サブリース問題とは?過去の事例から問題点を詳しく解説!

2017年後半から2018年にかけて、メディアにサブリース問題が取り上げられ、多くの注目を集めました。その中には有名な大手企業もあり、「大企業だからといって安心できない」と不安を感じた方も多いのではないでしょうか。

しかし、サブリース問題は以前から存在しており、サブリースの制度改正前に物件を買ったオーナーの問題が2017年後半から2018年にかけて顕在化したにすぎないと考えられます。

そこで、この記事では、

  • サブリースが社会問題化するまでの流れ
  • サブリースが問題となった理由
  • サブリース問題を取り上げられる発端となった「レオパレス」「大東建託」「スマートデイズ」の事例 

などについて説明していきます。

この記事をお読みいただければ、サブリース問題が起きた社会背景や原因、また、具体的なトラブル内容を知ることができ、実際に契約する際に注意すべき点が明確になると思います。

過去の事例からサブリースのしくみや問題をくわしく学び、不動産投資でのトラブルを事前に回避していきましょう。

「サブリース契約」について、仕組みやメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

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サブリース契約はオーナーに不利?大手でも安心できない6つの理由

1.ざっくり学ぶ! サブリースが社会問題化するまでの流れ

ざっくり学ぶ! サブリースが社会問題化するまでの流れ

1-1. 2016年以前からすでに顕在化していたサブリース問題

「サブリース問題」と聞くと、2017年後半〜2018年にメディアを賑やかせたので、この時期に生じた社会問題と考えがちです。しかし、実は2016年以前からサブリース問題は存在しました。

2016年9月1日、国土交通省は「賃貸住宅管理業者登録規程」と「賃貸住宅管理業務処理準則」を改正しました。これらは、2011年12月1日にスタートした「賃貸住宅管理業者登録制度」の一部を見直し、管理業務の適正化をより進める目的で改正されました。

改正された内容は主に以下の3点です。

  • ・事務所ごとに「一定の資格者」(実務経験者等)の設置を義務化
  • ・「貸主への重要事項説明」などを一定の資格者が行うよう義務化
  • ・サブリースの借上げ家賃などについて「貸主への重要事項説明」の徹底

3つめをご覧ください。サブリースについての記載があります。なぜ国はこの段階でサブリース問題を認識していたのでしょうか。

1-2. 2016年以前から「賃貸住宅を建てすぎている」と国は認識していた

総務省による住宅・土地統計調査によると、2003年時点で367.5万戸だった「賃貸用の空き家」は2013年に429.2万戸となり、10年間で約62万戸増加したことがわかっています。さらに国土交通省の住宅着工統計によると、その10年間における「貸家」の着工は約400万戸にのぼります。

一方、借家住まいは2003年に約1724万世帯、2013年に約1857万世帯です。つまり、借家の需要は10年間で約133万世帯分が増えたのに対し、約400万戸が新規供給されているということです。その結果、賃貸用の空き家は約62万戸増加したと考えられるでしょう。

2016年以前から「賃貸住宅を建てすぎている」と国は認識していた

さらに、国は長期的に世帯数の減少していくことも把握していたわけですから、「このペースで賃貸住宅を建て続けたら、かつてない事態に直面する」という危機意識を持っていたと考えられます。

1-3. 当時も変わらないサブリースによるトラブル

そうした外部要因があるなか、サブリースにおける説明が不十分なことでトラブルが多数起きているという問題が当時から発生していました。

例えば、サブリース契約が30年における説明で「30年間ずっと同額の賃料が保証されますよ」とオーナーに勘違いをさせるようなニュアンスの言葉をサブリース会社の営業マンが口にして、その後家賃の引き下げなどにより、トラブル化していったのです。

そうしたトラブルが多発していたことから、国はサブリース会社に対して「貸主への重要事項説明」の徹底を促すために「賃貸住宅管理業者登録制度」を改正したのでしょう。

1-4. 制度改正の効果はあったと考えられる

国はサブリースによるトラブルを減らそうと制度の改正をしたわけですが、その効果は一定以上あったといえるでしょう。

制度改正により、サブリース問題に対する監視強化は行われました。例えば、管理業者に対して一定の資格者(実務経験者等)の設置およびその資格者による「貸主への重要事項説明」の徹底などが義務付けられています。

