのような税金がどれくらいかかるのかわからない、という方も多いと思います。今回は、自身も不動産投資家である小林弘知税理士事務所の小林弘知先生にお話をお伺いして記事をまとめました。

不動産は購入時のみならず、売却時にも税金がかかります。しかも、税金にかかる金額はとても大きいため、知らないと損することもありますので、しっかりと理解をしておくことが必要です。正しい知識を持つことで、合法的に税金を低く抑えることもできます。

この記事では、

  • 不動産売却時にかかる税金はどんなもの?
  • 税金を計算するための簡易シミュレーション
  • 譲渡所得の税金を納税する方法とタイミング
  • 税金を抑えるために知っておくべき知識

を中心に解説します。

本記事が不動産の売却を検討されている方の参考になれば幸いです。

1.不動産売却時にかかる税金はどんなもの?

不動産売却時にかかる税金はどんなもの?

まず、不動産を売却するときにどのような税金がかかるのかを紹介しましょう。

1-1.登録免許税(必ず課せられる)

登録免許税とは、登録免許税法に基づき、主に以下の内容に対してかかる税金です。

  • ・不動産の権利の登記(不動産の信託の登記を含む)
  • ・船舶の登記(船舶の信託の登記を含む)
  • ・航空機の登録
  • ・人の資格の登録又は技能証明
  • ・特定の業務に関する免許・許可・認可など

不動産売買における登録免許税とは、「物件の所有者が変わる際に登録(登記)にかかる税金」を指します。

登記に関する費用は、「所有権移転や抵当権設定時の登記費用」と「ローン残債がある際の抵当権抹消登記費用」の2種類があります。
このうち、前者の「所有権移転や抵当権設定時の登記費用」を買主が、後者の「ローン残債がある際の抵当権抹消登記費用」を売主が納税するのが通常です。

本記事のテーマである売却時にかかる「抵当権抹消の登記費用」を解説すると、費用は以下となります。

    不動産1つあたり1000円

ここでいう「不動産」とは、土地と建物が別々にカウントされます。例えばアパートの場合、土地と建物はそれぞれ個別の不動産とみなされるため、合計2000円になるということです。なお土地は一筆(土地登記簿上の一個 の土地)に対して費用がかかるため、複数の筆からなる土地については筆の数分だけ登記費用がかかります

ちなみに、抵当権抹消は司法書士に依頼をするのが一般的です。その際、司法書士に支払う報酬は1万〜10万円程度が相場です。

1-2.印紙税(必ず課せられる)

印紙税とは、「売買契約時に貼付する収入印紙に支払う税金」のことです。
なお、誰が払うかの取り決めはなく、一般的な不動産売買の契約書では、「契約書に貼付する収入印紙は、売主・買主が平等に負担するものとする」と記載されています。基本的に、売主・買主それぞれが保有する契約書分を各自負担すると考えていいでしょう。

売主と買主で1通ずつ契約書を作成する場合は、どちらかが原本を所有してもう一方がコピーを保有する場合は1枚というのが通常です。

売買契約書に貼る印紙の金額は、契約書の記載金額、つまり物件の売買価格によって以下のように決められています。

記載された契約金額

税額

500万円超1000万円以下

5000円

1000万円超5000万円以下

1万円

5000万円超1億円以下

3万円

1億円超5億円以下

6万円

上記は、印紙税の軽減措置による引き下げ後の税率を記載(令和2年3月31日までに作成されるもの)。

なお、収入印紙は、郵便局や法務局の窓口のほか、「収入印紙売りさばき所」の指定を受けた店などで購入できます。

1-3.売却利益に対する課税

まず覚えておいてほしいポイントとしては、上記の登録免許税や印紙税よりも、利益が出た場合の税金のほうが圧倒的に高くなる可能性があるということです。

個人所有の不動産を売却することによって利益が出た場合、譲渡所得の課税があり、以下の式で計算します。

譲渡所得=売却価額-(取得費+売却時の諸費用 (*1) )-特別控除

上記の「取得費」とは、「物件の購入価格から減価償却費を引いた価格 + 購入時の諸費用 (*2) 」を指します。

*1 購入時の諸費用:仲介手数料や測量費
*2 売却時の諸費用:仲介手数料、印紙税、立退料、解体費用など

譲渡所得の計算式図

譲渡(売却)する不動産が、短期保有なのか長期保有なのか(5年以内か5年超なのか)によって税率が変わり、それぞれにおいて所得税・住民税の税率が異なります。

  • 【短期譲渡所得:売却した年の1月1日現在で「所有期間5年以下」の場合】
    ・所得税:30.63%
    ・住民税:9%
    計:39.63%
  • 【長期譲渡所得:売却した年の1月1日現在で「所有期間5年超」の場合】
    ・所得税:15.315%%
    ・住民税:5%
    計:20.315%

