不動産投資ローンを法人で組むメリットと銀行から高評価を得る方法

不動産投資について勉強していくと、「法人化」という言葉を見かけるはずです。賃貸管理会社を設立して、その法人で買い進めるという戦略ですが、「法人にすることで不動産投資ローンを引くときのメリットはあるの?」、そして「そもそも不動産投資ローンの特徴は?」という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

この記事では

  • ・不動産投資ローンとは
  • ・法人で不動産投資ローンを引くと、どんな効果があるのか
  • ・法人で不動産投資ローンを引くうえで知っておくべき知識

について解説します。

私自身、これまで法人で何回も不動産投資ローンを引いた経験を持ちます。その経験から個人ではなく、法人で不動投資ローンを引くことのメリットを余すことなくお伝えします。

特に規模拡大を狙っている方は、個人よりも法人で融資を受けたほうが圧倒的にスピーディに実現できます。将来的に会社員をリタイヤすることを少しでも視野に入れている人は、ぜひお読みいただければと思います。

目次

1. 不動産投資ローンについて

不動産投資ローンについて

まず知っておくべき不動産投資ローンの基礎知識について解説しましょう。

1-1. 不動産投資ローンとは

不動産投資ローン(別名:アパートローン)は、文字通りアパートやマンション、区分物件などを投資目的で購入する際に金融機関から受ける融資のことを指します。 ちなみに、同じように不動産を購入する際のローンとしては、「住宅ローン」と「プロパーローン」があります。

住宅ローンとは、投資用ではなく住居用の不動産を購入する際に利用できる融資です。

プロパーローンの「プロパー(proper)」は、「正規の、本来の」という意味で、「プロパー社員」といえば一般的に新卒採用で入社した「生え抜き社員」を指します。ですが、プロパーローンとは、不動産投資における意味と、住宅ローンにおける意味で異なります

前者は、別名「事業ローン」と呼ばれ、事業資金や開業資金を目的としたローンの総称です。対して後者は、「金融機関独自のローン」であり、保証会社を介さず、金融機関自身がリスクを負って貸し出すローンを指します。

1-2. 不動産投資ローンのメリット・デメリット

1-2-1. メリット

不動産投資が他の投資(株式投資、FXなど)と圧倒的に異なるのは、金融機関から融資を受けてローンを組めるということです。これはすなわち、「少ないお金で資産を拡大できる」「レバレッジを利かせる」ということでもあります。

ただ、レバレッジを利かせるという意味だと、株式投資では信用取引、FXでもレバレッジを利かせた投資は可能です。しかし、不動産投資はあくまで金融機関がある程度審査したうえで融資をしているのに対し、株式投資やFXは単にリスクだけを背負うだけのものです。

つまり、不動産投資のほうがレバレッジが客観的、自制的になっているので、その根拠が確かだといえます。

また、不動産投資ローンのメリットとして、事前に融資の可否を確認しておくことでスピーディな融資も実現できますし、それは資産規模の加速につながります。

1-2-2. デメリット

もちろん、ローンであるデメリットも存在します。例えば、事前に立てた収支計画が予想外の修繕、空室などで崩れてしまうと、ローンの返済が厳しくなります。返済が滞って売却しても残債が残る場合、自己破産や債務整理といったリスクもあります。

とはいえ、このリスクは事前に綿密な収支シミュレーションをしておくことで、かなりの部分を軽減できます。

1-3. 不動産投資ローンについて知っておくべき知識

不動産投資ローンについて知っておくべき知識はさまざまありますが、ここでは特に重要なものを紹介しましょう。

変動金利と固定金利

融資期間内に経済事情などにより金利が変わるのが「変動金利」、変わらないのが「固定金利」です。そう聞くと、もちろん固定金利のほうがいいように思えるのですが、固定金利のほうが変動金利よりも高いので、不動産投資ローンでは変動金利のほうが多い傾向があります。

