節税のつもりが失敗?プロが教える不動産投資の節税の仕組みと全知識

不動産投資に関心がある方、もう既にはじめている方のなかには「不動産投資で節税する方法を知りたい」「注意点を把握して税務調査対策も万全にしたい」と感じている方も多いと思います。

また、「節税対策になるから」という理由で、不動産会社の営業マンに新築ワンルームマンション投資を勧められているけれど、不動産投資が本当に節税になるのか不安な方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこの記事では、

  • 不動産投資で節税になるといわれる仕組み
  • 新築ワンルームマンション投資は節税になるのか
  • 節税ばかりにとらわれる不動産投資の失敗例・注意点

といった不動産投資の税金について、不動産投資に詳しい髙橋会計事務所の髙橋正典税理士の監修のもと、必要な知識を全て解説します。

不動産投資には節税効果があるケースも存在します。ですが、節税だけに目が行って不動産投資をはじめると、節税効果が得られないばかりか、総資産が減らす結果を招き、税務調査でのリスクを高めます。

本記事を読むことで、そうした不動産投資のリスクを避け、不動産投資によって「どの税金を、なぜ節税できるのか?」「不動産投資が節税になる仕組み」「節税で失敗しないための注意点」を正しく知ることができます。

この記事があなたの資産を守るための不安の解消につながれば幸いです。

以下の記事では「今すぐにできる節税対策」に加えて、正しい節税の知識と、お金を手元に多くの残す考え方についてお伝えします。

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1.不動産投資で節税になるといわれる仕組み

不動産投資で節税になるといわれる仕組み-

 

節税の話をする前にまず知っていただきたいのは、「家賃収入は、給与所得と同じく総合課税」ということ。

一般的に「不動産投資が節税対策になる」と言われる仕組みは大きく分けて以下の3つです。

  1. 所得税・住民税
  2. 相続税
  3. 贈与税

では、それぞれ見ていきましょう。

1-1.所得税・住民税

これから所得税・住民税について見ていきます。

今さら聞けない「所得税」とは?

まずは所得税から解説します。所得税とは、文字通り「所得」にかかる税金です。

ここでみなさんに質問です。「収入」と「所得」の違い、わかりますか?収入とは、サラリーマンなら会社から得た給与、店舗などを営んでいる人なら売り上げを指します。

所得は、収入から必要経費を差し引いたものです。「えっ、サラリーマンに必要経費なんてあるの?」と思われた方がいるかもしれませんが、会社勤めの方は「必要経費」を個別に計算せずに、一定の「式」にあてはめて「給与所得控除」を差し引き、収入から所得を計算します。

給与所得控除

出典:国税庁HP(給与所得控除)

収入から必要経費(サラリーマンの場合は「給与所得控除」)を引いた「所得」、これにかかるのが「所得税」です。

不動産投資の場合、所得税は以下の計算式で求められます。

所得税=(不動産から発生する収入-経費)×税率

所得税が節税になる仕組み・シュミレーション

では、なぜ不動産投資で所得税が節税になるのでしょうか。それは「総合課税」「累進課税制度」「損益通算」という3つの言葉を知る必要があります。一つずつ見ていきましょう。まずは「総合課税」です。

「総合課税」とは、対象となるすべての所得を加算してその合計金額に対し課税する方法のこと。簡単にいうと、不動産投資をしているサラリーマンの方が確定申告をする際、給与所得と不動産所得を別々に計算するのではなく、合算したうえで税金を計算するということです。

例えば、給与所得500万円、不動産所得200万円だとすると、個別に税計算をするのではなく、700万円として税計算しなければならないということです。

さて、続いて「累進課税制度」です。これはご存じの方も多いと思いますが、所得税の税率は累進課税制度を採用しているため、収入が上がると税率も高くなります。

所得税の速算表

出典:国税庁HP(所得税の税率)

しかし、ここで考えてみてください。「給与所得500万円、不動産所得200万円」(合計700万円)の人の場合、上の表でいうと、23%の税率になりますが、万が一不動産所得が赤字で「マイナス100万円」だったらどうでしょう? 

所得は合計300万円になるので、税率は10%と低くなります。給与所得500万円のときは20%なので、この場合、不動産投資をすることで税率が10%低くなり、その分節税ができることになります。

このように、赤字の所得を他の黒字の所得から差し引くことを「損益通算」と呼びます。ちなみに、すべての所得で損益通算ができるわけではなく、損益通算できる所得は不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の4つの赤字に限られています。

今さら聞けない「住民税」とは?

