“歪み”を狙えば稼げる可能性大!「セットバック」のメリット・デメリット

こちらの記事では、「セットバックとは何か」「セットバックで発生する費用」について解説しました。この記事を読むことで、セットバックについて理解を深めるとともに、実際に該当する物件に出合ったときの対処がわかり、建築基準法も一部知ることができたと思います。

この記事では、

  • ・セットバックのメリット・デメリット
  • ・セットバック後の土地について
  • ・セットバックできない物件もある

主に、上記3点を解説します。

今回の記事では、1回目の基礎的な内容から一歩踏み込んで「セットバック要」の物件は購入検討する余地があるのか、またもし購入する場合はどのような点に注意すべきなのかということをわかりやすく解説していきます。

セットバック物件は確かに難易度が高い投資対象です。しかし、だからこそ参入障壁が高いのでライバルが少ないともいえます。そうした「歪み」を狙うことは不動産投資だけではなく、どんな投資でも勝つための戦略です。初心者の方でも身につけていただきたい知識ですし、今後物件を探す際の選択肢の一つにもなりますので、ぜひご一読いただければと思います。

1.セットバックのメリット・デメリット

セットバックのメリット・デメリット

1-1. セットバックのメリット

後退部分は非課税になる

不動産を購入すると、固定資産税や都市計画税などがかかります。
しかしセットバックした場合、申告して「敷地」と「後退部分」が分割されていれば、後退部分の面積分は非課税となります。
ただし、これは事前に手続きをしておかなければ享受できないので、必ず確認しておくようにしましょう。

道幅を広げられる

セットバックは4メートル未満の道路(正確には「二項道路」)に対して、道幅が4メートルになるよう“後退”させることです。4メートル未満の道路だと、車一台がせいぜい、場合によっては自転車や歩行者同士のすれ違いもギリギリという幅です。

これがセットバックをすることで4メートルは確保されることになるので、車の出し入れもしやすくなるでしょう。該当物件が地方や駅から離れている場合、車は生活必需品なので、道路が広くなって車の出し入れがしやすくなることは利点といえます。

防災に役立つ

そもそもセットバックを国や行政が求める理由の一つは「緊急車両が通れるようにしたいから」です。緊急車両とは、消防車、救急車などです。

緊急車両が通れないと、例えば火災が発生したときも迅速・効率的な消火活動ができず、被害が瞬く間に広がってしまいます。また、消防車が通れなければ、離れた場所に停めて搬送する時間がかかってしまいます。

しかし、セットバックをして道幅が広がれば緊急車両が通れます。これは入居者にとっても安心をもたらすメリットになるでしょう。

さらに防災という面でいうと、セットバックをして道幅が広くなれば、向かい側の家との距離も離れます。これはつまり、火災で地震が発生して向かい側の家が燃えたり倒壊したりした場合でも、所有物件に被害が及ぶ可能性が低くなります。

防犯効果が高まる

セットバックをして道幅が広がれば、物件周辺の見通しもよくなります。これにより、空き巣などの犯罪を防止できる可能性が高まります。こういったことも入居者に対しては安全性をアピールできる非常に大きなポイントです。

日当たりが良くなる

セットバックをして向かいの物件との距離が広がれば、方角にもよりますが、日当たりが良くなります。一般に日当たりが良い物件のほうが価値が高いことは皆さんもご存じだと思いますが、これも入居者にとってはプラスの側面となります。

資産価値が高まる可能性も

これは前の4項目を統合した結果ですが、車の出し入れが楽になり、安全性が高まり、日当たりがよくなれば、土地そのものの価値が高まる可能性は十分あります。そうなれば、仮にセットバックでコストがかかっていたとしても、それ以上のバリューが生み出せるかもしれません。

