不動産投資の利回りで収益性がわかる?物件選びに役立つ基礎知識3選

収益物件を探すとき、あなたはどの数字を意識しますか?きっと多くの方が「利回り」と答えるのではないでしょうか。不動産投資の未経験という方でも「利回りが高いほうが良い」と思っている人は多いはずです。

とはいえ、特に初心者の方であれば、次のような疑問があるのではないでしょうか。

「利回りって聞くけど、何のこと?  どうやったら自分で計算できるの?」「不動産投資の利回りの目安って何%ぐらい?」「東京や地方都市の物件の利回りってどれくらいなの?」「利回りが高いと、どんなリスクがあるの?」

そこでこの記事では、

  • 不動産投資における利回りとは?
  • 利回りの計算方法
  • 利回りが低くなる条件・高くなる条件
  • 高利回りのリスクとは?
  • 地域別&物件種別・平均利回りは何%?【2020年最新版】

といった不動産投資の利回りについて、投資歴10年以上の現役不動産投資家でもある筆者が徹底解説します。不動産投資では利回りは非常に重要な指標であり、その数値によって投資に適しているかどうかが判断できます。しかし、本当に利回りは「高ければ高いほどいい」のでしょうか?

本記事を読むことで、物件を探すとき・検討するときのスピードは格段に上がるはずですし、利回りを見ただけでリスクのある物件を見抜けるようになります。この記事があなたの資産を守るための不安の解消につながれば幸いです。

なお、不動産投資を始められたばかりの方は以下の記事で投資のリスクを回避する方法をまとめておりますのでぜひご覧いただければと思います。

1.不動産投資における利回りとは?

不動産投資における利回りとは?

不動産投資では、利回りという言葉をよく聞きますが、まず、「不動産投資における利回り」とは何でしょうか?こちらの章で見ていきたいと思います。

1-1.利回りは「物件の収益性」を見る指標の一つ

「利回り」という言葉は投資以外ではあまり耳にしません。そのため「なんとなく難しそう」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は不動産投資の利回りはとてもシンプルです。

利回り=年間の家賃収入÷物件価格×100

例えば、物件価格3000万円、毎月の家賃10万円の新築区分マンションの場合、

120万円(年間の家賃収入)÷3000万円×100

という計算式になり、利回りは「4%」となります。

これは物件価格に対して、毎年4%分(120万円)を得られることになり、計算上では25年でペイできることになります。つまり、単純計算で25年後にはトータルの家賃収入が物件価格を超えるということです(金利や家賃下落リスクは考慮しない場合)。

よく「利回りが高い・低い」といいますが、利回りが高いということは、「物件価格が安い」と「家賃収入が高い」のいずれか、もしくはその両方を満たしているということであり、不動産投資における収益性を表しています。

1-2.表面利回りと実質利回り

「利回り」と一口にいっても、実は「表面利回り」と「実質利回り」の2つがあります。投資物件のパンフレットやサイトに記載されている「利回り◯%」は、ほとんどが表面利回りです。表面利回り(「グロス」と呼ばれることもあります)は、上に書いた「利回り=年間の家賃収入÷物件価格×100」の計算式で求められます。

しかし、この表面利回りには肝心な要素が抜けています。そう、「諸経費」です。

固定資産税、管理費・修繕費(区分マンションの場合)、管理会社への報酬や保険料、修繕費、共用部分の水道光熱費などが含まれていません。また、物件購入時にかかる仲介手数料や不動産取得税、登記の際の印紙代、司法書士への報酬なども含まれていないのです。したがって、実質利回りの計算式は以下になります。

「(1年間の家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100」

表面利回りと実質利回りの違い

このように実質利回りは表面利回りよりも実態に即した指標といえるでしょう。表面利回りは「物件の状況を把握する指標」、実質利回りは「収支計画を立てる際の指標」と考えるとわかりやすいと思います。

