不動産投資を始めようとする人にとって、最も悩むことの1つが「物件種別」と「新築or中古」でしょう。一口に不動産投資といっても、区分(ワンルーム、ファミリータイプ)、戸建て、アパート、マンション、テナントなど投資対象はさまざまあります。さらに、それぞれ「新築」と「中古」に分かれます。
今回は、地主の相続対策、サラリーマンの1棟目の投資として人気を集めている「新築アパート」を掘り下げて解説します。
具体的には、
- ・新築アパート投資のメリット・デメリット
- ・新築アパート投資には「建売」「建築」の2種類がある
- ・新築アパート投資で成功するためのポイント
- ・事例から学ぶ! おすすめブログ
- ・新築アパート投資を始めるための手順
- ・検索できるサイト
- ・投資を始めるための手順
- ・不動産投資で不安なことは相談してみよう
について、自らも新築アパート投資の経験のある筆者が徹底解説します。
「不動産投資で安定した副収入を得たい」「不動産投資でサラリーマンをリタイアしたい」という人にとっては参考になる内容なので、ぜひご一読いただければと思います。
本記事が「新築アパートに投資すべきか知りたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。
1. 新築アパート投資のメリット・デメリット
他の物件種別と同様、新築アパート投資にも長所と短所があります。中古アパート投資、マンション投資と比較しながら見ていきましょう。
「そもそもアパート経営ってどういうもの?」と思われた方は、以下の記事で網羅的に解説しています。まずは以下の記事からお読みいただければと思います。
これからアパート経営をはじめようと考えている人のなかには、「どこから知識を身につければいいのか?」「いろいろ記事があって、読むべきものを選ぶのが面倒」という方もいらっしゃるでしょう。 また、すでにアパート経営を行っていても「初心に返って改[…]
1-1.新築アパート投資のメリット
まず、新築アパート投資のメリットには、以下の5つが挙げられます。
メリット1. 入居付けがしやすい
日本人の“新築信仰”はいまだ根強く残っているため、中古物件と比べると、入居者を獲得しやすいです。運営開始時には高い稼働率になる可能性が高いといえるでしょう。
メリット2. 間取りや設備の自由度が高い
中古物件だと購入後に間取りを大きく変更したり、オートロックなどの設備を導入したりするのは大変です。しかし新築時なら、間取りや設備について周辺の競合物件と差別化できます。差別化にはお金がかかりますが、その分家賃を上げることもできるので、費用対効果を考えて実施するのがいいでしょう。
メリット3. メンテナンスコストがほぼかからない
新築の場合、エアコンやガス機器、建具の破損、排水管のトラブルなどから約10年程度は無縁でいられます。メンテナンスコストがかからない分、収益性が上がるのは中古アパートにはないメリットです。
メリット4. 融資が付きやすい
そもそも融資期間は原則、法定耐用年数(木造22年)から経過した年数を引いた残存年数です。つまり中古のアパートでは、低価格で高利回りであっても融資対象になりにくいのです(一部のノンバンク・信金・信組では融資を受けられる可能性もあります)。しかし新築は、金融機関によっては融資期間を22年ではなく、30年、35年といった長期にできることもあります。
ここまで中古アパートとの比較をしてきましたが、もちろん中古アパート投資にもメリットは数多くあります。詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
早期リタイアや老後に備えて、「アパート経営」に興味があるという方もいらっしゃると思います。一方で、不動産投資は「9割の人が失敗する」という話を聞かれたことがあるかも知れません。 この数字が正しいかはともかくとして、確かに失敗する人がいるのは[…]
メリット5. 解体費用が安いため、建て替えも容易にできる
RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)のマンションは解体に多額のお金がかかります。マンションと比較すると、木造や軽量鉄骨造のアパートは解体費が安く、建物が古くなりすぎたら更地にして売却するという選択肢もあります。
なお、一棟マンション投資のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