税率の図解

例えば、以下の2つのケースで考えてみましょう。

  1.  2015年7月1日に取得し、2020年9月1日に売却した場合
    →所有期間は5年2カ月・売却した2020年の1月1日現在で4年5カ月経過
    ⇒ 短期譲渡
  2. 2014年7月1日に取得し、2020年9月1日に売却した場合
    →所有期間は6年2カ月・売却した2020年の1月1日現在で5年5カ月経過
    ⇒ 長期譲渡

短期譲渡と長期譲渡の期間の違いの例

2. 税金を計算するための簡易シミュレーション

税金を計算するための簡易シミュレーション

では、実際の事例を用いながら売却の際にかかる税金をシミュレーションしてみましょう。

2-1.ケース1

3000万円で購入した土地を3500万円で売却したケース。所有期間は3年、諸費用は250万円

売却時にかかる税金
=(3500万円-3000万円-250万円)×39.63% =約99万円

2-2.ケース2

4000万円で購入したマイホームを4500万円で売却したケース。所有期間は8年、諸費用は250万円(「3000万円の特別控除」が使えるものとする)

(4500万円-4000万円-250万円-3000万円)がマイナスとなります。
よって、売却時にかかる税金は0円です。

マイホームを売却した場合には、利益が3000万円まで非課税になる制度があります。用件は以下のとおりです。

  • ・自身が住んでいた家を売ること(別荘や投資用マンションは対象外)
  • ・以前に住んでいた家屋や敷地等の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • ・売った年の前年、前々年にこの特例を受けていないこと
  • ・売却の相手方が親子や夫婦等でないこと など

3.譲渡所得の税金を納税する方法とタイミング

譲渡所得の税金を納税する方法とタイミング

不動産売却による譲渡所得を計算したら確定申告し、納税する必要があります。その方法と注意点を見ていきましょう。

3-1.確定申告の時期と方法

不動産売却による譲渡所得は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に、現在住んでいるエリアを管轄している税務署に申告しなければなりません。

例えば、2020年10月15日に不動産を売却した場合、2021年2月16日から3月15日の間に確定申告をするわけです。

確定申告は、以下の3つの方法があります。

・直接税務署に行って申告書を提出

税務署は土日が休みのため、期間の終わりが近づくにつれて混み合うので注意が必要です。

・郵送による申告書の送付・税務署内の時間外収受箱への投函

直接行くのは面倒、インターネットが苦手という方は、申告書を郵送するかたちになります。

・e-tax(電子申告・納税システム) を利用してインターネットで申告する

e-Taxを使えば、確定申告書をネットで出せるので手間がかかりません。大まかに以下の流れで申告を行います。

e-taxでの確定申告の流れについての図解

 

  1. システム利用のための環境等を確認・設定
    e-Taxソフトを利用の際の推奨環境や確定申告書等作成コーナーから直接送信する際の推奨環境を確認しましょう。詳しくは以下の国税庁のHPを確認してください。

  2. 電子証明書の取得
    e-Taxで申告手続等を行う場合には、本人確認を行う必要があるため、マイナンバーカードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書を取得しておく必要があります。
    詳しくは以下の国税庁のHPを確認してください。

    なお、マイナンバーカードなどICカードに組み込まれた電子証明書を利用する場合、電子証明書のほかにICカードリーダーが必要になります。
    また、マイナンバーカード以外の電子証明書を利用する場合は、電子証明書を使用するための専用ソフトが必要になるケースがあるため、それぞれのインストールマニュアルなどに従い、インストール及び設定を行ってください。

