空室率対策を万全に!不動産投資の物件選びで注意すべきポイント

不動産投資で収益を高める場合、投資金額や利回りについて注目することが多いですが、不動産投資を成功させるカギは「空室率」です。利回りが良い物件であったとしても、入居者が少なく、空室率が高ければ安定した収入を得ることはできません。

現在の日本では、物件の空室率が上昇傾向にありますが、物件の選び方、エリアの選び方が適切であれば空室率を抑えることが十分に可能です。

この記事では、不動産投資でアパート・マンション経営を検討している人を対象として、

  • 空室率とは何か?4つの計算方法
  • 全国の空室率の状況は?
  • 今後の空室率
  • 空室率を下げるための対策
  • 物件を選ぶ際に注意すべきポイント
  • 空室リスクを避けるための管理会社の選び方

を解説します。

この記事が、これから不動産投資を考える方の入居率を高め、空室率をできるだけ抑えるようにお役立てになれば幸いです。

1.空室率とは?計算方法もチェック

空室率とは?計算方法もチェック

空室率とは、物件の部屋数に対して空室がどの程度あるかを示す割合のことです。

空室率の計算方法としては以下のものがあります。

空室率の計算方法

1-1.特定の時点の空室率

特定の時点の空室率は、以下の式で計算されます。

空室率=空室÷全ての部屋の数×100

例えば、ある物件の部屋数が10、特定の時点の空室が3だとします。この場合の空室率は、3÷10×100で計算され、空室率は30%となります。

特定の時点の空室率は簡単に計算できる点がメリットですが、空室の状況は常に変化するため、特定の時点の空室率だけでは一定期間における空室の状況を把握できない点がデメリットとなります。

1-2.年間の稼働日に対する空室率

一定期間における空室の状況を把握する方法としては「年間の稼働日に対する空室率」を計算する方法があります。計算式は以下の通りとなります。

空室率=(空室数×空室日数)÷(物件の部屋数×365日)

例えば、物件の部屋数が10、3つの部屋が90日間(約3か月)空室だったとします。この場合の空室率は(3×90)÷(10×365)で計算され、約7.4%となります。

年間の稼働日に対する空室率を計算することで、一定期間における物件の稼働状況が把握できます。空室の数が多少高くても、空室期間が短ければ空室率は下がります。

1-3.年間の貸出総賃料に対する空室率

全ての部屋の賃料が同じであれば、年間の稼働日に対する空室率を計算することで、年間の家賃収入もある程度想定できますが、物件によっては部屋ごとに賃料を変えている場合があります。

部屋ごとに賃料が異なる場合、空室が生じたときの家賃収入をある程度把握するためには「年間の総貸出総賃料に対する空室率」を計算します。計算式は以下の通りです。

空室率=空室によって得られなかった家賃収入÷満室の場合の年間家賃収入

例えば、10部屋のうち、5部屋の家賃が月8万円、残り5部屋の家賃が月6万円とします。約3か月間空室だった3部屋のうち、1部屋の家賃が月8万円、2部屋の家賃が月6万円とします。

この場合、空室のために得られなかった家賃収入は(1部屋×8万円×3か月)+(2部屋×6万円×3か月)で計算され、合計60万円となります。

また、満室だった場合の年間家賃収入は(5部屋×8万円×12か月)+(5部屋×6万円×12か月)で計算され、合計840万円です。

つまり、空室率は60万円÷840万円で計算され、約7.1%となります。

1-4.不動産調査会社「タス」が独自に算出した空室率

不動産調査会社「タス」が算出した空室率は、一般的な空室率の算出方法とは異なる点に注意が必要です。

なお、同社が算出した空室率は「TVI(タス空室インデックス)」と呼ばれています。

空室率を計算する場合、一般的には(空室÷全ての部屋数)となりますが、同社の場合は、物件別に分けて、満室の物件に関しては空室率の計算から除外します。

同社がこのような計算方法を採用している理由は、募集している物件の空室状況を示すためです。

空室率TVIの計算例として、一つの物件が4部屋、もう一つの物件が6部屋、計10部屋分の物件を所有しているとします。4部屋の物件は満室ですが、6部屋の物件は3部屋空きがあります。

この場合、満室となっている4部屋の物件に関しては計算から除外し、6部屋の物件だけで空室率を計算します。

つまり、空室率は、3÷6×100で計算され、50%となります。

同社が算出した空室率は、一般的な空室率と比べると高くなる点に注意が必要です。

2.全国の空室率の状況

全国の空室率の状況

次に、全国の空室率についてみていきます。全国の空室率については、不動産調査会社タスが2020年6月に発表したレポート「TAS 賃貸住宅市場レポート 首都圏版、関西圏・中京圏・福岡県版」を参照します。

