イールドギャップとは?不動産投資に重要な目安と推移を解説

不動産投資の本を読むと「イールドギャップ」という言葉が出てきます。「イールドギャップってなに?」と思う人も多いでしょう。普段は聞きなれない言葉ですが、物件投資の際に欠かせない指標の一つです。

イールドギャップ(英語:yield gap)は金融機関から融資を受けて投資をした場合に「収益が出るかどうか」を簡単に測るための指標です。不動産投資では銀行など金融機関から融資を受けることが多く、ローンを組んで収益が出せるかどうかを判断する際の指標として正しく理解しておく必要があります。

もちろん「イールドギャップ」は万能な指標ではありません。ですがイールドギャップの意味や本質を理解することで物件購入の失敗を防ぐことができます

この記事では、物件購入時の指標としてイールドギャップを活用してきた経験を元に、イールドギャップがどのような意味・指標なのかについて分かりやすく解説いたします。さらに、今後日本ではイールドギャップはどう推移していくのかについても現役不動産投資家の視点からお話していきます。

この記事を読むことでイールドギャップの本質を理解すると同時に「今こそ日本で不動産投資をするべき」その理由を知ることができます。

イールドギャップを正しく理解して、更に「儲かる物件を見分けるための数字の見方」を身に付けることができます。

■2019/12/10 加筆修正 計算例など図解を加えました

1.不動産投資のイールドギャップとは「利回り-金利」のこと

不動産投資のイールドギャップとは「利回り-金利」のこと

不動産投資における物件購入の際には、投資物件の「利回りがどれくらいか」を見ていくことになります。しかしそれだけでは不十分です。なぜなら、投資物件の利回りが高くても借入金の金利が高ければ収益性が低くなってしまうからです。

そこで必要となる指標がイールドギャップです。

イールドギャップとは簡単に言うと「利回り-金利」、借入金の金利と投資物件の利回りの差(ギャップ)を計算したものです。不動産投資で収益性を高くしていくためには、投資物件の利回りだけで判断するのではなく、イールドギャップで見て行く事が大切です。

イールドギャップとは

例えば、投資物件の利回りが低くても低金利で借り入れができれば、イールドギャップがプラスとなり、収益が発生します。利回りが高い物件を高金利で借り入れするよりも、イールドギャップが大きくなり収益性も高くなる可能性があります。

投資物件の利回りが低くても、現在の日本のように超低金利でローンを組めればイールドギャップの値は大きくなり収益性は高くなりますので、投資対象として検討の余地ありと判断できます。

1-1.簡単にわかるイールドギャップの計算方法

例えば下記のような2つの不動産物件を比較してみます。

  • ■物件A:利回り8% 金利4%
  • ■物件B:利回り6% 金利1%

利回りだけで見ると、物件Aは利回り8%、物件Bは利回り6%ですので物件Aが投資物件としては優秀に見えます。
しかしイールドギャップを計算して見ると、物件A4%(8%-4%)、物件B5%(6%-1%)、物件Bの方が収益性の高い投資物件であることが分かります。

イールドギャップの計算方法

このようにイールドギャップを用いることで収益性の高い物件を簡単に見分けることができるようになります。

イールドギャップの計算式から考えると金利が低い方が有利であることをお分かり頂けると思いますが、そこでポイントとなるのが「銀行から良い融資条件を引く」ことです。

  • イールドギャップは「利回り-金利」となるわけですから、良い融資条件を引き、低い金利で融資を受けることが不動産投資を有利に進めるポイントになります。

2.今がチャンス!日本のイールドギャップの推移と比較

今がチャンス!日本のイールドギャップの推移と比較

日本のイールドギャップはどのように推移しているか見てみましょう。

2-1.バブル期はマイナス!低利回りで売却狙いの投資

1990年代初頭の日本は「バブル期」と呼ばれる好景気まっただ中にありました。景気の良さから経営者を中心にお金を使いたがる人も多く、不動産の売買も活発で、需要に応じて不動産価格も上昇していきました。

こうしたバブル期の日本は、イールドギャップはマイナスでした。なぜなら利回りがとても低いからです。不動産価格は需要に応じて高騰するものの、賃料はそこまで上がりません。金融機関の貸出金利も当時は6~8%程度が相場でした。

対して都内物件などの不動産の表面利回りは2~4%、となっていました。つまり家賃収入(インカムゲイン)による儲けは期待できませんが、景気の良い経営者が現金で不動産物件を購入することが多かったバブル期は売却益(キャピタルゲイン)を狙うのが不動産投資の主流でした。