不動産投資に関心を持つ人にとって、もっとも悩むことの一つが「投資対象」です。 ・ワンルーム(区分)、一棟(アパート、マンション)、戸建て ・築古、築浅、新築 ・都心、首都圏、地方 といった具合に、不動産投資では多様な組[…]
1-2.新築アパート投資のデメリット
続いて、新築アパート投資のデメリットには、以下の3つが挙げられます。
なお、アパート経営全般のリスクについては以下の記事で詳しく解説しています。
これからアパート経営を始めようと考えている方にとって気になるのは、自分でもうまく経営をしていけるかどうかや、どのようなリスクがありそのリスクに対応できるかどうかでしょう。 この記事では、具体例を出しながらアパート経営のリスクを解説し、初心[…]
デメリット1. 家賃が下落しやすい
新築時には相場よりも高い家賃で入居付けできる可能性が高いですが、一度退去されると「中古」になるため、募集する家賃を下げることになります。
また一般的に、マンションよりもアパートのほうが家賃下落スピードは速いです。木造アパートは築10年が経過すると、新築時の家賃から10%以上下がる可能性があります。このことを考慮したうえで、購入前に収支シミュレーションをしておくことが大切です。
デメリット2. 防音性が低く、災害に弱い
こちらもマンションとの比較です。木造という構造上、音の問題は起こりやすく、また地震や火災などの災害にも弱いといえます。
デメリット3. サブリースの罠がある
特に地主が新築アパート投資を行う場合、デベロッパーが「サブリース契約(一括借り上げ)」とセットで営業するケースが多々あります。しかし、サブリースには多くのリスクが伴い、収益性に著しいダメージを与える恐れもあります。
詳しくは、以下の記事で解説しています。わかりやすく解説しているので、「サブリースって何が危険なの?」と思う人は必ずご一読ください。
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デメリット4. 工務店・建築会社の倒産など「建たないリスク」がある
工務店や建築会社が工事の途中で倒産して、建物が完成しない……というリスクがあります。建築途中のアパートを引き継いでくれる工務店・建築会社を探すのはかなり難しく、工期の遅れや予算のオーバーも免れません。
2. 新築アパート投資には「建売」「建築」の2種類がある
投資用に新築アパートを購入する場合、以下の2つの選択肢があります。
- 業者などが間に入ってすでに出来上がっていたものを買う方法
- 土地から自分で探して建てる方法
前者は「建売」と呼ばれ、一般的なアパートの購入方法となります。それぞれにどんな違いがあるのか、それぞれのメリット・デメリットについて理解した上で最適な選択を選ぶことが大切です。
2-1.建売のメリット・デメリット
建売のメリット
「建売」で購入するメリットは、手間がかからないことです。アパートを建てるためには、様々な工程、さまざまな手続きが必要ですが、建売はできあがったものを購入するため、そうした工程がありません。
建売のデメリット
一方のデメリットは、「自分の好きなように建てられない」ことです。建売のアパートは、すでに規格が決まっており、規格外の希望を出せないケースや、希望を出すとオプションとして多額の費用がかかるケースがあります。居住性や将来的なニーズを考えれば「本来こうすべき」というところも、反映させるのが難しいです。また、アパートメーカーによっては建築費用が割高です。
また「建売」は、すでに建築済の物件を購入するケースを指しますが、アパートの建築プランがセットされた土地が販売されているケース(売建アパート)もあります。
2-2.建築のメリット・デメリット
建築のメリット
土地から自分で探して建てる場合のメリットは、「不動産投資の知識を活かしてアパートを建てられる」こと。建築費が安い工務店・建築会社を選んだり、各工事を自分で手配して中間マージンをカットしたりすれば、建築費用を抑えることができます。
建築のデメリット
建築のデメリットとして、ある程度の知識が必要なうえ、時間・手間がかかることです。また交渉力も必要です。アパート用地に適した土地を探すだけでも時間がかかりますし、建築費を抑えるために相見積もり(複数社に見積もりをとり比較検討すること)を取るのも大きな労力です。そもそも建築の素人では、想定通りの工程や予算で収まらないトラブルが起こる可能性があります。
2-3.「建売」と「建築」どちらがいいの?
