任意売却物件は狙い目?!購入前に確認すべき競売物件との違いと特徴

不動産を購入しようとネット検索するとき、「任意売却物件」という言葉を見かけたことがあるかもしれません。ただ、「ぼんやりと意味がわかるくらい」という人も多いと思います。

なかには、次のように具体的な疑問をお持ちの人もいらっしゃるでしょう。

  • ・任意売却と競売の違いは?
  • ・メリットとデメリットは?
  • ・購入するときの注意点は?
  • ・どんなトラブルが起こる可能性がある?
  • ・購入までの流れは?
  • ・値引き交渉はできる?

結論からいえば、任意売却物件はリスクはあるものの、「安く買える」「収益性が高い」という意味では、不動産投資やマイホーム購入の選択肢としておすすめできます

そこでこの記事では、

  • 任意売却物件とは? 競売との違い
  • 任意売却物件のメリット・デメリット
  • 任意売却物件の購入トラブル
  • 任意売却物件の購入の流れ
  • どれくらいの値引きが可能?
  • 不動産投資には任意売却物件はおすすめ?
  • 任意売却物件以外にもある訳あり物件

について初心者向けに優しく解説します。

任意売却について知識ゼロの人でもすぐに理解できるよう、その魅力やリスク、購入までの流れなどわかりやすく解説しています。この記事を読むことで、「任意売却物件を自分は買うべきか」という判断ができるでしょう

本記事が「任意売却物件の可能性を知って、正しい判断をしたい」という方のお役に立つことができれば幸いです。

1.任意売却物件とは? 競売との違い

任意売却物件とは? 競売との違いまずは「任意売却物件」とはどういうものかみていきましょう。
「競売」についても解説しますので、二つの違いも理解しておきましょう。

1-1.ローン返済ができなくなって不動産を売却する際の物件のこと

任意売却物件とは、債務者が住宅ローンなどの借入金を返済できなくなったとき、債務を返済する目的で売る物件を指します。

これだけだとわかりづらいので、例を挙げましょう。

Aさんは5年前、5000万円の住宅ローンを組んでマイホームを購入しました。
ところが会社が倒産し、ローンの返済が困難になりました(倒産以外には、離婚、相続、カードローンが理由のケースが多いです)。

そこでAさんと金融機関はお互いに合意したうえで、不動産を「任意売却」することにしました。正確には以下の図のように、仲介会社が入り、買主を見つけたうえでの売却になります。

このように、

  • 任意売却(「任売」とも呼ばれます)とは「売却する借金の清算のために、合法的におこなえる前向きな処置」

といえます。

任意売却とは

1-2.競売との違いは?

上の例では、債務者であるAさんが「前向きに借金を精算しよう」と金融機関が合意したうえで売却することになりました。これが任意売却です。「任意」という言葉のとおり、「自主的」というイメージがあります。

  • しかし、もしAさんがローン返済を滞納し続けて、何のアクションもしなかったらどうなるでしょうか。

このとき、債権者である金融機関は法的な債権回収手段を取れます。それが「競売」です。

競売とは、不動産をオークションのかたちで強制売却してローン回収することを指します。
大まかな流れとしては、以下のようになります。

競売の流れ

上の図を見ていただければわかるとおり、任意売却が可能な期間が求められています。しかし、この期間でも過ぎてしまうと、競売にかけられてしまいます。

ここで重要なのは、債権者である金融機関としては、競売ではなく任意売却を求めているということです。なぜなら次項で詳しく取り上げるように、競売のほうが任意売却よりも売値が安くなってしまうからです。

1-3.任意売却と競売の違い

任意売却と競売の違いは、以下のとおりです。

  任意売却 競売
売却価格 市場価格の8割程度 任意売却よりも2、3割安い
引越し代金などの諸費用 売却代金から捻出可能 自分で持ち出す必要がある
リースバック(住み続けること) 可能 不可
プライバシー 高い 公になってしまう
残債務 少ない 多い
残債務の交渉 可能 不可
現金が残る可能性 ほぼなし
退去日 融通が効く 落札者の都合に合わせる
精神的負担 少ない 多い

このように、任意売却と競売を比較すると、明らかに任意売却のほうがメリットが大きいことがわかります。したがって、もしローンの返済が滞った場合、早急に任意売却を検討し、任意売却に強い企業や専門家に相談することをおすすめします。

2.任意売却物件のメリット・デメリット

任意売却物件のメリット・デメリット

前項では、「任意売却をする側(債務者)」のメリットを競売の比較とともに紹介しました。
ここでは任意売却物件を購入、投資する場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

