【事例あり】空き家で税金が6倍?リスク回避の4つの活用法と補助金を解説

テレビや新聞でも、社会問題として取り上げられる空き家問題。

「親や親戚から数年前に譲り受けたが、住む予定もないまま数年が経ってしまった」「固定資産税などの維持費もかかるし、空き家対策法もできて放置しておくわけにもいかない」などと、空き家に対する悩みを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もしくは、「空き家は社会問題になっているし、補助金も出るみたいだから、うまく活用すればビジネスになるのでは?」と活用法を探している方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、

  • 空き家を放置しておくことのリスク
  • 空き家の活用方法
  • 空き家の活用で支給される

について、実践的なノウハウを紹介します。

リスクだけでなく、具体的な活用法も紹介していますので、本記事に書かれた知識を身につければ、同じような境遇に陥った場合も適切に対処できるでしょう。この記事があなたの空き家活用に対する不安を取り除き、背中を後押しするものとなれば幸いです。

1. 空き家を放置しておくことのリスク

空き家を放置しておくことのリスク
空き家問題はたびたびメディアでも報道されています。「平成30年住宅・土地統計調査の概数」によると、全国の空き家数はおよそ846万戸にのぼり、住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%を占めます。

今後も空き家の数は増えると予測されており、2033年、空き家は約2150万戸、空き家率は30.2%に達するといわれています。これはつまり、日本の全住宅の約3戸に1戸が空き家になるということです。

このような状況のなか、空き家への対応に悩みを抱えている人も増えています。では、管理の困難な空き家を所有している場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

1-1. 空き家のリスク

空き家は人が住まない状態で放置していると、老朽化が進み、倒壊のリスクが高まります。それだけでなく、防災、景観、衛星、治安などの問題から周辺住民に与える負の影響も大きくなります。

例えば、管理のされていない空き家は、ごみの放置などにより害虫や害獣が増殖したり、不法侵入や放火といった犯罪の発生を招いたりするケースもあります。

また、空き家を放置していると家の状態はどんどん悪化してしまうため、価格の下落が止まらず売却が困難になります

リスクに関する図

1-2. 空き家対策特別措置法とは

上記のような問題が深刻化する恐れがあるとして、2015年2月に施行されたのが「空き家対策特別措置法」です。別名「空き家法」とも呼ばれています。

この法律が施行する以前は、各自治体で独自の空き家条例をつくるなどの対策が行われていましたが、法的効力がないため、所有者の許可を得ていなければ敷地内に立ち入ることができませんでした。

しかし、「空き家対策特別措置法」により、管理がされていない空き家に対しては、自治体の職員やその委任した者が敷地内に立ち入って調査ができたり、所有者を確認するために住民票や戸籍などの個人情報を確認できたりするようになりました。

1-3. 空き家の維持には、どんな費用がかかるのか?

空き家とはいえ、不動産を所有している以上、固定資産税はかかります。
それ以外に、都市計画税、水道光熱費、保険料(火災保険、地震保険等)、(マンションの場合)管理費・修繕積立金などの費用を負担しなければなりません。

1-4. 空き家を放置していると、6倍の固定資産税がかかる!?

空き家の維持費で特に注意すべきなのは「固定資産税」です。というのも、「特定空き家」に判断され、固定資産税の「住宅用地の特例」という優遇処置が適用されなくなると、最大6分の1に軽減されていた固定資産税が元の税率(全国一律1.4%。ただし自治体によって変わる場合もある)に戻り、今までの6倍の額になるからです。

「特定空き家」とは、空家等対策の推進に関する特別措置法によると、以下のように定義されています。

そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。つまり、

  • ・倒壊等著しく保安上危険となる恐れがある
  • ・ゴミや汚物の放置による異臭など著しく衛生上有害となる恐れがある
  • ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている
  • ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である

という場合、「特定空き家」になるということです。

この「特定空き家」と判断されると、「住宅用地の特例」という優遇処置が適用されず、固定資産額が6倍になるのですが、「住宅用地の特例」とは何でしょうか。

住宅用地の特例について説明するには、固定資産税の税率を理解していただく必要があります。

【固定資産税の税率】
※)課税標準額については、各自治体によって変わります。

土地の状態

固定資産税

空き地
(更地で建物もない状態)

課税標準額 × 1.4%

1戸につき200㎡以下の住居用地部分
(小規模住宅用地)

課税標準額 × 6分の1× 1.4%

1戸につき200㎡以上の住居用地部分
(一般住宅用地)