では、「建売」と「建築」どちらを選ぶべきなのでしょうか。
結論をいえば、収益性が高いアパートを取得したいのであれば断然「土地から探して新築アパートを建てる方法」がおすすめです。
逆にまったく知識もない初心者であれば、「建売」から良い物件(賃貸ニーズのある物件、収益性の見合った物件)を選ぶことをおすすめします。
以下の記事では、「新築アパートの建築の流れとポイント」を詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
不動産投資を始めようとする人にとって、最も悩むことの1つが「物件種別」と「新築or中古」でしょう。一口に不動産投資といっても、区分(ワンルーム、ファミリータイプ)、戸建て、アパート、マンション、テナントなど投資対象はさまざまあります。さらに[…]
また、「アパート経営って、どのぐらい資金が必要なの?」と気になる人は、以下の記事がおすすめです。
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3. 新築アパート投資で成功するためのポイント
私も不動産投資をしていますが、経験上、新築アパート投資で成功するためのポイントは次の3つのポイントが挙げられます。
3-1.新築という強みに頼り過ぎない
新築時には周辺相場よりも高い家賃で、かつ比較的に容易に入居者を見つけることができます。しかし当たり前ですが、築年数が経つにつれて競争力は減退していきます。
- ・駅から徒歩10分以上など距離がある
- ・狭小の間取り
- ・貧弱な設備(小さなキッチン・3点ユニットなど)
こういった物件の場合、築年数が進んでいくにつれて入居付けが厳しくなります。結果、家賃を下げ、広告料(AD)を増やさないと入居者が決まらないという事態になりがちです。
新築アパートに投資するときには、「新築」という武器がなくなった状態でも、安定経営できるのかという視点を忘れてはいけません。
3-2.失敗例を知る
不動産投資において失敗例を知ることは、成功確率の上昇に直結します。新築アパート投資をしたものの、残念ながら負債を抱えてしまった、つまり「失敗例」はあります。
ただポイントなのは、「失敗例にはいくつかのパターンがあること」。そのパターンさえ知っておけば、失敗するリスクを大幅に下げることができます。
では、どのような失敗例があるのか。以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
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3-3.管理会社と良好な関係を築く
不動産投資で大きなリスクの一つは「空室リスク」です。空室リスクを回避するためには、やはり優秀な管理会社に依頼するのが効率的です。
以下の記事では、「管理会社との付き合い方」「管理会社の選び方」「管理手数料の相場」について解説しています。チェックしてみてください。
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4. 事例から学ぶ!おすすめブログ
すでに新築アパート投資をして、さまざまな苦労や失敗を乗り越えた先輩大家さんはたくさんいます。その人たちの経験をあなたの知識にすることで、投資の成功は大きく近づきます。
以下の記事では、アパート経営のおすすめブログを6つピックアップしています。参考になるブログが見つかるはずなので、ご一読をおすすめします。
アパート経営やマンション経営を始めるなら、アパート経営やマンション経営で利益を得て成功させたいなら、経験者の成功談・失敗談を知ることはとても重要です。 アパート大家を目指すなら、断然私は、経験者の成功談・失敗談を無料で、かつ効率的に学べる[…]
5. 新築アパート物件を検索できるサイト
新築アパートを見つける際に参考となる検索サイトを紹介します。
5-1.LIFULL HOMES
収益物件掲載数No.1のポータルサイト。新築・未完成の収益物件を検索できます。
5-2.REBIBLE
新築アパートに特化。都心かつ業界最高水準の利回りを誇ることが強みです。
5-3.楽待
