不動産売却にかかる譲渡税、高すぎる?!計算と特例を知って賢く申告

土地や建物など不動産の売却を考えている方、あるいは賃貸収入をすでに得ていて将来のために売却のことを知っておきたい方であれば、以下のような思いをお持ちではないでしょうか。

  • ・不動産を売却して少しでも手元にお金を残すためのお得な情報を得たい
  • ・不動産の売却益にかかる税金は、不動産譲渡税の他に何があるのか知りたい
  • ・譲渡税の申告方法と住民税の申告方法は別なのか、また申告方法を知りたい
  • ・相続した不動産を売却した場合には、譲渡税はどうなるのか情報を知りたい

また、「そもそも譲渡税とは?」「譲渡税の計算方法は?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこの記事では、

  • 不動産売却にかかる譲渡取得税とは?
  • 譲渡取得税の計算方法
  • 譲渡取得税をお得にする特別控除とは?
  • 相続した不動産を売却する場合
  • 譲渡取得税の申告方法

について、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、不動産売却時の譲渡取得税に関する基礎知識が身につきます。それだけでなく、不動産売却で少しでもお金を残すために知っておくべき特別控除の情報も得ることができます。

不動産投資では「出口」、つまり売却をして初めて利益が確定します。特に初心者の方だと、「物件選び」や「融資」、「管理」などに意識が行きがちです。しかしそれらと同じ、あるいはそれら以上に「出口」も重要なのです。そして出口戦略を考えるとき、譲渡税の知識は必須となります。そういう意味で、この記事は「不動産投資の必須知識を紹介している」といえます。

本記事が「不動産投資で安定収入を得たい!」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.不動産売却にかかる譲渡取得税とは?

不動産売却にかかる譲渡取得税とは?

土地、建物、株式、貴金属などを売却したことによって生じた所得を「譲渡所得」といいます。

この譲渡所得に対してかかるのが「譲渡取得税」です。正確にいうと、譲渡所得にかかるのは所得税や住民税が含まれ、これらを総称して「譲渡所得税」と呼んでいます。

つまり、不動産投資における譲渡取得税とは「不動産を売却して得た所得に対してかかる所得税と住民税ということです。

2037年12月までは復興特別所得税も発生します。

なお、譲渡所得がマイナスの場合は、譲渡所得税が課税されることはありません。

2.譲渡取得税の計算は3ステップで算出

譲渡取得税の計算は3ステップで算出

では、譲渡取得税はどのように計算すればいいのか。具体的に見ていきましょう。

譲渡所得税を算出するには、大きく以下の3ステップを踏む必要があります。

  • STEP1  「譲渡所得」を計算する
  • STEP2  「課税譲渡所得」を計算する
  • STEP3  「譲渡所得税」を計算する

以下、詳しく紹介していきましょう。

2-1.STEP1 「譲渡所得」を計算する

「譲渡取得」と聞くと「売却価格と同じでしょ?」と思う人もいるかもしれませんが、この二つはまったくの別物です。

譲渡所得は以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 譲渡収入金額- (取得費 + 譲渡費用)

いかがでしょう。初めて見た言葉ばかりで混乱するかもしれませんが、大丈夫です。一つずつ丁寧に見ていきましょう。

「譲渡収入金額」とは?

計算式の中にある「譲渡収入金額」とは、「売ったときの金額」のこと。実際に売れた金額が5000万円だとしたら、譲渡収入金額は5000万円になるということです。簡単ですね。

ちなみに、お金ではなく物や権利を受け取った場合も、それらの時価が譲渡収入金額となります。また、資産を譲り渡すことで経済的な利益を受けた場合も、その利益は譲渡収入金額に含まれます。

「取得費」とは?

続いて、「取得費」です。これは、不動産を買ったときの金額と買ったときの費用の合計を指します。具体的には以下のような項目です。

  • ・不動産の購入代金や建築代金
  • ・購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税など)
  • ・仲介手数料
  • ・測量費、整地費、建物解体費など
  • ・設備費、改良費
  • ・借入金利子

なお、建物の取得費に関しては、用途や構造、経過年数に応じた「減価償却費」を建物の購入代金などの合計金額から差し引きます。土地の場合は、購入代金などの合計金額がそのまま取得費になります。

減価償却については以下の記事で詳しく解説しています。

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「譲渡費用」とは?

最後に、「譲渡費用」です。これは、売ったときの費用を指し、具体的には以下のような項目です。

  • ・仲介手数料
  • ・印紙税・借家人に支払った立退料
  • ・建物解体費
  • ・売買契約締結後に支払った違約金
  • ・借地権の名義書換料

これで、譲渡所得を算出するのに必要な「譲渡収入金額 」「取得費」「譲渡費用」がわかったと思いますので、STEP1は完了です。

2-2.STEP2 「課税譲渡所得」を計算する

続いてSTEP2です。「課税上譲渡所得」は以下の計算式で算出できます。

課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除

譲渡取得については前項で紹介したので、ここでは「特別控除」について説明しましょう。

「特別控除」とは?

特別控除は、一定の要件を満たす場合に適用される控除で、土地や建物を売ったときの譲渡所得の金額を計算するうえで必要になります。これについては詳しく後述します。

2-3.STEP3「譲渡所得税」を計算する

最後のステップとして「譲渡所得税」を算出します。計算式は以下のとおりです。

譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 税率

課税譲渡所得は前項で紹介したので、ここでは「税率」について紹介します。

「税率」は以下のように、その不動産を所有していた期間によって異なります。

  • ・不動産の所有期間が5年以下の場合……「短期譲渡所得」となり、税率は39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
  • ・不動産の所有期間が5年超の場合……「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

見ていただければわかるとおり、短期譲渡と長期譲渡では税率で2倍近くの差があります。したがって、譲渡取得税を下げたいのなら対象不動産を5年超所有して、長期譲渡の税率にしたほうがお得ということになります。

なお、長期譲渡所得については所有期間が10年を超えると、譲渡所得のうち6000万円以下の部分について「マイホームの軽減税率の特例」が受けられます。

  • 【所有期間が10年超の場合のマイホームの軽減税率の特例】
  • ・譲渡所得6000万円以下の部分…譲渡所得×14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)
  • ・譲渡所得6000万円超の部分…譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

2-4.譲渡損失が出たらどうする?

