次世代のエネルギー、エコなエネルギーとして、再生可能エネルギーの注目が高まり、太陽光発電投資を始める人が増えています。
この記事をお読み頂いているあなたも、そんな太陽光発電に興味をお持ちの方だと思いますが気になるのは
- 「太陽光発電投資は投資としてどうなのか?」
ということだと思います。投資として始めたとして、利益が出せるのかどうかは一番気になるところだと思います。
太陽光発電投資は自宅の屋根に設置できたり、補助金が使えたりすることから、余っている土地を手軽に有効活用出来る1つの選択肢です。しかし実際に始めるとなると、何から始めればよいか分からない人が多いはずです。
そこでこの記事では「太陽光発電投資」を始める際に、必要となる基礎知識をお話していきたいと思います。
- ・メリット、デメリット
- ・太陽光発電の種類
- ・太陽光発電設備の設置の流れ
- ・太陽光発電システムのメーカー
- ・設置費用
など、投資として始める上で基礎的な知識、情報を解説していきながら、最も気になる
- 「投資として儲かるのか?」
という疑問についてもお答えしていきたいと思います。最後までお読み頂くことで、太陽光発電投資を始めるべきかどうかの判断ができるようになります。
私は10棟の不動産物件を所有する現役不動産投資家であり、不動産投資を始める方へのアドバイス、サポートなどを行う投資のアドバイザーでもあります。投資のプロの目線から、太陽光発電投資や、投資で収入を得るその他の選択肢について考えてみたいと思います。
1.太陽光発電についての基礎知識
太陽光発電投資が儲かるのかどうかを知る上で、まずは「太陽光発電」とはどんなものか、メリット、デメリット双方を踏まえた基礎的な内容を知っておく必要があります。
1-1.太陽光発電とは
太陽光をエネルギー源とした再生エネルギーを生みだすのが、太陽光発電です。シリコン半導体などを用いた太陽光パネルを設置し、光が当たることで発生する電気を太陽電池によって電気へと変換します。設置場所における制約の少なさが太陽光発電の魅力、太陽光パネルの重量に耐えられる場所であれば、屋根や壁などのスペースに設置することが出来ます。
災害時には非常用電源として使えるなど、エコ化の進む今の時代における注目度の高い発電方式ですが、気候によって発電量が大きく左右されることがあります。また、導入コストについて下がりつつはあるものの初期導入費用として一定の費用がかかります。
1-2.太陽光発電の種類
太陽光発電には、
- ・野立て
- ・屋根
大きく分けて2つの種類があります。どちらがいいのかは、それぞれのメリット、デメリットを踏まえ、環境によっても変わります。
野立てのメリット、デメリット
野立てとは、街路や路地、田畑などに太陽光パネルを設置する方法です。設置スペースの制限を受けにくく、売電収入が多くなるメリットがあります。工事費や修繕費が安いというメリットもあります。
ただ、土地を所有している必要があったり、利用する土地に後々建物が建つ可能性があることなどは、野立てのデメリットだと言えます。無人の田畑などに設置する場合には、盗難やいたずらのリスクもあります。
屋根のメリット、デメリット
一番のメリットは、限られたスペースを有効的に活用できることです。野立てと比較して、盗難の心配がないことや、後々建物が建つ心配がないことも屋根に設置するメリットだと言えます。
屋根への太陽光発電システムの設置は、戸建て住宅であればほとんどの場合問題なく設置することができます。ただし、屋根には設置における制限が多く、それゆえ初期コストを含めた工事費や修繕費が高くなるというコスト面でのデメリットがあります。
1-3.太陽光発電のメリット、デメリット
太陽光発電投資を始めるにあたっては、決して少ない金額ではない初期費用が必要となります。スペースがあれば始めやすいとは言え、安くない初期投資がかかる以上、メリット、デメリット、を良く理解しておくことはとても重要です。
太陽光発電のメリット
太陽光発電を投資として始めるメリットには以下があります。
- 光熱費の削減になる
- 売電収入が入る
- 設備が安価
- 災害時に使用できる
- 昔に比べて設備寿命が長くなった
- 日射量さえ確保できればどこでも設置できる
- 補助金制度がある
- 曇りや雨の日でも発電できる
- 蓄電池をつければ夜間も使える