  3. 開始届出書の提出
    e-Taxの利用に当たっては、開始届出書に必要事項を記載の上、納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。
    詳しくは以下の国税庁のHPを確認してください。

  4. 利用者識別番号等の取得
    開始届出書をオンラインで提出した場合、利用者識別番号等がオンラインで発行(通知)されます。
    詳しくは以下の国税庁のHPを確認してください。

4.税金を抑えるために知っておくべき知識

税金を抑えるために知っておくべき知識

ここまで売却時における税金の種類と納税する方法とタイミングを解説しました。とはいえ、納める税金を減らす方法はないのか、と思った方も多いでしょう。そこで、合法的に税金を抑える方法を紹介しましょう。

4-1.所有期間が長ければ税率が低くなる

「1-3.売却利益に対する課税」で解説したように、不動産を売却する場合、所有期間が長ければ所得税及び住民税の税率が低くなります。長期譲渡所得(所有期間5年超)と短期譲渡所得(所有期間5年以下)では税率が倍近く(約20%)も違うので、税金を抑えて売却益を得たいのなら5年超所有してから売却するのがおすすめです。

4-2.譲渡損失が生じた場合は節税ができる

譲渡所得の税金を納税する方法とタイミングを解説しましたが、もし売却によって赤字が出た(譲渡損失が生じた)場合、同じ年に売却した他の不動産の譲渡益と損益通算することができますが、給与所得などの他の所得と損益通算することはできません

一般に、不動産売却による赤字は、金額が大きくなるケースが多いため、損益通算をしても相殺しきれないこともあります。そうした場合、「譲渡損失の繰越控除」といい、不動産を売却した年の翌年以降3年間は所得税や住民税を軽減させることが可能となります。

ただ、繰越控除に関しては、売買目的によって繰越年数や控除額などが変わってくるので注意が必要です。

なお、マイホームの売却では、以下の特例が利用できます。

・不動産の売却目的が買い替えの場合
買い替えを目的とした不動産売却の場合、「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」を利用することができます。ただし、この特例措置を受けるためには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • ・売却した不動産が取得から5年以上の物件であること
  • ・不動産の総面積が500平米以下であること
  • ・新居への入居予定が1年以内であること

・不動産の売却目的が買い替え以外の場合
不動産売却の目的が買い替え以外の場合、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が利用できます。適用条件は、上記の買い替え目的の場合とほぼ同じですが、不動産の総面積が500平米以上、住宅ローンの残高が10年分以上残っていても適用されます。

4-3.相続した空き家を売ったときの特例

相続した空き家の売却を行った場合、所得税の特別控除の特例を受けられるケースがあります。一定の要件の下、相続人がその家屋または取り壊した後の土地を譲渡した場合、譲渡所得から3000万円を特別控除するという特例です。相続した不動産を売却する際は、この特例を受けられるかどうか確認しましょう。

4-4.税理士に相談する

不動産売却に関わる税金は、特例が多く節税方法もいくつも存在します。ただ、特例を受けるための条件を満たしているかどうかは綿密な確認が必要で、不動産売却や税金の知識がない個人が適切な判断をするのは難易度が高いでしょう。したがって、売却時の節税を行う際には、税金のプロである税理士に相談することをお勧めします。税理士にも不得手がありますので、もしも不動産売却の理由に相続が関わる場合は、「相続税に強い税理士」に依頼することが大切です。

5.まとめ

1. 不動産売却時にかかる税金は、必ず課せられるものとして「登録免許税」と「印紙税」、売却利益に対する課税(所得税、住民税)がある

2.譲渡所得の税金を納税するタイミングは、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に、現在住んでいるエリアを管轄している税務署に申告を行う

3.確定申告の提出方法は、「直接税務署に行って申告書を提出」「郵送による申告書の送付・税務署内の時間外収受箱への投函」「e-tax(電子申告・納税システム) を利用してインターネットで申告する」の3つがある

4.譲渡所得の税金を節税するためには、「所有期間を長くして税率を低くする」「相続した空き家を売った場合に特例を利用する」「税理士に相談する」などがある

いかがでしたか。不動産売却にかかる税金は、特に売却利益に対する課税は金額が大きくなるため、しっかりと知識を身につけておく必要があります。

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