ファーストロジックが運営する国内最大の不動産投資サイト。
5-4.健美家
楽待と同様、収益物件を数多く掲載している不動産投資サイト。
6. 新築アパート投資を始めるための手順
新築アパート投資を始めるとしたら、どんな手順で進めればいいかを解説します。
6-1.どれくらい経費がかかるのかを知る
不動産投資では、物件購入時、運営時にさまざまな経費がかかります。どれくらいのお金がかかるかを知っておかないと、正しい収支シミュレーションは行えません。詳しくは以下の記事で解説しているので、知識がまだ不十分と感じる方は必ずご一読ください。
すでにアパート経営をしていて、収益物件を所有し、家賃収入を得ている方のなかには「確定申告をする際、どんな経費が認められているの?」「経費について知らないがゆえに税金を多く支払うのは避けたい」「申告を間違って、税務署から指摘される恐怖から解放[…]
6-2.投資対象となるエリア、価格帯、利回りを決める
物件を探すにあたり、想定するエリアや価格帯、利回りをある程度決めておきましょう。これによって次のステップである「検索」の効率が上がります。この場合、「建売」の場合は「新築アパート」、「建築」の場合は「土地」を探します。
6-3.業者を見つけ、問い合わせをする
物件探しは、前項で取り上げたようなサイトが、初心者の方でも始めやすくおすすめです。目当てのものに近い物件を取り扱っている不動産業者を見つけたら問い合わせをします。
6-4.物件の紹介を受け、検討する
問い合わせをしたら、営業の担当者と話をします。自分の資産背景や不動産投資をする目的、希望する物件の条件などを担当者に伝えると、その後も物件を紹介してくれやすくなります。
6-5.物件購入の契約、決済をする
紹介された物件を検討し、実際に気に入れば、購入意思を不動産業者に伝えて、最終的な条件を詰めて契約に進みます。なお融資については、不動産会社の紹介で金融機関に融資の申し込みを入れるのが、最もスムーズに審査が進みます。融資の審査が通れば、金銭消費貸借契約、決済を行います。建売であれば1回の決済で済みますが、建築の場合は土地と建物の決済を分けて行うケースが多いです。
6-6.(建築の場合)建築請負契約をする
「建築」の場合は土地の購入と合わせて、工務店・建築会社を選定し依頼する会社を決めて、建築請負契約を行います。建築費の支払いについては、着工時・中間・俊工時の3回にわけて支払うケースが多いです。
7. 不動産投資で不安なことは相談してみよう
世界中の投資家、トレーダーと同じ戦場で戦う「株」「FX」とは違い、知識と情報で儲かる確率を大幅に上げることができるのが不動産投資の特徴です。
ただし、大金が動く事業ですし、悪徳業者もたくさんいるのが実態です。いろいろと不安を抱いている人も多いかと思います。
不動産投資の学校の無料メルマガでは、不動産投資の成功に欠かせない質の高い知識・情報を定期配信しています。決して損にはならない内容だと自負していますので、少しでも興味を持っていただけた人は、ぜひお気軽にご登録ください。
まとめ
1. 新築アパートは入居付けもしやすく、中古アパートよりも融資は受けやすいので「買いやすい」という側面がある
2. しかし「新築」の効果は長く続かない。安定経営を実現したいなら、新築以外の部分で競合物件と差別化できるポイントを用意しておく必要がある
3. 新築アパートには「建売」と「建築」があるが、収益性では「建築」、初心者には「建売」がおすすめ
いかがでしたか。新築アパート投資は、地主の相続対策、サラリーマンの1棟目の投資として人気を集めていますが、中古アパート投資にはないメリット・デメリットがあります。この点を十分に理解したうえで、ご自身にあった投資スタイルを選んでいただければと思います。
- この記事を書いた人
-
山本ゆりえ
ライター・編集者・大家。
木造アパート4棟、重鉄マンション1棟、区分マンション2戸を取得(3棟・区分2戸は売却済)。転貸のレンタルスペース1戸運営中。これまで購入した自宅は3戸。不動産投資の分野を得意とし、これまで関わった不動産関連書籍は100冊を超える。
執筆している記事:MONEY PLUS、 bizSPA!フレッシュ