ここまで紹介した譲渡所得税は、あくまで「売却によって利益が出たケース」が該当します。では、その逆の「売却によって赤字が出た(譲渡所得がマイナスになった)場合、どうなるのでしょうか。

譲渡損失の場合、もちろん譲渡所得税がかかることはありません。むしろ譲渡損失が出た年のその他の所得と相殺して、所得税や住民税を減らすことができます。この考え方を「損益通算」といいます。

損益通算は、不動産投資における代表的な節税方法ですので、ご存じの方も多いでしょう。譲渡損失以外でも、たとえば収益物件を購入した1年目は家賃収入よりも諸経費のほうが高く、赤字になるケースが多いです。その場合、本業の収入から赤字分を引いて税率が計算されるので、特に高所得者であるほど節税メリットが大きくなります。

さらに、譲渡損失がその年の所得よりも大きく、損益通算でも控除しきれなかった譲渡損失の場合は、譲渡した翌年以降の3年間に繰り越して控除ができる「繰越控除の特例」が適用されます。

3.譲渡取得税をお得にする特別控除とは?

譲渡取得税をお得にする特別控除とは?

前述の「STEP2 課税譲渡所得を計算する」のなかで「特別控除」が出てきました。具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう。

3-1.3000万円の特別控除

マイホーム(居住用不動産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3000万円まで控除ができます。適用条件は以下のとおりです。

  1. 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  2. 売った年の前年及び前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  3. 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
  4. 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  5. 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  6. 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

国税庁HP(マイホームを売ったときの特例)

参照:国税庁HP

3000万円という控除額は非常に大きいですし、「所有期間の長短に関係なく」ということは、前述した「短期譲渡」や「長期譲渡」を気にする必要がないので、かなり効果がある特別控除といえます。

ただ上に挙げたように、前年または前々年に同じ控除を利用している場合は適用を受けられず、次に述べる買換え特例や、譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例とは併用できません。さらに住宅ローン控除との併用もできないので注意しましょう。

3-2.特定の居住用財産の買換え特例

この特例は、令和3年12月31日までに売却し、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるというものです。

例えば、1000万円で購入したマイホームを5000万円で売却し、7000万円のマイホームに買い換えた場合、通常だと4000万円の譲渡益が課税対象となります。しかし、この特例の適用を受けた場合、売却した年分で譲渡益への課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡したときまで譲渡益に対する課税が繰り延べられます。

課税が繰り延べられるとは、どういうことでしょうか。

例えば、買い換えたマイホームを将来8000万円で売却したとします。このとき、売却価額8000万円と購入価額7000万円との差額である1000万円の譲渡益(実際の譲渡益)に対して課税されるのではなく、実際の譲渡益1000万円に特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた4000万円の譲渡益(課税繰延べ益)を加えた5000万円が、譲渡益として課税されるということです。

課税特例の図

この特例を受けるための適用要件はさまざまあるので、気になる方は以下のサイトをご確認ください。

国税庁HP(特定のマイホームを買い換えたときの特例)

3-3.譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例

こちらは「2-4. 譲渡損失が出たらどうする?」で解説しているので、まだお読みでない方はご一読ください。

4.相続した不動産を売却する場合

相続した不動産を売却する場合

相続した不動産がもし長期間、空き家になっていると、物件の状態はどんどん悪くなってしまいますし、放火や不審者の侵入などのリスクもあるので、短期間でスムーズに売ることも大切です。

不動産売却のポイントは以下の記事で紹介しているので、ぜひご参照ください。

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5.譲渡取得税の申告方法

譲渡取得税の申告方法

不動産を譲渡、もしくは売却して利益が出たときには、売却の翌年に確定申告が必要です。確定申告とは、所得に対してかかる税金を算出し、納税するための手続きです。

確定申告を行ううえで必要なのが以下の3つのステップです。 

  1. 課税譲渡所得の計算
  2. 必要書類の確認、収集
  3. 確定申告書の作成・提出

確定申告については以下の記事で詳しく取り上げています。

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まとめ

1.譲渡所得にかかるのは所得税や住民税がかかり、これらを総称して「譲渡所得税」と呼んでいる

2.譲渡所得税を算出するには、大きく以下の3ステップを踏む必要がある

  • STEP1  「譲渡所得」を計算する
  • STEP2  「課税譲渡所得」を計算する
  • STEP3  「譲渡所得税」を計算する

3.譲渡損失の場合、譲渡損失が出た年のその他の所得と相殺して、所得税や住民税を減らすことができる(損益通算できる)

4.譲渡所得税をお得にする特別控除には、「3000万円の特別控除」「特定の居住用財産の買換え特例」「譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例」の主に3つがある

いかがでしたか。譲渡所得税の知識は「出口戦略」を考えるうえでも非常に重要です。特に、計算方法と特別控除については知っているか否かによって、節税面でかなり大きな差が生まれます。わからないことがあったら専門家に聞くことも大事ですが、共通言語となる最低限の知識は身につけておくことをおすすめします。

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再建築不可物件の建築可能化プログラム

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