課税標準額 × 3分の1× 1.4%

この表を見ていただければわかるとおり、土地に住居が建っている場合、空き地に比べてかかる固定資産税は軽減されています。これが「住宅用地の特例」です。

「1戸につき200㎡以下」の空き家の場合、課税標準額の6分の1という優遇措置が取られています。しかし、「特定空き家」に指定されると、この優遇措置が受けられず固定資産税が6倍となるのです。

1-5. 「特定空き家」に指定されたら

「特定空き家」に指定された場合、どうなるのでしょうか。
まず自治体が立入調査を行い、助言、指導をします。これで改善が認められれば「特定空き家」の指定が解除されます。

しかし、改善が認められず市町村長の勧告を受けた場合、「住宅用地の特例」が適応されなくなり、は固定資産税が6倍になります。

そして、立入調査を拒否したり、勧告を無視したりしてしまうと、それぞれ20万円以下、50万円以下の罰金が課せられます。

さらに、何度も改善を要求しているにもかかわらず、所有者が対応しない場合、行政が強制的に敷地に立ち入り、強制的に解体撤去を行います(これを「行政代執行」と呼びます)。これらの適正管理は本来、空き家所有者の責任のため、その費用は所有者負担となります。

しかも、その解体業者を選ぶのは行政職員であり、彼らは最も安い会社を探して依頼するわけではないため、解体費用が高額になる傾向があります。

特定空き家の流れ

このように特定空き家に指定された場合は速やかな対応が求められますが、現状、「助言・指導」「勧告」「行政代執行」が実施されたケースはそこまで多くありません。

実際、平成27〜29年度の各区分の合計値は、以下のとおりです。

  • ・助言・指導……10,676件
  • ・勧告……552件
  • ・命令……70件
  • ・行政代執行……23件

最初の「助言・指導……10,676件」を見ると多いようにも感じますが、最終的な「行政代執行」は3年で23件と考えると、それほど多い数字ではありません。大半の人がこの段階以前で対応できているからだと考えられます。

とはいえ、特定空き家に指定された場合は、速やかに応じるようにすることが大切なのは間違いありません。

2. 空き家の活用方法

空き家の活用方法
ここまで、空き家を放置しておくことのリスクをお伝えしてきました。続いて、リスクを排除するために空き家を活用する方法を解説していきましょう。

2-1. そのまま、もしくはリフォームして賃貸に出す

これがシンプルな活用方法です。空き家の状況にもよりますが、特に設備の故障などがなければ、クリーニングをして賃貸に出します。

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もし必要なら、最小限の修理やリフォームを施したうえで賃貸に出しましょう。

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賃貸に出す際は、居住用の戸建てとしてはもちろん、物件によってはシェアハウス、民泊、貸店舗なども検討してもいいかもしれません。

空き家を放置すると毎年固定資産税が負担になりますが、その物件が家賃収入を生み出すようになれば、トータルでの収支も黒字になる可能性が十分にあります。

ただし、賃貸需要がある都心部ならまだしも、郊外や地方では借り手を見つけるのに苦労する可能性があります。また賃貸経営がうまく軌道に乗ったとしても、建物は経年劣化していくので、適切に修繕・リフォームしなければなりません。

こうしたデメリットも理解したうえで、市場調査をして収支計画を立てて、きちんとビジネスとして成立するか検討しましょう

なお、賃貸に出す際には、「居住用」と「会社・事業用」が主に考えられますが、この2つの一番の違いは、年間賃料の総額が1000万円超の場合、「居住用」は消費税が非課税で、「会社・事業用」は課税になるという点です。

2-2. 建て替えて賃貸に出す

空き家を新たな賃貸住宅などに建て替えるという活用方法です。ただし、空き家の解体費用や新規の建物の建築コストがかかるため、空き家があるエリアの市場調査を行い、事前に収支計画を綿密に立てて、回収・黒字化のタイミングなどを把握しておく必要があります。
空き家から賃貸住宅への建て替えの図

2-3. 解体して更地にして活用する

建物が老朽化しすぎて、修繕しようにも新築同様のコストがかかるといった場合、解体し、更地にして土地を活用するという方法が考えられます。

空き家を取り壊して更地にすることで、コインパーキングや月極駐車場、トランクルームや太陽光発電などの活用方法があります。ロードサイドなら、コンビニチェーンに土地を賃貸し、月々の賃料収入を狙うこともできるでしょう。もしくは狭小地だと、自動販売機やコインロッカーの設置、バイク・自転車用駐輪場など特定の需要をターゲットにした方法もあります。