住民税は、国に支払う所得税とは異なり、自分の居住する地方自治体に支払う税金です。通常、住民税は所得税の確定申告のように納税者自身では計算せず、市区町村が計算します。

住民税は「毎年6月から翌年5月」を一年度として考えます。住民税の計算方法は、前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得金額に関係なく一定額の納付を求められる「均等割」の2種類があり、この2つを合算して納税します。所得割は課税される所得に10%を掛けて計算され、均等割りは地域によって違いがあります。

住民税が節税になる仕組み

所得税計算と同じく、住民税にも損益通算制度があります。つまり、基本的には所得税の計算ルールと連動した形で計算されるということです。 所得税がマイナスになるのであれば、住民税も結果的にマイナスになります。

1-2.相続税

現金・預金や有価証券などを相続する場合、相続する金額がそのまま評価額となります。例えば、相続人が1人で現金3000万円を相続する場合、財産評価額は3000万となります。

しかし不動産を相続する場合、土地は路線価方式(場合によっては倍率方式)、建物は固定資産税評価額から不動産評価額が評価されます。さらに、一定の条件に該当すれば相続税の負担軽減措置や特例を受けることができます。よって、現金や有価証券を相続するよりも不動産を相続したほうが相続税の負担を軽くできるのです。

相続税については以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。

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1-3.贈与税

不動産を贈与した場合、贈与財産の価額は、購入金額ではなく、法律で定める「相続税評価額」により算定します。前述したように相続税評価額は現金で相続するよりも相続税の負担を軽くできます。

ただし、不動産を購入した直後に贈与を行った場合、明らかに贈与税を少なくする行為ととらえられる可能性がありますので注意してください。

2.新築ワンルームマンション投資は節税になるのか

新築ワンルームマンション投資は節税になるのか

新築ワンルームマンションを販売している不動産会社の勧誘文句といえば、

  1. 節税対策になる
  2. 相続対策になる
  3. 将来や老後の生活資金対策になる

などが代表的です。特に高所得者である一流企業の会社員、医師や弁護士などの専門職に就いている人、あるいは収入が長期安定している公務員をターゲットに積極的な営業電話での勧誘が行われています。

では、新築ワンルームマンション投資は本当に節税になるのか見ていきましょう。

2-1.節税効果があるのは事実

結論からいえば、新築ワンルームマンション投資で節税になるのは事実です。

新築ワンルームマンションを購入すると、購入時の諸経費、減価償却費などを計上することによって損益通算で赤字になります。したがって、税金が一部還付されることになるのです。

2-2.節税目的で新築ワンルームマンションを買うと後悔する結果に!?

しかし築年数が経過すると、入居者が入れ替わることによる家賃の下落、管理費や修繕積立金の値上げなどさまざまな要因により、節税できる金額よりも持ち出し額のほうが大きくなります。こうなると、赤字を垂れ流す物件を持つだけの状況になってしまいます。

そもそもの問題として、所得税が節税できるということは、賃貸経営の収支が赤字であるということが前提です。つまり、「不動産投資で稼げていない」からこそ赤字が出て、損益通算で税金が還付されるわけです。

「給与所得と損益通算すれば節税になる」と言うと聞こえはいいのですが、節税できた金額以上の赤字が出てしまったら本末転倒です。 不動産投資の際は節税目的だけで考えるのではなく、収支計画をしっかり考え、きちんと利益が出る物件を選ぶことが大切です。

新築ワンルームマンションへの投資の実態については以下の記事でも解説しておりますので、こちらもご参考ください。

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3.節税の失敗例・注意点

節税の失敗例・注意点

節税は資産を守るために必要な知識ではありますが、節税ばかりに目を向けて不動産投資を行うと思わぬ失敗をする危険があります。ここでは、その注意点を紹介しましょう。

3-1.デッドクロスが起こる

デッドクロスとは、「減価償却費がローンの元金返済額を上回る状態」を指します。賃貸経営がデッドクロスの状態に陥ると、「帳簿上の利益が黒字にもかかわらず、手元資金が枯渇」してしまいます。そして、黒字に対する課税される所得税によって賃貸経営の収支がマイナスに転じてしまうのです。

