不動産投資で成功するためには、良い物件を購入することが不可欠です。そのため、多くの投資家は良い物件をなんとか見つけようと物件情報を調べ回ります。
しかし、そうやって苦労して見つけた物件を購入しても、実際に運営をしてみると
- 「全く儲からない」
- 「むしろ赤字だ」
という投資家は少なくありません。このように、儲かる物件を探すのは意外と難しいのが不動産投資の現実です。
では、物件選びで失敗する大きな原因は何でしょうか? それは、そもそも「儲かる物件」の条件や探し方や見分け方を知らないことにあります。ですから、投資家はまず、こうした知識をしっかり身に着けておく必要があります。
しかし、いくら儲かる物件が見つかっても、買えなくては意味がありません。特に投資規模を拡大するためには、銀行から融資を引くことが不可欠です。ところが、多くの投資家が
- 「自分がどれぐらい融資を引き出せるか?」
- 「どの銀行が融資してくれるか?」
といった点を事前に把握していません。こうした点も、投資が失敗する原因となっています。
こうした背景から、物件を購入する前に銀行融資から逆算し、計画的に投資していく方法を私はおすすめしています。実際、私自身もこの方法を実施することで、儲かる物件を見つけたときに必ず購入できるようになっています。
そこでこの記事では・・・
- ・物件探しの前に銀行開拓を行うべき理由。
- ・どのように銀行開拓を行うか、具体的な方法。
- ・公開情報から物件を探し、見つけてから買い付けまでの具体的な行動ステップ。
についてお伝えいたします。
また大家として物件を運用する上で最低限知っておかなくてはいけない物件のリスク、最終的に物件を売却したい場合、どのような売却方法があるのかなどについてもお知らせします。 当記事をお読みいただければ、一般公開物件から投資できそうな物件を探して見つけられます。また、現地で何をチェックすべきかのポイントが分かります。
同時に銀行開拓も行い、買いたい物件を見つけたら即融資を引きだせるようになります。 加えて、物件を購入に向けて具体的な商談を始めるに当たり、どんな業者なら信頼できるのか?の見分け方が分かるようになるでしょう。
不動産投資にはリスクがつきものです。そこで、どんなリスクがあるのか、またどのようにリスクをカバーしていけるかが分かるでしょう。 加えて、あなたが既に物件を持っている場合、できるだけ高く売る方法がわかるでしょう。
1.自分に相応しい投資先を見極める方法
不動産投資は必ずしも、銀行から融資を引かなければならないわけではありません。 なぜなら、融資を組むかどうかは投資家の属性や、投資目標、自身が負えるリスクなどに応じて、どこに投資するかによって変わってくるからです。
また、属性的に融資を組めない状況にある方もいますし、借入のリスクを負いたくないという方もおられるでしょう。そこで、融資を組めない方は、築古の戸建てを現金で買うという選択肢もあります。
そこで、まずは以下の記事を参照し、フローチャートを参考にしながら、自分にはどんな投資先が相応しいかを判断しましょう。
上記のフローチャートから、自分には築古物件への投資が向いているという方は、以下の記事をご覧ください。
不動産投資の中でも「築古物件」への投資は、安く始めることができるから儲るのでは?と考える人が少なくありません。確かにポイントを抑えて購入をしていけば、築古物件は儲る可能性の高い投資先と言えるでしょう。 しかし、きちんとした知識が無いままに[…]
2.物件探しの前に、銀行開拓もやっておくべき理由
不動産投資というと、まずどんな物件に投資するかに関心が向きます。 確かに物件選びは大事です。しかし、属性的に融資を組める状況にあり、ある程度大きく稼ぐことをお考えの方は、まずは物件を見る前に銀行開拓を行う必要があります。
このセクションでは、融資が必要な人はなぜ先に銀行開拓を行う必要があるのか?その理由について解説いたします。
2-1.銀行開拓を優先するメリットとは?