1-3.利回りが低くなる条件・高くなる条件

ここで、どんな物件だと利回りが低くなるのか・高くなるのか、といったことを一覧にまとめました。

 

利回りが低くなる条件

利回りが高くなる条件

エリア・立地

都心部で駅から近い

郊外で駅から遠い

用途

商業ビル、オフィス

住居、倉庫

タイミング

低金利・土地価格が高い時期

高金利・土地価格が安い時期

築年数

新しい

古い

建物構造

RC造

木造

所有形態

単独所有

共有

物件を選ぶ際には、この内容が前提となります。

つまり、「“利回りが低くなる条件”に該当しているのに利回りが高い場合、その物件は一般常識には当てはまらないお買い得物件である可能性が高い」ともいえます。この考え方は非常に大切なので、ぜひこの機会に覚えておいてください。

2.リスクと利回りは比例する

リスクと利回りは比例する

1章では、不動産投資における利回りとは何かを解説をしてきましたが、こちらでは、不動産投資をするうえで最も重要な、利回りとリスクの関係を解説します。

収益物件を探す際には、利回りは最重要指標といっても過言ではありません。しかし、見た目の利回りだけを見て「この物件は買いだ」と判断するのは危険です。その理由は2つあります。

2-1.実質利回りとのギャップが大きい

1つめは、「表面利回りが高くても実質利回りが低い可能性がある」からです。表面利回り10%の物件でも、「田舎にある、築古で立地が悪い物件」であれば、その分、空室リスクや修繕リスクが高まります。客付けのための広告費もそれなりにかかるでしょう。

つまり、表面利回りと実質利回りとのギャップが大きいということであり、物件の一次情報だけで判断はできないといえます。

2-2.「偽造入居」というリスク

2つめは、「見せかけの高利回りの可能性がある」からです。上に書いた理由のように、誰でも思いつく理由で利回りが高いのであれば、一つずつリスクを可視化し、対策を考えることができます。

しかし、なかには悪質なケースもあります。「高利回りで稼働中ですよ」と言って少しでも売値を上げるため、実際には住んでいない見せかけの入居者を用意する「偽装入居」を行っているケースもあるのです。

「偽装入居」とは、知り合いなどに声をかけ、名義を借りて一時的に空室をうめる手法です。この場合、契約が完了したあとにその入居者が退去したという連絡が入り、家賃収入が消え、ローンの支払いだけが残るうえ、入居者募集の費用も合わせて発生する恐れがあります。このような偽装まで行うのは少数ですが、収益不動産の売却においてはよく使われる手口です。

その他、相場よりも多く広告費(入居募集のための広告費。家賃1カ月単位で賃貸仲介会社へ支払われる。エリアによって相場があり東京では1カ月やもしくは広告費がないケースもあるが、地方では数カ月支払うケースが多い)を使って、強引に入居付けをすることは多々あります。あきらかに相場よりも高い家賃で無理やり入居付けしたようなケースでは、家賃が払えず短期間での退去や家賃滞納などトラブルに発展する可能性が高まります。

これらの対策としては「レントロール(賃貸借条件の一覧表)」を確認し、

  • ・入居日が直近の入居者が複数いないか、古い物件なのにある一定の時期に集中していたりしないか
  • ・周囲にある同条件の物件の家賃相場と比較して、明らかに高い家賃で入居していないか
  • ・同じ法人名義で複数戸借りていないか(売主が不動産業者の場合、その会社の社員を一時的に住まわせているといった悪質なケースもあるため)

といったことをチェックすることが大切です。特に高利回り物件の場合、「満室稼働中ということは、賃貸需要があるな」と安易に考えるのは危険ですので、十分注意してください。

3.地域&物件種別・平均利回りは何%?【2020年最新版】

地域&物件種別・平均利回りは何%?【2020年6月最新版】

利回りを考えるうえで、平均がどれくらいなのか知っておく必要があります。

ここでは、エリア別・物件種別の想定利回りを不動産ポータルサイトの1つLIFULL HOME’Sが不動産投資家向けに公表しているメディア「見える!賃貸経営」のデータ(2020年6月6日時点)をもとに紹介します。