2-1.任意売却物件のメリット

任意売却物件は、比較的新しい状態の不動産を、割安価格で入手しやすいのが特徴です。これは売主が残責務の一括返済を求められているため、定められている売却期間内に不動産が売れることを最優先しているからです。したがって、質の良いコンディションの物件でも市場価格よりも安く手に入る可能性があります。

また競売物件と比較すると、売主と買主が合意の上で契約するので、退去時期や不法占有、残留物などの問題が起きにくいのもメリットです。

なお、住宅ローンを利用して任意売却物件を購入することは可能です。ただし、審査は多少厳しくなります。これは、一度その物件で返済が滞ったことがあったためだといわれています。

2-2.任意売却物件のデメリット

デメリットの1つめは、「手続きに時間がかかる」こと。これは売主である債務者の債権者である金融機関が、購入価格に納得しないと取引が成立しないからです。また、残債が少なければ低い価格で金融機関が承諾する可能性もありますが、そうでなければ低い金額では購入できません。

2つめは「契約不適合責任(旧任瑕疵担保責任)が免責になる」こと。2020年4月の民法改正で、これまで「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」が「契約不適合責任」に変更になりました。2020年4月以前は「瑕疵担保責任」とは、物件の引渡し後、欠陥・不具合が見つかった場合は売主が修復などの義務を負う責任を指しましたが、改正後は「隠れた瑕疵」という概念が廃止されて、売主・買主が「知っていた」、「知らなかった」に関わらず責任を負うことになります。ただし、特約によって免責にすることができるため、任意売却物件については改正後も、購入後のトラブルは買主の自己責任になります。つまり物件の目利き力が問われます。

3つめは「競売になってしまうリスクがある」こと。たとえ優良な任意売却物件を見つけたとしても、その物件の任意売却可能な期間が終わってしまった場合、競売物件に切り替わってしまいます。特にローンの返済が滞って半年~8カ月以上経った物件は競売になりやすいので注意が必要です。

4つめは「不透明な部分がある」こと。任意売却物件には、別に抵当権が付いていたり、他に債権者がいたり、税金支払いが滞っていたりするなど、不透明な部分が多いといえます。また、手付金を支払わせようとする詐欺や、売主が夜逃げするリスクもあります。これは信頼できる売買仲介業者を通じて購入することで防げます。

3.任意売却物件の購入トラブル

任意売却物件の購入トラブル

前項では任意売却物件のデメリットを解説しました。ここでは、起こりがちなトラブルをいくつか紹介します。

3-1.白紙撤回になる

任意売却では、売却額をどう配分するかについては、債務者と債権者との話し合いで決まります。ただ、債権者が1社ならシンプルなのですが、複数いると配分でもめるケースがあります。

協議がまとまらなかった場合、債権者が抵当権を外すことを了承せず、売買が白紙撤回される可能性があります。任意売却物件の購入を検討する場合は、複数の債権者がいるかどうか把握しておきましょう。

3-2.売主が夜逃げする

債務者は、任意売却で債務を一括返済するわけですが、返済しきれない債務が残っている場合は、売却後もそれを返済し続けなくてはなりません。残債がどうしても返済できないと債務者が思えば、最終手段として夜逃げしてしまう可能性もあります。

特に、売主が複数の債権者からお金を借りている場合は注意してください。多重債務者は消費者金融のような手強い債権者から厳しい取り立てにあっており、精神的にも病んでいる人が多くいます。夜逃げするほど追い込まれているケースもあるので、その点は理解しておく必要があります。

3-3.現状有姿である

任意売却物件の場合、売主に余計な負担をかけないために、現状有姿(現在の状況のまま)での売却となります。つまり何か問題点があったとしても、買主はそれをそのまま容認して購入しなければなりません。懸念される状況としては「住宅設備が壊れていて使えない」「外壁の塗装がはがれている」などがあり、物件費用のほか修繕費がかかります。

3-4.土地の面積が狭かったことに、あとから気付く

任意売却では、「公募売買」が原則です。公募とは登記簿に記載された面積のことで、登記簿謄本の面積は実測面積と異なることがあります。

引き渡し後の実測で、「実は土地の面積が狭かった」ことに気が付くケースがあります。任意売却は、登記簿謄本の面積を前提とするしかないので、こういうケースが起こりうることも知っておく必要があります。

4.任意売却物件の購入の流れ

任意売却物件の購入の流れ任意売却物件購入の流れは、競売物件とは違い、一般的な不動産物件を購入する際の流れと大きな違いはありません。購入までの主な流れは以下のようになります。

  1. 予算を決める
  2. 専門サイトなどで購入する物件を決める
  3. 物件内覧・現地視察
  4. 価格や引き渡し条件交渉
  5. 買付証明書を提出
  6. 売買契約を結ぶ
  7. 決済物件の引き渡し

購入から引き渡しまでは、一般的に2カ月程度と言われています。しかし、トラブルがあった場合には期間が伸びることがあることも頭に入れて動きましょう。

なお、任意売却物件の購入時の注意は以下の記事で詳しく解説しています。

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5.どれくらいの値引きが可能?