1-2. セットバックのデメリット

建築できるスペースが狭くなる

セットバックは、本来は建物を建てることのできたスペースを後退させて道路の一部にするわけですから、当然、建築できるスペースは狭くなってしまいます。

例えば、セットバック前後を比較すると、極端な例では、部屋の数が少なくなる、戸数が減るということもありえます。そうなると、当時計画していた収支計画が崩れてしまい、賃貸経営が成立しなくなる恐れがあります。「セットバック要」の物件は購入前に必ず「どれだけ後退が発生して、その結果、土地の面積がどのくらい減るのか」ということを確認しておく必要があります。

セットバックする部分には建築物を建てられない

セットバックする部分には、戸建てやアパート、マンションはもちろん、塀や駐車場であっても建築することができません。こちらも事前に確認しておく必要があるでしょう。

自己負担しなければならない可能性もある

こちらの記事でも解説しましたが、国や自治体側で道路開発の対象になっているエリアも多いです。

しかし、あくまで基本的な考え方は「セットバック要」の不動産を買った場合、「確保すべき道路幅に侵食していた」ということになり、これは法に抵触したのと同等になるため、「自己負担でセットバックをして本来あるべき姿へ返す」というものです。
したがって、セットバックの費用は自己負担する可能性もあると考えたほうが良いでしょう。

ちなみに、前回記事のおさらいになりますが、セットバックの費用は以下のとおりです。
セットバックは、主に次の3つの費用が発生します。

  • ①後退面積を確定させるための「土地測量費」(現況測量・境界確定測量)
  • ②宅地と道路用地の「分筆登記費用」
    隣地との境界が確定している場合、現況測量だけで済みます。②の「分筆登記費用」も合わせて20万~30万円程度と考えられます。
    一方、隣地との境界が確定していい場合、境界確定測量が必要となります。②の「分筆登記費用」と合わせて50万~70万円程度です。
  • ③道路用地部分のアスファルト舗装などの「工事費」
    アスファルト舗装をする場合、もちろんセットバックした敷地面積によってケース・バイ・ケースですが、1平米あたり5,000円〜1万円弱です。ただし、追加で重機の搬入搬出費用や諸経費が5万円ほど掛かるケースが多いようです。

売却しにくい

前で述べたように、「セットバックする部分には建築物を建てられない」「建築できるスペースが狭くなる」などのデメリットがあります。

そのため、売却の際は、売値が安くならざるを得ないといえます。レイアウトやサイズが影響を受けますし、有効敷地面積も小さくなってしまうとなると、その物件のある地区の相場水準より低めの値段に設定せざるを得ません。

つまり、セットバック要」の土地には価値がないと判断されやすいため、買い手がなかなか見つからない可能性もあります。セットバック物件の売却は何かと苦労するかもしれません。

2. セットバック後の土地について 

セットバック後の土地について-

2-1. セットバック部分の所有権はどうなる?

建築基準法では、セットバック部分の権利(所有権)については明記されていません
そのため、自治体の判断によるところが大きいといえます。道路状に整備することが原則でありながら、自治体によっては過去にセットバックをした土地を未舗装のまま放任していたり、個人の敷地として自転車やバイク置き場、あるいは花壇などへの転用使用を黙認しているケースがあります。

2-2. 前面道路が「公道」の場合

前面道路が公道の場合、寄附(無償譲渡)、無償使用承諾、自己管理の3つ、もしくは寄附と自己管理の2つの選択肢を提示している自治体があります。有償譲渡(買い取り)を定めている自治体もありますが、買い取り価格は低く抑えられている場合がほとんどです。

寄付(無償譲渡)できれば、セットバック部分の管理は自治体が行い、さらにその部分の土地の固定資産税も課税されなくなります。そして、そのときに発生する測量、土地の分筆登記、所有権移転登記などの費用は、自治体が負担するケースが大半です。

無償使用承諾の場合、所有権自体は敷地所有者に残ったままですが、道路の管理や維持については自治体が行うことになります。また、個人名義であっても後退用地に対する固定資産税や都市計画税は非課税となります。