LIFULL HOME’S「見える!賃貸経営」

公式サイトはこちら

なお、このサイトでは想定利回り以外にも、空室率、人口数、人口増減、家賃相場などの非常に重要な情報が無料でチェックできます。しかも、かなり詳細の範囲で情報を取れるので、不動産投資をはじめる人はもちろん、マイホームの購入を検討している人にとっても有益なサイトです。

ただし、相場家賃に関しては新築の家賃も含めて算出されているため、その分だけ平均値が高めに出ます。中古物件の場合はこのサイトよりも家賃相場が低めであるケースもあるため、あくまで参考という程度にしてください。実際の相場を知るには、地元の賃貸仲介会社にヒアリングをする必要があります。

とはいえ活用範囲の広い、とても便利なサイトなので、ブックマークをしておき、物件を調べる際には使うことをおすすめします。

3-1.地域別の想定利回りを見てみよう

エリア別・物件種別のデータを見る前に、日本全国の地図を俯瞰して想定利回りが高いエリア、低いエリアを見てみましょう。

LIFULL HOME’S「見える!賃貸経営」

抜粋:LIFULL HOME’S「見える!賃貸経営」

上の地図のなかで色が濃くなるほど利回りが高くなるエリアです。上から北海道、群馬、茨城、滋賀、京都、和歌山、佐賀、宮崎など想定利回りが高いといえるでしょう。なお、白の部分はデータが公表されていないエリアです。ちなみに、全国の想定利回りの平均は「7.1%」です。

以下、上記のサイトで掲載されている想定利回りを紹介します。なお、本記事の情報はすべて2020年6月6日時点でのデータです。この記事の情報も目安にはなると思いますが、以降の最新データは上記サイトにてご確認ください。

3-2.北海道の平均利回り率は?

想定利回り(%)

すべての物件

区分マンション

一棟アパート

一棟マンション

札幌市東区

8.6%

8.2%

札幌市白石区

9.7%

10.2%

旭川市

11.2%

11.2%

釧路市

15.2%

「−」の箇所はデータなし

旭川市、釧路市と比べて札幌市が利回りが低い、つまり賃貸需要が高いエリアだということがわかります。札幌市白石区と旭川市で比べると、「すべての物件」が1.5%の差に対して、「一棟アパート」が1.0%と差が小さくなっているのが面白い傾向です。0.5%程度の差であれば、物件種別によるものだと考えることができるのかもしれません。

3-3.東北(宮城県)の平均利回り率は?

想定利回り(%)

すべての物件

区分マンション

一棟アパート

一棟マンション

仙台市青葉区

9%

仙台市泉区

10.5%

10.5%

「−」の箇所はデータなし

東北は宮城県、しかも仙台市しかデータがありませんが、この数値を見る限り、札幌の中心よりかはやや高いといえそうです。また、青葉区と泉区で1.5%の差があるというのも参考になるデータです。

3-4.関東(東京除く)の平均利回り率は?

想定利回り(%)

すべての物件

区分マンション

一棟アパート

一棟マンション

神奈川県

7.1%

5.6%

7.6%

7.6%

埼玉県

8.1%

5.7%

8.2%

7.6%

千葉県

9.0%

8.8%

8.6%

茨城県

12.0%

12.3%

群馬県

10.1%

「−」の箇所はデータなし

続いて、東京を除く関東のデータです。

「東京、千葉、埼玉、神奈川」などと一口にいわれることもありますが、千葉、埼玉、神奈川のなかでは神奈川が一番低く、埼玉、千葉が続きます。千葉県は仙台市青葉区と同じ数値になっています。

また通常、一棟マンションよりも一棟アパートのほうが利回りが高くなる傾向があるのですが、神奈川県の場合、この2つが同じ数値になっています。これはおそらく一棟アパートの数が多いため相対的に利回りが下がったのではと予測されます。

3-5.東京都の平均利回り率は?