どれくらいの値引きが可能?任意売却は売却者が債権者にローン返済をする目的でおこなわれる売却なので、ローンの回収額が減る値引きに債権者が応じてくれることは多くありません。しかし実際には、「これで決まらなければ競売になる」という追い込まれた条件の売主もいます。そうした売り急いでいるケースの場合、大幅な指値が通る可能性もあります。

なお、家具や家電を残したまま不動産を売る場合は、撤去費用は売主負担になります。仮に売却価格が2000万円で、処分費用が30万円かかるのであれば、処分費用の30万円を売主が支払うか、もしくは2000万円から30万円を引いて1970万円で売却することになります。

以下の記事では、リフォームについて解説しています。任意売却物件を購入したあとの参考になるはずです。

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6.不動産投資には任意売却物件はおすすめ?

不動産投資には任意売却物件はおすすめ?不動産投資の観点からいうと、任意売却物件の魅力はいくつかあります。

まず、状態の良い物件を高利回りで買える可能性があること。これは売主が早く契約を結びたい状況にあるからです。

また、売主のなかには、売却後も賃貸というかたちでその家に住み続けることを選択する人もいます。この場合、物件を購入した段階で、すでに入居者が決まっている状態になるため、リフォームする必要もなく、かつ長期入居が見込めるため、安定的な高利回り運営が実現できる可能性もあります

また、任意売却は通常の不動産売買と同様の流れで購入できる点もメリットです。
そして、購入前には物件の中を見学し、状態を確認してから購入を決定できる点も魅力です。仮に室内が荒れていても、どれくらいのリフォーム費用がかかるか見込みが立つため、事前に収支計算をすることが可能です。

しかし、「2-2. デメリット」「3. 任意売却物件の購入トラブル」で解説したように、任意売却物件にはさまざまなリスクや注意点があります。

そのため、手付金は低めの金額にし、売主ではなく売主側の業者に預かり金として支払ったり、契約手続きを進める前に競売取り下げや差し押さえの取り消し手続きがおこなわれているかどうかを確認したりするといった対策が必要です。

こうしたリスク回避策を講じることができれば、任意売却物件は選択肢の一つとして十分に考えられるといえるでしょう。

7.任意売却物件以外にもある訳あり物件

任意売却物件以外にもある訳あり物件任意売却物件のような「訳あり」物件で、他に挙げられるのが「再建築不可物件」です。「再建築不可物件はリスクが高く、中上級者向け」だと思っている人は多いです。

しかし実は、そんなこともありません。実際、初心者でも再建築不可物件で成功している不動産投資家は多くいます。

再建築不可をリフォームして価値を上昇させるノウハウは以下の記事で詳しく解説しています。不動産投資に関心がある人なら一読して損はない内容ですので、ぜひチェックしてみてください。

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まとめ

1. 任意売却物件は市場相場よりも安いというメリットがあるものの、手続きに時間がかかったり、瑕疵担保責任が免責になったりといったデメリットもある

2. 購入した人のなかには、「白紙撤回になった」「売主に夜逃げされた」という事例もある

3. 売主が売り急いでいるケースは多いので、大幅な値下げ交渉ができる可能性もある

いかがでしたか。任意売却物件はいくつかのリスクを慎重に見極めれば、安値で購入できるという魅力があります。購入を検討する場合は不動産投資や任意売却物件の専門家に相談しながら、注意点に気をつけて取引をおこなっていきましょう。

この記事を書いた人
山本ゆりえ

山本ゆりえ

ライター・編集者・大家。
木造アパート4棟、重鉄マンション1棟、区分マンション2戸を取得(3棟・区分2戸は売却済)。転貸のレンタルスペース1戸運営中。これまで購入した自宅は3戸。不動産投資の分野を得意とし、これまで関わった不動産関連書籍は100冊を超える。
執筆している記事:MONEY PLUSbizSPA!フレッシュ

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再建築不可物件の建築可能化プログラム

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