フルローンとオーバーローン

物件価格の全額の融資を受けるのがフルローン、物件価格に加えて諸費用も融資を受けるのがオーバーローンです。ただ、ここ最近は、かぼちゃの馬車を発端にした社会的問題により、不動産投資におけるフルローン、オーバーローンはどこの金融期間も出しにくい傾向になっています。

2. 法人化して不動産投資ローンを引くということ

法人化して不動産投資ローンを引くということ

2-1. なぜ法人化して不動産投資ローンを引くのか

不動産投資の拡大スピードを速めるには、融資額を最大化し、売買を繰り返す方法が有効です。そのためには、個人ではなく法人による融資が必要となります。

2-2. 「個人でダメなら法人で」は通用しない

法人設立のタイミングの目安として、税法上の事業規模である「5棟10室」といわれることが多いです。そのため、「個人で最大限まで融資を引き、その後に法人を作って融資をしてもらえばいい」と考える方もいるでしょう。

しかし、その考え方は間違っています。というのも法人とはいえ「個人の資産管理会社」という位置付けとなるため、個人の信用に対してお金を貸すわけです。つまり、社長が連帯保証人になることが前提であり、社長である個人が審査されます。したがって、初めから法人で購入したことに問題はありません。

2-3. 法人化するメリット、手順について

法人化のメリット、手順、法人化の時期については、こちらの記事で詳しく解説しています。

「大家=不動産賃貸業」個人と法人 11 の違いと 4 つのポイント

現状、法人化することは無理だと思っている方でも、法人化を視野に入れた行動をするだけで拡大スピードを速めることができます。ぜひご一読ください。

2-4. どのような決算書が融資を引きやすいのか

では、法人で不動産ローンを受けようとする場合、どのような決算書であれば金融機関からの高評価を得られるのでしょうか。ポイントを見ていきましょう。

2-4-1. 最低でも2期連続の黒字経営ができている

収益物件を購入すると、特に初年度はさまざまな経費がかかるので赤字になります。赤字だと損益通算をして節税ができるため、節税目的で不動産投資をしている人は、なるべく利益を出したくない、赤字経営でもいいだろう、と考えがちです。

しかし個人・法人問わず、規模拡大をしていこうとするなら、この考え方は危険です。なぜなら、赤字経営をしていると融資をする金融機関から「このオーナーは経営能力がないのでは」と思われるからです。

法人の融資は「直近3期が黒字であること」が必要条件だといわれています。私の経験からしても、「最低でも2期連続の黒字、できれば3期以上の黒字決算」が求められます。

また、「役員報酬を計上しても黒字になるくらい売上が上がっていること」も合わせて求められます。

ただし、黒字といっても少額すぎると良い評価は得られませんので、規模拡大のうえでは「しっかり利益を出して、納税する」という思考が大切です。

2-4-2. 債務超過ではない

債務超過とは、貸借対照表上「負債の総額>資産の総額」を意味します。当然、金融機関は、債務超過を「貸し倒れリスクが高い」と判断するので、融資を受けられる可能性は下がります。

2-4-3. 自己資本率が高い

自己資金を増やして自己資本比率を高めると、金融機関から「潤沢な資金がある」と判断されるので、融資を受けやすくなります。短期的に自己資本比率を高めるためには、オーナー自身もしくは親族などから増資を受けるというのが一般的な方法です。

2-4-4. 不動産投資専用の法人である

不動産投資専用の法人であれば、金融機関に不動産収入の流用リスクは低いとみなされ、融資が受けやすくなります

2-4-5. 長期保有前提で運営している

短期売買を繰り返していると、収益が今後も安定するのかと金融機関から思われることもあります。すべての物件を長期保有する必要はありませんが、一つの物件を長く運営してきたということも実績になりますので、その視点を忘れないことが大切です。