想定利回り(%)

すべての物件

区分マンション

一棟アパート

一棟マンション

千代田区

4.3%

3.7%

中央区

4.3%

4.0%

港区

3.7%

3.5%

4.0%

新宿区

4.6%

4.2%

4.9%

5.3%

渋谷区

4.5%

4.2%

4.2%

世田谷区

4.9%

4.6%

4.7%

4.7%

中野区

5.7%

4.4%

6.1%

荒川区

5.6%

5.4%

板橋区

5.1%

5.5%

6.3%

練馬区

5.6%

5.5%

足立区

6.6%

6.4%

6.6%

八王子市

7.8%

7.8%

7.5%

町田市

7.8%

「−」の箇所はデータなし

気になる方が多いと思うので、東京都は別枠で紹介します。都心部、城東、城北、城西、都下からいくつかピックアップしました。

やはり都心3区、5区の利回りは低く、最も低いのが港区の3.7%です。城東、城北、城西には大きな違いが見られませんが、足立区は高い傾向があるようです。都下になると、神奈川県よりも高くなり、埼玉県と同程度といえるでしょう。

3-6.関西の平均利回り率は?

想定利回り(%)

すべての物件

区分マンション

一棟アパート

一棟マンション

大阪府

6.8%

8.0%

兵庫県

8.1%

8.2%

7.8%

京都府

10.2%

滋賀県

9.8%

和歌山県

11.1%

「−」の箇所はデータなし

大阪が群を抜いて低くなっていますが、足立区と同じくらいと考えると、東京と大阪の利回りの差はかなり大きいといえるでしょう。また一棟マンションでいうと、兵庫県と大きな差はないという結果になっています。

京都府は「京都府全体」として見ると、群馬県とほぼ同じ数値になっているのも興味深いデータです。

3-7.九州の平均利回り率は?

想定利回り(%)

すべての物件

区分マンション

一棟アパート

一棟マンション

福岡県

9.1%

9.7%

8.9%

佐賀県

10.0%

8.1%

9.7%

宮崎県

10.3%

11.3%

9.8%

「−」の箇所はデータなし

福岡県は最も低い数値になっています。千葉県とほぼ同じ数値です。区分マンションの9.7%は今回のデータ上、最も高い数値です。

いかがでしたか。もちろん立地によって利回りは違ってきますが、大まかにイメージがつかめたのではないでしょうか。ぜひ今後の物件選びの際に参考にしていただければと思います。

4. まとめ

1.利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類がある。表面利回りは「物件の状況を把握する指標」、実質利回りは「収支計画を立てる際の指標」

2.“利回りが低くなる条件” に該当しているのに利回りが高い場合、その物件は一般常識には当てはまらないお買い得物件である可能性が高いといえる

3.ただし高利回り物件の場合、「実質利回りとのギャップが大きい」「偽造入居」などのリスクがあるため、物件を検討する際は、見せかけの数字に騙されないよう調査する必要がある

いかがでしたか。不動産投資における利回りはたしかに重要です。投資家同士が集まると「オレは利回り○%で買いましたよ」などと自慢する人もいます。

しかし本記事で紹介したように、利回りの高さとリスクの大きさは比例するのが一般的です。特に物件情報に記載されている大半の利回りは「表面利回り」なので、その数値で運営できるわけではありません。どういったリスクが存在するのかを把握し、収支シミュレーションを行うことが大切です。

この記事ではエリア・物件種別ごとの平均利回りも紹介しましたので、ぜひ合わせて参考にしていただければ幸いです。

なお、不動産投資を始められたばかりの方は以下の記事で投資のリスクを回避する方法をまとめておりますのでぜひご覧いただければと思います。

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