つまり、「デッドクロス=手元資金のマイナスの常態化」といえます。これが続くと、最悪の場合、「帳簿上では利益が出ているのに、資金が足らずに黒字倒産」というケースも起こり得ます。

デッドクロスについては以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。

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3-2.節税だけが「目的」になってしまい、収益性の悪い物件を買ってしまう

「所得税や相続税を節税したい」ということだけが目的化してしまうと、収益性の低い新築ワンルームマンションや賃貸需要の少ないエリアの物件を買ってしまうことになりかねません。

一般的に、不動産会社が提示する資料は表面利回りの場合が多く、しっかり税金分を加味した利回り、キャッシュフローを把握したうえで投資をしなければキャッシュショートに陥るケースがあります。

例えば「利益」と「キャッシュフロー」の違いは以下のようになります。

収支とキャッシュフローの図解

 

不動産投資においては、損益よりキャッシュフローが重要となります。そもそも不動産投資は「収益を得るための手段の一つ」であり、不動産会社が提案してくる節税効果を鵜呑みにしてしまうと、あとから「こんなはずではなかった……」という結果につながりかねませんので注意しましょう。

3-3.「これくらいなら仕方がないか」と赤字を気にしなくなる

節税目的だけで物件を購入すると、特に築浅の区分マンションでは、毎月の収支が赤字、もしくは少しのプラスという状況になります。赤字が出たとしても毎月数千円〜2万円程度で、それくらいの金額なら給与で補えてしまうため、「これくらいなら仕方がないか」と自分の投資を見て見ぬふりをしてしまいます。実は、このようなケースは実に多いものです。

もちろん、自己資金を多めに出して短期間で融資を組み、あえて返済比率を上げてローリスクな投資をするというのも一つの考え方です。定年が近く長い融資が組めない人や、できるだけリスクを抑えて投資をしたい人などが、都心部で立地が良い物件を手にするためにこうした投資をするのは何も間違っていません。

しかし、長期的に資産価値が下落していく物件に対し、長期のローンを組み、見せかけのキャッシュフローや節税効果に惹かれて物件を購入するのは危険です。

3-4.融資が受けにくくなる

節税できるということは「賃貸経営の赤字」を意味しています。当然、その状態の決算書では銀行からの評価も悪くなり、買い進めができなくなる恐れがあります。

3-5.相続対策を目的にした結果、高値つかみをしてしまう

「現金や有価証券で相続するより、不動産で相続したほうが、相続税課税額は安くなる」と前述しましたが、不動産会社のなかには評価額3000万円しかない物件を6000万円で販売しているケースもあります。このように相続税対策という言葉に踊らされて業者の言いなりになってしまうと、そもそも3000万円の価値しかない不動産を6000万円で買ってしまうことになります。

以下の記事でも不動産を相続する際に、相続税で損しないための対策をご紹介しています。

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4.まとめ

1.「不動産投資が節税対策になる」と言われる仕組みは大きく分けて「所得税・住民税」「相続税」「贈与税」の3つである

2.新築ワンルームマンション投資には節税効果があるのは事実。しかし築年数が経つと、節税できる金額よりも持ち出し額のほうが大きくなる。そもそもの問題として、「不動産投資で稼げていない」からこそ赤字が出て、損益通算で税金が還付されるという点を忘れてはいけない

3.節税の失敗例・注意点としては「デッドクロスが起こる」「節税だけの“目的”になってしまい、収益性の悪い物件を買ってしまう」「“これくらいなら仕方がないか”と赤字を気にしなくなる」「融資が受けにくくなる」「相続対策を目的にした結果、高値づかみをしてしまう」などがある

いかがでしたか。不動産投資による節税効果はうまくいけば大きいものの、それだけを目的に物件を買ってしまうと、本末転倒な結果を招くということをご理解いただけたと思います。特に損益通算狙いの過度な経費計上は、税引き後所得を減少させるだけでなく、税務調査でのリスクを高めることになります。

重要なのは、不動産投資によって、資産額を増やすことです。そのためには、きちんと収支シミュレーションをしたうえでの長期的な賢い節税対策が必要です。

以下の記事では「今すぐにできる節税対策」に加えて、正しい節税の知識と、お金を手元に多くの残す考え方についてお伝えします。

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