寄附、無償使用承諾のいずれも選択しないで自己管理とした場合、文字通りすべて自己負担で整備や維持管理をしなければなりません。そして、原則として助成金なども受けられません。それでも、自己負担で測量や分筆登記をすれば、固定資産税などの非課税措置を受けることはできます

2-3. 前面道路が「私道」の場合

公道と違い、自治体への寄附や、自治体による無償使用といった選択肢は存在しません。そのため、私道の一部として自己負担で整備や維持管理する必要があります。

とはいえ、一部の自治体では、私道の整備に対する助成制度を定めているので、必ず確認するようにしましょう。

合わせて、固定資産税などの非課税措置については、既存の私道部分の取り扱いがどうなっているのかを自治体に確認しておくのがおすすめです。

私道の場合、まわりの私道の所有者(共有者)との間で、整備方法などの協議が求められる可能性もあります。そのため、早めに準備するに越したことはありません。

3.セットバックできない物件もある

セットバックできない物件もある

敷地によっては坂になっていたり湧き水が出るなど、建物の建築に向いていない土地の場合があります。そうした場合、セットバックしようと思って不動産を購入したとしても、あとで工務店から「セットバックは不可能だ」と指摘される可能性があります。セットバックする計画がある場合は、事前に現地調査を依頼することを忘れないようにしましょう。

なお、セットバックができない再建築不可物件の場合、「隣接地を所有している人に売却する」ことが最も有効な方法です。隣地とつながれば再建築不可ではなくなり、資産価値が急上昇します。また、隣接地を所有している人が駐車場などのスペースを求めている可能性もあるので、うまく条件が重なればwin-winの関係になります。

もし隣接地を所有している人に売却できない場合、現状の建物をリフォームやリノベーションして利用し続けるという選択肢がありますが、リノベーションの規模によっては建築確認申請の条件に当てはまらないよう注意が必要です。

また、リノベーションでは対応できないほど建物の老朽化が進んでいる場合、解体して更地にし、資材置き場、駐車場、コンテナを配置して貸し倉庫にするなどの活用法が考えられます。ただし、これらは住居用の不動産とは儲けられる条件が異なるので、予めそうした需要もあるのかどうかは確認しておく必要があります。

4.まとめ

1. セットバックのメリットは、「後退部分は非課税になる」「道幅を広げられる」「防災に役立つ」「防犯効果が高まる」「日当たりが良くなる」「資産価値が高まる可能性も」などがある。4メートル以上の道路になることで定性的な部分での価値が向上するといえる。

2. 一方のデメリットは、「建築できるスペースが狭くなる」「セットバックする部分には建築物を建てられない」「自己負担しなければならない可能性もある」「売却しにくい」などがある。こちらは数字に直結する要素であるため、メリットと比較して考えても、やはりセットバック要の不動産を購入するには事前の細かなチェックが必要だといえる。

3. 建築基準法では、セットバック部分の権利(所有権)については明記されていない。そのため、自治体の判断によるところが大きいため、道路状に整備をすることが原則でありながら、放任・黙認されているケースもある。

4. 前面道路が公道の場合、寄附(無償譲渡)、無償使用承諾、自己管理の3つ、もしくは寄附と自己管理のどちらかの選択肢が自治体によって変わる。一方、前面道路が私道の場合、自治体への寄附や、自治体による無償使用といった選択肢は存在しない。

5. 敷地によっては建物の建築に向いていない土地の場合がある。あとから後悔しないためにも事前の確認は必須といえる。

いかがでしたか。「セットバック要」の不動産にはメリットもあり、購入前のリサーチなどによってリスクをある程度回避することもできます。そういう意味で、再建築不可の物件同様、中上級者向けの投資対象ではありますが、こうした歪みを武器にすることで、効率的に収入を上げられることも事実です。「難しいから避ける」という考え方では、他の投資家より一歩先には進めませんので、ぜひこれを機会にセットバック要の物件も学んでいただければと思います。

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