2-4-6. 流動資産が純資産の30%以上ある

こちらも安定経営しているとみなされる条件の一つです。流動資産とは、「1年以内に現金化・費用化することができるもの」を指します。

流動資産の比率が高いということは、余裕資金があって支払い能力が高いことを意味しているため、金融機関からの評価を左右する重要な指標です。

2-4-7. 不動産投資事業の実績がわかりやすい

融資の審査が進むと、賃貸経営の現状がわかる資料の提出が求められます。

そのため、入居率、収支、担保価値などの資料を事前に添付しておき、「不動産事業の経営能力が高いこと」「信用棄損を起こしていないこと」「黒字経営できていること」をアピールすると効果的です。

3. 規模拡大の障壁になる恐れあり! 1棟1法人スキーム

規模拡大の障壁になる恐れあり! 1棟1法人スキーム

3-1. 1棟1法人スキームとは

「1棟1法人スキーム」とは、収益物件を購入する度に新しい法人を設立し、その法人で融資を受けるというものです。つまり、物件AはA銀行から、物件BはB銀行から……といった具合に融資を受けるイメージです。

3-2. メリット

メリットは、物件を購入する都度、新しい法人名義で借り入れができることです。最初の物件で与信枠を使い切ってしまっていると、2物件目以降が購入できないということになってしまいますが、そのリスクを回避できるわけです。

これは裏を返すと、銀行側が融資審査の際に「他にも法人を所有しています」と確認を取られてしまうと嘘をつかない限り、スキームは成立しないということです。しかし、そもそも質問されることが少ないため、「審査の際に聞かれなかったから」と素知らぬ顔で次々と法人で融資を受けられるわけです。

また、1棟1法人スキームのスキームとして、「法人ごとに消費税還付が受けられる」ことも挙げられます。ただ、不動産投資における消費税還付を活用した節税スキームは、以前からも度々問題視されているため、もし本格的に実践しようとするなら税理士に相談したほうがいいでしょう。

3-3. デメリット

デメリットは、まず法人を作るごとにコストがかかることです。

初期費用として、法人設立時の登記費用や印鑑代などが1社あたり25万~30万円ほどかかります。そしてランニングコストについても、決算費用と法人税で1社につき毎年30万円程度はかかります。

また、最大のデメリットといえるのは、「1棟1法人スキームを行っていること」を金融機関が知った場合、その事実を隠していたら最悪の場合、一括返済を求められる恐れがあります。また、隠していなくても新規の融資が受けにくくなることです。

ご存じの方も多いと思いますが、2018年のかぼちゃの馬車に端を発した騒動により、1棟1法人スキームを隠して行っている投資家が数多く存在することが明らかになりました。

しかも、その受ける際に「エビデンス改ざん」と呼ばれる資産の改ざんをしているケースも見受けられました。以降、1棟1法人スキームに対しては厳しいチェックが入っています

よって、1棟1法人スキームはいわば“諸刃の剣”であり、場合によっては規模拡大の大きな障壁になってしまう恐れがありますので、これから行うことは現実的ではありません。

4. 法人で事業性融資を引きやすくするために

法人で事業性融資を引きやすくするために

4-1. 銀行評価の基準を知っておく

金融機関がどのような基準で融資の実行を判断しているかというと、主に以下があります。

人物評価

年収、勤め先、勤続年数、資産状況など借り手の属性を指します。

物件評価

「積算法」と「収益還元法」に基づいて物件の価値を算出します。金融機関によって、どちらを重視するかは異なるので、どういう傾向があるのかは事前に把握しておく必要があります。

ただ法人の場合、人物評価や物件評価というよりも「事業評価」が重要な指標になります。

4-2. 新設法人と2年目以降の法人で事業性融資を引きやすくするポイント

設立年(1年目)と2年目以降の法人では、事業性融資を引くうえでのポイントが異なります。

1年目の場合

新設法人での事業性融資は実績がないわけですから、当然簡単ではありません。新設法人でも融資してくれる金融機関を見つけるのがいいでしょう。また、個人の属性が重視される側面もあるので、個人の属性を充実させておく(例えば自己資金を多く持っておく)ことも有効です。

