セットバックとは?土地や物件探しの際に事前に知っておきたいポイントを解説

「セットバック」という用語を聞いたことはあるでしょうか。 セットバックとは 、建築基準法で定められた建物を建てる際に、敷地が幅4メートル未満の道路と接していた場合、「日照や風通しの確保」「救急車や消防車などの緊急車両が通れる幅を確保」するため、敷地の境界線を「後退」させることです。

重要事項説明書に「セットバック要」と書かれているのを見たことがある人もいるかもしれません。

土地や物件の購入や、建て直しする際に、「セットバック要」と書かれている場合には注意が必要です。

この記事では、

  • セットバックとは何か
  • 「セットバック要」と「セットバック済み」の違い
  • セットバックにかかる費用は誰が負担するのか?

について解説します。

不動産を購入する際には、「セットバック」という言葉はとても重要です。事前に「セットバック」に関する知識を得ることによって、実際に該当する物件に出会ったときや建て替えを考える場合の対処が可能です。
是非、この記事を読んで、不動産を購入するにあたって参考にしていただければ幸いです。

セットバック付き土地のメリット・デメリットなどについては以下の記事で解説しておりますので、こちらもあわせてお読みください。

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1. セットバックとは

セットバッグとは

1-1. 好きなところに自由に建築できるわけではない

セットバックという言葉を聞いたことがある人は「後退すること」というイメージを持っているかもしれません。そのイメージは間違っていません。 建物というのは、好きなところに自由に建てられるわけではありません。建築基準法によって、さまざまな制限があるからです。

例えば、「用途地域(建築できる建物が決められているエリア)」という基準が存在します。 このなかの「第一種低層住居専用地域」だと、低層住宅のための地域で、小規模な店舗や事務所を兼ねた住宅、小中学校などが建てられますが、工場や病院・大学などは建てられません。 このように、土地はすべて住居系、商業系、工業系など13の地域に分かれており、そこで定められている建物の範囲でしか建築ができません。

ほかにも「特別用途地域」と呼ばれる、用途地域の制限だけでは不十分な場合に、さらに細かい制限を加えたり、緩めたりする特別な地区があります。

例を挙げるなら、「景観地区」があります。 これは市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に定められる地区のことです。 京都に行くと、通常はカラフルな外観の色が目につきにくいよう、あえてトーンを落としているコンビニなどを見かけたことがあると思います。 このように景観地区は、歴史的建物が立ち並んでいるなど、さまざまな理由によって市街地の景観を保存・継承していきたい場合に指定されます。 景観地区で定められる規定は全国共通ではなく、各地区によって異なります。

「好きなところに自由に建築できるわけではない」ということをご理解いただけたでしょうか。

1-2. 「セットバック」とは、敷地を削って道幅を拡げること

建築基準法では、道路に関しても制限があります。 私たちは狭い道でも日常生活上では「道路」と呼んでいます。 しかし、建築基準法では「4m以上の幅」がないと「道路」とは認められないのです。 とはいえ実際には「4m未満の幅の道」は日本中至るところに存在します。

そこで、「幅が4m未満でも、行政から指定を受けた場合には“道路”とみなす」例外規定があります。それが「二項道路」です。 二項道路とは、建築基準法42条2項によって「道路とみなされたもの」を指し、「みなし道路」とも呼ばれています。

二項道路に接している敷地に建物を建てる場合、制限があります。道路の本来の役割は、単に人が通行することだけに留まらず、日照や風通しの確保、救急車や消防車などの緊急車両が通れる幅を確保しなければならないのです。

具体的には、二項道路に面する敷地に建物を建てる場合、敷地の境界線を「後退」させなくてはなりません。つまり、敷地を削って道幅を拡げるのです。これを「セットバック」といいます。

1-3.「セットバック要」と「セットバック済み」の違い

とはいえ、行政側は道路を4メートル確保したいところですが、住んでいる人に「4メートル以上にしたいので、その分の土地を明け渡して建て替えてください」と強要するわけにもいきません。 そのため、「いずれ建て替えるときに土地を後退(セットバック)してください」とお願いすることになります。

この規定は、道の両サイドの建物に適用されるため、それぞれ道の中心から2メートル後退(セットバック)します。両サイドの建物が、中心から2メートル後退すれば、将来的には合わせて4メートルの道幅になるということです。