太陽光発電のメリットは、家庭で使う光熱費を削減できることの他、売電収入を得られることです。昔は導入や維持費などが高くつく問題もありましたが、近年ではこうした費用もかなり安価になり、補助金制度などを利用すればかなり始めやすくなりました。
太陽光発電のデメリット
一方、太陽光発電投資を始めるデメリットには以下があります。
- 気候によって発電量が左右される
- 電気機器の交換が必要
- 設置価格が初期費用としてかかる
- メンテナンス費用がかかる
- 災害で機器が壊れる恐れがある
- 売電価格は年々下がっている
メンテナンスや、修繕費など、費用がかかる点についてはデメリットであると言えます。ただ実際には売電収入などもあるため、損をする、赤字になるというリスクはかなり低いと言えます。
1-4.太陽光発電をやっても損をしない人はどんな人?
太陽光発電を始める上で、メリット、デメリットがあることを知って頂けたと思いますが、投資として始めるなら向き不向きを考えることも重要です。
- 「太陽光発電は儲かりますよ」
- 「これからの時代の投資ですよ」
と勧誘され、迂闊に飛びつくのは危険です。
太陽光発電投資を始めても損をしない人は、
- ・屋根が余っている
- ・土地が余っていて使う予定が無い
このような人です。
太陽光発電を始められるスペースがあり、それを有効的に使えて無い人であれば、土地活用の選択肢と考えてみるのもいいかもしれません。太陽光発電には売電収入があるので赤字にはなりにくいわけですが、始める際には設備投資など、少なからず初期投資が必要なことも知っておきましょう。
2.太陽光発電設備について
では、初期投資にはどのぐらいの費用がかかるのか、導入から設置までの流れを知り、実際にどのぐらいの発電量を想定して、どのぐらいの収支になるのか、始める前にシュミレーションしておくこともとても大切です。
2-1.太陽光発電の設置の流れ
太陽光発電を導入するまでの一般的な流れは以下です。
太陽光パネルの設置は、屋根か野立てか、規模などによっても変わりますが、家庭用の工事であれば1~2日程度で完了するのが一般的です。補助金の申請については、業者の方で申請代行を行うのが一般的ですが、申請のタイミングは地域によって施工前、施工後など、タイミングは様々です。
2-2.太陽光発電の費用について
太陽光発電システムの導入には初期費用がかかりますが、どのぐらいかかるかを把握しておくことは重要です。平成25年度までは国からの補助金が支給されていましたので、2018年以降は
- 「導入するタイミングを逃してしまったのでは」
と考える人もいるかもしれません。
しかし、2011年当時と比較して、発電システムや工事技術の向上で設置費用はかなり安くなりました。現在では、概ね設置に必要な費用は一般的な住宅であれば120~200万円前後だと言われています。(太陽光パネルの大きさや発電量によって変わります)
また、自治体によっては補助金が支給される地域もあります。国から補助金が支給されていた当時は、補助金の支給と引き換えに売電価格が下げられていたことがありましたが、今は「補助金の受給がない前提」で、売電価格の算定が行われています。補助金の支給を行う地方自治体も減りつつありますが、受給できる場合は初期導入費用を抑えてお得に導入できることになります。
受給できる補助金が無いかを確認する際には、下記のような全国の自治体の補助金情報を調べられるサイトを利用すると便利です。
2-3.太陽光発電の有名メーカー
太陽光発電システムの設置にあたっては、どのメーカーの太陽光発電システムを選ぶかを決めなければなりません。国内、国外合わせてたくさんのメーカーがあります。
国内の有名メーカーなら、
- ・東芝
- ・シャープ
- ・京セラ
- ・三菱
- ・パナソニック
などがあります。
海外の有名メーカーには、
- ・サンテックパワー
- ・トリナソーラー
- ・カナディアンソーラー
などがあります。
世界的に見ると海外メーカーのシェアが大きく、総出荷量を比較しても国内メーカーとはかなりの開きがあります。シェアを考えると「売れている海外メーカーがいいのでは」と考えがちですが、メーカー選びで重要なのは目的にあった太陽光発電システムを選ぶことです。メーカー選びの判断基準を次に解説します。
2-4.何で判断するか?