詳しくは以下の記事を参照ください。

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更地にした後の活用事例の図

ですが、こちらも建て替えと同様、十分な市場調査をしてから着手すべき活用法です。また、更地にする場合、建物がある状態よりも固定資産税が高くなることを忘れないようにしてください。

なお、解体する際には、まず解体工事をすることを市区町村に届け出て、残っている置物、家具や家電を処分します。次に、電気・ガスの停止、浄化槽の汲取り、解体工事後の手続きといったプロセスを経ることになります。

2-4. 売却する

上で挙げたような活用方法と比べてコストがかからず、リスクが小さいのは売却です。現在はインターネットで簡単に手続きするだけで、複数の不動産会社に一括で査定依頼ができます。こうしたサイトを活用することで、スピーディーに売却ができるはずです。

なお、売却と一口に言っても、「そのまま売却する」ケースと「解体して更地にして売却する」ケースの大きく2 つがあります

「そのまま売却する」場合、解体などで余計な費用がかからず、家具や家電つきのまま売却できる可能性もあり、処分にかかる費用を抑えられるのがメリットです。

「解体して更地にして売却する」場合、解体費用を負担しなければなりませんが、不動産(土地)活用の選択肢が広がるため、そのまま売却するよりも早く買い手が見つかる可能性があります。

不動産の売却に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。

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  • ・賃貸に出すなら、居住用以外にシェアハウス、貸店舗なども検討して、家賃収入を狙う
  • ・新たな賃貸住宅に建て替えて収入アップを狙う
  • ・解体して更地にすることで、コインパーキングや月極駐車場、トランクルームや太陽光発電など土地活用の選択肢を広げる
  • ・ロードサイドなら、更地にしてコンビニチェーンに土地を賃貸し、月々の賃料収入を狙う
  • ・狭小地であれば、自動販売機やコインロッカーの設置、バイク・自転車用駐輪場など特定の需要をターゲットとして利益を得る
  • ・そのままの状態で売却すると処分費用はおさえられるが、更地にして売却するほうが、買い手が早く見つかる可能性が高い

3. 空き家の活用で支給される補助金

空き家の活用で支給される補助金
空き家の活用で支給される補助金は、以下のような種類があります。

  • ・空き家の除去(解体工事・撤去処分)に対する補助金
  • ・空き家のリフォーム・改修に対する補助金
  • ・空き家の取得・購入費用に対する補助金
  • ・その他(空き家の店舗利用や集会所としての利用など)の補助金

空き家を活用することで支給される補助金はさまざまなものがありますが、自治体によって支給額や認定条件は異なります。活用方法を決める前に、しっかりと内容を確認しておきましょう

4. 最新情報をチェックする

最新情報をチェックする

ここまで紹介した空き家法、補助金などは自治体によって異なりますし、状況に応じて変化していくものです。したがって、空き家活用を考える際には、最新情報を確認しておく必要があります

国土交通省HP
具体的には、以下の情報を意識してチェックしましょう。

  • ・財政上の措置及び税制上の措置等
  • ・空家等の所有者等に関する情報の利用等
  • ・財政上の措置及び税制上の措置等
  • ・空家等対策計画策定済み市区町村一覧

上記は国土交通省のHPから確認できます。「(H31.3.31時点)」などと書かれている項目については、情報がアップデートされている場合、確認することをおすすめします。

また、各自治体の施策については「自治体名 空き家対策」などと検索しましょう。

5. まとめ

1. 空き家の維持には、固定資産税、都市計画税、水道光熱費、保険料(火災保険、地震保険等)、(マンションの場合)管理費・修繕積立金などがかかる

2. 「空き家対策特別措置法」により、管理がされていない空き家に対しては、自治体の職員やその委任した者が敷地内に立ち入って調査ができたり、所有者を確認するために住民票や戸籍などの個人情報を確認できたりするようになった

3. 「特定空き家」と判断されると、「住宅用地の特例」が適用されず、固定資産額が6倍になる

4. 空き家の活用方法は、「そのまま、もしくはリフォームして賃貸に出す」「建て替えて賃貸に出す」「解体して更地にして活用する」「売却する」がある

5. 空き家を活用することで支給される補助金はさまざまなものがあるが、自治体によって支給額や認定条件は異なる

いかがでしたか。空き家の増加は社会問題となっており、今後も政府や自治体がさまざまな対策を講じるはずです。法律や活用例などアップデートしていくと考えられますので、こまめに最新情報をチェックすることも重要です。

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再建築不可物件の建築可能化プログラム

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