セットバック説明/道の中心から2メートル後退

ただし、道路の反対側が崖、川、線路などの場合、道路の端から4メートル後退しなければなりません。

セットバック説明/道路の端から4メートル後退

二項道路に接している敷地の所有者にとっては「敷地の一部分を失う」という何の得もない規定にも思えます。 しかし一方、新たにその敷地を購入する人にとっては、道路幅4メートル未満の道に接していても建築可能なのでチャンスが広がるともいえます。

なお、重要事項説明書に「セットバック要」と書かれている場合、建て直すときにセットバックが必ず必要になります。新たに家を建てる際に必要な建築確認がおりないので、セットバックを拒否することはできません。 逆に「セットバック済」と付いている場合、文字どおり「すでにセットバックが完了」しているので、敷地を後退させる必要なく建て替えができます。

1-4. セットバックの具体例

例えば、対象物件に面している道幅が3メートルだったとしましょう。4メートル以下なので、「二項道路」(みなし道路)になります。道の反対側にも同じように物件が建っています。

このケースの場合、道幅が3メートルということは、道の中心から境界線までの距離は「1.5メートル」になります。つまり、境界線を両サイドで0.5メートル後退(セットバック)させれば、距離が2メートル(計4メートル)になり、道路としてみなされます。建て替えの際には、道路側の敷地が0.5メートル削られるということです。

セットバック説明/境界線を両サイドで0.5メートル後退

もし反対側に物件が建っておらず、崖、川、線路などの場合、反対側は後退できないので、建物が建っているほうだけを後退させることになります。つまり、道幅が3メートルであれば1メートル後退しなければならないということです。

2. セットバックにかかる費用

セットバックにかかる費用

基本的にセットバックは、業者への調査依頼、アスファルト舗装などの工事が必要のため費用が発生します。 ここでは実際にどういったコストがかかるのかを紹介していきましょう。

2-1. セットバックの費用の内訳

セットバックは、主に次の3つの費用が発生します。

    1. 1.後退面積を確定させるための「土地測量費」(現況測量・境界確定測量)
    1. 2.宅地と道路用地の「分筆登記費用」

隣地との境界が確定している場合、現況測量だけで済みます。 2の「分筆登記費用」も合わせて20万~30万円程度と考えられます。 一方、隣地との境界が確定していい場合、境界確定測量が必要となります。 2の「分筆登記費用」と合わせて50万~70万円程度です。

    1. 3.道路用地部分のアスファルト舗装などの「工事費」

アスファルト舗装をする場合、もちろんセットバックした敷地面積によってケース・バイ・ケースの側面ですが、1平米あたり5000円〜1万円弱です。 ただし、追加で重機の搬入搬出費用や諸経費が5万円ほど掛かるケースが多いようです。

2-2. コストは誰が負担する?

セットバックは、4メートル以下の道路の両側(もしくは片側)にある宅地(住宅用地)を後退させて道路に変えます。その際、アスファルト舗装などの工事が発生します。 そもそもセットバックは行政側の求めで行うものなので、敷地の所有者からすると「行政が税金で負担するのが当然」と思うかもしれません。

しかし実際には、「セットバック要」の不動産を買った場合、「確保すべき道路幅に侵食していた」ということになり、これは法に抵触したのと同等になるため、「自己負担でセットバックをして本来あるべき姿へ返す」というのが基本的な考え方です。

とはいえ、開発に積極的な一部の自治体は、セットバックに対して補助金制度を設けています。「セットバック要」の物件を購入検討する際には、一度調べてみたほうがいいでしょう。

2-3. 固定資産税は高くなるのか?