バブル期はマイナス!低利回りで売却狙いの投資

2-2.近年はプラス!高利回りで家賃収入狙いの投資に

しかしそんなバブル期も長くは続かず1991年を境に「バブル崩壊」を迎えます。 それまでお金を使っていた人達が使わなくなり金融機関の貸出金利は急激に下がることになります。 バブル期6~8%程度が相場だった金利はバブル崩壊後2~4%程度まで下落することになります。

景気が悪くなると不動産物件も売れなくなり、金利の下落と同様に不動産価格も暴落するようになります。すると今度は「利回り」が上がるようになりました。

なぜなら不動産価格が半分に暴落しても、賃料は半分まで下がらないからです。
家賃収入はほとんど変わらずに不動産物件は安く買えるようになったため、家賃収入(インカムゲイン)狙いの投資が主流の時代へと変化していきます。

近年はプラス!高利回りで家賃収入狙いの投資に

イールドギャップはバブル崩壊前と後で逆転することになりました。バブル崩壊前の「イールドギャップがマイナス」から「イールドギャップはプラス」となる今の時代になったわけです。

イールドキャップがプラスの今の時代は「借金をして不動産投資をしても儲かる」状況にあるのです。

日本のイールドギャップの推移

年月

長期貸付金利[%] ※1

利回り(一棟アパート)[%] ※2

イールドギャップ[%]
2009年1月 1.592 11.11 9.518

2010年1月

1.386 11.4 10.014
2011年1月 1.221 11.27 10.049
2012年1月 1.212 11.46 10.248
2013年1月 1.13 11.42 10.29
2014年1月 1.097 10.61 9.513
2015年1月 0.972 9.69 8.718
2016年1月 0.939 9.25 8.311
2017年1月 0.817 9.18 8.363
2018年1月 0.778 8.85 8.072
2019年1月 0.749 8.77 8.021
2020年1月 0.731 8.78 8.049
2021年1月 0.727 8.66 7.933

※1、2:2009年から2015年までは1~3月の第1四半期の値で計算
※1:長期貸付金利は「日本銀行の貸出約定平均金利(月次)」を参考
※2:利回り(一棟アパート)は「健美家の不動産投資ニュース」を参考

日本銀行時系列統計データ検索サイト

 

健美家レポート調査の不動産投資ニュース一覧|不動産投資の健美家

日本ではイールドギャップはプラスですが、年々ギャップは下がり傾向であることがわかります。

3.ここがポイント!これからのイールドギャップの正しい予測は?

ここがポイント!これからのイールドギャップの正しい予測は?

イールドギャップがプラスの今の時代、正しく収益物件を選べば「借金をして(金融機関から融資を受けて)不動産投資をしても儲かる」わけですが、これまでも変化してきたように今後イールドギャップがどのように推移していくのかは気になるところかもしれません。

そこでここでは、

  • ・家賃
  • ・融資
  • ・物件価格

3つの視点からイールドギャップがどのように推移していくかを考えていきたいと思います。

3-1.家賃は下がる可能性大!競争激化が表面化

「家賃」については、将来的に下がっていく可能性が非常に高いと考えます。
理由は、「賃料の透明化が進むことで競争が激化する」ことが予測できるからです。
不動産業界はブラックボックスと呼ばれる不透明な部分が多く、賃料を始め、少ない情報の中で物件選びを行っている現状があります。

インターネットの普及によりこうした不透明な部分はクリアになっていきます。
一部の不動産業者ではインターネットを活用した「オンライン内覧」なども実施しているように、賃料の透明化やインターネットを介したサービスの競争などが理由で競争の激化が予測できます。

仲介手数料、敷金・礼金無料を謳う物件が増加しているのも競争の激化を表しており、それに伴い「家賃は下がっていく可能性が高い」と考えるのが妥当です。

3-2.金利は「下げ止まり」これからは上昇傾向

一方「金利」については、今後どんどんと上がっていくことが予測できます。
理由は、すでに長く低金利の時代が続いていて、上がることはあってもこれ以上下がること考えにくいことにあります。

超低金利時代とも言われる今の時代では、0~1%台での融資を受けることも珍しくはありません。ここ数十年の金利相場でも、最も低金利な時代だと言えます。

この低金利の状況が今後も長く続くとは考えにくく、実際住宅ローンは2016年10月が最も金利が低く、以降はゆるやかに上昇しているデータがあります。

こうした状況から、すでに上昇傾向に入っていて、今後はどんどんと上がっていく傾向にあると考えられます。

3-3.不動産価格は下落傾向に

では、不動産物件の価格についてはどうでしょうか。実は、物件価格は下落すると予測しています。 各金融機関が融資引き締め傾向なので購入できる人が減っているため、不動産価格は下がっていくと考えられるのです。 東京オリンピックまで上がり続けるという人もいますが、私は今がピークと考えています。