2年目、3年目以降の場合

1年目よりは比較的借りやすくなります。事業性融資に積極的な日本政策金融公庫などを使って、法人としての実績を積んでいくことに重点を置きましょう。

ただし、この時期に節税をしすぎると利益が減ってしまい、金融機関が敬遠したがるような決算書になってしまいます。節税はほどほどにしておき、「しっかり利益を上げて納税もきちんと行う」という姿勢が重要です。

4-3. 法人で不動産投資ローンを引くための重要ポイント

法人で融資を受ける場合の強みとなる点について見ていきましょう。

・個人時代の不動産賃貸業の実績がある

個人として賃貸経営で黒字化させていたことは当然、プラスの要素となります。規模が大きく、経験歴が長いほど信用は大きくなるといえるでしょう。

・稼働率が低い物件を満室稼働に持っていったことがある

オーナーとしての力量をアピールできるポイントです。例えば、「満室物件を購入してそのまま2年間運用した」よりも「2年の間に全空を満室にした」というほうが、やはり説得力が増します

・物件を仕入れる際の基準を明確に説明できる

自身がどういう基準で物件を選んでいるのか、またその理由は何なのか、というところまで落とし込んで融資担当者に説明できると、「業者の言いなりになっているわけではなく、自分なりの方針があるんだな」と思われ、信頼度が増します

5. 「短期で月額キャッシュフロー100万円」を目標にする不動産投資家に求められること

「短期で月額キャッシュフロー100万円」を目標にする不動産投資家に求められること

5-1. 法人と自己資金

最速で規模拡大を狙う不動産投資家にとって、法人化は欠かせない用件です。個人よりも圧倒的に速く買い進めることができます。したがって、1つ目の物件を買う時点で法人名義で買うのも一手です。

5-2. 売却益を狙える物件を買う

フルローン・オーバーローンを引くのが難しくなった現在、スピーディに買い進めるためには潤沢なキャッシュが必要です。

キャッシュを効率良く貯めるには、何といっても売却益を得るのが一番です。長期保有でインカムゲインを狙うという視点だけではなく、短期売買でも十分利益が出る物件を狙うという考えを持つようにしましょう。

6.まとめ

  • 1. 不動産投資ローンはレバレッジを利かせられることがメリットである一方、事前に収支シミュレーションをしっかり行っていないと、返済に窮するリスクもある
  • 2. スピーディな規模拡大を狙うなら、個人よりも法人のほうが圧倒的有利。しかし、法人を設立するにはランニングコストがかかるなどのデメリットも存在する
  • 3. 1棟1法人スキームは、数年前まで人気だった規模拡大術ではあるものの、金融機関は厳しくチェックする傾向にあり、現在は行うことが難しいスキームである
  • 4. 融資を受けやすい法人とは、端的にいえば「しっかり利益を出して、税金を納めている」ということ。安易な節税志向は金融機関にマイナスイメージを与えるので、長期的な視点で物事を考える必要がある

いかがでしたか。繰り返しになりますが、短期で規模拡大を求める不動産投資家にとって、法人化によるメリットは非常に大きいといえます。その一方でデメリット、リスクもありますので、その点を十分理解したうえで、計画的な法人化が求められます

不動産投資ローンを法人で組むメリットと銀行から高評価を得る方法
最新情報をチェックしよう!
>再建築不可物件の建築可能化プログラム

再建築不可物件の建築可能化プログラム

「再建築不可物件」を使った不動産投資は、誰にでもできる簡単な方法でありません。 しかも、「投資」ですから、リスクはそれなりにあります。 それでも、リスクよりもメリットの方が大きいとも言えます。 その理由と、私たちの具体的なサポート内容などをセミナーでご説明いたします。 また、質疑応答の時間も用意しておりますので、ご不明な点はどうぞ遠慮なくお尋ねください。

CTR IMG