知識ゼロでも5分で理解できる! はじめて学ぶ人のための「消費税還付」

不動産投資を勉強したことがある方なら「消費税還付」という言葉を一度は見聞きしたことがあると思います。2019年10月に10%に引き上げられたことで、最近はデメリットばかりが取り上げられる消費税ですが、実は不動産投資家にとっては有利な側面もあります。

この記事では、
・そもそも消費税とは
・消費税還付の仕組み
・消費税が還付される代表的なケース
について解説します。

消費税の基本から解説しますので、難しいと思われがちな消費税還付についても理解しやすいと思います。消費税還付は不動産投資家だけでなく、事業者であれば知っておくべき知識ですので、ぜひこの機会に身につけていただければと思います。

1.消費税とは

1.消費税とは

1-1. そもそも消費税とは

消費税還付の話の前に、そもそも「消費税とは」ということを抑えておきましょう。

皆さんご存じのとおり、消費税とは、物品などを購入した際にかかる税金のことです。国税庁は次のように定義しています。

  • 1. 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
  • 2. 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みが採られています。
  • 3. 商品などの価格に上乗せされた消費税と地方消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます。
  • 4. 消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税されます。

出典:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

1、2は読んでいただければ理解できると思いますが、3、4に関しては別途解説が必要だと思いますので、少し補足しましょう。

1-2. 地方消費税とは

「地方消費税」という言葉を聞いたことがない人は多いのではないでしょうか。

実は、消費税というのは、「国税部分」「地方税部分」に分かれています。私たちが納めた消費税は、「国」と「地方自治体」に振り分けられるということです。

このうち後者、つまり「地方自治体」に納められる分を「地方消費税」と呼びます。地方消費税が適用されたのは1997年、消費税が3%から5%に引き上げられたときです。

消費税10%の現時点だと、国税部分と地方税部分はそれぞれ7.8%、2.2%です。8%のときの振り分けは、6.3%が国税部分、1.7%が地方税部分でした。

 

消費税率の内訳まとめ

 

流れとしては、税務署に納付された消費税のうち、2.2%(消費税10%時点での割合)の地方消費税部分が、商品・サービスの販売額や人口、従業者数などの統計数値に基づき、各都道府県に分配されます。

消費税と聞くと、「国に納めている」というイメージがあります。それは決して間違いではないのですが、厳密には地方自治体にも2割程度は納められているのです。このことを知らない人は非常に多いので、ぜひこの機会に知っておいてください。

1-3. 消費税が課税されない取引

前述の4には「消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税されます。」と書かれていますが、課税される取引があるということは、逆の「消費税が課税されない取引」もあるということです。次のような取引は、消費税の性格や社会政策的な配慮などから非課税となっています。

  1.  土地の譲渡、貸付け(一時的なものを除く。)など
  2.  有価証券、支払手段の譲渡など
  3.  利子、保証料、保険料など
  4.  特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
  5.  商品券、プリペイドカードなどの譲渡
  6.  住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
  7.  外国為替など
  8.  社会保険医療など
  9.  介護保険サービス・社会福祉事業など
  10.  お産費用など
  11.  埋葬料・火葬料
  12.  一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付けなど
  13.  一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
  14.  教科用図書の譲渡
  15.  住宅の貸付け(一時的なものを除く。)

1-4. 納税義務者とは

「納税義務者」あるいは「課税事業者」という言葉を聞いたことはありますか? この2つはともに同じ意味なのですが、その名のとおり税金を納めなければならない立場の事業者を指します。

厳密にいうと、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円を超える事業者は、消費税の納税義務者(課税事業者)となります。

ここでいう課税期間は、
・個人事業者の場合、「暦年」(1月1日から12月31日までの1年間)
・法人の場合、「事業年度」(特定の1 年間の区切りで、日本では4月1日から3月31日を指すことが多い)
になります。

また基準期間は
・個人事業者の場合、「前々年」
・法人の場合、「前々事業年度」
となります。

なお、基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間(※)における課税売上高が1000万円を超えた場合は、その課税期間においては課税事業者となります。

(※)特定期間とは、個人事業者の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間のこと

例:個人事業者の場合の基準期間と課税期間

個人事業者の場合の基準期間と課税期間

引用:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

この図を見ればわかるとおり、平成30年の課税売上高が1000万円超の場合、令和2年は課税事業者となります。

また、平成30年の課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間における課税売上高等が1000万円超の場合には、令和2年は課税事業者となります。

1-5. 直接税と間接税

消費税の特徴は、直接税ではなく間接税ということです。

例えば不動産を購入した場合、購入時に不動産取得税を、そして固定資産税を毎年支払うことになります。もしくは、会社にお勤めでしたら、毎月の給料から所得税や住民税が天引きされています。これらは直接税務署に税金を納めているという意味で「直接税」に値します。

一方、消費税は直接的に納税しているわけではなく、事業者が消費者から預かった税金を代わりに国や自治体に納めます。つまり、税法上の納税者に当たる人(消費者)が実質的に租税を負担せず、別の者にその負担が転嫁される租税を「間接税」と呼ぶのです。

1-6. 消費税負担・納付の流れ

引用:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

この図では、製造業者から消費者の手に渡るまでの流れを大まかに表しています。もちろん、中には製造から販売までワンストップで行う企業もあるので例外はいくらでもありますが、ここではお金の流れを表すため、製造業者と消費者の間に卸売業者と小売業者を入れています。

消費税というのは、上のようにそれぞれの取引で発生するものであり、各事業者は申請・納税をしなければなりません。そして、その個別で納付した消費税の合算が、消費者が負担する消費税になります。