不動産価格は、金融機関の融資状況に紐づいています。銀行がお金を出せば不動産を購入できる人が増え物件価格は上昇します。融資を引き締めれば買える人が減り不動産価格は下がっていきます。

アパートローンや事業性融資については、2017年4月以降各金融機関は引き締め傾向にあります。今の引き締め傾向から考えると、今をピークに物件価格は下がる傾向にあると考えることができます。

家賃、融資、物件価格、3つの視点からイールドギャップの現状と今後の推移について見てきました。 そこから言えることは「今こそ日本で不動産投資を始めるべき」ということです。 先進国の中で、イールドギャップがプラスなのは、日本くらいです。

イールドギャップがプラスの今は「借金をして不動産投資をしても儲かる」状態でもあるわけです。

銀行の不動産アパートローン引き締め状況については、こちらの記事で詳しく述べています。

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4.儲けが出るイールドギャップの目安は「最低6~9%」

 儲けが出るイールドギャップの目安は「最低6~9%」

イールドギャップは金融機関から融資を受ける際に「収益が出るかどうか」を簡単に測るための1つの投資指標であることをお伝えしてきましたが、実際にどのくらいの数値を目安にすればいいのかは気になるところだと思います。

中古物件、新築物件などでも目安は異なりますが「最低6~9%」は必要であることを覚えておいて下さい。
理由は「空室リスク」「税金の支払い」などがあるからです。

満室経営が理想ですが、実際に不動産投資を行っていく中では空室がでることも考えておかなくてはいけません。空室が出ると収支は大きくマイナスとなります。得られた収益に対しても、後から税金が発生することを覚えておかなくてはいけません。

空室リスクや税金の支払いが後から発生すること、これらを踏まえると、不動産投資で安定したキャッシュフローを生みだすためには6~9%程度のイールドギャップが必要であることが分かります。

5.イールドギャップはあくまで目安!キャッシュフローこそ意識すべき

イールドギャップはあくまで目安!キャッシュフローこそ意識すべき

イールドギャップが不動産投資の収益性を判断する指標であることには間違いありませんが、とは言え万能なわけではありません。イールドギャップはあくまでも一つの指標であり、不動産投資で一番大切なのは「キャッシュフローをいかに手元に残せるか」で見て行くことです。

キャッシュフローと言う言葉は様々な使い方をされることがありますが、不動産投資においては

  • 家賃収入から必要経費(減価償却費や所得税、住民税など)を全て差し引き、所得税や住民税、法人税などの税金支払いを全て加味した税引き後の利益(=キャッシュフロー)

であると考える必要があります。

キャッシュフローの計算方法

例えば「家賃8万円、月々のローン返済が7・5万円」でも、キャッシュフローは+5000円とはなりません。なぜなら、ランニングコストや税金が発生してトータルの収支はマイナスになってしまうからです。

イールドギャップを表面的に理解していても、税務上の基礎知識を持たなければ、物件を買っても収益を生むどころか赤字収支を生みだしてしまうことになってしまいます。

イールドギャップを物件購入の1つの指標として見ていきながら、必要経費、税金なども踏まえたキャッシュフローで判断することが、失敗しない不動産投資に必要不可欠です。

キャッシュフローの計算方法はこちらの記事をご確認下さい。

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まとめ

1.イールドギャップは金融機関から融資を受けた際に、不動産が儲かるかどうかを簡単に測る一つの指標で、「利回り-金利」で計算することができます。

2.低金利であれば、イールドギャップは計算上有利になります。バブル期と比べて、今の時代はイールドギャップ有利な状況です。

3.今の日本の金利の低さや、今後のイールドギャップの推移を考えても「イールドギャップがプラスの今こそ、日本で不動産投資始める絶好のタイミング」と考えられます。

4.不動産の収益性を簡単に判断する際にはイールドギャップで見て行くのが有効です。しかし儲けが出るか正確に不動産の評価を行う場合には、経費や税金などを含めて計算する「キャッシュフロー」で見て行く事が必須となります。

まずは簡単なイールドギャップで物件を評価し、良さそうな物件だと思ったら、キャッシュフローを計算して物件を評価していきましょう。

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