そもそも、なぜ開拓を優先した方が良いのでしょうか? なぜなら、いくら良さそうな物件を見つけても、融資なしで買うことはできないからです。また、気付かないうちに、自分に合わない無理な投資をしてしまうというリスクもあります。結果として投資が行き詰まり、最悪は投資から撤退することにもなりかねません。
しかし、銀行開拓を事前にやっておけば、
- ・買いたい物件が見つかった時に買える(融資が下りる)状態になっている。
- ・自分に本当に合った投資ができる(失敗しない投資ができる)。
このような状況を作り上げることができます。このように、物件を見る前に銀行開拓を行うことには大きなメリットがあります。
2-2.銀行開拓に基づき投資計画を立てる方法
不動産投資でありがちな失敗パターンは、物件購入が3件目程度で頭打ちとなり、目標の家賃収入には届かなくなることです。これは、無計画に買い進めた結果、3件目あたりで融資が下りなくなることによって起こります、 こうした事態を避けるためにも、まずは自分がどの銀行でどれぐらい借りられるのかを調べ、期間と利率を把握します。これらを把握できたら、そこから逆算し、
- 購入する物件
- 購入するタイミング
- 購入時に使う銀行
を決めていきます。これを決めたら、「2年後に年間のキャッシュフロー1000万円、月々のキャッシュフロー100万円」といった収益目標を立てます。その上で、
- どの銀行を使うのか?
- どのぐらいの金額の物件を買うのか?
- どんな物件を買うのか?(木造か?鉄骨か?RCか?)
- どのエリアに買うのか?
- 個人で買うのか? それとも法人で買うのか?
といった細かい計画を、1件目、2件目、3件目・・・と物件ごとに決めた上で、買い進めていきます。
特に1件目を計画通りに買えるかどうかが重要です。なぜなら、1件目が計画通りに買えなければ、2件目以降も計画的に買い進めていくことができなるからです。よって、計画通りに投資が進んでいるかを見極めるためにも、1件目の購入が重要になります。
借入額と、借入ができる銀行の目安
自分がどの銀行から、幾ら借りることができるか?については、各投資家の属性などによって異なってきます。しかし、年収によってある程度の傾向はあります。 以下は、現在の年収に基づく借入ができる額と、利用できる銀行の目安です。
借入できる額の目安
年収 | 目安額 |
年収500万円以下 | 年収の10倍程度 |
年収500万〜700万円 | 年収の15~20倍程度 |
年収700万〜1000万円 | 年収の20~40倍程度 |
年収1000万円以上 | 年収以上の金額 |
借入できる銀行の目安
年収 | 金融機関・商品名 |
500万円以下 | 日本政策金融公庫 商工中金 セゾンファンデックス 三井住友トラストL&F |
500万~700万円 | 静岡銀行 SBJ銀行 みなと銀行 関西アーバン銀行 近畿大阪銀行 池田泉州銀行 |
700万~1000万円 | スルガ銀行 オリックス銀行 |
1000万以上 | 千葉銀行 みずほ銀行 三井住友銀行 りそな銀行 三井住友信託銀行 三井UFJ銀行 |
- ※スルガ銀行は、「かぼちゃの馬車」の一件もあり、現在地方向けの融資はほぼストップしています(2018年7月現在)。今後の見通しについては不明な部分が多いため、最新の情報を必ず確認してください。
3.銀行開拓の具体的な方法
限度額などの融資の諸条件は、年収などの属性である程度決まる部分もありますが、基本的には個別性が高くなっています。そこで、投資家が最大限の融資を引き出すためにも、事前に銀行を開拓しておく必要があります。
そこでこのセクションでは、銀行開拓のステップを解説いたします。
3-1. 銀行開拓のステップ
銀行によって重視するポイントや、評価基準、考え方も違うため、自分に対する評価も変わってきます。こうした違いを知っておく上でも、以下のステップに従い銀行開拓を行いましょう。
- 銀行を徹底的にリストアップ
- 電話によるアポ取り
- アポが取れたら資料作成
- 銀行の担当者との面談
- 1~4を継続する
率直に言って、銀行開拓には地道な行動が求められます。しかし、これをやっておけば、後々楽になりますので根気強く行いましょう。
3-2.資料作成のポイント
銀行を訪問する際は、担当者に自分自身のことや、自分の投資計画について知ってもらうための資料を持参します。資料は以下の内容で作成します。
- 自己紹介資料
- 保険証、免許証の裏表コピー
- 所有物件資料
- 借入返済予定表
- 収入証明
- 源泉徴収票(確定申告や決算書)
- 購入予定物件の資料(前述した物件資料一覧)
当然のことですが、年収を高めに申告する、自己資金を多く伝えるなどの嘘は絶対についてはいけません。
3-3.面談で必ず確認すべきポイント
銀行開拓で特に大事なのは、その銀行の評価基準について担当者にヒアリングすることです。ぜひ、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 収益還元で評価するのか? 積算で評価するか? それとも掛け合わせるのか?