これにより、改正前のようにオーナーに甘い期待を抱かせたり、誤解を生じさせたりすることで契約を取ることは難しくなったでしょう。また、サブリースによるリスクが少しずつ一般に認識されるようになったのも問題の種を摘んだ背景だと考えられます。

1-5. 2017年後半〜2018年、再びサブリースが問題となった理由

では、2016年の制度改正後、新規のサブリース契約が減ったと思われる一方、2017年後半〜2018年にかけて再びサブリース問題がニュースになったのはなぜでしょうか。

1-5-1. 契約からの時差

まず挙げられるのは「契約からの時差」です。サブリースにおけるトラブルが表面化するのは、多くの場合「家賃が減額されて収入が減った。最初は30年間保証といわれていたのに!」というオーナーの不満が噴出したときです。

これは購入直後には起きない問題です。多くのサブリース契約では、「2年毎に賃料を見直す」となっていることが多いため、2016年9月の制度改正前にサブリース物件を買ったオーナーの問題が2017年後半〜2018年にかけて顕在化したと考えられます。

1-5-2. 『ガイアの夜明け』によるレオパレス特集

次に考えられるのが、テレビ番組『ガイアの夜明け』が特集をしたレオパレス21(以下、レオパレス)の問題です。レオパレスと聞くと「違法建築」を思い浮かべる人も多いかもしれません。外壁や天井の耐火性能、遮音性など国の定める仕様を満たさない法令違反の物件が多数見つかったという問題です。

これは『ガイアの夜明け』がレオパレスを特集したことがきっかけになっている部分が大きいのですが、実はこの特集は3回に別れて放送されました。

  • ・1回目(2017年12月26日) サブリース問題
  • ・2回目(2018年5月29日) 界壁がない違法建築
  • ・3回目(2019年2月5日) 隠ぺい体質

具体的には後述しますが、見ていただければわかるとおり、『ガイアの夜明け』のレオパレス報道の1回目は「サブリース問題」がテーマです。誰もが知るような大手のハウスメーカーが甚大な被害を出しているということで人々の注目を集めました。この報道を通じてサブリースを知った人も多いのではないでしょうか。

1-5-3. かぼちゃの馬車事件による再燃

そして、ほぼ同時期に起きたのが「かぼちゃの馬車事件」です。かぼちゃの馬車と呼ばれる女性向けシェアハウスが「最高35年の一括借り上げ」などを謳い文句に販売されていました。

しかし2017年10月に突然、運営会社のスマートデイズはオーナーに賃料減額を通知。1月17日と20日に開催した説明会では、1月以降の賃料支払いが難しいことを明らかにしました。この一件により、再び「サブリース」がバズワードとなり、人々の関心を集めることになりました。

2.サブリース問題で取り上げられた企業

サブリース問題で取り上げられた企業

2-1. レオパレス

前述したように、レオパレスは2017年12月26日に放送されたテレビ番組『ガイアの夜明け』により、サブリース問題が浮上しました。もともとは30年間の一括借り上げにより、地主を中心に新築アパートを建てさせ、サブリース契約をしていました。

しかし、狭いエリアにレオパレスの物件を建てすぎたため 供給過剰になり、空室が埋まらない状況が相次いで発生しました。あまりにレオパレスの物件が密集していたので、その状況は「レオパレス銀座」とも呼ばれたほどでした。

空室が埋まらなかった結果、レオパレスは家賃を減額したり、一方的にサブリース契約を打ち切ったりし、その交渉もかなり強引だったため問題化、集団訴訟も発生しました。

こうしたサブリーススキームは、当時、レオパレス社内では「終了プロジェクト」と呼ばれていたそうです。それほどまでに持続可能なビジネスモデルではなく、直に問題化することも同社で働く社員は気づいていたのでしょう。

『ガイアの夜明け』では、そうしたことを同社の社長に直撃取材しています。しかし、社長は「脅迫なんてしていない」との顔面蒼白な状態で回答。その後プレスリリースも出しましたが、いまだ訴訟は続いている状況です。

ほぼ間違いなくレオパレスは「売れればいい」と自社のためだけに利益を追求しており、オーナーの成功などは微塵も考えていなかったと思われます。そのエリアで最初のほうに建てたオーナーからすれば、「なんで同じようなレオパレスの物件を建てまくるのか。これでは自分の物件の稼働率が著しく低くなる」と危機感を募らせたことでしょう。