太陽光発電システムは国内外にたくさんのメーカーがあるため、選ぶ際には迷いがちです。大切なのは、目的にあった太陽光発電を選ぶことです。「何を判断基準にするか」で選び方は変わります。
例えば、
- 工事代
- システム費用の総額
- 太陽光パネルの大きさ、形
- システムの保証
- 耐久性
- 国内メーカーか海外メーカー
何を重視するかで、選択基準も変わります。必要なのは「建物や土地にあった物を選ぶ」ことです。太陽光発電を投資として考えるなら、建物や土地にあった費用対効果の高いメーカーを選ぶのが最善です。
例えば発電量を重視するなら、変換効率の高いメーカーを選ぶ必要があり、初期費用を抑えたいなら工事費などが安いメーカーを選ぶ必要があります。中国などの海外メーカーは価格の安さが魅力ですが、システムの信頼性を重視するなら、国内メーカーのほうが安心です。何を重視するかで比較してみることがおすすめです。
2-5.システム導入シミュレーション
太陽光発電システムを導入する際には、事前に導入シミュレーションを行うことも大切です。実際に自分の所有する土地に設定した場合
- ・どのぐらいの発電量になるのか
- ・どのぐらい電気代の節約になるのか
これらを事前に見て、客観的に判断できるようにしておきましょう。システムの設置条件を選択することで、発電量などを事前にシュミレーション出来る便利なサイトがあります。簡単な項目の入力で導入シミュレーションができますので、ぜひ活用して見てください。

3.太陽光発電は儲かるのか?得なのか?
太陽光発電投資のメリット、デメリットを見てきましたが
- 「結局のところ太陽光発電は儲かるのか?」
は最も気になるところだと思います。儲かるとしても、どのぐらいの期間で、どのぐらい利益が出るのか、投資の視点で考えておくことはとても重要です。
3-1.初期費用は何年で回収できるのか?
太陽光パネルの大きさなどによっても変わりますが、初期費用は大よそ120~200万円前後が相場で、初期費用の回収には10年ほどかかるのが一般的です。ただし太陽光パネルの種類によって、早期に回収できるものや、回収まで時間はかかるものの変換効率が良いものなど、様々なタイプのシステムがあります。2章でもお話しましたが、目的に応じたメーカー選びが重要です。
初期費用の回収と合わせて考えておきたいのが、メンテナンスや耐久性です。いくら初期費用が安くても耐久性に難があり、メンテナンス費がかかるようなら、初期費用を回収する期間は長くなります。節電や定期的なメンテナンスを心掛け、大掛かりな修理を避けることも早期回収のポイントです。
3-2.国の制度の変化は大丈夫か
太陽光発電を投資として考えるなら、国の制度の変化についても知っておく必要があります。例えば、2020年度の再生可能エネルギーの買取価格は「住宅用(10kW未満)21円/kWh、事業用(10kW以上)13円/kWh」です。買取価格は年々引き下げ傾向が続いています。
こうした傾向をみると、今から始めるメリットはないのかもしれないと考えがちですがそうではありません。設置費用と売電価格のシミュレーションをしてみればわかりますが、投資として費用対効果は十分に見込めます。
買取価格は年々下がっているものの、設置費用もそれに応じて下がっているのがその理由の1つです。また電気代は年々上昇傾向にあるため、電気代の節約メリットはより大きくなることも予測できます。とは言え買取価格の引き下げ傾向は続いています。投資として費用対効果が見込めるかは、継続的に考えていく必要があります。
3-3.担保価値のない太陽光発電
太陽光発電投資を、不動産投資の一環として考える場合には注意が必要です。なぜなら太陽光発電には担保価値がないからです。仮に利益が出ている状態で、そこからさらなる拡大を目指そうと思っても担保価値がないと債務超過になりやすいことがあります。