- 融資期間は法定耐用年数に対してどのくらいなのか?
- 融資対象となる構造や年数、対象
- 融資金額の規模感や頭金の金額、金利などの条件
- 支払いの融資のタイミング(新築の場合)
「ここまで聞かなきゃいけないのか?」と思われるかも知れませんが、それくらいこの情報はとても大事ですので、しっかりと聞き出すようにしましょう。
4.公開情報を活用した物件探しと、購入までのステップ
- 「本当に儲かる優良物件は、非公開情報でしか見つからない」
と一般的には思われがちです。しかし実際には、ポイントを押えれば公開情報で儲かる物件を探し出すことができます。 そこでこのセクションでは、公開情報を活用した儲かる物件の探しのポイントと、購入までのステップを解説いたします。
4-1.ネットを使った物件の探し方
物件探しは、今ではネットが主流です。ネットで探すときの大きなポイントは「毎日、探すこと」です。
なぜなら・・・
- ・新しい物件がどんどん公開されるから。
- ・良い物件はどんどん無くなっていくから。
ですから、毎日探さなければ、良い物件を見つけることができないのです。 よく「継続は力なり」と言われますが、不動産投資でも同じです。毎日、継続して物件探しを行う人はそう多くありません。ですから、毎日継続すれば勝つことができます。
物件探しはこのサイトを活用しよう
ネットでの物件探しは、有名なポータルサイトを活用します。 現在、不動産投資を勉強している方や、もうすぐ最初の物件を買おうと考えている方などの初心者の方は、以下のサイトで物件を活用すると探しやすいでしょう。
マンション一棟、アパート一棟 | 戸建て、区分所有 | |
勉強中の方や、投資に興味のある方 | 健美家 | ノムコム |
初心者の方(所有1件以下の方) | 楽待 | Yahoo!不動産 |
物件探しに慣れてきたら、以下のサイトでも探してみましょう。
■マンション一棟、アパート一棟

4-2.物件で見極めるべきポイント
物件探しをする際に見るべきポイントは、一言で言えば「儲かるかどうか」です。 とはいえ、慣れないうちは何をどう見たら良いのか分かりませんし、そもそも、ネットでは非常に多くの物件が出てきますから、情報量に圧倒されると思います。
そこで・・・
- 見るべき物件と、見ない物件を決める。
- 利回りやキャッシュフローを計算する。
- 物件の担保力を調べる。
- 物件の稼働力を調べる。
上記4ステップで物件を絞り込んでいきます。
ステップ1:見るべき物件・見ない物件を決める
世の中には様々な物件がありますが、初心者に向いている物件というものはある程度決まってきます。 一方、「まず買っても儲からない」という物件もあります。
そこで、見るべき物件と、見ない物件をあらかじめ決めてネットで探していきます。以下は、私が初心者にお勧めできる物件と、儲からないので見なくてよい物件の一覧です。サイトのフィルター機能を活用するなど、効率よく見ていきましょう。
見るべき物件 | 見ない物件(まず儲からない物件) |
・区分所有(新築ワンルームを除く) ・中古や築古の戸建て ・地方の中古一棟アパート ・中古の一棟マンション |
・新築区分ワンルーム ・新築シェアハウス ・中間省略業者による再販物件 |
ステップ2:利回りやキャッシュフローを計算する
次に、本当に収益の出る物件なのかどうかを見極めていきます。ここでは、以下の3ポイントを見ます。
1.表面利回り | 経費を無視し、単純に「家賃収入 ÷ 物件価格」で計算した数値。 |
2.実質利回り | 家賃収入から、必要経費(管理費、各種税金、修繕積立費、清掃費用、水道子熱費、リフォーム、修繕費用など)を引いた場合の利回り。加えて、5~10%の空室率を考慮し計算。 |
3.キャッシュロー | ローン返済、所得税、住民税、法人税などを引いて、利益が残るかどうかを計算。 |
最初はちょっと大変だと思いますが、慣れてくると計算機をちょっと叩くだけで上記の計算はできてしまいます。
ステップ3:物件の担保力を調べる
全室が空室になるという万が一のリスクも想定し、その物件の価値(不動産事態の担保力)を調べておきます。 不動産の担保力は、「積算評価」によって算出されます。この積算評価が、物件の販売価格に対して割合が大きいほど「担保力がある」と判断できます。
積算評価は、土地の評価と、建物の評価を合わせたものです。具体的には、
- 土地評価 = 路線価 × 面積
- 建物評価 = 新築価格 × 面積 × 経年劣化
となります。
ステップ4:物件の稼働力を調べる