1-7. 中間申告・納付

直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者は、以下のとおり中間申告と納付を行わなければなりません。

直前の課税期間の消費税額 中間申告・納付回数
48万円超400万円以下 年1回(直前の課税期間の消費税額の2分の1)
400万円超4800万円以下 年3回(直前の課税期間の消費税額の4分の1ずつ)
4800万円超 年11回(直前の課税期間の消費税額の12分の1ずつ)

※上記金額のほか地方消費税額を併せて納めます。
直前の課税期間の消費税額が48万円以下の事業者であっても、事前に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した場合には、自主的に年1回の中間申告・納付することができます。

2.消費税還付の仕組み

2.消費税還付の仕組み

2-1. 原則課税と簡易課税

そもそも消費税額の計算には、原則課税簡易課税という2通りの方法があります。消費税還付を受けるためには、「原則課税方式」で消費税を計算した場合に限ります。

原則課税とは、年間で預かった消費税から支払った消費税を差し引いて計算する方式です。
簡易課税とは、年間の売上高が5000万円以下の中小企業のみ認められた課税方式です。原則課税と異なり、支払った消費税額を正確に計算せず、課税売上高に対して仕入れ額の割合を一定額と仮定して支払った消費税額を計算します。

2-2. 消費税が還付される仕組み

消費税還付を非常にシンプルにいうならば、「受け取った消費税額よりも支払った消費税額が多ければ、消費税額はマイナスとなり、還付が生じる」ということです。

よりわかりやすく解説するため、上に出した図を用いて説明しましょう。

卸売業者を起点に考えてみると、ここでは製造業者に支払った消費税(1)が4000です。よって、その差額となる1600を卸売業者は納付しているわけです。

しかし、もし卸売業者の売り上げが芳しくなく、消費税(2)が3000しかなかったらどうなるでしょう。計算式は変わらないので、消費税(1)から消費税(2)を引くと、マイナス1000になってしまいます。このようなケースの場合、この卸売業者は消費税の還付を受けることができるのです。

2-3. 非課税売上が多い場合、どうなるの?

ここで鋭い方は疑問を持たれたかもしれません。「ということは、上図の例でいうなら、卸業者が小売業者から受け取った消費税が0円であれば、支払った消費税が丸ごと還付になるのでは?」と。

結論としては、そうなるケースもあるものの、100%とは言い切れません。その理由は、「課税売上割合」という概念が存在するからです。

これに関しては、説明すると非常に長くなってしまうので、こちらの記事で解説します。

3.消費税が還付される代表的なケース

3.消費税が還付される代表的なケース
消費税の還付が生じるのは、どのようなケースなのでしょうか。ここでは大きく分けた4つのケースを取り上げます。

3-1. 多額の赤字を計上した場合

消費税還付の前提条件を「受け取った消費税額よりも支払った消費税額が多ければ」と上で述べましたが、まさにわかりやすいのがこのパターンです。売上不振や経費が過剰に発生して多額の赤字を計上すれば、消費税が還付になる可能性は高まります。

ただし、役員報酬や給与、保険料、減価償却費などが要因で赤字になった場合は消費税が還付にならないので注意が必要です。これらの経費は、法人税上の「損金」にはなるものの、消費税上は仕入れの控除にはなりません。考えてみていただければすぐにわかると思いますが、給与に対して消費税はかからないので、控除できないのは当然のことです。

3-2. 高額な機械設備や建物などの不動産を購入した場合

高額な機械設備や建物などの不動産を購入した場合、会計上は減価償却で数年にわたって費用計上することとなります。 しかし消費税上は、そうした高額の資産を購入した期に一括して控除することができます。まさに不動産投資における消費税還付もここに当てはまります。

3-3. 年度末の仕入れで大量の在庫を計上した場合

期末に来季以降に販売予定の商品を大量仕入れする、あるいは大量仕入れした商品が売れ残って在庫を抱えてしまっているなどの場合、会計上では在庫商品は当期の仕入れから除かれるため黒字になると思いますが、消費税上は仕入れた期に控除することができるため、黒字でも消費税が還付になるケースも考えられます。

3-4. 多額の中間税額を納付している場合

前年に納めた消費税額が高額だった場合、翌期に中間納付税額が発生しますが、事業不振や高額な資産を購入した等の理由で、消費税額が前年と比べて大幅に少なくなることもあるでしょう。 そうした場合、消費税が還付になるケースがあります。

まとめ

1. 消費税が課税される取引には、併せて地方消費税も課税される。現時点で国税部分と地方税部分はそれぞれ7.8%、2.2%

2. その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円を超える事業者は、消費税の納税義務者となる

3. 直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者は、以下のとおり中間申告と納付を行わなければならない

4. 消費税額の計算には、原則課税と簡易課税という2通りの方法がある。消費税還付を受けるためには、「原則課税方式」で消費税を計算した場合に限る

5. 受け取った消費税額よりも支払った消費税額が多ければ、消費税額はマイナスとなり、消費税の還付が生じる

6. 消費税が還付される代表的なケースは、「多額の赤字を計上した場合」「高額な機械設備や建物などの不動産を購入した場合」「年度末の仕入れで大量の在庫を計上した場合」「多額の中間税額を納付している場合」がある

いかがでしたか。こちらの記事で解説するように、不動産投資において消費税還付が使えなくなりそうです。ただし、未来のことは誰にもわかりませんし、別のところで必要となるかもしれません。ぜひ繰り返し読んで理解を深めていただければと思います。

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