2-1.主な都府県の空室率の状況

同レポートにおいては、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、静岡県、福岡県の空室率が掲載されています。

2020年4月の時点において、空室率が最も低いのは大阪府の9.18、次いで低いのは福岡県の10.22となっています。

関西圏の空室率TVIは9~12ポイント程度であり低く推移している形です。関東圏で空室率TVIが最も低いのは東京都(市部)の13.15であり、関東圏全体でみると13~16ポイントとなっています。また、中京圏の空室率はやや高めで、愛知県が15.02、静岡県が23.63です。

2019年4月の空室率TVIと比べると、2020年4月時点の空室率が上昇したのは、東京都(23区)、神奈川県、大阪府、静岡県で、いずれも若干ながら上昇した形です。

TAS 賃貸住宅市場レポート

分析:株式会社タス

参考:TAS 賃貸住宅市場レポート 首都圏版、関西圏・中京圏・福岡県版 2020年6月

2-2.空室率が上昇する要因 人口減少と高齢化

空室率が上昇する要因として最も大きな影響を与えているのは、日本国内の人口減少と高齢化の進展です。それにより、空室率は全国的に上昇傾向にあります。

また、2015年の税制改正では、相続税の基礎控除が縮小したことに加え、相続税の増税が実施されたことから、その対策として地方や郊外に賃貸物件が数多く建てられました。

しかしながら、それらの地域は賃貸物件の需要がもともと少ないこともあり、賃貸物件には空室が目立っている状況です。

さらに、少子化の進展により郊外の大学のキャンパスが閉鎖されて都心に回帰する現象もみられますが、それによって、郊外のキャンパスに通う学生を対象とした賃貸物件にも空室が増えています。

2-3.空室の状況は地域によってまちまち

全体的にみると、賃貸物件の空室率は上昇傾向にありますが、都市部においては入居率が安定しているケースもみられ、地域によってばらつきがあります。

賃貸物件の空室の状況を確認するためには、空室率を参考にする方法がありますが、空室の状況と空室率の数値は地域によって異なります。

例えば、他の都市と比べると空室率は高めであっても、例年と比べると空室率が低めで入居は順調である、というケースもあり得ます。

そのため「空室率が○%であれば大丈夫」とは一概に言い切れないことを念頭においておくと良いでしょう。

空室率は総務省統計局が5年ごとに発表している「住宅・土地統計調査」でも調べられるほか、Google検索で「市区町村名+空室率」と検索すると、空室率が調べられる場合があります。

複数の空室率の数値を参考にしながら、空室の状況を判断することも一つの方法です。

以下の記事では空室のリスクについて詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご一読ください。

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3.今後の空室率は上昇傾向 エリアを絞れば入居も見込める

今後の空室率は上昇傾向 エリアを絞れば入居も見込める

空室率を左右するのは日本の人口の状況によりますが、現在では日本の人口が減少傾向にあるため、今後は空室率が上がると考えるのが一般的といえそうです。

しかしながら、都心部の空室率は低い状態に抑えられています。その理由として考えられるのは、都市部の人口が増加傾向にあること、そして、都市部で生活する利便性が高いことです。

都市部ほど地価は高いため、持ち家で暮らすことは難しく、賃貸物件で生活することが一般的となります。また、通勤時間を少しでも短くするために、最近では職場の近くで生活する「職住近接」の傾向もみられます。

そのほか、郊外に立地していた大学のキャンパスが少子化によって閉鎖され、キャンパスの都心回帰によって都市部で生活する学生が増えていること、高齢化が進むことにより、徒歩圏内で買い物や医療などの日常生活がこと足りる環境を求める高齢者が増えています。

そのような状況を踏まえれば、利便性の高い都市部など、エリアやターゲットを絞り込めば、空室率を心配することなく不動産投資を行うことは十分に可能であるといえます。

4.空室率を上昇させない対策は?

空室率を上昇させない対策は?