いくらキャッシュローが出る物件でも、空室が埋まらなければ意味がありません。そこで、入居率が高い状態で、安定して稼働してくれる物件かどうかも見極めます。 稼働率の高さは、以下の5つのポイントを全て調べます。
エリアによって、単身向けの人気が高い、ファミリー向けの人気が高い、といった点を調査。買おうとしている物件が需要とマッチしているかを確認。
1.エリアの人口流入・流出 | 物件のある市区町村の人口推移、世帯数のデータを役所のホームページから入手し、そのエリアの人口の増減を調査。極端な増減がある場合には、その理由を調査。 |
2.間取りの需要を調査 | エリアによって、単身向けの人気が高い、ファミリー向けの人気が高い、といった点を調査。買おうとしている物件が需要とマッチしているかを確認。 |
3.商業施設や公共施設から需要を調査 | エリア内の、学校・図書館・病院といった公共施設、スーパーや大型施設などの商業施設の状況を調べ、エリア需要を調査。 |
4.周辺物件の敷金・礼金を調査 | 検討している物件の周辺で、似たような物件の敷金・礼金の設定状況を調査。強気の設定をしている場合は、需要に対して供給が少ないと判断できる。 |
5.近隣の不動産屋・仲介業者にヒアリング | 電話などで、物件近くの不動産屋や、賃貸仲介業者に「このぐらいの家賃で貸そうと思っていますが、客付けできそうですか?」などと聞いてみる。 |
尚、上記ステップ1~4まで更に詳しい情報は、以下の記事も参照してください。
昨今、家賃収入を得るための「収益物件」の購入する方が増えています。しかし一方で、計算上はキャッシュフローが出るはずなのに、実際には税金や修繕などで赤字になる、空室がなかなか埋まらずに収益化できないなど、「こんなハズじゃなかった・・・」と頭を[…]
4-3.優良物件を見つけたらどうするか?
4-2でお伝えしたステップで、儲かりそうな優良物件が見つかりましたら、次に購入に向けての行動に移していきます。
- 資料を請求する(資料はためらわず、どんどん請求する!)
- 電話で追加情報を聞き出す(物件の売却理由、売主の特徴、現在の反響など)
- 現地の状況・雰囲気を調べる(実際に行く、またはGoogleストリートビューで確認)
- 現地立ち合い(物件を細かくチェックする)
- 購入を決めた場合は、買い付け証明を出す
実際には、ネットで物件を1000件検索した内、買い付け証明を出すのが10件です。そして、その中でも融資申請が通るのが3件で、ようやくその内の1件を買える・・・というが現実です。言い換えれば、「1000件調べて1件買える」ということになります。
ですから、とにかく数をこなすことが大事です。そのために、ためらうことなく、どんどん行動するようにしましょう。
4-4.現地の立ち合いで着目すべきポイント
購入する前に、必ず現地に向かい、各部をチェックした上で最終判断を行います。 しかし、現地立ち合いの際に、物件のどこを見たら良いのか分からないと思います。そこで、以下に私がチェックしているポイントをご紹介しますので、活用なさってみてください。
チェック項目 | チェック内容 |
1.基本情報 | 物件名や種別、所在地、価格、築年数、交通の便、利回り、入居状況、坪数などの基本的な情報を事前に記入。 |
2.駅から現地までの道程 | 最寄り駅の利用者数や賑わい具合、駅までの距離、席周辺不動産の状況、終電の時間などをチェック。 |
3.現地周辺の環境 | 近隣物件の空室や募集状況、騒音、商業・公共施設などをチェック。 |
4.建物外観や敷地 | エントランスなどの共用部分、外壁、内壁、屋上や屋根、バルコニー、自転車置き場、敷地の境界線などをチェック。金属部分の材質などもチェック。 |
5.設備の状況 | 消化器、集合ポストや宅配ボックス、給湯設備、ガスの種類、インターネット環境、水回りの状況、エレベーターの点検状況などをチェック。 |
6.室内の状況 | 天井の高さや室内の明るさ、風通し、床の状況、音漏れや雨漏り、水回り、間取り、窓、収納などをチェック。 |
7.管理や清掃状況 | ゴミ置き場、共用部、ガラス、集合ポスト、掲示板、除草や樹木の剪定状況、駐輪場などの状況をチェック。 |
8.写真の撮影 | 外観、住居の玄関、屋上、敷地境界、消火器、庭や外構、鉄部分の状況、ガス給湯器、室内などを撮影。 |
9.不動産業者への依頼・必要書類 | レントロール、建物図面、登記簿謄本、検査済証の有無を確認。 |
10.その他 | 質問事項や、気が付いたことなどを随時メモする。 |
上記をチェックする場合、項目2~7、および9は各内容を5点満点で採点することで、客観的な判断がしやすくなるようにしています。
4-5. 信頼できる業者から購入するには?