投資として事業規模の拡大を考える方は、野立ての太陽光発電には担保価値がないことをしっかりと理解した上で、戦略的に進めていく必要があると言えます。
4.太陽光発電しかないのか? 太陽光発電以外に利益を出す方法とは
太陽光発電投資を始める理由が「投資目的」であれば、太陽光発電に限らず有効的な土地活用の選択肢を知っておくことも大切です。有効活用できていないスペースや土地がある場合を除き、そもそも太陽光発電投資は土地を借りてまでやっても、投資として大きなうまみがあるわけではありません。
土地があり有効活用出来る方法を探しているなら、以下の3つの土地活用の選択肢を知っておきましょう。
4-1.駐車場経営
土地の大きさがそれほど大きくない場合には、駐車場にして収益を得るという選択肢があります。駐車場は土地の条件によって利益が大きく変わる性質があるものの、駐車場に向いている土地であれば初期投資も抑えることはでき、利益も得やすいと言うメリットがあります。
建物を建てたりして事業として不動産投資をしていきたいということでもなく、今ある土地を活かして手軽に収益を得たい、という場合におすすめです。駐車場経営については下記記事も参考にしてください。
不動産投資と一口にいっても、収益系の物件だけでなく、駐車場や太陽光など様々なものがあります。その中で「駐車場経営をしたい」とお考えの方には、まず「駐車場経営は本当に簡単に儲かるものなのか」ということをしっかり考えて頂きたいと思います。 例[…]
4-2.アパート建築
広めの土地がある場合は、アパート建築がおすすめです。アパート建築は、土地の条件が悪くても工夫によって利益を出すことが出来ます。長期的に安定した収益を得られる、土地活用の選択肢です。
太陽光発電投資を始めるのに、土地から購入しようと考えている人なら、太陽光発電よりも大きく安定した利益が得やすいアパート建築の方が、効率的な土地活用になるはずです。アパート建築で収益を得る方法は下記記事を参考にしてください。
アパートを建てることに興味があってこの記事をお読み頂いているのだとしたら、アパートを建てる理由はどちらでしょうか?「持っている土地をそのままにしているのももったいない」からという相続税対策でしょうか、それとも「アパートを建てて収益を得られる[…]
4-3.賃貸併用住宅
自分がその土地に住んでも良い場合には、ただの戸建てではなく、賃貸併用住宅を建てるという選択肢があります。賃貸併用住宅とは、マイホーム+賃貸部分を持つ住宅のことで、住みながら家賃収入を得ることが出来る投資法です。
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まとめ
1.太陽光発電のメリット、デメリットを理解して、向いているかどうか判断する。
2.費用、メーカーなど、必要な知識を押さえ、事前シミュレーションをしておく。
3.どのぐらいで回収できるか、将来性も十分に考えて始めることが大事。
4.太陽光発電よりも効率的な投資となる土地活用の選択肢を知っておく。
再生可能エネルギーの注目の高まりや、比較的に手軽に始められる投資として太陽光発電の注目は高まっていましたが、投資として考えるなら知っておくべきことはたくさんあります。
売電収入などで赤字になりにくいとはいえ、地域、天候に左右されやすく投資として考えると大きなうまみが無い方法ともいえます。太陽光発電以外にも様々な投資の選択肢があることも知っておき、有効的な土地活用を行うことが大切です。
土地活用に関しては下記記事でも詳しく解説しています。
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