アパート・マンション経営を行うにあたって「空室率」は避けられない問題です。見方を変えて「空室は必ず発生するもの」ととらえれば、空室が発生しないための対策を考えることができるでしょう。

空室対策として有効なのは、家賃以外の費用を引き下げることです。

4-1.敷金・礼金の引き下げやフリーレントの活用

空室対策に効果的な方法は家賃の引き下げですが、これを行うと利回りが低下することになり、不動産経営における収益が減少してしまいます。

そこで、家賃を下げずにお得感を出す方法が求められますが、その方法としては「敷金・礼金の引き下げ」「フリーレント」があります。

入居者にとって、敷金や礼金は高いと感じるものですが、敷金や礼金を下げておくことによって、入居者としては入居のための費用を抑えられるため、物件への入居を決めやすくなります。

また、フリーレントとは、入居後の一定期間の家賃が無料になる仕組みのことです。物件を貸し出す側としてはしばらくの間賃料収入が見込めないものの、入居者としては入居後しばらく無料で住めることはお得感があります。

フリーレントは入居率を高める効果が期待できるため、状況に応じて利用すると良いでしょう。

4-2.空室になる原因を分析し、対策を立てる

今まで入居していた入居者が退去した場合、「なぜ退去したのか」という原因を分析することも大切です。

主な原因としては、物件が古くなっている、エアコンや給湯器などの設備が故障した、全体的に部屋が狭い、バス・トイレが一緒で使いにくい、などが考えられます。

これらの対策としては、ハウスクリーニングを行ってできる限りきれいにすること、エアコンや給湯器などの設備は退去を機に交換すること、リフォームを行って複数の部屋を一つにつなげたり、バスとトイレを別々に設置したりすることなどがあります。

これまで入居していた人が退去するのは残念なことではありますが、退去を機に室内の状況を一新することも重要なポイントです。

5.物件を選ぶ際に注意すべきポイントは?

物件を選ぶ際に注意すべきポイントは?

アパートやマンションに投資する場合、収益を高めるためには物件選びが重要となります。そのほか、管理会社を適切に選ぶことも大切なポイントです。

ここでは、物件選びの方法と管理会社の選び方についてみていきます。

5-1.物件の利便性を重視

物件を選ぶポイントとして抑えておきたいのは、物件の利便性です。

基本的な条件としては、物件の近くに駅があることで、徒歩10分以内が理想といえます。

可能であれば快速や急行、特急のいずれかが停車する駅の周辺の物件を選びたいところです。それにより、都心までの所要時間が短縮されるため、通勤時の利便性も高まります。

そのほか、日々の暮らしにおいて便利な環境は、手軽に買い物ができることです。徒歩圏内にコンビニやスーパー、ドラッグストアのいずれかがあると良いでしょう。

また、子どもがいる家庭をターゲットとした物件であれば、公園や学校が近いことも条件に含まれます。

5-2.物件の種類を選ぶ

都市部で物件を選ぶ場合、アパートかマンションのいずれかとなりますが、入居のしやすさと経営面を考えるとマンションが適しています。

その理由は、マンションはアパートよりもセキュリティが充実しており、入居者が安心して暮らせるためです。また、マンションは部屋単位で購入できるためアパートを一棟買いするよりも購入価格を抑えられるため、少ない元手で不動産投資を行えます。

5-3.管理会社の選び方

不動産経営においては管理会社を選ぶことも重要なポイントです。

管理会社を選ぶポイントとしては、集客力が高いこと、トラブル解決能力が高いことです。

空室率を減らすためには、いかに入居者を探すか、という点が重要となりますが、管理会社の集客力が高ければ入居者を早い段階で見つけられるため、家賃収入を安定化させることができます。

また、アパート・マンション経営においては、何らかのトラブルが発生するものです。

入居者としては一刻も早くトラブルを解決してほしいと思うものですが、トラブル対応が迅速かつ適切に行われれば、入居者としては安心して過ごせるため、長期間にわたって入居しやすくなることから、空室率の減少を抑えることができます。

賃貸管理会社との付き合い方については以下の記事もぜひご参考ください。

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6.まとめ

1.空室率の数値は算出基準によって異なることを理解する

2.全国的に見ると空室率は上昇傾向にある

3.条件の良いエリア、ターゲットを絞れば空室率を下げることは可能

4.空室率を下げるなら、敷金・礼金の引き下げやフリーレントを導入する

5.物件選びでは利便性を重視、管理会社を適切に選ぶと経営が容易に

新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、都市部に物件を持つことが逆風のようにも感じられます。

しかしながら、働き方改革の推進によって都市部に住みたいと考えている若い世代が増えていること、また、都市部の利便性に魅力を感じている人が多いのもまた事実です。

国内の人口減少に伴って、今後は空室率が上昇する可能性も十分に考えられますが、入居が期待できるエリアを選んだうえで物件を決めれば、不動産経営による安定収入を得ることは可能といえます。

入居者の立場に立ち、入居者が「入居したい」と感じられる物件を選び、安定的な不動産経営を目指していきましょう。

なお、以下の記事では収益物件について詳しく解説しておりますので、ぜひこちらもご参考ください。

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