物件を購入する際には、できるだけ信頼できる業者から購入した方が安心です。 何を持って信頼できる業者か?というのは、判断が難しい部分です。例えば、実際に会ってみて感じが良いとか、自分と合いそうだというのもポイントになるでしょう。しかし、できるだけ客観的な判断もしたいところです。
そこで私の場合、以下の2ポイントを見て判断しています。
- こちらからの問い合わせに対する返事が早いなど、レスポンスが迅速であること。
- レイアウトがきちんとしているなど、見やすく整った資料を用意してくれること。
なぜ資料を見るのか?という点ですが、
- 「標準レベルのビジネスマンとして、資料が綺麗でなければ仕事も丁寧ではないのではないか?」
と考えているからです。 ですから、少なくとも
- 「お客さんが見て分かりやすい資料を作ろうとしているかどうか?」
を見れば、その業者の仕事に対する姿勢が見えてくると思います。
5.不動産投資におけるリスクとカバーの方法
不動産投資には、必ずリスクがあります。しかし、大抵のリスクはカバーできますし、カバーする仕組みも整っているのが不動産投資の魅力です。 そこで投資家は、想定すべきリスクと、それに対してどのようにカバーできるかに関する知識を高めておくことが不可欠です。このセクションでは、そうした点に関する基礎的な情報をお伝えいたします。
5-1.不動産投資におけるリスクの種類
不動産投資では、主に以下のリスクを想定しておく必要があります。
人災 | 家賃滞納、夜逃げ、入居者トラブル、部屋の破損、自殺や孤独死、家賃の滞納、詐欺被害など。 |
自然災害 | 地震、水害、土砂崩れ、大雪、火山の噴火、火災など。 |
経済変動 | 物件価格の下落、空室の増加、管理会社の倒産による家賃の未回収など。 |
5-2.リスクをカバーする方法
人災をカバーする方法
家賃滞納、夜逃げ、入居者トラブル、部屋の破損などは保険でカバーすることができます。また、家賃の滞納は保証会社の活用でカバーできます。 保険でカバーできない部分は、司法書士や弁護士に依頼することで、自分で解決する手間を省くことができます。
入居審査を厳格にすれば、トラブルを起こしそうな人が入居しないように予防できます。
自殺や孤独死なども、基本的には保険でカバーします。また、高齢者が住んでいるなら、
- ・定期的にポストや電気の使用量チェックする
- ・定期的に訪問や連絡を取る
- ・室内にセンサーを設置する
など、異変を察知し早期発見をする工夫もできます。孤独死リスクのカバー方法についてはこちらの記事も参照してください。
収入の拡大を目指して、賃貸経営を勉強しているものの 「賃貸経営って、そもそも大して儲からないのではないか?」 と、幾らか幻滅している方もおられると思います。 確かに、賃貸経営で収益化を図るのは簡単ではありません。しかし、いく[…]
詐欺については、法律の知識を高めることでカバーすることができます。
自然災害をカバーする方法
自然災害についても、基本的には火災保険や地震保険でカバーしていきます。特に火災保険は様々なオプションを付けることで、自然災害だけでなく、人災をカバーすることができますので、ケチらずに入ることがポイントです。
経済変動をカバーする方法
一般的なイメージとは違い、実は不動産は「急な市況変化が起こりにくい」という特徴があります。実際、1990年のバブル崩壊でも、不動産価格の下落や、金利の上昇は少しずつ起こりました。また、たとえ物件価格が半値になっても、家賃が半値になることはありません。
よって、日頃から相場よりも安く、しっかりとキャッシュフローが出る物件を購入しておくことが欠かせません。そういう物件であれば、大きな経済が起きても耐えられます。むしろ、持ち続けることで家賃収入を得ることができます。
尚、人災リスク、詐欺リスク、経済変動リスクなどをカバーする方法については、合わせて以下の記事もご覧ください。
昨今、家賃収入を得るための「収益物件」の購入する方が増えています。しかし一方で、計算上はキャッシュフローが出るはずなのに、実際には税金や修繕などで赤字になる、空室がなかなか埋まらずに収益化できないなど、「こんなハズじゃなかった・・・」と頭を[…]