固定資産税は、「課税標準額×標準税率(1.4%)」で算出されます。 固定資産評価額は、固定資産税の基準となる価格で「土地の公的価格」や「家屋の時価額」をもとに各自治体が算出しています。当然、地価が安い時期・安い地域は固定資産税も安く、地価が高騰している時期や地域では固定資産税も高くなります。

具体的には、以下のようなイメージです。

・「土地の評価額」の場合……

土地の評価額=土地の面積(地積)×路線価

地域の路線に面した標準宅地1平方メートルあたりの評価額である「路線価」に、土地の面積を掛け合わせて算出する。

・「家屋の評価額」の場合……

家屋の評価額=評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率

家屋の評価額は、「再建築価格方式」によって算出されます。 これは「同じ建物を同じ土地に建て場合、いくらになるのか」ということを想定し、現時点での建築価格を求めます。家屋の単価を算出した後、経年劣化分を減価することで求めることができます。

ちなみに実用的な知識としては、家屋における固定資産税の“おおよそ”の金額は、「家の購入金額の7割」に税率を掛けたもの、といわれています。強調したように“おおよそ”ではあるものの、細かい計算をせずとも大まかに把握できます。

さて、少し話が逸れましたが、セットバックをすることで固定資産税は上がるのでしょうか。 結論からいうと、セットバックした分の固定資産税は非課税になります。 土地固定資産税では、土地の広さに応じた評価額に対して計算されるわけですが、セットバックした分の土地は固定資産税の対象にはならないからです。

しかし、セットバックしたからといって、自動的に固定資産税が減免されるわけではありません。 セットバックした地積測量図を用意し、役所へ申請しないと固定資産税の修正処理がされない可能性があります。

具体的には、以下の書類の提出が必要です。

  • ・土地の登記簿謄本
  • ・セットバック部分が分かる地積測量図
  • ・その他、役所指定の申告書・書類など

※注意 夜間は通行禁止にして利用時間の制約を設けている私道、行き止まり私道、コの字型私道で利用者が限定されたりする場合、課税対象となるケースもあります。

2-4. 駐車スペースとして活用する

知らない人が多いのですが、実はセットバック後〜道路整備の完成までの期間は、敷地の所有者は「当該部分を使用できる」という既得権があります。

その期間での活用方法として有効なのが「駐車スペース」です。

とはいえ、道路整備が完了していないということは、「工事車両の出入りが多くなる」というリスクも内包しています。そもそもが狭い道路なので、工事の妨げにならなうような配慮が求められます。

2-5. 国や自治体が負担してくれる?

前述したように、セットバックで発生する費用は、その状態を知ったうえで購入した側の責任になるため「自己負担」という考え方が基本的です。

とはいえ、国や自治体側で道路開発の対象になっているエリアも多いのが実情です。 したがって、自己負担せずとも国や自治体側がセットバック費用を負担してくれる可能性も十分にあります。 セットバックする事態になった際には、建築に携わった業者へ相談するのがいいでしょう。 というのも、セットバック費用が自己負担になった場合でも業者への交渉で値下げや返金などができる可能性があるからです。

3. まとめ

  • 1. 建物というのは、好きなところに自由に建てられるわけではない。建築基準法によって、「用途地域」や「特別用途地域」など、さまざまな制限があるからです。用途地域については、土地はすべて住居系、商業系、工業系など13の地域に分かれており、そこで定められている建物の範囲でしか建築ができない。
  • 2. 二項道路(幅4メートル未満の道路)に接している敷地に建物を建てる場合、日照や風通しの確保、救急車や消防車などの緊急車両が通れる幅を確保するため、敷地の境界線を「後退」させなくてはならない。これを「セットバック」と呼ぶ。
  • 3. 「セットバック要」の場合、建て直すときにセットバックが必ず必要になります。逆に「セットバック済」と書かれている場合、文字どおり「すでにセットバックが完了」しているので、敷地を後退させる必要なく建て替えができる。
  • 4. セットバックの費用は、 ①後退面積を確定させるための「土地測量費」(現況測量・境界確定測量) ②宅地と道路用地の「分筆登記費用」 ③道路用地部分のアスファルト舗装などの「工事費」 の3つが挙げられる。国や自治体側で道路開発の対象になっているエリアも多いので、必ずチェックすべきである。

いかがでしたか。「セットバック要」の敷地の場合、建て替えの際に必ずセットバックをしなければなりません。ただ繰り返しになりますが、発生するコストは自己負担ではなく行政に負担してもらえることもあるので、必ず敷地がある自治体に確認をするようにしましょう。

セットバック付き土地のメリット・デメリットなどについての詳しい内容は以下の記事で解説しておりますので、こちらもあわせてお読みください。

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