またレオパレスの場合、サブリース問題を皮切りに、違法建築問題も顕在化しました。

もともとレオパレスに住んだ人からは「隣の部屋の音がほぼ筒抜け状態で聞こえる」「隣人のティッシュペーパーを取る音まで聞こえる」というエピソードが出ていたくらい、壁が薄いことで有名でした。実際、蓋を開けてみたら遮音性はもちろん、外壁や天井の耐火性能などについても法令違反を犯していることが判明し、問題化しました。

これに関しても『ガイアの夜明け』は特集しており、「同社の社員は違法建築である旨を把握していたものの隠ぺいしていた」ということが明らかになりました。その放送後、急にレオパレス側は保証をすると言い出して、ようやく認めたかたちになりました。

なお、こうした一連の問題により、被害者への保証などが発生し、問題発覚後はレオパレスの株価は急落したこともあり、資金工面のために保有物件の売却を加速させました。それでも新規の受注が大幅に減ったことは事実で、2019年11月現在でも業績回復の兆しは見えていません。

2-2. 大東建託

大東建託のサブリースモデルは、レオパレスと同様、地主を主なターゲットに新築アパートを最長35年間、家賃固定で一括借り上げ、地主に代わってアパート経営をするというものです。

どちらかというと、レオパレス、そして後述するスマートデイズのほうが大きく報道され見逃されがちですが、実は大東建託もオーナーから集団訴訟を起こされているという見方が強いです。

これは利益保護を目的として、消費者の代わりに差止請求権を行使できる特定適格消費者団体である「消費者機構日本(COJ)」が大東建託に対して情報提供を求めているという事実があるからです。 まず2018年2月、消費者機構日本からの申し入れで、契約書内に消費者契約法や民法に即さない一方的で消費者負担の重い内容が含まれているため、大東建託に対して削除を求めました

その回答は変更や削除したものもありますが、却下したものもあります。その後、消費者機構日本が実態把握のために大東建託へ情報提供を求めました。

ちょうど同タイミングで、大東建託の内幕を暴く記事や本が書かれています。

そのなかでは、サブリース契約のノルマに追われた営業マンが不正を犯していること、サブリース契約の中で行われるはずの建物の修繕が行われていないこと、不要な工事で通常よりも高額な工事費用を搾取していることなどが取上げられました。

ちなみに、2018年6月には『大東建託の内幕 〝アパート経営商法〟の闇を追う』(同時代社)という書籍が出版されており、著者の三宅勝久氏は大東建託から「名誉毀損をし、業務妨害行為だと判断しているため、書籍の発行を止め、流通した書籍を回収し、今後発行しない旨の誓約書を提出しなさい」という内容証明が送られてきていることを以下の記事で語っています。

参考:MyNewsJapanの記事

2-3. スマートデイズ

スマートデイズは「かぼちゃの馬車」をはじめとするシェアハウスを取り扱う会社です。同社のスキームの問題点、その被害者の実態などについては以下の記事をご参照ください。

3.まとめ

  • 1. サブリースについて、国は2016年以前から問題化していることを把握していた。その理由は「サブリース会社の説明不足によるトラブルの増加」と「将来的な世帯数減少に反する賃貸住宅の増加」が挙げられる。
  • 2. 2016年9月に「賃貸住宅管理業者登録制度」を改正したことで、サブリース会社の説明不足は減り、新たなトラブルの火種は減らすことができたのではと予想できる。2017年以降に顕在化したサブリース問題は、制度改正前に販売された案件だと考えられる。
  • 3. サブリースがここまで社会問題化したのは2017年10月に『ガイアの夜明け』がレオパレスのサブリース実情を取り上げたこと、その後のかぼちゃの馬車、大東建託の一連の報道によるものだと考えられる。

いかがでしたか。サブリースで被害を受けた多くは地主、高属性のサラリーマンであり、おそらく不動産投資のことをよく勉強しないまま、不労所得や土地の有効活用など聞こえのいい言葉に騙されて買ってしまったのだと思います。

しかし、不動産投資は大金が動くわけですから、当然そこを狙った悪徳手法や詐欺会社も潜んでいます。この記事を読んでいる方は大丈夫だと思いますが、くれぐれも安直な言葉に騙されないよう注意いただければと思います。

オーナーがサブリースを契約をする際の注意点については、以下の記事をご覧ください。

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