不動産投資を始めようとする方は、どうしてもリスクが気になることと思います。特に不動産投資は一度に大きな金額が動きますから、失敗したくないという気持ちが強くなり、慎重になりがちです。確かに、リスクが無いのに越したことはありません。しかし、「リ[…]
6.物件を売却する際のポイント
不動産投資には家賃収入だけでなく、物件を売却することも含まれます。実際、売却を含めると自己資本比率が高まり、銀行の評価が上がります。よって、更に融資を引き出せるようになるので、投資規模の拡大を目指す上でも売却のノウハウは欠かせません。
そこでこのセクションでは、売却に関する基礎知識と、できるだけ高く売却する方法をお伝えいたします。
6-1.一般媒介と、専任媒介の違い
売却の方法は、一般的に「一般媒介」と「専任媒介」の2つがあります。とはいえ、この名前だけを見ると何だか難しそうな感じがしますし、具体的にどういうものなのかがイメージが湧かないと思います。 しかし、実際にはそれほど難しい内容ではありません。
- 「一般媒介」とは、複数の不動産会社に依頼する契約方法です。 一方、「専任媒介」は、1社だけに専任して売却を依頼する契約方法 です。
よって、他の会社には依頼することができません。
6-2.一般と専任のどちらを選ぶべきか?
ホテルなどの大きな物件の売却を秘密裏に進めたいなど、特殊な事情がある場合は専任媒介で行います。 しかし、よほど特殊な事情が無い限り、大抵は一般媒介で売却を進めます。実際、一般媒介の方がメリットは多くなります。
6-3.一般媒介のメリット
一般媒介のメリットは、複数の業者に見積りを依頼できることです。よって、一番良い条件の業者に売却できます。 その時の市況にもよりますが、今のような売り手市場であれば、一般に公開した方が高く売れる可能性も高まります。
一般媒介で効率的に売却を進めるポイント
複数の業者に依頼した方が高く売れる可能性が高まるとはいえ、各業者にそれぞれ電話などでコンタクトをとり、査定を依頼するとなると手間も時間もかかります。必然的に、コンタクトを取れる件数が限られてしまいます。これでは、一般媒介のメリットを最大限に生かすことができません。
そこで、効率的に売却を進めるためにも、インターネットを活用しましょう。具体的には、「楽待」などの一括査定サイトを活用します。一括査定サイトで依頼すると営業電話がかかってくるので、ちょっと面倒になるというデメリットはありますが、できるだけ高く売却するためにも積極的に活用しましょう。
まとめ
1.投資家各自の目標や属性になどによって、投資先がある程度決まってきます。そこで、まずは自分に合った投資先を見極めましょう。
2.投資規模をある程度大きくしていきたいなら、物件探しの前に銀行開拓をかならず行いましょう。銀行開拓を行うことによって、買いたい物件がみつかったらすぐに融資を引き出せますし、投資が行き詰まる事態を事前に避けることができます。
3.銀行開拓は、ただ銀行に行けば良いというものではありません。自分自身のことや、自分の投資計画について知ってもらうための資料を作成します。また、銀行の担当者に、その銀行の評価基準について必ず確認しましょう。
4.物件探しは主にネットを活用します。当記事で示したポイントを基に、儲かる物件を探しましょう。また、物件探しは毎日行いましょう。
5.良さそうな物件を見つけたら、早速資料を請求し、電話で追加情報を聞き出すなど行動に移していきます。また、買う前に現地の調査も行い、最終判断を行いましょう。また、購入する際はなるべく信頼できる業者を見分け、その業者から買うようにしましょう。
6.不動産投資にリスクはつきものです。しかし、不動産投資におけるリスクは、カバー方法のノウハウや仕組みが確立されています。そこで、リスクをカバーする方法に関して知識を常に高め、しかるべき手立てを打っておきましょう。
7.不動産投資は物件を買うだけでなく、売却することも含まれます。基本的に、売却は一般媒介で行います。ネットの一括査定サイトを活用することで、効率よく多くの業者に見積りを依頼できます。その中で、一番条件の良い業者に売却を依頼しましょう。